ティラノサウルス(Tレックス)と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
大きな頭、鋭い歯、存在する意味があるのかすらわからないほど小さな手、動くものしか認識できない目などなど?
博物館に展示されているティラノサウルスの化石を見ても受ける印象は同じだし、ティラノサウルスが登場する映画を見ても描かれ方に大きな差はありません。
でも、IFLSによると、それらの認識は間違っている可能性があるみたいなんです。
視力抜群。紫外線すら見えていたっぽい
映画『ジュラシック・パーク』(1993年)では、ティラノサウルスの視力は「悪い」と言われていました。動くものしか視認できない前提のもと、じっとしながらTレックスの攻撃をやり過ごすシーンがありましたよね。
でも、科学者は「Tレックスの視力は抜群だった」と考えているみたい。なんなら人間の13倍は優れた視力を持っていただろう、とまで言われているようです。
また、色覚も優れていて私たちよりもカラフルな世界を見ていた可能性があります。紫外線の光すら見えていたかもしれないのだとか。
Tレックスはニワトリの祖先ではない
恐竜の子孫は鳥類である、なんて言われていましたが、実は子孫どころの話ではなく、鳥は恐竜なんだそうです。
何を言っているのかわからないかもしれませんが、Tレックスが生きていた白亜紀末期にはすでにカモとニワトリの特徴を持つ鳥がいたことがわかっています。約25年ほど前に、オランダとベルギーの国境近くで地上性の特徴を持つ完璧な形の頭蓋骨の化石が見つかっているのです。
この化石は、「ワンダーチキン」というなんともかわいらしい愛称で呼ばれていて、ニワトリやカモ、ダチョウなどの祖先にあたる鳥たちが大量絶滅期を生き残ることができた証拠だとされているんです。
Tレックスの手は役に立っていた
Tレックスの手は体の割には小さいし、形状的にも回せないので、あまり役立っていなかったのではないか、と思われています。
しかし、獲物を捕まえたり切り裂いたりして使っていたらしいと考えられています。それに、 Tレックス同士のコミュニケーションにも使われていた可能性もあるようです。
Tレックスが生きていたのは白亜紀。ジュラ紀じゃないよ
『ジュラシック・パーク』で強烈な印象を残したTレックス。主役級の活躍をしているので、自動的にTレックス=ジュラ紀の恐竜だと思ってしまうかもしれません。しかし、Tレックスは中生代白亜紀末期の恐竜です。
ジュラ紀に生きていたのは、ステゴサウルスやブラキオサウルス、始祖鳥、アパトサウルスなど。代表的な肉食恐竜はアロサウルスです。
なお、トリケラトプスは白亜紀に生息していたので、Tレックスと一緒の時代です。
実はモフモフの部分もあるっぽい
Tレックスに毛が生えていたかもしれない、というのは古生物学者の中では広く議論されていることです。
そもそも多くの恐竜に毛が生えていた証拠があるし、Tレックスの親戚であるユーティラヌスにも毛が生えていました。つまり、Tレックスに毛が生えていてもおかしくはない、ということ。
と言っても、全身モフモフだったかどうかまではわかりません。Tレックスの巨体を毛が覆っていたら体が熱くなり過ぎてしまうかもしれないから。それに鱗状の皮膚も見つかっているので、毛が生えている部分と生えていない部分があった可能性があるみたいです。
それと、もうひとつ議論されているのが、色。昨今の研究で、恐竜の肌の色は赤を含む様々な色だったと判明しています。Tレックスの色はわかっていませんが、映画のようにグレーやグリーンではなく、もっとカラフルだったのかもしれませんよ。
Source: IFLS