2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧 - 銀行員のための教科書

銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

GPIFのAI活用は非常に興味深いアプローチ

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がAIを年金運用に活用すると報道されています。 AIを運用そのものに使う動きは増加していますが、GPIFは自分達で直接運用することはありません。 では、どの業務にAIを利用するのでしょうか。 今回はGPIFのAIの活用に…

フィンテックにおける融資サービスは既存銀行を駆逐するか

IT/フィンテック企業がデータを活用し銀行業務(の一部)に進出していく動きが加速してきています。 その中でも、データを活用し、銀行以外の企業が行う融資は「オルタナティブ(代替)・レンディング(貸出)」と言われるようになってきています。 今回は…

Facebookの株価下落は大したことではない~値幅制限について考える~

Facebookの株式時価総額が急落したことがニュースになっています。 一日にして、Facebookの時価総額が10兆円以上下落しました。 10兆円といえば日本の時価総額2位のNTTドコモ、NTT(日本電信電話)、ソフトバンクグループの時価総額に近い数字です(2018年7…

APIが銀行に与える影響~日銀ワークショップでの意見~

2018年7月に日銀主催のワークショップの議論内容が開示されました。 このワークショップではオープンAPIを議論しています。 ワークショップにおける自由討議内容は非常に示唆に富んだものとなっていますので、今回はこの自由討議内容を確認していきます。 ワ…

イベントから勝負の場になってきた株主総会

2018年6月の株主総会は、やはり波乱が起きました。 昨年から比べても会社提案の議案への賛成を得るのが難しくなってきています。 ほんの数年前までの「シャンシャン」総会は過去のものになりそうです。 今回は2018年6月の株主総会についてのトピックスについ…

自社株報酬における株式給付信託の位置付け

日経新聞で信託を使った株式報酬制度導入が拡大しているとの報道がなされました。 株式給付信託という聞き慣れない商品です。 今回は、この株式給付信託とはどのようなものなのか、導入されるようになった背景は何か等について、考察していきます。 報道内容…

信用金庫の2017年度決算まとめ~地銀より厳しいのは信金~

日本銀行から「金融システムレポート別冊シリーズ2017年度の銀行・信用金庫決算」が発表されました。 今回は、この金融システムレポートから、地方銀行(地銀)、信用金庫(信金)の決算内容を抜粋し、確認していきたいと思います。 信金の業績にかかる全体像を…

日本でロボアドが広がらないのはサービスの問題では?

ロボット・アドバイザー(通称ロボアド)というサービスをお聞きになったことはあるでしょうか。 簡単に言えば、AIもしくはプログラムが個人投資家に投資運用を指南するサービスです。 このロボアドは米国では相応の人気があるようですが、日本では期待通り…

MUFGのAI投信組成をニュースとするのは疑問アリ

MUFG傘下の三菱UFJ国際投信がAIを活用した投資信託を8月に発売すると発表しました。 日経新聞の報道では「全てをAIに任せる投信は日本初」としています。 今回は、MUFGのAI投信はどのようなものか、AI運用とはそもそもどのような仕組みなのか、AIファンドの…

MUFGの情報銀行への期待と不安

MUFG傘下の三菱UFJ信託銀行が情報銀行への参入を表明しました。 そもそも情報銀行とはどのようなものなのでしょうか。銀行が事業として営むものなのでしょうか。 そして、銀行が運営する情報銀行は成功するのでしょうか。 今回はMUFGの挑戦について考察しま…

衛星画像はどこまで投資に使えるのか~技術を理解する~

衛星の画像データが軍事目的だけではなく、民間の運用会社でも利用されていることをご存じの方も多いでしょう。 今まで運用会社が活用してきた情報は、事後に政府・企業等が集計したデータでした。 例えば、住宅の着工戸数、GDP、消費者物価指数、企業業績等…

地銀の有価証券運用には論外の事象も~金融庁のモニタリング結果~

(画像 NHKホームページより引用) 2018年7月に金融庁が地域銀行(≒地銀)の有価証券の運用状況についてモニタリングを行った中間結果を公表しました。 近時公表されている様々なペーパーから、金融庁の地銀に対する高い問題意識は伺えますが、有価証券の運…

そろそろ地銀のビジネスモデルは限界では~金融庁の地銀モニタリング結果~

2018年7月に金融庁が地域銀行(地銀等)へのモニタリング結果のまとめを発表しました。 地銀が目先の収益確を優先し持続可能性に課題を抱える等のかなり厳しい内容となっています。 今回は、このモニタリング結果について確認していきましょう。 報道内容 モ…

東日本銀行の行政処分は他銀行にとって他人事か

コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の東日本銀行に対して行政処分がなされました。 同行は収益増加のためお客様から根拠不明確な融資手数料を徴収していました。また、融資の一部を強制的に定期預金させる不適切な融資もありました。 東日本銀行に…

投資と投機とギャンブルの違い

株式投資はギャンブルのようなものだと言われることがあります。 損をする覚悟で「投資」すると発言する方もいらっしゃるでしょう。 一方で、投資とギャンブルは違うと考えている人もいます。 投資とギャンブルに違いはあるのでしょうか。 また、投機という…

LINEは決済革命を起こせるのか

LINEが決済分野で攻勢に出ようとしています。これは既存の銀行にとっては大きな影響をもたらす可能性があります。LINEが狙う「決済革命」がどのような意味を持ち、影響があるのかについて考察します。 報道内容 LINEの発表内容 LINEが狙うもの LINE PAY普及…

金融庁の検査・監督は金融機関の「多様性」を許容するのか

2018年7月に金融庁の「融資に関する検査・監督実務についての研究会(第1回)」が開催されました。 金融庁は検査・監督の方向性を変えていこうとしています。 従前の金融庁検査は、個社毎の債務者区分を査定されるような検査が一般的でした(イメージはドラ…

カジノというシステムの根幹は「有利なルールと大数の法則」

2018年7月6日にギャンブル依存症対策法が参議院本会議で可決・成立しました。 今後も統合リゾート法(IR法)は議論・話題となっていくでしょう。 ところで、カジノの誘致について前提になっていることがあります。 それはカジノを解禁したら、「カジノ業者が…

持投資口制度(持ち株制度のREIT版)について

持ち株制度のREIT版を大和ハウスが導入するとの報道がなされています。 この持投資口制度(持ち株制度のREIT版)については聞き慣れない方も多いかもしれません。 今回はこの持投資口制度およびその原型である持株会制度について確認しましょう。 報道内容 持…

上場企業に求められる情報開示の拡充~役員報酬と政策保有株式~

金融庁が上場企業に対して情報開示の拡充を求めています。 今回は情報開示が拡充される方向にある項目のうち、役員報酬および政策保有株式について現状の流れを取り上げます。 また四半期開示についての議論についても押さえておいた方がよいでしょう。 今後…

なぜ銀行の建物は立派なのか~銀行の本質は信用~

(写真は三井本館) 銀行の建物を立派だと感じたことはないでしょうか。 15時には窓口が閉まるにもかかわらず、豪華な外装の銀行のビルはまだ多数残っています。 なぜ、銀行の建物は見栄えが良いものにしているのでしょうか。 なぜ、銀行の本店は巨大なので…

IFRS改定で消えるのはリースのみならず「不動産賃貸業」の可能性も

国際会計基準(IFRS)のリースにかかる会計基準の変更が2019年から予定されています。 現時点では、このリースにかかる基準変更の影響は限定的でしょう。 しかし、日本の会計基準は国際会計基準に足並みをそろえてきました(コンバージェンス)。 この基準変…