福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡の発掘調査で見つかった現代将棋にはない駒「酔象(すいぞう)」などを展示したトピック展「あさみゅーで学ぶ!酔象駒と将棋の歴史」が同市の県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館で開かれている。
将棋は平安時代後期ごろに伝わり、盤の升目や駒の数の異なる小、中、大将棋などが生まれた。江戸時代に入る直前ごろに小将棋から酔象が除かれ、現在に近い様式になったとされる。
朝倉駒と呼ばれる五角形の酔象駒は、1974年に朝倉義景の館跡から出土した将棋駒174枚のうちの1枚。裏面は「太子」で両面とも墨書きの文字がうっすらと確認できる。駒の端に黒点が7カ所あり、進める方向を表している。
戦国時代の絵図には、馬を飼う厩(うまや)の縁側で将棋を楽しむ武士の姿が描かれている。発掘された駒は朝倉館跡の七間厩から流れ出る排水の土の中にあり、学芸員の山口大地さんは「朝倉氏に仕えていた武士たちも厩で将棋を楽しんでいたのではないか」と話していた。
展示では酔象をはじめ、国指定重要文化財の駒が将棋の歴史とともに紹介されている。
トピック展は来年2月16日まで。酔象の実物展示は12月8日までで、同10日からは一乗谷城下町の武家屋敷跡から出土した黒漆で書かれた歩兵駒を展示する。