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厚生相、財務相へ要望  医療機関・訪問看護への緊急財政支援

日本看護協会は、10 月 28 日に福岡資麿厚労大臣宛に、11 月 6 日に加藤勝信財務大臣宛に「医療機関、訪問看護事業所等への緊急財政支援に関する要望書」を提出した。
全産業の平均賃上げ率が過去 30 年で最大の 5%台になる中、 全産業と比べて人件費率が高い医療業界では、経営面への影響が 非常に大きくなることが懸念されている。令和 6 年度診療報 酬改定でベースアップ評価料が新設されたものの2.3%分にすぎず、また、訪問看護事業所においても、訪問看護ベースアップ評価料が新設されたものの、賃上げに取り組みたく とも原資が追い付かない状況である。
このような状況を踏まえ、良質な医療・看護を継続的 に提供するために、2点を要望した。①良質な医療・看護を継続的に提供するため医療機関、訪問看護事業所等の支援とし て、補助金支給等の財政措置を講じられたい②特に、看護師をはじめとする医療従事者の処遇改善のための補助金支給を実現されたい。
(日本看護協会作成ニュースリリースを要約 11月13日)

日本看護協会の高橋弘枝会長から福岡厚労相宛の要望書を受け取った森光敬子医政局長は「令和 6 年度診療報酬改定ではベースアップ評価料を新設したが、物価高もあり、他産業と比べても追いついておらず、人材の流出を憂慮している。さらなる経済対策が必要だと考えている」と述べたという。一方、財務省の永安俊介主査は「訪問看護や在宅 領域は今後重要になる。この領域での人材確保は重要」という。
福岡厚労相は11月20日、政府の総合経済対策に介護職の賃上げを盛り込む意向を表明したが、財務省の意向は永安氏の発言に現われたように厚労省とは温度差がある。
11月13日に開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、財務省は、2024年度の診療報酬改定および介護報酬改定を取り上げて「24年度2.5%、25年度2.0%のベースアップを実現するために必要な水準を措置しており、これは、医療従事者の場合、定昇分を入れれば、24年度4.0%程度、25年度3.5%程度に当たる」と指摘。さらに「これに加え、高齢化等に伴う医療・介護費等の増加による収入増を活用し、賃上げを行うことが可能」と主張した。
診療報酬も介護報酬も24年度改定は賃上げ改定だった。だが医療・介護関連団体は他産業の賃上げ率に比べて低いことを問題視している。他産業にも大手企業、中小企業、小規模企業のそれぞれで賃上げ率には差異がある。比較対象先を明確にしたほうが、主張は受け入れられやすいのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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