コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 CSV推進部 部長 丸山竜一郎さん | ワケルネット - 仙台市ごみ減量・リサイクル情報総合サイト

プラスチック

コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
CSV推進部 部長 丸山竜一郎さん

2021.02.10

わたしたちの生活の中で身近にあるPETボトル。先日、なにげなくテレビを見ていたら、環境に配慮した「ラベルレスボトルが注目を集めています」というトピックが流れてきました。どういうことかと思って見ていると、画面に現れたのはコカ・コーラ社が発売している「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」。

オンラインストアやスーパーなどで取り扱い、ケースの中の製品はラベルが貼られていない状態で販売されているというではありませんか。

これまで、「い・ろ・は・す 天然水」のPETボトルは、ぎゅっと絞るだけで簡単につぶすことができるので、まとめる際に便利だなと思っていましたが、さらにラベルレスボトルの製品が発売されていたとは!新しい価値がプラスされたことを知り、さっそく、販売元に詳しいお話を聞いてみました。

答えてくださったのは、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社CSV推進部 部長 丸山竜一郎さんです。コロナ禍の状況を踏まえて今回はweb会議ツールを使い、リモートでインタビューを行いました。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 CSV推進部 部長
丸山竜一郎さん

—「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」のラベルレスボトルとは、どのようなものなのですか。

丸山さん 
「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」は、ラベルをなくすことでラベルをはがす手間がなくなり、空容器との分別も楽にすることができる製品で、2020年4月から発売しています。容器は100%リサイクルPET素材を使っていて、環境に配慮した製品です。通常、ラベルに記載してある原材料名などの法定表示を外装段ボールに記載することで、ラベルレスボトルでの販売が可能になるということで、本製品はケース販売のみとなっております。消費者の皆さまからは、「ラベルがないデザインがとてもおしゃれ」という高評価もいただきまして、思い切って新しいことをやってみると新しい発見があるものだと実感しています。

「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレスボトル」

—そもそも、ラベルレスボトルをつくるに至った経緯とは、どのようなものなのですか。

丸山さん
コカ・コーラシステムでは、環境への負荷を軽減するために掲げたグローバル目標「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」の実現を目指し、容器由来の廃棄物の問題解決に向けた「容器の2030年ビジョン」を策定しています。

2019年7月には、2030年までに使用済みPETボトルを回収・リサイクル処理したうえで、PETボトルとして再生し、飲料の容器として用いる「ボトルtoボトル」の割合を90%にまで高め、全ての自社製品のPETボトルの原料を100%サスティナブル素材に切り替えることなどを柱とした新たな環境目標を公表し、プラスチック資源の循環利用の促進に取り組んでいます。

「2030年に向けたロードマップ」

—なるほど。ラベルレスで環境にやさしく、さらに100%リサイクルPET素材で環境に配慮されたのですね。「容器の2030年ビジョン」では、この他にどのようなチャレンジを行っているのですか。

丸山さん
「容器の2030年ビジョン」は、3本の柱からできています。1つ目が「設計」、2つ目が「回収」、3つ目が「パートナー」です。「設計」に関して、少し具体的にお話ししますと、先程お伝えしたように2030年までに「ボトルtoボトル」の割合を90%に高め、残りの10%に関しても、例えば植物由来のサスティナブルな素材を使用して、化石燃料を使わないPETボトルを目指しております。

「容器の2030年ビジョン」 3つの柱

また、PETボトルの軽量化も重要な取り組みで、ぎゅっと絞ってつぶして簡単にリサイクルできるといった容器の設計も、軽量化の技術ができてこその「設計」であり、2030年までに、製品1本あたりのPET樹脂の使用量を35%削減(2004年比)することを目標として掲げています。

—「回収」と「パートナー」についてはいかがですか。

丸山さん
「回収」に関しては、2030年までにわたしたちが販売した製品と同等量のPETボトルを回収することを目標としています。また、「パートナー」は、地域の方々をパートナーと位置づけ、連携によって、より着実な容器回収・リサイクルの仕組みや、それを維持するためのリサイクルスキームを構築していきます。

—「パートナー」の中には、消費者も入っているということですか。

丸山さん 
もちろんです。現在、国内におけるPETボトルの回収量は98%であり、世界の国々と比べても、すでに高い水準にあります。日本はリサイクルの環境が整っていて、想像以上にリサイクルに対する意識が高く、消費者の皆さまをはじめ、政府や自治体、飲料業界などとの幅広い連携によって、廃棄物ゼロ社会を目指していきたいと考えております。

—このような目標を掲げたことで、社員の皆さんに変化などはありましたか。

丸山さん 
容器の回収やリサイクル率をさらに向上させるために、各地にある拠点や工場では、近隣の清掃活動を積極的に行っており、多くの社員が参加しています。残念ながら、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、活動は限定的でしたが、2019年には、全国で総勢750名が一斉に海岸の清掃活動を行いました。この中にはトップマネジメントも含まれており、わたしもこの清掃活動に参加して、改めて行動することの大切さを実感しました。きれいになった海岸を眺めると、この風景を維持するにはどうすれば良いのかを考えますし、集めた様々なごみを見て、PETボトルの回収の必要性を実感します。それと同時に、PETボトル以外のプラスチックごみ問題というものも考えていかなければいけないと思いました。

このような活動を通して、環境問題に対する社員の意識も変わってきたと感じております。

—考えるだけでなく、実際に体験することも大切だということですね。

丸山さん
そうですね。ただ単に、会社が目標を掲げるだけではなくて、それを達成するために、実際に社員も清掃活動などに関わることで意識が高まり、目標達成に向けてますますがんばることができる。そんな好循環が生まれるのではないかと思います。

—わたしたち消費者にもできることがたくさんありそうですね。

丸山さん
廃棄物を出さない「ボトルtoボトル」を進めていくためには、消費者の方々の協力も必要です。ぜひ、飲み終わった空容器は、自動販売機の側などに設置しているリサイクルボックスに投入いただくこと、そして空容器以外の異物を投入しないよう協力をお願いしたいと思います。一人ひとりの心掛けや行動によって、リサイクルの活動が広まっていくといいですね。

—これからは、「また会おうね」という気持ちで、リサイクルボックスに戻すようにします。

丸山さん
PETボトルは、捨ててしまえばごみになってしまいますが、きちんと回収することで、また使える資源なります。様々な資源の中でも、リサイクルして使える資源は、そんなに多くあるわけではないので、消費者のみなさんには、PETボトルは『ごみ』ではなく、また使える素晴らしい『資源』であることを、これからも伝えていきたいと思っています。

—リサイクルにつながる行動を続けるコツなどがあれば教えてください。

丸山さん
「楽しむ」ということではないでしょうか。サスティナブルな活動を行うことは、世の中の役に立つ。そう思うだけで、前向きに取り組めそうですよね。

本日は、取り組みの一例をご紹介させていただきましたが、弊社ホームページまたは、CSVレポートにて詳しい情報や他の取り組みを紹介しておりますので、是非ご覧になっていただきたいと思います。

—使い終わったPETボトルには、「また会おうね」とあいさつして、リサイクルボックスに入れるようにします。それだけで楽しさがプラスされそうですし、プラスチックごみの削減を日常の中で意識する機会も増えそうです。ありがとうございました。

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