1889(明治22)年に開校した東京美術学校の専修科美術工芸(金工・漆工)として始まった工芸科は、1975(昭和50)年に組織を改めて、彫金・鍛金・鋳金・漆芸・陶芸・染織の基礎及び専門課程となりました。その後1995(平成7)年に木工芸、2005(平成17)年にガラス造形を大学院に開設しました。
2018 (平成30 )年より、漆芸(漆工・木工)、陶芸(陶・磁・ガラス造形)と改編し、木工芸とガラス造形も学部教育を開始しました。
さらに2022 (令和4 )年から木工芸とガラス造形を併合して取手校地を中心に教育研究を進める、素材造形(木材・ガラス)を開設しました。学部は7分野、大学院は14の研究室からなり、学生の学びたい専門領域で、深く研究し自由に資質を伸ばしていける体制をとっています。
美術は時代とともにその役割も様々に変化してきました。そのなかにあっても、歴史に裏付けされた伝統に基づく工芸の技術や精神は、人間にとって最も身近にある芸術領域として一貫して人々の生活の中で輝きを放ってきました。素材を見極め伝統的な技法を基に制作される工芸作品は、人々の生活の中で大きな感動を与えるものです。
本学の工芸科は、基本を学び、現代の多様化する社会における価値観や技術を吸収しつつ、さらなる発展をなし得る能力を身につけたアーティストを養成します。工房制作を中心とした少人数制による個人指導によって、実技修練と創造性の開発を図ります。また、国際交流や地域連携にも力を入れ、工芸科としての特色を活かした研究活動や社会活動にも取り組んでいます。
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1年次は工芸研究室に在籍し、各専門領域において必要となる基礎的な力を育むために幅広い教育に取り組み、美術全般と工芸領域に関わる基礎的な表現力、造形感覚を養います。
上野校地にて、工芸分野の実材実習に加え、他科の講師を招き様々な技法や価値観に触れ、多角的な視野と総合的な造形力を養うカリキュラムとしています。各専門領域の教員による指導のもとでの実習制作を通し、その専門領域特有の素材・技法の魅力を体験していきます。1年間の経験をもとに2年次からの分野を選択します。2年次からは各分野に分かれ専門技術の習得を通して自己表現の確立を目指し、将来各分野において活躍しうる人材の育成をしていきます。また、芸術祭では美術学部と音楽学部の各科1年生が、共同で法被と巨大な神輿を制作することも特徴のひとつです。共同制作によって、個人制作では養えない経験や知識、人との信頼関係も築き上げられ、将来に生かされています。
前期は、工芸科担任教員の特徴ある造形実習に始まり、彫金、鍛金、鋳金、漆芸、陶芸、染織の6分野から3分野と、素材造形(木材・ガラス)分野のどちらかを選択し実材を使った実習制作を行います。後期には、彫刻科講師による塑造実習、日本画専攻講師と油画専攻講師による絵画実習を行います。
1年間で基礎的な造形力を学びつつ、様々な分野の表現技法や価値観を体験する幅広い内容となっており、大勢の教員や上級生がいる上野の歴史ある場所に身を置いて、より充実した制作を目指しています。
学科では工芸科全教員による「工芸制作論」を1年次の必修授業として開設しており、各教員が創作活動を通して工芸の本質を考察しながらレクチャーをします。
1887(明治20)年に本学美術学部の前身である東京美術学校が創立し、彫金は当初から金工として本学の歴史に名をとどめています。初代教授であった加納夏雄が帝室技芸員となり、美術・工芸の最大の栄誉である皇室の保護を受けました。次いで同じく帝室技芸員となった海野勝岷が教授となり、室町時代から続いた門外不出とされていた数々の伝統的な彫金技法を公開し、本学の教育の中で体系化しました。指導のために制作された手板が多く残され、今日に至るまで基礎技法の授業に資料として多く活用されています。この誇るべき彫金技法を時代の流れのなかで脈々と受け継ぎ、素材の可能性を探り、絶えず新しい表現・造形を生み出し、優れた彫金作家を輩出しています。
鏨などの工具整備に始まり、「彫り」「打ち出し」「象嵌」「接合」「色金」「七宝」等の伝統技法を基礎課題の中で学び、素材への知識を深めます。さらに彫金技法とジュエリーの分野を設け、生活空間全体を意識した専門性の高い指導を行っています。これに基づいて、逐次高度な知識と技術を修得し「装身具」「クラフト」「オブジェ」など、それぞれのテーマで創作表現の在り方、自己表現を研究して制作を行っていきます。表現のための確実な技術を身につけ、その上で新しい個性を築き活躍できる人材を育てています。
