地理院ホーム > 公共測量 > 過去の地震における公共測量への対応について > 「令和6年能登半島地震」における公共測量への対応
2024年7月10日 更新
現在、測量成果の公表を停止している能登半島の地域のうち、富山県、石川県の一部において、地震前の測量成果を地震後の測量成果に補正するための座標補正パラメータ及び標高補正パラメータを2024年7月10日に公表しました。この2つの補正パラメータで改算した三角点の測量成果も同日に公表しました。
なお、変動量及び変動量勾配の大きな能登半島北部の地域は、今回公表する補正パラメータの提供範囲に含まれません。
詳細及び最新の情報はこちらをご確認ください。
能登半島地震による地殻変動の影響を受けているため、公共測量成果の改定が必要な地域は以下のとおりです。
【群馬県】
長野原町、嬬恋村、草津町【新潟県】
長岡市、柏崎市、小千谷市、十日町市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市(旧真野町・小木町・羽茂町・赤泊村)、南魚沼市、出雲崎町、湯沢町、津南町、刈羽村【富山県】
富山市、高岡市、魚津市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波市、小矢部市、射水市、舟橋村、上市町、立山町、入善町、朝日町【石川県】
七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、かほく市、津幡町、内灘町、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町【長野県】
長野市、上田市、須坂市、小諸市、中野市、大町市、飯山市、千曲市、東御市、安曇野市、麻績村、生坂村、筑北村、池田町、松川村、白馬村、小谷村、坂城町、小布施町、高山村、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、信濃町、小川村、飯綱町、栄村地殻変動補正パラメータには、座標補正パラメータ(水平方向成分の補正)と、標高補正パラメータ(上下方向成分の補正)の2種類があります。
補正が必要となる範囲がそれぞれ異なりますので、パラメータの公表範囲の詳細は、以下の図1でご確認ください。
なお、公共水準点の成果の改定には、標高補正パラメータは使用できませんので、「改測」が必要となります。
図1 パラメータの公表範囲(地理院地図表示)
【凡例】
赤色の範囲: No.1 R6年能登半島地震 座標補正パラメータ(2024年2月15日 新潟、群馬、長野、富山)公表範囲
青色の範囲: No.2 R6年能登半島地震 座標補正パラメータ・標高補正パラメータ(2024年7月10日 富山、石川)公表範囲
図2 座標補正パラメータ及び標高補正パラメータ公表範囲と補正量の大きさ
当該地域では地震活動に伴う大きな地殻変動の影響により、既設の基準点(基本基準点、公共基準点)が影響を受けています。今後、当該地域で公共測量等を行う場合には、地殻変動の影響を考慮した対応が必要となります。地震発生前の測量成果を使用する場合には、測量成果の管理者(計画機関)にもご相談いただき、成果の改定を行った上で使用することが必要となります。
基本基準点(三角点、水準点及び電子基準点)については、一部の基本基準点を除き、改定後の成果を7月10日までに公表しています。一方、公共基準点については、多くの基準点で成果の改定が行われていません。基準点成果等閲覧サービスでは、公共基準点成果について、地震前の成果が公共測量で使用されることがないように、地震発生地域及びその周辺地域を対象に公表を停止しています。各計画機関で成果が改定され次第、再開することとしておりますので、既存の公共測量成果を使用する場合には、補正等を行うことが必要です。公共基準点の管理者の方は、使用予定のある公共基準点成果の成果改定をご検討ください。
図3 公共測量成果改定(基準点測量における一例)のフロー
公共測量を実施する場合は、測量の正確さを確保する観点から、以下の1から5の事例のとおりに対応してください。御不明な点がございましたらお問合せ先まで御連絡ください。
成果が公表されている基本基準点(電子基準点、三角点)を既知点とした基準点測量は、準則に則った測量を実施することが可能です。改定後の成果を使用して計算等を行ってください。 地震発生地域及びその周辺地域に設置されている公共基準点については、地震による地殻変動の影響を受けている可能性があることから、既知点として使用する場合には成果の改定が必要となる可能性があります。公共基準点の成果の改定には、以下の手法のいずれかを用いることができます。
座標補正パラメータ又は標高補正パラメータを用いて、公共測量成果を改定するための作業方法を示した公共測量成果改定マニュアルに基づき、公共基準点の座標値及び標高値を補正した後、測量作業を行ってください。補正パラメータを使用した成果の改定は、最も簡単に行うことができる方法であり、他の方法と比べるとコスト的にも最も安く行うことができます。一方で、液状化や局所的な地殻変動が生じている場合には、正しく補正できない場合もあります。「公共測量成果改定マニュアル」にもありますように、必要に応じて点検測量などを行うようにしてください。
変動量及び変動量勾配の大きな能登半島北部の地域は、補正パラメータが整備されていない地域となります。後続の作業で使用予定の公共基準点については、準則の第5章復旧測量に則った改測又は改算による成果改定を行ったうえで、後続の測量作業で使用してください。
成果が公表されている基本水準点を既知点とした水準測量は、準則に則った測量を実施することが可能です。改定後の成果を使用して計算等を行ってください。公共水準点については、地震による地殻変動の影響を受けている可能性があることから、既知点として使用する場合には成果の改定が必要となる可能性があります。公共水準点の成果の改定には、国土地理院が提供する補正パラメータは使用できません。後続の作業で使用予定の公共水準点については、準則第5章復旧測量に則った改測を行ったうえで、後続の測量作業で使用してください。
珠洲地区の二等水準路線(電子基準点「穴水」~電子基準点「珠洲」)の成果公表時期は未定です。最新の情報は以下をご確認ください。
3級水準測量については準則に則り、GNSS測量機による水準測量が実施できます。電子基準点を既知点とする場合には、標高成果が水準測量により得られている点(標高区分:「水準測量による」)に限り使用することができます。各電子基準点の成果表等でご確認ください。
やむを得ず路線長の制限を超える場合などは、当該地域に限り、準則の第76条で規定されている標準の観測距離・路線長・路線図形を考慮しなくても差し支えありません。既知点には、最寄りの電子基準点(標高区分:「水準測量による」)を使用してください。
既知点とする電子基準点と新点との観測距離が長くなることから、通常の5時間以上の観測では許容範囲を超過する可能性がありますので、10時間程度の観測を行ってください。
路線長が60kmを超える場合、準則第95条第4項で規定されている点検計算を行う際の許容範囲については、「S:路線長(km単位)」について、規定されている路線長の最大値である60kmで計算するようにしてください。 例)既知点間の楕円体高の閉合差「許容範囲」15mm√60 ≒ 116mm
応用測量は、準則第617条で規定されるとおり、基準点測量、水準測量、地形測量及び写真測量等の成果を活用して行いますので、上記1~4の手法を基にして実施してください。
被災地域における公共測量の実施について、よくある質問をまとめました。
御不明な点がございましたら以下の連絡先までお問い合わせください。
国土交通省 国土地理院 企画部 測量指導課 公共測量グループ
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
電話 029-864-1111(内線3253・3254・3243)
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