ミステリドラマの専門チャンネル「AXNミステリー」で、毎週土曜4:00~特集「8人の金田一耕助」を放送中です。(12月22日まで)。
筆者はミステリー好きですが、コワイものが苦手で金田一は長らく敬遠していました。元々はマンガでお孫さん(?)の活躍を読み、金田一耕助シリーズ原作にハマり、映画も見て……。でも数作品しか覚えていないという、ゆるいファンです。
まさに『ファンが来りて、夜は更く』といった趣になりそうなこのイベント。どんな話が聞けるかなと、ワクワクして会場の東京カルチャーカルチャーへ向かいます。
フードメニューにも仕掛けがいっぱい!
まず驚いたのがファン層の厚さ。集まった約100人のうち、中心はおそらく30~40代でしたが、子供や海外の方もいました。男女比は女性が多め。筆者が同席したテーブルにはふたりそろって金田一ファンというご夫婦がいて、好きな作品などの話で盛り上がりました。うらやましい!
飲食しつつ楽しむ会なので、この日は金田一にちなんだ限定メニューも用意。スペシャルドリンクは、『犬神家の一族』にちなんだ「斧琴菊」。柚子サワーをベースに本物の菊の花がまぶしてあります。
一番人気メニューは、『悪魔の手毬唄』に登場する「放庵さんの田舎稲荷」。油揚げの味を堪能しながら美味しくいただきました。ただ、これも確か食べた後に……。いろいろとパンチの効いたメニューだったようです。
金田一耕助を演じた役者って、何人いるの?
イベントがスタートし、カルカルの青山さんとAXNミステリーの秋山さんが登壇。実は、AXNミステリーで放送する作品を決めるのが秋山さんのお仕事。大抵は半年スパンで作品が決まる中、今冬の特集「8人の金田一耕助」は2年もかけて準備したとのこと。
最初のトークは、金田一を演じた役者について。これまで何人いたでしょうか? と問いかけられます。
なんとその数、24人!しかも、パロディや番外編なども含めると数え切れず、少なくとも50人はいるとのこと。同じ名探偵のホームズに比べても、日本だけでこの人数は圧倒的なんだそうです。
この24人を時系列に並べ、それぞれの傾向などが語られます。
その後、石坂浩二・古谷一行で金田一のイメージが固まり、最近では長谷川博己、池松壮亮など比較的若手の俳優も演じています。秋山さんイチ押しなのが中井貴一。金田一像が独特な上に、DVDや配信もされておらず、とてもレアなんだとか。
そして今回の「8人の金田一耕助」の選定裏話から、ミステリー全般の話題に。金田一の作者である横溝正史と、海外のミステリー作家アガサ・クリスティーとの作品の比較なども語られました(ちなみにスライドが黒地に白文字、時に赤く折れ曲がっているのが、市川崑映画の金田一が連想されてたまりません!)。
細かすぎてもちゃんと伝わる、金田一耕助トーク
ここでゲストの金田一耕助勉強家・木魚庵さんが登場。何と、金田一耕助の扮装というサービスです。そして、ここから話は「みなさん、この映画はもう見てますよね?」と、犯人などのネタバレも解禁のディープな方向へ進んでいきます。
一見すると謎のトークテーマだらけと思いきや、根底にあるのは金田一作品への深い愛。悲劇に巻き込まれた登場人物への悲哀、岩下志麻や太地喜和子など女優への称賛(主演だけでなく女中役の坂口良子が可愛いなど脇役もフォロー)、さらには脚本の中身や撮影地訪問に至るまで、話題は尽きません。
ちなみに、今回会場には貴重な金田一耕助グッズも展示。
そして最後のコーナーは、金田一耕助マスター決定戦。ペーパーテストが行われ、成績上位者が壇上に進みます。実は筆者はクイズ番組出場歴もあり自信があったのですが、正答率は半分以下。そんな難問を制した正答率9割(!)の5名による早押しクイズ勝負が行われました。
クイズもレベルアップし、セリフからの作品当て、複数の役者が演じた登場人物当てなど難問だらけ。
これら超難問をビシッと制したお二人に商品が授与され、イベントはお開きとなりました。
最後、惜しくも準優勝だった女性にお話を聞きました。実は、西浅草で「黒猫亭」という昭和モダンカフヱ&バーをされていて、店内で金田一作品を読むことができるとのこと。これは行ってみたい!
金田一耕助の魅力を伺ったところ、凄惨な事件が描かれる中で飄々としていて、それが癒しとなっているとのお答え。そして今回のイベント全体についても、多くの金田一ファンがいることを知り、作品のことを語り合うことができ、楽しかったとのことでした。
筆者も作品のあれこれを聞くことができ楽しく、また再発見もいろいろありました。時代を経ても、その魅力は色褪せない金田一耕助。
ちなみに今回発表されたファンが選んだ作品トップ3は『犬神家の一族』、『八つ墓村』、そして筆者も大好きな『獄門島』という結果でした。
(高柳優/イベニア)