株式会社ファミリーマート 管理本部 サステナビリティ推進部 環境推進グループ 原田 公雄さん | ワケルネット - 仙台市ごみ減量・リサイクル情報総合サイト

プラスチック

株式会社ファミリーマート 管理本部 サステナビリティ推進部 環境推進グループ 原田 公雄さん

2022.11.1

「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のコーポレートメッセージのもと、社会の多くの人とつながる事業活動を行う『ファミリーマート』。全国に約16,600店舗を展開するチェーンとして、さまざまな商品・サービスを提供することはもちろん、サステナブルなコンビニエンスストアを目指して、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。

 とりわけ社会へのインパクトが大きい3つの環境テーマ「温室効果ガス削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」については、環境の中長期目標「ファミマecoビジョン2050」を2020年に策定しました。2030年と2050年に達成すべき数値目標を定め、定期的にモニタリングしながら取り組みを進めています。

 今回は、『ファミリーマート』管理本部でサステナビリティ推進に取り組む原田 公雄さんに取材を行い、「プラスチック対策」を中心にお話をお伺いしました。

株式会社ファミリーマート 管理本部 サステナビリティ推進部 環境推進グループ 原田 公雄さん

―――「ファミマecoビジョン2050」は、どのような背景で策定されましたか?

原田さん
「温室効果ガスが世界中で課題となっている中で、私たちの事業活動で何が環境に負荷をかけているか、改めて確認しました。課題を整理して3つの環境テーマに絞り、2030年、2050年に達成すべき具体的な数値目標を掲げました。」

「ファミマecoビジョン2050」の環境テーマと数値目標

原田さん
「また、この目標を含むサプライチェーン全体の温室効果ガス削減目標を別途設定しており、その目標は、パリ協定が目指す「2℃目標」に対して、科学的根拠に基づいて「2℃を十分に下回る目標」とみなされ、国際的な認定制度「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」によって認定されています。」

―――「ファミマecoビジョン2050」の策定や「SBTイニシアチブ」の認定によって、実際の取り組みも加速しているのではないでしょうか。特に「プラスチック対策」に関して、どのような取り組みをされていますか?

原田さん
「「ファミマecoビジョン2050」で掲げているのは、『ファミリーマート』のオリジナル商品に環境配慮型容器包装を使用する割合を増やす目標です。それ以外に、レジ袋の有料化やプラスチック製フォークの原則配布中止といった用度品に関する取り組み、海洋プラスチックごみをリサイクルする取り組み、さらにPETボトルリサイクルに関する実証実験への参画もスタートしました。」

―――では、まずオリジナル商品の環境配慮型容器包装に関する取り組みについて教えてください。

原田さん
「現在はさまざまなオリジナル商品に使用していますが、中でもサラダ容器に関しては、2007年から植物由来のバイオプラスチック(PLA)を使用していて、2020年にはサラダの全商品がPLAを含む環境配慮型容器に切り替わりました。また一部のパスタ容器やおむすびの包材フィルムに、再生可能資源由来のバイオPP(ポリプロピレン)という素材を使用しています。バイオPPを容器包装に使用しているのは、今現在で『ファミリーマート』だけとなっています。」

見た目では変化が分かりづらいですが、『ファミリーマート』のサラダやパスタの容器などが、
環境配慮型容器包装に切り替わっています。

―――他にも調理パンの包材やプライベートブランドの水のPETボトルなど、さまざまな商品が環境配慮型容器包装に切り替わっていますね。「ファミマecoビジョン2050」では、2030年にオリジナル商品における環境配慮型容器包装の使用割合を60%にするという目標を掲げていますが、2022年現在での進捗はいかがですか?

原田さん
「非常に順調に推移しています。技術革新も伴いながら着実に目標達成に向けて進めて参ります。」

―――次に、用度品に関する取り組みについて教えてください。ストローやスプーン、マドラーなどさまざまなプラスチック使用製品で軽量化や代替素材を使用していますが、特に最近は、フォークの原則配布中止が話題になりましたね。

プラスチックの使用を削減するために、スプーンやストロー、マドラーといった用度品に木やバイオプラスチック、
生分解性プラスチックなどを使用しています。

原田さん
「昨年からスプーンの持ち手部分に穴を開けて軽量化したり、マドラーを木製に替えたりとさまざまな取り組みをしてきましたが、その延長上の対応だけでなくプラスチック使用削減に向けて何かできないか、と検討した時に、フォークがなくても箸を使用することで代替できるのではと考え、実証実験を行うことにしました。」

―――どんな実験をしたのですか?

原田さん
「東京都内の店舗で1ヶ月間、フォークを希望するお客様に竹箸をお渡ししました。その結果大きな問題はなく、お客様からも『環境に良いなら賛同する』と好意的なご意見もいただけました。そこで全国展開に向けて準備を進めて、10月4日から取り組みを開始しました。」

―――意識の高いお客様が増えているのですね。

原田さん
「そう感じます。また、これは私見も含めますが、SDGsやカーボンニュートラルといった高い目標を達成するためには、今までと違うことを実践する必要があると思っています。ちょっと思い切った部分はありますが、この取り組みが他の企業様に広がってそれが当たり前の世の中になれば、その分確実に使い捨てプラスチックは削減できると考えています。」

―――ここまでお話いただいた取り組みはプラスチックのリデュースを推進するものですが、海洋プラスチックごみに関する取り組みは、リサイクルの観点での「プラスチック対策」になりますね。

原田さん
「長崎県対馬市では、漂着した海洋プラスチックごみが社会的課題になっており、そこで回収した海洋プラスチックごみを原材料の一部に使用して、『ファミリーマート』店内で使用する買い物かごにリサイクルしました。現在は全国28店舗でこの買い物かごを使用しています。」

海洋プラスチックごみを使用した買い物かごは、長崎県や東京都などの店舗で導入しています。

原田さん
「それとリサイクルの観点では、プラスチックのさらなる資源循環を目指す『BLUE Plastics(ブループラスチックス)プロジェクト』の実証実験に9月26日から参画しています。これはPETボトルのリサイクルの過程を見える化するプロジェクトです。飲み終わったPETボトルを『ファミリーマート』実験対象店舗の回収ボックスに入れていただくことで、そのPETボトルがどこに輸送され、どのような再生工程にあるかをアプリで追跡できます。」

『BLUE Plasticsプロジェクト』アプリで、自分が回収ボックスに投入したPETボトルの数や現在のPETボトルのゆくえ、
CO2削減量などが確認できます。

原田さん
「このプロジェクトはブロックチェーン技術を採用しているので、データを改ざんしにくいという特徴があり、自分が持っていたPETボトルが今・どこで・どのようにリサイクルされるのかが具体的に確認できます。また普段は裏方の収集・回収・リサイクルなどの企業名が公開されるので、そうした事業者様の認知度アップ効果も期待されています。」

――さまざまなメリットが感じられる取り組みですね。一言で「プラスチック対策」といっても、御社では多方面で取り組みを続けていることが分かりました。

原田さん
「『ファミリーマート』はお客様の身近なところで事業活動をしています。1日約1,500万人の方に全国の店舗をご利用いただいており、お客様と一緒に環境に関する課題解決に取り組んでいければ、必ず大きなインパクトにつながっていくと強く思っています。これからもお客様のご理解とご協力をいただいて、より良い未来を作り上げていきたいです。」