伊勢原の高部屋神社では建築年代の異なる拝殿と本殿が独特の景観を形成しており、思わず息を飲みました。延期式神名帳に名を残すだけの歴史を持ち、御朱印にもその旨のきさいがあります。内陸にありながらなぜか海と縁のある神社です。
高部屋神社の御朱印
御朱印所
高部屋神社の御朱印は社殿向かって右側の社務所で扱っていますが、無人の場合が多いようです。その場合は約1.6km離れた伊勢原大神宮で頂くことができます。
初穂料300円
御朱印
鮮明な書体の御朱印です。
高部屋神社の由緒
高部屋神社の創建年代は不明ですが、927年にまとめられた全国の神社一覧である延喜式神名帳に記載されていることから、少なくとも千年以上の歴史があることがはっきりとしています。
現在の高部屋神社は国道246号沿いで東海大学病院の向かい側に鎮座しています。高部屋という地名は伊勢原市役所入り口交差点から日向薬師方向に向かう途中にあり、実際に平安時代までは神社もこちらにあったようです。現在も高部屋の渋田山には飛び地境内があり、高部屋神社の本宮があるといいます。
鎌倉時代にこの地の地頭であった「糟屋藤太左兵衛尉有季」により新たに社殿が造営され、1386年には現在まで残る梵鐘が奉納されました。
1647年に再建された本殿は関東大震災で倒壊しますが、昭和4年に再建されます。1865年に再建された拝殿は美しい彫刻を施された茅葺屋根の建物で、国の有形文化財に登録されています。
この辺りは古代より祈りの地だった
思わず息を飲む境内の景観
大鳥居
拝殿
1865年に再建された茅葺の堂々たる建物です。
正面の柱には龍が巻き付き、中段には浦島太郎と亀、上段には乙姫と竜宮城の彫刻が施されています。内陸部にありながら海と縁のある神社です。
社号額は山岡鉄舟の書によるものです。
本殿
1647年に創建され、関東大震災により倒壊しましたが、昭和4年に柱・彫刻・正面扉といった主要な古材の多くをそのまま使用して再建されました。そのため江戸時代初期の雰囲気をそのまま残しています。
建築年代の異なる拝殿と本殿が組み合わさることにより独特の景観を形成しており、思わず息を飲みます。
梵鐘
1386年に奉納されたもので、神奈川県指定の重要文化財です。
神楽殿
境内社
金刀比羅神社
水神社
稲荷神社
庚申
八坂神社
手前の切り株はかつてのご神木と思われます。ということは隣の石段もかなり歴史が古いのではないでしょうか。
汐汲み神事
高部屋神社には平安時代から続く神事として汐汲み神事があります。大磯まで歩いて海水と浜砂、海藻のホンダワラ(馬尾藻)を採取して現地で神事を行うというもので、これらを神社に持ち帰って海水は赤飯を蒸すのに用い、ホンダワラは拝殿と鳥居の注連縄に下げ、浜砂は社殿と道のお清めに用います。
平安時代から千年続いていたもので、明治になってから中断していましたが、昨年より復活しています。
内陸部の神社で汐汲みとは少々妙なものがありますが、古代にはちょうどこの辺りまで海であったということが関係しているかもしれません。
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