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“ワケルくんバス”でGO!環境施設を見学してごみ減量・リサイクルをみんなで考える

仙台市民に愛される、仙台市のごみ減量・リサイクル推進キャラクター、ワケルくん。そのワケルくんファミリーが車体に描かれた“ワケルくんバス”に乗って、市内の環境施設を見学する「環境施設を見る会」という取り組みがあります。

「環境施設を見る会」に申込できるのは、仙台市内の町内会や子ども会、社会学級など、ごみ減量やリサイクルに関心がある15~40名以内の団体が対象で、市内15カ所(令和6年2月時点)の環境施設から希望の施設を選択して見学することができます。

バスに乗ってどんなところに見学に行くの?見学はどんな様子なの?気になる見学会の詳細を知るために、今回は仙台市立向山小学校社会学級の皆さんによる施設見学会に密着!「環境施設を見る会」の行程の一例をご紹介しつつ、見学に参加した方々の感想をお届けします。

施設見学の移動に利用する“ワケルくんバス”

仙台市内で回収されたプラスチックごみの全量をリサイクルする「J&T環境株式会社 仙台工場」

向山小学校社会学級の皆さんが最初に訪れたのは、プラスチック資源の選別・圧縮梱包・リサイクルを行う「J&T環境株式会社 仙台工場」です。仙台市では2023年4月から、従来のプラスチック製容器包装とともに、ハンガーなどの製品プラスチックも「プラスチック資源」として一括回収を行っています。そのため社会学級の皆さんの関心が高く、改めてプラスチックごみの出し方について勉強しようという声を反映して今回の見学コースに選んだそうです。

ヘルメットを装着して、いよいよ施設の中を見学!管理部長の佐伯靖浩さんが見学コースを案内しながら、各所で説明をしてくれました。

仙台市では、2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」に基づく再商品化計画を策定し、他の政令指定都市に先駆け全国第1号の認定を受け、2023年4月から製品プラスチック一括回収、リサイクル事業を開始しました。

今回の見学先である「J&T環境株式会社 仙台工場」と連携して、市内のプラスチックごみ全量の再商品化に取り組んでいます。

重機で受入れホッパにプラスチックごみを投入

最初に見学したのは、ごみ集積所から回収されたプラスチックごみの受入れヤード。ごみ袋は重機で受入れホッパに投入され、機械で袋を破いた後に供給コンベヤに乗って次の工程へ送り出されます。

ベルトコンベヤに流れるプラスチックごみ

ベルトコンベヤに乗せられたプラスチックごみは機械選別で不適物を粗選別した後、係員が手作業で不適物を取り除きます。膨大な量の中から不適物を見つけて除去する作業の様子を見て、見学した方々は「係員の方々の手間が少しでも省けるよう、正しい排出を心がけなければ」と思いを新たにしていました。

プラスチックごみの袋に入っていた不適物について説明

実際にごみ袋に入れられていた不適物の一例を見ることができました。ノートパソコンや小型家電、そして中身が半分くらい入ったマヨネーズの容器…。「特に最近は、リチウムイオン電池が入ったままの小型家電(スマートフォンや加熱式たばこ、ゲーム機など)の混入が問題視されている」と佐伯さん。リチウムイオン電池は折り曲げられるとすぐに発火する性質があり、リサイクル工程で火災の原因となるので大変危険です。佐伯さんは、「リチウムイオン電池は、回収協力店への持ち込みのほか、週1回の「缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類」の日に排出してほしい」と見学者の皆さんに呼びかけていました。小型家電は電池やメモリーカードなどを抜き、市の施設やスーパーなどに設置された小型家電回収ボックスへの投入などでリサイクルすることができます。

次は隣の建物に移動して、べール化されたプラスチックごみを原料にしたパレットの製造工程を見学しました。この施設では、24時間稼働で1日1,000枚のパレットを製造しています。またパレットのほかにもプランターを製造して市内11校の小学校において環境学習や緑化活動などに活用していただいたり、使用済みの指定ごみ袋だけを取り出し、新たに地域清掃ごみ袋を作る水平リサイクルも行ったりしています。

250~300℃で溶かした原料を冷やし固めて完成するパレット。出来たてのパレットは表面温度が50℃ほどもあります。

回収されたプラスチックごみが再び製品になるまでの一連の工程を見学した社会学級の皆さんは、説明を聞きリサイクルの工程を見て、リサイクルされた製品に触れて、五感を通してプラスチックごみのリサイクルについて学びました。

