国土地理院時報(2014,126集)要旨
平成26年8月豪雨災害への対応
Responses of GSI to the heavy rain disaster in August 2014
企画部 防災推進室
【要 旨】
国土地理院は,大規模自然災害の発生時において救命・救助活動及び復興に寄与するため,関係機関へ地理空間情報の提供を行っている。平成26年8月豪雨についても,国土交通本省をはじめとする関係行政機関(以下「関係機関」という.)からの要請に応じて地理空間情報を提供した.本稿ではその取り組みについて報告する.
Aerial photography of disaster areas of the heavy rain in August 2014
基本図情報部 災害対策班
【要 旨】
平成26(2014)年7月30日から8月26日にかけて,日本列島各地に大きな被害をもたらした平成26年8月豪雨に対する国土地理院基本図情報部(以下「当部」という.)の災害対応について報告する.
Preparation of Debris Flow Distribution Map in Northern Area of Hiroshima City by Aerial Photo Interpretation of the Heavy Rain Disaster in August 2014
応用地理部 災害対策班
【要 旨】
応用地理部は,平成26 年8 月に日本列島(特に広島市)に被害をもたらした「平成26 年8 月豪雨」における被災状況の把握のため,写真判読等を行って土砂流出範囲図を作成し,公開したので報告する.
Responses of the Geospatial Information Dept. of GSI to the heavy rain disaster in August 2014
地理空間情報部 災害対策班
【要 旨】
平成26年8月豪雨(広島市内)における地理空間情報部の災害対応について報告する.
Responses of Research Center, GSI to the heavy rain disaster in August 2014
地理地殻活動研究センター 災害対策班
【要 旨】
平成26年8月20日に広島市に甚大な被害をもたらした豪雨による土砂災害に対して,地理地殻活動研究センターが対応した斜め写真の正射画像化作業やツイッターによる情報発信,現地対策本部(広島市)へのリエゾン派遣について報告する..
Responses of the Chugoku Regional Survey Department to the heavy rain disaster
中国地方測量部
【要 旨】
中国地方測量部は,広島市北部で大規模な土石流を発生させた平成26年8月豪雨に伴う記録的な大雨による被災に対応するため,体制を確保し,関係行政機関へ各種地理空間情報を提供するとともに,政府非常災害現地対策本部,中国地方整備局災害対策本部及び政府現地調査団に職員を派遣したので報告する.
The Long-Term Plan for Basic Survey and the GSI Research and Development Basic Plan
企画部 永山 透・芹澤由尚
【要 旨】
国土地理院は平成26年4月に基本測量に関する長期計画及び国土地理院研究開発基本計画を策定した.
基本測量に関する長期計画は国土地理院が行う基本測量の目標とその達成のための施策を明らかにするものである.また,国土地理院研究開発基本計画は国土地理院が実施すべき研究開発の基本的な方向性を定めるものである.
これらの計画は,国土地理院の成果のよりどころとなる指針である.
本項では,新たな基本測量に関する長期計画と国土地理院研究開発基本計画の概要について報告する.
基本測量に関する長期計画は国土地理院が行う基本測量の目標とその達成のための施策を明らかにするものである.また,国土地理院研究開発基本計画は国土地理院が実施すべき研究開発の基本的な方向性を定めるものである.
これらの計画は,国土地理院の成果のよりどころとなる指針である.
本項では,新たな基本測量に関する長期計画と国土地理院研究開発基本計画の概要について報告する.
The results of a questionnaire on GNSS continuous observing system targeting mainly ODA recipient countries
企画部 中川弘之・坂部真一・浅野妙子・上野智史・マービット京湖
近畿地方測量部 徳永和典
【要 旨】
近年,測位衛星(以下,GNSSという.)の充実とGNSSを活用した測量機器の普及により,世界各国でGNSS連続観測システムの導入が進んでいるところであるが,開発途上国にあっては,運用上の問題等により,有効に活用されていない状況である.
このような状況から,国土地理院では,20年近い運用経験を踏まえ,GNSS連続観測システムに関する人材育成を目的とした技術研修を,JICA集団研修のスキームを活用して,平成27年度から立ち上げるため,JICAに提案することとした.
そこで,その研修における技術レベルの設定やシラバスの検討に必要な基礎情報を得ることを目的として,ODA対象国を対象としてGNSS連続観測システムに関するアンケートを実施した.
本稿では,これらアンケートの結果,分析,新規研修の内容の案について報告する.
このような状況から,国土地理院では,20年近い運用経験を踏まえ,GNSS連続観測システムに関する人材育成を目的とした技術研修を,JICA集団研修のスキームを活用して,平成27年度から立ち上げるため,JICAに提案することとした.
そこで,その研修における技術レベルの設定やシラバスの検討に必要な基礎情報を得ることを目的として,ODA対象国を対象としてGNSS連続観測システムに関するアンケートを実施した.
本稿では,これらアンケートの結果,分析,新規研修の内容の案について報告する.
