東京お台場にウルトラマンと怪獣の回廊が登場中。数々のSFイラストを手掛け、“怪獣絵師”の異名を取るイラストレーター、開田裕治さんの画業40周年を記念した展覧会です。


「ウルトラマン」から「ウルトラマンR/B」までウルトラマンが勢揃い。ハリウッド作品まで幅広い活躍がある中で、なぜウルトラマンなのか、開田さんの思いを聞いてきました。

ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


誰もが知るあの作品も手掛けたイラストレーター


“怪獣絵師”の異名を取るイラストレーターの開田裕治さんは、ゴジラ、ガメラから機動戦士ガンダム、宇宙戦艦ヤマトまで、さまざまな怪獣・ロボット・メカニックのイラストを手掛けてきました。

作品の発表の場は、CD、DVD、プラモデルなどのパッケージや書籍の表紙、ポスターなど多岐に渡っているので、名前は知らなくても開田さんの作品を見ているという人は多いのではないでしょうか。

最近では、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレーヤー1』『キングコング髑髏島の巨神』の日本版ポスターを手掛けたことでも知られています。

ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


その画業40周年を記念した展覧会「怪獣絵師 開田裕治のウルトラマンズ・ギャラリー」が、グランドニッコー東京 台場3FにあるGALLERY21で開催されています。ウルトラマンとその怪獣たちは、開田さんが長いキャリアの中でもっとも多く描いてきて思い入れの深いモチーフなのだそうです。

荘厳な回廊ギャラリーにウルトラマンの肖像画


吹き抜けのドームの中にバルコニー状に作られた回廊型のギャラリーの内側と外側、両方の壁にずらっと並んだ額装されたイラスト。描かれているのは、どれもウルトラマンと怪獣です。この日は開田さんのサイン会が行われるということで多くの人が集まってサイン待ちの列を作っていました。

ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


メインの展示は、歴代人気ウルトラマンと怪獣の肖像画。オールドファンにも懐かしい昭和のウルトラマンから平成のウルトラマンまで多彩な顔ぶれが並んでおり、どれも写真と見間違うほど精密に描かれています。作品に添えられたコメントも、開田さんが自ら描いたものです。ひとつひとつにキャラクターへの愛情がにじんでいます。


この作品展は、昨年のタワーレコード渋谷店を皮切りに静岡県、福島県と全国を巡回。その間にも新作が製作されており、今回初めてお目見えになる作品も3点あります。ウルトラマンシリーズの最新作「ウルトラマンR/B」のロッソとブルの肖像画もその中のひとつです。

半世紀たってもウルトラマンは古くならない


ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


サイン会を終えた開田さんにお話を聞きました。

―― ギャラリーの入り口のところで、最新作「ウルトラマンR/B」が迎えてくれますね

家族連れで来てくれる方も多いですからね。子どもさんたちには今放送されているものがいちばん興味がありますから。

ウルトラマンシリーズは長年にわたって連綿と支持されてきて、最近だと孫の代まで、という感じになっています。だから、こうやって歴代のウルトラマンが勢そろいする展覧会ができてうれしく思いますね。

―― 最近のウルトラマンもご覧になってるんですか?

見てます、見てます。

―― 最初のお仕事もウルトラマン関係だとか?

40年も前のことですが、ムック本に科学特捜隊(初代ウルトラマンに登場する対怪獣防衛組織)の基地の内部図解を描いたのが最初です。

―― ウルトラマンにご縁があるんですね

僕自身もウルトラマンが大好きなんです。キャラクターとしてもいきなり最初に完成形で登場したようなキャラクターですからね。50年経って、今見てもデザインや世界観が古びてない。
本当にすごいキャラクターですよ。


見慣れた風景を異世界に変えてしまうのが怪獣


―― ガンダムなど有名なSF作品も手掛けていらっしゃいますが、やっぱりウルトラマンは特別なんでしょうか?

怪獣が好きですね。ウルトラマンもいいですけど、怪獣がやっぱり好きでね。子どもの頃から、毎回次はどんな怪獣が出てくるか楽しみに見てましたからね。

ウルトラマンより前の、ゴジラなどが登場する東宝映画シリーズの頃から怪獣が好きでした。でも、映画だから年に1、2回しか見られなかった。

それがウルトラマンの前身『ウルトラQ』がテレビで始まって毎週見られるようになった。その後のウルトラマンシリーズもずっと好きで、いまだにその頃のままこの歳になるまで変わってないです。

ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


―― 怪獣への思いを教えてください

昔からとんでもないものを描くのが好きだったんです。とんでもないものにもいろいろありますが、怪獣は僕らが住んでいる街に現れる。見慣れた風景を異世界に変えてしまう存在です。そういうところがゾクゾクするところでもあり、ワクワクするところでもある。

子どもの頃、台風が来ると聞くとなぜか少し嬉しい気持ちになった、ああいう感覚です。
災害は嫌なものですけど、怪獣はフィクションですから、エンターテイメントとして楽しめるのがいいところですね。

ファンならずとも垂涎のグッズの数々も


ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


会場で販売されている公式画集『ウルトラ画帖 Ultimate(アルティメイト)』は、クラウドファンディングでファンの熱意を集めて製作されたもの。現在は、原画展会場限定の画集Ver.が発売されています。開田さんが40年にわたって描いてきたウルトラマンシリーズの作品を完全収録。一般の書店では販売されておらず、会場か通販でしか購入できません。

他にも『Ultimate』未収録の肖像画シリーズを集めた『Picture Book』、オリジナルデザインのTシャツなど会場でしか手に入らないグッズがたくさんあり、これには、ファンならずともワクワクしてきます。

怪獣絵師・開田裕治さんが生み出した“とんでもない”作品たちと、その足跡をぜひ会場で目の当たりにしてみてださい。

ウルトラマンや怪獣を描いて40年 「怪獣絵師」にその魅力を聞いてみる


怪獣絵師 開田裕治のウルトラマンズ・ギャラリー 

<会期> 
2018年12月19日(水)~2019年1月14日(月/祝日)
※月曜定休(祝日を除く)

<時間>
11:00~18:00

<会場>
GALLERY21
(東京都港区台場2-6-1グランドニッコー東京 台場 3F)

<料金>
入場無料
http://www.gallery21-daiba.com/441-2

(山根大地/イベニア)
編集部おすすめ