伝統的な工芸から立体造形、ジュエリー等、現代の社会及び生活空間において幅広く制作し活躍できる人材育成を目指しています。
各学生に対して、教員全員で課題制作、研究制作、卒業制作及び修了制作の指導にあたり、豊かな可能性のなかで学生それぞれの自己表現の方向性を探っていきます。合わせて専門的な分野での集中講義、交換留学や海外からの作家招聘などの国際交流等の企画によって、世界に発信する教育体制の構築を図っています。
カリキュラム(学部教育)は2年次から4年次まで段階的に編成されており、2年次は道具製作から始まり基礎課題として「打ち出し」「彫り」「象嵌」などをそれぞれ手板による制作を通して基本的な彫金技法を学びます。さらに「接合」「装身具」などの課題で専門性の高い知識と技術の修得を目指します。3年次は七宝などの各種技法研究を行い、「研究制作」を通じて自己表現を研究します。4年次においては研究テーマ・技法・表現方法などを絞り込み、発展させることによって質の高い卒業作品制作を目指します。
修士課程は、学生の研究テーマによって研究・制作が進められます。第一研究室と第二研究室に分かれますが、彫金研究室の教員全員で指導にあたり、より高度な研究制作、作品制作を行います。また作品発表に関しても積極的に取り組むようにし、並行して伝統的な職人との交流や新しい商品開発のためのコラボレーションなども行っています。
修士課程では、彫金研究室の歴史、資料をふまえて「彫り」「高肉打ち出し」の課題を設定し、日本の彫金技法と知識の深い理解を促しています。さらに精密鋳造などの実習により経験の幅を広げます。2年次では、学生各自のテーマにしたがって専門性を高め研究制作、修了制作へと進みます。
博士後期課程は、彫金の技法や素材に深い知識と経験を有していることを前提に、独自な研究テーマを各自が設定して進められます。新しい視点をもった自身の制作論を組み立て、素材・技法・表現を深く追求し、研究制作、作品制作を行います。研究室内の指導には彫金研究室の主査、副査の教員があたりますが、他専攻の副査の教員、論文指導の教員も含めた指導体制がとられます。
-国際交流-
海外の作家を招待し、講義・講演会などを行うことで幅広い観点からの教育を行っています。教員は国外に出向き、各国の教育機関などと共同研究を行っています。共同の事業には在学生にも任意で参加要請し、学生の海外交流が進んでいます。
-留学生の受け入れ-
留学生については、大学院生・研究生・交換留学生として受け入れ、担当教員により個別の研究指導を行います。中国・韓国・ドイツ・フランスなどの学生を受け入れています。
-卒業後の進路-
ジュエリー作家、クラフト作家、金属造形作家、七宝作家、ジュエリーデザイナー、クラフトデザイナー、七宝デザイナー、インテリアデザイナー、大学教員、彫金教室主宰、彫金教室講師、ジュエリー会社経営、造幣局員など
1895(明治28)年に東京美術学校美術工芸科の中に鍛金科として開設、平田宗幸が初代教授となりました。
鍛金では、金属の塑性加工法である絞り技法・鍛造技法、接合技法である溶接・ろう付け等の伝統技法から、機械切削加工など現代の金属加工技術まで幅広く身につけます。
また個々の主体性を尊重し自由なテーマで研究制作を行い、個別指導や面談を通して金属による野外モニュメントからオブジェ、カトラリー、装飾品にいたるまでの幅広く自由な表現力を養う事を目標としています。
卒業後は鍛金での研究制作を通して培われた豊かな造形力と感性を活かし、作家として創作活動をする者をはじめ、建築・空間環境、自動車、ジュエリー、広告、ゲーム等のデザイナー、教育者など様々な分野で活躍しています。
学部2年次から専攻に別かれ、前期では最初に個々人の工具整備(金鎚、当て金制作等)を行い、そして鍛金の基本技法のひとつである「絞り」による銅の花器(基本手絞り・回転体)を制作します。また機械工作演習(旋盤、フライス盤等)、スピニング絞り演習を行います。後期では銅の変形絞り技法による動物制作、その他金属着色技法を学びます。
学部3年次前期では工芸総合演習、後期に各種溶接・接合実習、鍛造実習、木目金の制作を行います。
