アフリカグリーンベルト造成事業 | 緑の募金

アフリカグリーンベルト造成事業

事業分野「国際緑化」 地球の緑を増やす

(特)サヘルの森
〒194-0013 京都府町田市原町田 1-2-3-403 (株)エコプラン内

団体の概要

団体設立の目的は、アフリカのサヘル地域の砂漠化を防止して、そこに住む人々が安定した生活を築けるように協力することである。サヘルに生きる人々の暮らしが根づけば、砂漠が芽吹くと考えている。サヘルはサハラ砂漠の南縁地帯で、砂漠の「岸辺」を意味する。1987年に民間の援助団体「サヘルの会」として発足し、1999年に特定非営利活動法人の認証を受けた。2007年1月には20周年を迎えた。マリ共和国に日本人スタッフを派遣して、植樹を中心とした活動を行っている。

募金事業の概要

アフリカサヘル地域の植生は、半乾燥地で水が少ないことから、サバンナと呼ばれる疎林状態である。もともと樹木が少ない上に、干ばつがあったり、また、農地を確保するためや薪炭材、資材としての樹木伐採が行われており、樹林の減少・土地の荒廃が広がっている。サヘル地域のグリーンベルトは、日本の海岸砂防林のような密生状態の森林ではなく、多くの地域や村で、点状の樹林を成育させ、その集まりが全体として、緑の帯を形成することをイメージしている。サヘルの森は、サヘル地域に住む人々の生活を安定させ、砂漠化をくい止めるために、緑の回復を実施している。

苗木用ポットづくり(バマコ)
爪切りで種子に傷をつけ、
芽出しを早める
砂がちの土壌なので、
粘質土を混ぜて植樹

平成18年度は、前年度から進めている活動拠点づくりの一環として、ゴッシ地域の村にまとまった植樹を行った。ゴッシは、マリの中で数少ない常水のある湖の湖畔に位置する人口1~2万人ほどの古い町であるが、電気や水道の施設はない。建物もビルなどは全くなく、日干しレンガの家と塀がかたまって連立している。降水が少ないため、農業は湖水周辺で僅かに行われており、大部分の生業は遊牧のようである。
湖水ではナマズやテラピアなどの漁業も行われている。週に1回、市が開催され、周辺の村々からも人が集まりにぎわう。雨季は6~8月であるが、降水量は200~300mm程度である。全体に乾燥しているため、冬は気温が10℃でもかなり寒く感じ、夏の日中気温は45℃にもなるため、猛烈な暑さである。

ゴッシ北部にあるティンタハッテン村は湖水のそばにある疎林の中の小さな村で、40戸ほどの家がある。村の南西側に小さな小学校があり、学校と子供たちの協力で、その周辺に植樹を進めた。土壌が硬いため、植え穴は大人が掘ったが、植え付け、水運び、柵づくりの手伝いは十数名の子供たちが大活躍した。家畜が多いため、植栽苗木に支柱と穀物袋の食害防護柵づくりを行った。

半年後の点検では、家畜の体当たりや咬み付き、また支柱へのシロアリ食害等もあって、防護柵の傷みが見られた。1、2月の活動でこれを修復し、さらに植樹を行った。苗木配布は、セグー州・トミニアン周辺の村や学校、クリコロ州・バマコ北部のコロカニ周辺の農業地帯で実施した。これらの場所では前年にも配布しており、その一部の生育状況を確認した。
また、モプチ州・デウラ周辺では植樹のワークショップとともに苗木配布を実施した。トミニアンでは固結した土地での植樹試験(苗木規格、家畜防護柵、土壌改善等)を継続して実施している。

参加者・地域の人の声

昨年から植樹を手伝っている
イスマール先生の自主植樹

ティンタハッテン村で植樹を始めると、すぐに情報が広がり、周辺の村、ゴッシの町からも植樹・苗木配布の要望があがってきた。菜園の周りに植えたいので、たくさんの苗木が欲しいという人もいた。薪炭材となる樹木が欲しい、果樹の苗木が欲しいという声が多い。

村に配った苗木は、
2mを超えて生育した

ティンタハッテン村では、村人に催芽方式による苗木づくりを教えた。これは種子を熱湯処理したのち保湿して早く根を出させ、それをポットに植え込むものである。根が出てから植えるので、ほぼ確実に芽が出る。これには大変興味を示し、自分でもやってみて喜んでいた村人もいた。
バマコ北部の農村部では、道路と農地の間に木を植えたいという要望があった。

今後の取り組み

サヘル地域に広がる疎林は、日本の「里山」のようなものであり、資材や薪炭材、野生果樹、樹木野菜(木の芽、木の葉)、堆肥用の落ち葉確保など、さまざまな利用がなされてきた。この里山の樹林が都市経済の発展、人口の増加、自動車運搬の発展等による建築材や燃料材の需要増加で急速に失われており、さらに伐採後の耕作地拡大や家畜放牧、表土流亡などで樹林再生が困難な荒廃地が増大している。住民が自分で使う樹木を育てるためにも、植樹や苗木配布の支援が必要となっている。

植樹した樹木が育ち、その一部を伐採利用すれば、天然林の減少は小さくなり、回復する可能性も高くなる。当初の植樹地・トンブクトゥ州のティンナイシャ村はそれが実現できている。さらに多くの村々に緑の点を増やしていくことにより、サヘル地域に緑がよみがえるよう協力していきたい。

実績報告とりまとめ表

実施時期 18年
5~6月
18年
11~12月
19年
1~2月
備考
作業内容 植付本数 200本(2) 200本(4) 200本(2) 400本 樹種:アルビダ、プロソピス、ニーム、ほか
苗木配布 900本(1)(2)(3) 200本(2) 1300本
苗木育成 2350本(5) 200本(2) 2550本
参加者数 450人 100人 250人 800人
実施場所 (1)セグー州トミニアンとその周辺村、(2)トンプクトゥ州ゴッシとその周辺村、(3)クリコロ州バマコ北部農村、
(4)セグー州デウラ町ほか5ヵ村、(5)バマコ・バコディコロニ
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