回収された古紙を分別、梱包してリサイクルを行う「株式会社 ステップスナイン」

「J&T環境株式会社 仙台工場」を後にした社会学級の皆さんは、昼食をはさんで次の施設へ。古紙リサイクルのための分別、圧縮梱包、製紙メーカーへの販売をはじめ、スーパーなどに設置するリサイクルステーションと会員向けアプリの運営・管理を担う「株式会社 ステップスナイン」を訪れました。ここでは、家庭や企業から回収された紙類が製紙メーカーに原料として渡るまでの過程を見学しました。

社屋入口に社会学級の皆さんをあたたかく迎えるウェルカムボードを設置

構内に停車したバスから降りた皆さんの足元が、一部金属の板になっていました。見学の冒頭、職員の庄司光浩さんが、「これは“台貫(だいかん)”です」と説明してくれました。台貫とは、収集車やその積載物の重量を量る大きなはかりのことです。積載物を積んでいた時の総重量から空車時の重量を差し引くことで、積み荷の正確な重量を量ることができます。

足元にある台貫について説明を聞く社会学級の皆さん

「うちから出した紙類もここにあるかもしれないわね」と興味深そうに見学する皆さん

施設の中に入ると、回収された古紙が新聞紙・チラシ、段ボール、雑誌・雑がみに分別され、それぞれに保管されていました。分別された種類ごとに機械で圧縮して「ベール」を作るまでがステップスナインの業務内容です。ここでは新聞・チラシは1日約70トン処理され、毎日岩沼市にある製紙工場などに出庫しています。また最近は、宅配便の取扱個数が増えていることから段ボールの回収量が増えてきているそうです。

手前の茶色い部分が段ボール、奥の白っぽい部分が雑誌・雑がみに分別され圧縮されたベールです。

構内を見学した後は、庄司さんからステップスナインの事業内容をはじめ、ごみを減らすための工夫などの説明のほか、多種多様な雑がみについて、リサイクルが可能かを当てるクイズも出題されました。香りのついた紙や油などで汚れた紙はリサイクルできるかどうか?そんな出題に対して、社会学級の皆さんの正答率が高いこと!日頃から意識を高く持ってリサイクルに尽力されていることがうかがえました。説明の最後に「古紙1トンをリサイクルすることで、立木20本分が守られます」と話してくださった庄司さん。古紙をリサイクルすることで、ごみの減量だけでなく環境保護につながることも改めて認識することができました。

リサイクル可能な雑がみはどれか、クイズ形式で学びました

環境施設を見学するリアルな体験が、ごみ減量・リサイクルを改めて考え行動するきっかけになる

2カ所の見学を経て、「環境施設を見る会」の行程を無事終了した社会学級の皆さん。見学後には、どのような感想を持ったのでしょうか。

社会学級委員長の笠原明美さんは、「環境施設の見学を個人で行おうとするとちょっと難しく感じますけど、「環境施設を見る会」を活用することで、みんなでお出かけして学びの時間を持つという希望を叶えることができました。普段からごみを減らす努力はしているけれど、実際に現場で職員の方からお話を聞くと、日頃の心がけでごみの量は全然変わってくるんだな、という思いが強くなりました」と話してくれました。

また、今回の施設見学会の世話役を担当した髙橋百合子さんは、「はじめて見学会に参加しました。実際の施設で処理されている工程や作業している方々の様子を拝見すると、胸に迫るものがありました。こういう経験があると、日々の生活を改善するという気持ちが強くなると感じました」と話してくれました。

向山小学校社会学級 委員長の笠原明美さん(右)と、施設見学会担当の髙橋百合子さん(左)

市民1人ひとりの心がけと行動が、ごみの減量やリサイクル促進につながっている…社会学級の皆さんは、「環境施設を見る会」での体験を通してそうした実感を持つことができたようです。みんなでお出かけを楽しみながら有益な学びを得る、大人にこそ体験してほしい“社会科見学”!皆さんが所属する団体でも「環境施設を見る会」を活用してみませんか?

「環境施設を見る会」に参加した向山小学校社会学級の皆さん

取材協力:J&T環境株式会社 仙台工場、株式会社ステップスナイン

各事業者の過去記事はこちら

J&T環境株式会社 仙台工場

そのプラスチック製容器包装、ごみじゃなくて資源です~リサイクル工場から伝えたいこと

ステップスナイン

紙類回収の現場から③古紙リサイクルが楽しくなる!遊びの要素を盛り込んだアプリが登場

「環境施設を見る会」の詳細はこちら

バスに乗って環境施設見学