学部4年次は、個々のテーマに沿った研究制作、卒業制作を行います。
大学院では、学生個々の研究テーマに沿って研究制作を進めます。
取手金工機械室での実習、鋳金での精密鋳造実習等の授業もありより幅広い金属の知識、技術を深め、高度な専門性、独自性を持った表現を探求し、修了制作を行います。後期博士課程では、学生のテーマに沿った指導体制がとられより高度な研究制作と制作理論が問われます。
海外への留学、受け入れを積極的に支援しています。
これまで国際交流協定校であるハレ美術大学(ドイツ)、エコール・ブール(パリ)、エコール・デ・ボザール(パリ)に学生を送り出しました。また、過去にフランス、エストニア、イスラエル、中国、韓国、台湾からの留学生を受け入れています。
1892(明治25)年、東京美術学校美術工芸科のなかに鋳金科として開設、岡崎雪声、大島如雲が教官となり、津田信夫、香取秀真、高村豊周、内藤春治、など近代の工芸を牽引した人材を輩出しました。1949(昭和24)年、東京藝術大学が設置されると、工芸科鋳金専攻となり、1963(昭和38)年に大学院美術研究科修士課程を、1977(昭和52)年に博士後期課程を設置し、現在に至っています。丸山不忘、内藤春治、蓮田修吾郎、鈴木信一、西大由、原正樹、戸津圭之介ら歴代教授ほか、非常勤講師に西村純一、宮田宏平、西村忠などの教官が教育にあたりました。鋳金の教育、研究、制作、人材育成と共に、楠公馬上像(皇居前広場)、西郷隆盛銅像(上野公園)、国会議事堂大扉、皇居二重橋高欄及び飾電燈、薬師寺東塔水煙修復及び複製制作、薬師三尊像修復、東大寺大仏の調査研究などの文化財調査修復に関しても多くの実績を残しています。
鋳金の専攻領域の学部教育は、2年次から3年次、4年次の3年にわたり段階的に編成されています。鋳金の伝統技法から最新の鋳造技法に至る鋳金の制作技術と知識を、課題制作と自由研究を通じて体系的に学習し、創作技術の獲得と共に個々の感性を磨きます。これら日々の研鑽の成果は、卒業制作、研究活動発表に結実しています。様々な鋳金技法を修養し素材と技法への理解と洞察を深めます。この事により、鋳金の特性である緻密な計画性と幅広い素材への感性を培い、総合的な創作力を高めます。学生は互いに協力して制作に取り組み、協調と併せて豊かな個性の発露を促すよう、きめ細やかな教育指導が行われています。
修士課程は、学生個々の研究テーマをもとに鋳金造形の研究制作計画が組み立てられます。鋳金講座の質、規模共に世界に比類の無い充実した設備と、取手校地の共通工房鋳造室を含めた教育研究環境を活用して、各自の創作研究を支援指導します。近年は、1年次に社会連携として共同研究活動もカリキュラムに取り入れています。博士後期課程では、より高度な専門性と独自性を磨き、広い視野に根ざした創作理念の獲得を目指して教育指導がなされます。博士学位取得も内容に応じた指導体制を組み、積極的に支援しています。
国内外の作家・キュレーターを招待して講演・講義を行い幅広い視点から表現および技法の研究指導を行なっています。教員は国外に出向き、各国の教育機関などで、講演・ワークショップ・展覧会などを行なっています。
・国立台湾芸術大学 デザイン・工芸部 講義・講演
・大邱大学校美術大学 工藝学科教員 特別講演
・韓国ソウル大学 鋳金講義
・韓国大邱大学校美術大学 鋳金講義
・国際芸術教育会議 中央大学校招聘
・韓国伝統文化大学校 客員教員の受け入れ
・イギリスLeeds大学 ワークショップ
・漸-zén- TOKYO GEIDAI JAPAN ART WEEK企画・展示(ニューヨーク)
・国際金属芸術展(中国清華大学)
・茶境展(中国)
・中国国際現代金属芸術展(中国)
・国際交流作品展(大邱大学校)
-留学生の受け入れ-
国際交流協定校である大学に学生を送り出し、大学院生・研究生を留学生として以下のように受け入れています
・交換留学生
韓国(大邱大学校)
・国費留学生(修士課程・博士課程・研究生)
ベルギー(アントワープロイヤルアカデミー)
・私費留学生(修士課程・博士課程・研究生)
韓国(ソウル大学校、韓国伝統文化大学校、大邱大学校)
中国(福建師范大学、広州美術学院)
ブラジル(Universidade Federal do Rio de Janeiro – UFRJ)
-卒業後の進路-
