在宅勤務 ~自宅での労働~
子育てや両親の介護などが要因で退職せざるを得ない方もいらっしゃるかと存じます。
貴重な労働力の流出は企業にとってもいい気な痛手となります。
インターネット環境も整っているため、自宅に居ながら業務をこなせることが影響しています。育児休業制度などで一時的に業務を離れなければならない社員にとっては嬉しい仕組みなのか、悲しい仕組みなのか・・・
そういった社員を対象に「在宅勤務制度」を導入している企業が多くあるという昨今、働き方の多様化を背景に、限定的だった在宅勤務の対象者を拡充する企業もあるようです。大手自動車メーカーでは、対象者を入社から一定期間勤務した総合職のすべてにまで広げるということです。
在宅勤務でかかる光熱費やインターネットの通信費等を補助するため、会社が「在宅勤務手当」を支給することもありますが、月々一律で支給する場合には、基本的に給与課税の対象となります。
会社が社員らに支給する金品は、その名目が給与や賞与でなくても「これらの性質を有する給与」として給与課税の対象となることが原則です( 所法28① )。ただし例えば、会社が従業員らに支給する「交際費」のうち、会社の業務のために使用したことが明らかなものは課税しないことになっているなど( 所基通28-4 )、業務に伴う実費弁償的なものは給与課税の対象外となります。
この点、在宅勤務手当を月々一律で支給する場合、従業員が自宅の光熱費全体から業務関連分の光熱費を抜き出し、さらにその手当を業務関連分の光熱費のみに充てた事実を明らかにすることは通常困難といえます。月々一律で支給するのであれば、原則どおり給与課税の対象となり会社側は源泉徴収することになるのです。
なお業務関連分の光熱費を明らかにする明細書をもとに、その業務関連分の在宅勤務手当のみ支給する場合には、給与課税の対象外となる余地もあるでしょうが、やはり業務関連分の光熱費を抜き出すのは困難といえます。