今回は凪良ゆう原作のBL小説およびそのコミカライズ、『美しい彼』のあらすじをご紹介します。
凪良ゆうは『流浪の月』で2020年本屋大賞を獲得。
2023年にはヤングケアラー問題に男女の遠距離恋愛を絡めた『汝、星のごとく』で第20回本屋大賞、ならびに第10回高校生直木賞を受賞しています。
BL作家としてのデビューは『恋するエゴイスト』。『美しい彼』は2014年よりキャラ文庫から刊行された小説で、毎日放送のドラマ特区枠で実写ドラマ化されました。主演は萩原利久と八木勇征です。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『美しい彼』のあらすじ
主人公は地味で無口な少年・平良一成(ひら かずなり)。平良は幼い頃から吃音に悩まされており、対人関係を上手く築けないことに悩んでいました。そのせいでいじめられた過去もあり、ますます根暗な性格に。
そんな平良の唯一の趣味がカメラでした。透明人間になりたいと叶わぬ願いを抱き、カメラのシャッターを切り続ける平良。高校最後の年、クラス替えが行われました。平良は自己紹介で言葉を詰まらせてしまい、深く絶望します。そこへ颯爽と現れたのはクラスメイトの清居奏(きよい そう)。

圧倒的な美貌とカリスマ性を持ち、スクールカーストトップに君臨し続ける清居の登場により、平良は周囲の失笑を買うのを免れました。
平良は同性の清居を一目見るなり恋に落ち、根強いコンプレックスと自信のなさ故、秘かにストーキングを始めます。カースト最底辺で孤立する平良にとって、華やかな仲間に囲まれた清居は雲の上の存在。近付くなんてとんでもありませんし、口も利けません。
あるとき、ふとしたきっかけでストーキングがバレてしまいました。意中の人の拒絶に怯える平良に対し、清居はパシリになることを要求。以来、平良は清居を「キング」と呼んで絶対服従を誓います。清居に「キモイ」と軽蔑されても、嫌悪の表情さえ美しいと崇拝する始末。
やがて夏休みが近付き、もうすぐ清居と会えなくなると落ち込む平良。平良の変化を感じ取った清居は、友人の城田と三木を連れ、彼の自宅に遊びに来ました。
城田は清居が率いるグループの二番手にあたり、何をやらせても完璧にこなすトップに憧れています。三木はノリの軽いお調子者でした。
突如平良家を訪問した目的は、平良があの日交わした約束を守っているか確かめる為。
清居は部屋に二人きりになった隙を見計らい、高飛車な態度で平良に迫ります。