美術家、工芸作家、ジュエリー作家、大学教員(非常勤を含む)、専門学校講師、高等学校教師、中学校教師、ジュエリー会社、ゲーム会社、インダストリアルデザイナー、モデラー など幅広く活躍しています。
-地域連携-
2010〜2019 上野の山文化ゾーンフェスティバル連携イベント企画展展示(東京都恩賜上野動物園)
2010〜2012 GTSモニュメント制作・設置
2014〜2017 クラフトフェア松本出展・ワークショップ開催(信州大学との交流)
2016 KENPOKU ART 2016 芸大子アートプロジェクト
2016~現在 東京藝大 in 銀茶会
2017~2018 宮城県大崎市 ものづくり交流推進事業
2018 長野県東御市 life is art 展
2020〜現在 域学連携事業 天空の芸術祭
2023 令和5年度得意な才能を伸ばす教育(芸術) 東京都教育委員会
2023 令和5年度「芸術系教科等担当教員等全国研修会」体感する鋳金 〜錫の鋳造ワークショップ〜 文化庁
漆芸専攻は、東京美術学校創設時に美術工芸科漆工として始まり、後に工芸科として他の工芸部門とともに一本化され、2018(平成30)年度より現在に至ります。
英語の小文字japanが19世紀の英国では日本製蒔絵の偽物を表したほど、漆芸は海外において日本を代表する芸術としての認識を得ています。本学は世界中にある漆芸の研究教育機関としては最古の歴史を有し、多くの人材、情報が集まり、国内外の中心を担っています。
天然の素材である漆を塗料、接着剤、造形素材、絵画材料として多角的に研究、教育を行っています。 漆素材を柔軟に使いこなし、生活に寄与する作品や絵画的・造形的な美術作品を作り上げ、幅広く活躍できる漆芸作家を育成し、あわせて教育者、研究者などとして幅広く活躍できるように教育をしています。
漆芸研究室内に専用のギャラリーを設け、学生や教員の研究成果、漆芸研究室の所有する豊富な道具・材料等の資料を展示し、幅広く漆芸の一般公開につとめています。
さらに、国内外の大学機関、行政との共同研究を進め、今後の漆芸の有り方について情報交換を行い、ネットワークを構築して発表しています。
■2年次
箆などの道具作りや刃物研ぎなど道具の仕立て、使い方からはじまり、下地工程(本堅地)、塗り、呂色上げ法、蒔絵(研出蒔絵、平蒔絵、高蒔絵、研切蒔絵)、螺鈿(薄貝、厚貝)、卵殻、平文といった装飾技法、木工造形技法を習得します。漆芸歴史研究として歴史的価値の高い漆芸作品の熟覧・考察を行い、意匠や素材、技法、時代背景などをまとめレポートを提出します。
■3年次
前期には、工芸総合演習という他の素材と組み合わせた創作研究を行います。後期には、漆の素地となる胎を作るための技法として脱活乾漆技法、木胎造形技法(指物、挽物)を習得します。また様々な変わり塗りを習得し、日本の漆器産地独自の技法や漆の多様な性質を理解します。
■4年次
卒業制作を年間通して行います。自己の感性を元にした多岐にわたる表現を実現するために、教員とのディスカッションを繰り返し行い、学部の集大成を制作します。卒業時には高度な漆に関する歴史、文化、技法、実制作においての知識を備えることができます。
■修士課程
伝統工芸、現代工芸といった表現上の差異はありますが、指導においては学生の持つ感性を理解し、個性を尊重しながら指導をしています。
1年次は歴史研究を行い、今後自分が作る作品が歴史上どのように見られるかについて考察します。個々のテーマに沿って研究を行い、社会との関連を考察するために、積極的に発表活動を行うように指導しています。
また保存修復の基礎知識、理論、修復実習を通して保存修復の実際を学びます。
2年次は個人の持つ研究テーマを確立し、自由な造形表現の制作を前提とし自己表現の可能性を探ります。修了作品は感性と知識、素材と技法を駆使した作品を作り上げるように指導をしています。
■博士後期課程
自己の研究に沿って作品制作、論文制作を行います。社会との関連、国内外との関連について自己の置かれた立場を元に、漆芸の有り方について総合的に研究します。国内外において漆芸教育のリーダーになるべく資質を磨くように指導しています。
-国際交流、留学生の受入れ-
本研究室は世界中の漆芸の高等教育機関の中心であり、年間を通して学内をはじめ、国内外においてのシンポジウム、交流展覧会などの企画・運営をしています。
