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OJTとよばれる実地訓練/ホームメイト
できるだけ現場に近い形で仕事に必要なノウハウを身に付ける社内研修、「OJT」とは、いったいどのような訓練方法なのでしょう。
航空管制官のOJT
現場での業務遂行にあたって、できるだけ現場に近い環境で社内訓練を受けるOJT(On the Job Training )による専門研修は、業務の専門性が高ければ高いほど、より重要になってきます。また、研修を通して資格取得という目標を達成する場合にも、OJTはたいへん効果的に機能する訓練方法です。
航空管制官の業務はかなり専門性が高いため、採用後にいきなり現場に出ても訓練さえできないといわれています。そのため、航空保安大学校における1年間の研修期間を設けて、航空管制に関する基礎研修を終えた状態で配属されることになっています。もちろん、航空保安大学校でのカリキュラムには、現場に即したシステムを使った実技科目が数多く設定されています。つまり、航空保安大学校における1年間は、OJTの一環だという意味合いが強いといえるでしょう。
航空保安大学校で1年間の研修を終えると、日本各地にある空港や、全国4ヵ所(札幌・東京・福岡・那覇)にある航空交通管制部に航空保安職として配属され、配属後も現場での研修を重ねることになります。
この現場での研修において、一人前の管制官として独り立ちするために避けて通れないのが、空港の管制ごと、航空交通管制部のセクターごとに必要となる、技能証明の取得です。
技能証明とは、業務遂行のために取得が不可欠な資格証明のことであり、管制部では担当する空域ごとに、空港では飛行場管制とターミナルレーダー管制、それぞれに必要になります。そしてこの技能証明取得に欠かせないのが、各空港や各航空交通管制部でのOJTなのです。
航空交通管制部、空港の飛行場管制、空港のターミナルレーダー管制、それぞれで採り入れているOJTを以下に示しますので、参考にしてください。
航空交通管制部のセクターAで行なわれているOJT
以下のような訓練があります。
- 航空路管制方式
- 航空路管制業務用の機器の操作
- 関係機関との調整 など
航空交通管制部のセクターBで行なわれているOJT
以下のような訓練があります。
- 航空路管制方式
- 関係機関との調整 など
空港の飛行場管制で行なわれているOJT
以下のような訓練があります。
- 飛行場管制方式
- 飛行場管制業務用の機器の操作
- 関係機関との調整 など
空港のターミナルレーダー管制で行なわれているOJT
以下のような訓練があります。
- レーダー管制方式
- レーダー管制業務用の機器の操作
- 関係機関との調整 など
(国土交通省 資料「管制官の業務実態等」より抜粋)
異動先でも行なわれるOJT
国家公務員である航空管制官はだいたい3年ほどで、全国にある空港や管制部への異動があります。その際には、配属先によって異なる地形や気候、滑走路に至るまで一から学び直し、必要となる技能証明書を新たに取得するために、異動先でのOJTによって、必要な技能はもちろん、座学による知識を身に付けることになります。ベテランといえども気を抜くことはできない職業です。