1.ジビエ安全調理の絶対要件である加熱加減のわかり易さですが、短冊にした肉から出るものも含め、高温域での水分の蒸発が調理過程のほとんどですので、必然的に中心部にまで完全に火が通る上、誰にでも容易にその加熱完了のタイミングが掴み易く、周知するうえでも極めて安心できる調理法となっています。
2.ほうじ茶のタンニンが鹿肉特有の鉄分と結合し、鉄成分の食味としての「強い癖」を「穏やかな風味」に変えるとともに、煮詰めるに従い徐々にタンニン濃度が増すことで、味を中心部まで運びながら肉繊維をほぐします。そのために、肉に完全に火が通るにもかかわらず、パサつかず、しっとりとした食感を実現しています。
3.濃厚ほうじ茶液の苦渋みや香りは、成分結合等の結果、完成品では目立たなくなる完全な隠し味ですが、これにより実現した優しく穏やかな味わいはキレも良く、鹿肉のアイデンティティーを生かしながらも、老若男女問わず、毎日食べても飽きない料理全体に貢献しています。ご飯のお伴にはもちろん、和洋の酒の肴にも良く合います。
4.佃煮の特性上、濃い味付けになっていますが玉ねぎ、わけぎ、にんにくの硫化アリルを効果的に活用し(調理最初に刻み置き、油分が濃厚になってから順次投入することで棄損が少ない)や酢も加わることで、動脈硬化予防など健康にも配慮した栄養構成である上、水分を飛ばす調理法は、水分活性の関係から保存性が高く、作り置きの主菜(要冷蔵で一週間ほど)としては勿論、お弁当のおかずにも最適です。
材料名 | 分量 |
---|---|
鹿肉(どの部位でも可) | 300g |
タマネギ | 50g |
わけぎ | 40g |
みりん | 35cc |
おろししょうが | 30g |
黒砂糖 | 20g |
醤油 | 30cc |
赤味噌 | 20g |
おろしにんにく | 10g |
塩 | 2g |
酢 | 4cc |
ほうじ茶 | 10g |
熱湯 | 70cc |
コリアンダー | 適量 |
唐辛子 | 適量 |
サラダ油 | 鍋にいきわたる適量 |
ごま油 | 小さじ1杯 |
※「熱源」はガスでもIHでも問題ありません。「設定温度と加熱時間の関係」については水分の蒸発(100℃近辺)調理の為、鍋のサイズ、材質、混ぜ方などで相対的になります。したがって、水分(汁気)の多い内は「中火から強火」で、水分が少なくなるにつれ焦げ付きを防ぐために「中火以下」に調整しながら混ぜていきます。「加熱完了の目安」については(⑦後段参照)汁気が具材全体に絡まり、なべ底にたまらなくなったタイミングですので、視覚的にも体感的にも確認が容易です。尚、実際にはそれ以前の、水分が半分になったところで(⑦前段参照)、すでに肉中心まで完全に火が入っています