また、海外の漆芸作家を招待し、講演、講義を行い、幅広い観点からの教育を行っています。
教員は、国外に積極的に出向き、各国の研究者と共同研究を行っています。共同の事業には修士以上の学生に任意で参加要請し、学生の海外交流が行われています。これらの実績により本学の教育の幅が広がり、内容が深まっています。
客員研究員、留学生は中国、韓国、台湾、イギリス、ドイツ、ミャンマー、ハンガリー、アメリカなど様々で、卒業後は本国に戻り、教育機関の指導者または研究者として活躍しています。
-卒業後の進路-
漆芸に関わる教育研究機関の指導者として活躍する者、文化財保存修復の研究者、デザイナー等で大手企業に就職するなど幅広く活躍しています。また漆芸作家としての道を模索し、芸術家として研究制作を続けていく卒業生も多くいます。
陶芸研究室では土を使用したアート表現を探求し、伝統技法や素材理解を基本とした工芸的思考を深め、さらなる新しい表現を目指しています。
学年の進行と共に素材研究から生まれる造形性を重視した教育へと発展して行きます。
学生自身の柔軟な発想力を生かしながら実技の積み重ねによって、創造性に溢れ広い視野を持った、第一線で活躍できる人材の育成を目標としています。技術面では、轆轤成形、築窯実習、登窯をはじめ多様な窯の焼成実習、釉薬の調合、デザイン性を主とした石膏鋳込み成型など、多岐にわたる現代の陶芸の基礎的な技法を広く学ぶことができます。独自の発展を遂げた日本の陶芸は、世界からますます注目されており、その伝統を礎として海外との交流にも力を注いでいます。
■2年次
粘土づくり、轆轤成形、窯炉焼成、登り窯焼成(隔年)、釉薬見本制作、石膏型成形
■3年次
工芸総合演習、轆轤成形、窯炉焼成、登り窯焼成(隔年)、泥漿鋳込み成形
■4年次
轆轤成形、窯炉焼成、卒業制作など
■修士1年次
陶磁技法研究、窯炉制作実習(陶芸窯)、研究制作、登り窯実習(隔年)
■修士2年次
陶磁技法研究、研究制作
-海外交流と研修の推進-
海外の留学生受入れと学生の海外への留学、研修旅行などを通し、さまざまな表現・技法の体験と理解を深め、国際感覚を養う。
-卒業後の進路-
作家、大学講師(非常勤を含む)、専門学校講師、高等学校教師、中学校教師、陶芸教室講師、デザイン・印刷会社勤務、キュレーター、プロダクトデザイナー等
(主な留学受入先一覧)
・韓国 (ソウル大学・祥明大学・檀国大学・建国大学・江南大学・国立産業大学・中央大学・弘益大学・啓明大学・大邱大学・慶熙大学・梨花女子大学・ソウル科学技術大学・韓国伝統文化大学)
・中国(清華大学・景徳鎮陶瓷大学・香港大学・撫順師範大学・上海視覚芸術学院・ファッションデザイン学院・科学技術芸術大学・沈阳大学・中央工芸美術学院・中国美術学院・内モンゴル師範大学・吉林芸術学院)
・台湾(国立台湾芸術大学)
・アメリカ(南イリノイ大学・ノースカロライナ大学チャペルヒル校・Grinnell College・Qinghua University・Savannah College of Art and Design・Florida State College Jacksonville・フォーダム大学)
・インドネシア(Institute Technology Bandung大学)
・イラン(Sistan&Balounchistan大学)
・ウルグアイ (ウルグアイ共和国大学)
・インド (GOUT-INSTITUTE of FINE ARTS)
・フランス(ナント美術学校・ボルドー美術学校・Grelcova Collage of Arts Odessa Ukraine・University of Buenos Aires)
・トルコ(Izmir University of Economics)
・オーストリア(University of Vienna)
・イスラエル(Bezalel Academy of Art and Design)
・シンガポール、ドイツ、ポーランドなど
日本の染織は、我が国の民族衣装である「着物」特有の形体と機能、そして人々の美意識との相乗効果により、世界に類を見ないほど高い水準に達しています。
染織分野は1967(昭和42)年に開設された当初から、伝統の染織技法を基本として現代の技術や感覚と融合することで新たな繊維造形の可能性を探求しています。
