株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介さん、地域連携部 地域連携グループ 山本 澪さん | ワケルネット - 仙台市ごみ減量・リサイクル情報総合サイト

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株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介さん、地域連携部 地域連携グループ 山本 澪さん

2022.08.31

2022年4月、楽天野球団は、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「楽天生命パーク宮城」を“日本一のサステナブル・スタジアム”にすることを目指す、と宣言しました。

楽天野球団はもともと、創設後の初シーズンである2005年から“エコスタジアム”の推進を掲げ、ごみの分別収集やリサイクル活動を始めとして環境に配慮したスタジアム運営を続けてきました。今回の宣言は、これまでの着実な取り組みをさらに拡充させたかたちで、今後は「環境」はもちろん「社会」と「地域」の3つの要素を含めた持続可能なスタジアムづくりを目指していくこととなります。

そこで楽天野球団の山縣大介さん、山本澪さんにインタビューを行い、今回の宣言に至った背景や、特に「環境」の分野で実践している取り組み、そこに根ざしている思いについておうかがいました。

株式会社楽天野球団 コーポレート本部 スタジアム部 部長 山縣 大介さん

―今年、楽天野球団は“日本一のサステナブル・スタジアム”を目指すと宣言しましたが、その背景について教えてください。

山縣さん
「私たち楽天野球団も一員である楽天グループが、今年創業25周年を迎えるにあたり、グループ全体でグリーン社会の実現に向けたサステナブルな取り組みを加速させていく目標を掲げました。そこで楽天野球団としては、2004年の創設から“地域密着型野球団”として続けてきた地域の取り組み、2005年から続けてきたエコスタジアム関連の取り組みを継続・拡充させつつ、私たちらしく施策を実践していきたいとしてかたちにしたのが、今回の宣言になります。」

―今回の宣言では、「環境」「社会」「地域」を大きな柱としていますね。

山縣さん
「一般的に企業運営に重要な要素としてESG(環境・社会・ガバナンス)が掲げられますが、東北に密着してきた私たちが力を入れるのは、ESC(環境・社会・コミュニティ(地域))。この3つのテーマを軸に、野球を通じて社会課題解決に向けて取り組んでいきます。なかでも「環境」の分野は、さらに「再生可能エネルギー等」「廃棄物発生抑制・リサイクル推進」「CO2排出量削減」のテーマに細分化して取り組みを進めています。」

ーそうした取り組みを楽しく分かりやすくお伝えするキックオフイベント『サステナブルデー』が7月10日に開催されました。

『サステナブルデー』当日、楽天イーグルスの選手が2022シーズンサマーユニフォーム
「EAGLES EARTH GREENユニフォーム」をはじめて着用して試合に臨みました

山本さん
「このイベントを企画した担当者としては、まずお子さまに楽しんでいただきたいという意向があったので、メインコンテンツに「人力発電ゆうえんち」を設けました。自転車を漕いで発電させて動かすアトラクションや、クイズ大会、工作体験を通して、電力を生み出す仕組みや大変さを楽しく学べるコーナーです。」

山本さん
「実際に簡単な取り組みではないですし時間はかかることですが、お客様はもちろんのこと、われわれ従業員、資源を供給している素材製造業者の方たち含め、みんなで取り組めば達成できると信じています。」

「人力発電ゆうえんち」では保護者が大奮闘!自転車を漕いで発電し、お子さんを乗せた新幹線を動かしました

山本さん
「スタジアムにはイベントのシンボルとして、回収されたペットボトル約950本を積み上げた「ペットボトルツリー」を飾り、選手とパートナー企業名を掲げた「フォトスポット」も設置しました。またスタジアムでどんなサステナブルな取り組みをしているのかが学べる「サステナブルツアー」、不要になったユニフォームを持ち込んでいただいてリサイクルする「ユニフォームリサイクルプロジェクト」、試合前にスタジアムのスタンドの清掃体験をする「クリーンアップ体験会」なども実施しました。」

正面広場に高さ約4mのペットボトルツリーが登場!夕方になると10色ほどの光に照らされました

歴代のユニフォームがなつかしい!リサイクルのために多くの方がユニフォームを持ち込みました

―盛りだくさんの内容ですね!当日の様子はいかがでしたか?

山本さん
「人力発電ゆうえんちがメインコンテンツだったので、お子さまやご家族を中心に多くの方にご参加いただき楽しんでいただきました。またイベントのパートナー企業さまからもご好評の声をいただけました。」

―どのような評価でしたか?

山本さん
「スタジアムに来場する方はサステナブルに興味がある方もない方もさまざまな方がいらっしゃいますが、そうした多くの方に向けてダイレクトにサステナブルな取り組みを伝えることができて良かった、というお声をいただきました。そうした、不特定多数の方にダイレクトに伝える役割を担えるところがスタジアムの強みでもありますね。一方で課題もあります。イベント自体はお客さまに楽しんでいただいたものの、イベントの趣旨であるサステナブルの啓発は十分だったのか、という点です。サステナブルに関するイベントは今回が初めてだったので、イベントに関わるメンバーが課題を共有してブラッシュアップさせて、これからも定期的にイベントを実施していきたいと思っています。」

―今後の展開を期待しています!楽天野球団さんのサステナブルな取り組みはこうしたイベントだけでなく、さまざまな施策を実践していますね。特に「環境」の分野では、再生可能エネルギーからごみ袋の切り替えまで、ありとあらゆる取り組みを検討・実践していらっしゃる印象です。

楽天野球団の事業活動で使用する電力は、2022年4月から100%再生可能エネルギー由来の電力に切り替わりました

山縣さん
「そうですね、今シーズンからスタジアム内の飲食売店で提供するビールカップ、ストロー、スプーン・フォークを環境対応素材配合のものに順次切り替えています。楽天イーグルスオリジナル「イーグルスウォーター」に使用するペットボトルをリサイクルした再生ボトルにしたり、スタジアム内で廃棄する事業ゴミ袋をプラスチック使用量が抑えられる石灰石配合のものに切り替えたりしました。」

ビールカップはリサイクルペット50%使用、ストローはバイオマス25%配合、
スプーン・フォークはコーヒーバイオマス10%配合のものに切り替えています
※一部の商品を除きます

―こうした取り組みは1つ1つ御社で企画・検討して実施しているのですか?

山縣さん
「私たちが能動的に変えていくパターンもありますが、私たちが宣言を出したことでメーカーさんやベンダーさん側からのご提案も増えました。このことからも、私たちが日本一のサステナブル・スタジアムを目指すんだ!と“旗を立てる”ことは大事なことだと思いました。」

―宣言をしたことで、目的に向かうためのより良いコミュニケーションが促進されていますね。

山縣さん
「私たち自身も取り組みを実践するなかでの気づきが多かったし、社内的な会話の中にも“サステナブル”という要素が含まれることも増えました。そういった点でも宣言を出してよかったと思います。」

山本さん
「創設から続けてきた地道な取り組みが、今回の宣言でさらに加速しました。今後もこの勢いでしっかり力を入れて取り組んでいきたいですね」。

ーでは、楽天野球団さんが目指す“日本一のサステナブル・スタジアム”の理想形とは?

山縣さん
「将来的にはカーボンニュートラルにいかに近づけるか、ということになると思います。現在、スタジアム内のCO2排出量削減に向けた実態調査や削減プランを策定している最中ですが、まだまだ課題が多く模索している部分も多いです。これまでの地道な取り組みのように、着実に課題解決に向けて取り組みを継続してきたいです。」

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