Investigation of Mountain Trails with Regional Partnership
基本図情報部 笹川啓・渡辺信之・寺島健太郎
【要 旨】
電子国土基本図における取得地物項目の一つである登山道は,空中写真によって確認ができないものが多いため,登山者等から寄せられる局所的な登山道の変化情報を基に,登山道調査を実施していたが,平成24年度からの新たな取り組みとして,地元の関係機関やボランティア等と連携して登山道調査を実施することで,連携対象となった山域全体について最新の登山道状況を電子国土基本図に反映できるようになった.本稿では,地域連携による登山道調査の流れや調査方法の詳細を報告するとともに,平成24年度と平成25年度の地域連携による登山道調査の実績について報告する.
Construction of Seismic Ground Disaster Assessment System (SGDAS)
地理地殻活動研究センター 神谷泉・小荒井衛・乙井康成・中埜貴元
【要 旨】
地震発生後概ね15分で斜面崩壊,地すべり,液状化が発生した可能性(以下「発生可能性」という.)を自動的に予想し,その結果を配信する地震時地盤被害予想システムを開発した.このシステムは,現在,国土地理院内で試験運用中であり,安定して無人で動作している.本稿では,このシステムのアルゴリズムについて報告する.
Establishment of New Geoid Model “GSIGEO2011(Ver.1)”
測地部 兒玉篤郎・宮原伐折羅・河和宏・根本悟
地理地殻活動研究センター 黒石裕樹
【要 旨】
国土地理院では,衛星測位を用いた測量業務の効率化(スマート・サーベイ・プロジェクト)の一環として,GNSS測量により3級水準測量に相当する標高の決定を可能とする(後藤ほか,2013)ため,高精度なジオイド・モデルの構築を進めてきた.平成25年4月には,西日本地域について新たなジオイド・モデルを組み入れた「日本のジオイド2011+2000」を公開した(兒玉ほか,2013).今回,東日本地域についてもジオイド高データの整備が平成25年度に完了したことを受け,一部の離島を除いた全国について新たなジオイド・モデル「日本のジオイド2011」を構築したので,報告する.
本文[PDF:3,701KB]
An Initiative for Utilizing Geospatial Information for Regional Disaster Prevention:
-Geospatial Information on Evacuation Sites and Shelters-
-Geospatial Information on Evacuation Sites and Shelters-
応用地理部 登坂昇・嶋田勝也
企画部 宇根 寛
【要 旨】
国土地理院は,平成25年に改正された災害対策基本法に基づいて指定される指定緊急避難場所及び指定避難所を「地理院地図」(国土地理院がインターネットで配信している地図)などでわかりやすく表示するための地図記号を新たに定めた.
今後,指定緊急避難場所及び指定避難所の位置や種別に関する情報を収集し,「地理院地図」で順次公開していく予定である.
今後,指定緊急避難場所及び指定避難所の位置や種別に関する情報を収集し,「地理院地図」で順次公開していく予定である.
本文[PDF:1,491KB]
Renewal of Small-Scale Geospatial Data
基本図情報部 渡部金一郎・野口真弓・吉松直貴・波多江萌・石毛正一
【要 旨】
これまで国土地理院が整備し,地理院地図等のウェブ上で提供してきた20万レベルの地図データは,20万分1地勢図(以下「地勢図」という.)をベクトル化したデータから作成されており,場所によっては道路や鉄道等の地物の大きな転位が行われていたため,25000レベル又はそれ以上の精度を有する電子国土基本図(地図情報)(以下「電子国土基本図」という.)との位置の整合性が確保されておらず,別途GPSで取得したデータ等を重ねても合わないという課題があった.
こうした状況を踏まえ,より精度が高く新しい地図情報を提供していくことを目的として,電子国土基本図を基にした20万レベルの新たなベクトルデータである国土広域情報を平成25年から平成26年にかけて整備した.また,この国土広域情報を用いて作成した電子地形図20万及び数値地図(国土基本情報20万)の提供を平成26年10月に開始した.
こうした状況を踏まえ,より精度が高く新しい地図情報を提供していくことを目的として,電子国土基本図を基にした20万レベルの新たなベクトルデータである国土広域情報を平成25年から平成26年にかけて整備した.また,この国土広域情報を用いて作成した電子地形図20万及び数値地図(国土基本情報20万)の提供を平成26年10月に開始した.
本文[PDF:1,398KB]
1:25,000 topographic map publication in the whole area of national land and its history
基本図情報部 根本正美・下山泰志・関崎賢一・石山信郎・小室勝也・木村幹夫・中野正広・塚崎靖久
【要 旨】
2万5千分1地形図の整備・刊行は,平成26年(2014年)7月1日の北方四島の色丹島及び択捉島の刊行をもって国土全域について完了した. 2万5千分1地形図は,明治41年(1908年)の測量開始以来,一世紀の長きに亘って整備が進められたが,本格的に整備が始まったのは,昭和39年(1964年)に第二次基本測量長期計画で全国整備を目標とすることが定められたことによる.この長期計画策定から約20年後の昭和58年(1983年)に,北方四島等,一部の離島を除いてひととおりの整備が完了した.残った離島については,人工衛星画像の高解像度化といった技術的発展を背景として近年整備が加速し,このたびの全国の刊行に至ったものである.本稿では,2万5千分1地形図の国土全域での整備・刊行に至るまでの経緯,原版の管理から原データの管理への移行,更新の考え方の変化など,主に昭和58年(1983年)以降の出来事にスポットを当てて報告する.
本文[PDF:2,400KB]