染織と繊維や色彩に関する豊富な知識と高い造形力を身につけ、デザイナーやアーティストとして幅広く活躍できる人材の育成を目標としています。
2、3年次では「染」と「織」の両方の技法習得を到達目標として、伝統染色技法である友禅染・型染・ろう染め・スクリーン捺染と、国内外の織技法である綴織・二重織・絣織、等について自由制作を通して学びます。また、学外の作家・デザイナーや多彩な活躍をする卒業生を招きレクチャーやワークショップを行うことで、思考の拡大と卒業後の進路に役立てることができます。必修科目として染織工芸史や染色化学に加え服飾の基本を抑える被服造形学を履修します。4年次前期は各自のテーマによる創作研究とプレ卒業制作で自己表現の確立を目指し、後期は4年間の集大成となる卒業制作に取り組みます。
修士課程では、学部で学んだ知識や技法を基盤に各自が研究テーマを深く掘り下げて、より質の高い内容で研究制作をします。染技法研究、織技法研究のいずれかを履修し、個別に研究指導を受け、各自のテーマや方向性に沿って制作活動を行います。
また、不定期で外部と研究室が行うプロジェクトもあります。社会との連携プログラムに参画することで、企画・制作・発表の一連の活動に携わることができ、企画の社会的効果についての研究も行います。
博士後期課程においては、より専門性と独自性が求められ、一つのテーマを多角的に見据え実証しながら研究の意義を明確にしてアーティストとしての研究制作を行います。学位取得に対しては個々の研究内容に応じた指導体制を組み、積極的に支援しています。
-留学生の受入れ-
大学院生・研究生・交換留学生として受け入れを行っており、出身国と日本の伝統や文化を踏まえながら、新たな展開に結びつくよう個別の研究指導を行います。
-卒業後の進路-
テキスタイルデザイナー、グラフィックデザイナー、染織作家、造形作家、教員など幅広い分野で活躍する多くの人材が生まれています。
1995(平成7)年度に木工芸、2005(平成17)年度にガラス造形として工芸科の大学院に開設され、2018(平成30)年度より漆芸(漆工・木工)、陶芸(陶・磁・ガラス)として学部に改編されました。
2022(令和4)年度より新たに素材造形(木材・ガラス)分野となり、工芸科の学部の1分野として稼働しています。
素材造形分野では、選択した木材またはガラスを主に扱いそれぞれの造形・技法を、演習を通して学びます。木材の演習では、木工に必要な道具の仕立てから、各種基礎技法の演習、総合技法としての家具制作や、木材造形を学びます。ガラスの演習では、ホットワーク、キルンワーク、コールドワークなどガラス造形に必要な技法を学びます。取手校地にある様々な工房を利用しながら、素材を通して思考する造形を目指し、卒業・修了制作では自立した研究制作ができる人材育成をします。
>> 素材造形(木材) 公式Webサイト(準備中)
>> 素材造形(ガラス) 公式Webサイト
■2年次
道具仕立て・制作 指物・挽物・刳物・曲物、グループワーク、家具(木材)/ホットワーク・キルンワーク・コールドワーク(ガラス)
■3年次
工芸総合演習、木材造形演習、木工技法材料演習(木材)/ホットワーク、キルンワーク、コールドワーク(ガラス)
■4年次
卒業制作
■1年次
木工技法材料研究・木工造形研究(木材)/ホットワーク・キルンワーク・コールドワーク(ガラス)
■2年次
木工技法材料研究・木工造形研究(木材)/ホットワーク・キルンワーク・コールドワーク(ガラス)
-木材(留学生の受け入れ)-
べツァルエル美術デザインアカデミー
ミュンスター美術アカデミー
-ガラス(国際交流)-
2019年 べツァルエル美術デザインアカデミー(イスラエル)ワークショップ
アナドール大学(トルコ) ワークショップ
ミマールシナン大学(トルコ) ワークショップ
2021年 ヴロツワフ大学(ポーランド) オンライン交流授業
2021年 中国美術学院(中国) オンラインディスカッション
2021年 清華大学(中国) 交流展覧会
2022年 プラハ美術工芸大学(チェコ)、武蔵野美術大学、東京藝術大学 オンライン交流授業
-卒業後の進路-
木工に従事する者、美術家、起業する者、企業のデザインや企画部門への就職、教育者や研究者など様々な方面で活動しています。(木材)
個人工房やブランドを立ち上げて、作業活動をする他にガラスメーカーや工房、教育機関に就職をしています。(ガラス)