新型BMW 7シリーズが日本上陸!──「駆けぬける歓び」に次ぐ新しい価値観とは?

日本にひと足はやく上陸したBMWの新型「7シリーズ」。その完全招待制イベントに今尾直樹が参加した。
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オンラインで販売中の「THE FIRST EDITION」

BMWの新型7シリーズが日本にやってきた!

さる4月20日、オンラインで世界初公開されたと思っていたら、翌日には国内でも限定150台の「THE FIRST EDITION」の先行販売受付がBMWオンライン・ストアで開始となった。

「THE 7 FORWARD」なるイベントでは、2台の「i7」が展示された。

同時に新型7シリーズの国内での正式発表・発売は今年の11月であることが明らかにされた。正式発表の半年前に注文しておけば、いち早くこの革新的なラグジュアリーセダンを手に入れることができる、というわけだ。先手必勝。なんたるスピード感。DX(デジタル・トランスフォーメーション)、恐るべし。

THE FIRST EDITIONには、直列6気筒エンジンを搭載する「740i」と、BEV(電池式電気自動車)の「i7」、ふたつのパワーユニットがある。740iにはさらにExcellenceとM Sportがあり、i7 xDrive 60 Excellenceとあわせて、それぞれ50台ずつ用意されている。価格は、740iはどちらの仕様も1720万円、i7は1900万円である。

ヘッドライトは上下2段にわかれた水平のLEDを採用。これまでのBMWとは異なる印象を与える。

「キドニーグリル」と呼ぶフロントグリルのまわりは、LED付きとなった。

こんな高級車を、実物も見ないでポチッとできるのか? できる方はできるんです。150台の半分はオンラインで予約が入っているというのだから。世のなか、スゴイ。

残りはたったの75台。その予約リストを埋めるべく、BMWのマーケティング本部はi7 THE FIRST EDITIONの量産前の試作車を2台空輸で日本に持ち込み、5月17日と18日の両日、「THE 7 FORWARD」と題した完全招待制イベントを開いた。東京での会場は大手町三井ホール。

全長は5391mmに達する。新型7シリーズは、標準ボディが廃され、ロングホイールベース仕様のみとなったのも特徴だ。

7シリーズ初のBEVであるi7には、システム総合出力400kWを発揮するツイン・モーターを搭載する。

ラグジュアリーの再定義

初日に行ってみると、1日150組限定のエクスクルーシヴな雰囲気のなか、招待客にはシャルドネ100%のシャンパーニュ、ルイナールと、新進気鋭のレストラン「nôl(ノル)」の野田達也シェフがこのイベントのためだけに用意した創作フィンガーフードが振る舞われている。

新型7シリーズのテーマである「FORWARDISM(フォワーディズム)」を体験できる場にしたい、というのがBMWの狙いで、アート、カルチャー、クルマ以上の人生の楽しみ、豊かさを表現すべく、インスタレーション・アートをイメージした空間づくりが行われている。そうして奥にはアート作品のようにi7が展示されている!

来場者には東京・日本橋馬喰町にある「nôl(ノル)」の野田達也シェフによるフィンガーフードと、ルイナールが振る舞われた。

筆者が見た感想を申しあげれば、カッコイイです。2トーン仕様なんて、ちょっと若者向けのロールス・ロイスのようです。

「THE FIRST EDITION」の目玉は、量産車世界初となる 31.3 インチの 8Kパノラマ・ディスプレイを含む「リヤ・シート・エンターテイメント・エクスペリエンス」とアンプ出力1965W、40スピーカー、32チャンネルのハイスペックを誇る「Bowers & Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム」を装備していること。映画館の IMAXを超える没入体験がクルマのなかでできそうです。

写真の展示車のボディカラーは「オキサイド・グレー」。

タイヤはブリジストン社製。ホイールは、i7専用デザインとなる。

ビー・エム・ダブリューのブランドマネジメント本部長、遠藤克之輔は次のように語る。

「日本の市場では、7もそうですけど、ラグジュアリーのブランドであることをもう1回再定義して、明確にしたい。われわれはそういうブランドであるし、7もX7もX M(来年導入する、V8マイルド・ハイブリッドの高性能SUV)も、動力性能とかだけではなくて、『フォワーディズム』ということばが象徴しているように、新しい時代をお客さんとともにつくっていくブランドである、そういった位置づけをしようと思っています。それとともに、そういったBMWに憧れをもってくださるお客さまには、1シリーズとか中核の3シリーズとかでその世界観に触れていただいて、BMWをより愛してくださるお客さまを広げていきたい、と思っています」

前後4枚のドアは自動開閉機構付き。開閉用スイッチの近くに設置されたセンサーによって障害物を検知するので、人や物、壁などへの接触を防ぐ。

左フロントタイヤ近くにある普通充電用の充電口。

右側のリアドア付近にある急速充電用の充電口。

新時代のBMWとは

フォワーディズムとは、「前進し続ける」というBMWの造語だそうで、会場入り口には黒字に金文字でこんなことばが書かれていた。

「FORWARDISM. 時代を創る、旗手であれ。

“FORWARDISM(フォワーディズム)” それは、時代を切り拓く者たちが持つ姿勢。未来のために行動し、さらなる高みを目指すこと。それが、成長であると信じること。自分だけでなく、周囲の人々も豊かにすること。

そして、いつまでも、前進し続けること。」

ヘンリー・フォードの「フォーディズム」を思わせるBMWのフォワーディズム。フォーディズムが大衆消費社会を実現したのに対して、BMWのフォワーディズムはなにを実現するのか?

新型7シリーズでは2トーンのボディカラーも選べる。

BEVのi7は、ブルーの専用パーツによって内燃機関搭載モデルとの差別化を図る。たとえばアルミホイールも、センターキャップの一部はブルーだ。

と、自分で書いて違和感を感じた。いや、そうではない。いみじくも遠藤本部長が語っていた。「新しい時代をお客さんとともにつくっていく」と。フォワーディズムとは、すなわちBMWがこれまでやってきたことを、ひとことであらわすことばである。BMWがなにかをするのを受け身でとらえるのではなくて、こういうべきなのだ。一緒に前進し続けよう!

BMWにとって「駆けぬける歓び」とともに、重要なコンセプトになりそうなフォワーディズムをさらに広げるべく、i7を主役に据えた完全招待制イベント「THE 7 FORWRDISM」は東京の後、日本全国7カ所を巡業する。完全招待制ではあるけれど、大阪、横浜、名古屋、仙台、札幌、福岡、広島各地のBMWファン、とりわけ現行7シリーズのオーナー諸氏には楽しい体験になるに違いない。

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文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)