今回記事でご紹介するのは木村裕一作、あべ弘士作画の絵本『あらしのよるに』のあらすじです。
本作は1995年に出版され、第42回産経児童出版文化賞JR賞および第26回講談社出版文化賞絵本賞を受賞。
読者の大反響を受けてアニメ映画が制作された他、国語の教科書にも掲載されるなど、一大ムーブメントを巻き起こしました。
オオカミのガブとヤギのメイの種族を超えた友情を描いた本作は、世界中の読者に愛されています。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『あらしのよるに』のあらすじ
野原で草を食べている最中に狼に囲まれた子ヤギのメイ。
母ヤギは我が子を庇い、勇気を振り絞って群れに立ち向かったものの、最後には力尽きてオオカミの餌食になってしまいました。
メイはショックを受け、命からがら逃亡します。
数年後……嵐の夜に、山小屋に駆け込んだメイは、後からやってきたずぶ濡れの誰かと一晩過ごします。
それはオオカミのガブでした。
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お互いの顔が見えない暗闇の中、ガブとメイは寄り添い合って暖をとり、固い友情で結ばれます。
二匹は「あらしのよるに」を合言葉に再会を約束し、浮き浮きした足取りで山小屋を出ました。
翌日、お互いの意外な正体を知った二匹は驚愕します。
オオカミはヤギの天敵、ヤギはオオカミの餌、本来友達になるなどありえません。
されど暗闇の中で心が通じ合い、既にして特別な絆で結ばれていたガブとメイは絶交などできず、秘密の友達としてこっそり会い続けることにしたのです。
ある時、メイを心配した友達のヤギ・タプが待ち合わせ場所に付いてきました。
ガブは親友のメイを傷付けまいと食欲にブレーキをかけていましたが、その連れのタプを本能的に餌として見てしまい、ヨダレが止まりません。
間一髪ガブがタプを脅かし追い払ったものの、この一件はオオカミとヤギの共存の難しさを物語っていました。
後日、ガブとメイの関係がお互いの種族にばれてしまいました。
ヤギの群れはメイを、オオカミの群れはガブを責め立てた挙句、敵の情報を探るスパイになれと命令。
ガブとメイは群れから離れて生きていこうと決め、ヤギとオオカミが仲良く暮らせる、緑の森を目指します。
緑の森の存在を信じ、決死の逃避行を続ける二匹を、裏切り者のガブに制裁を加えるべくオオカミの群れが追ってきました。
酷寒の雪山と追っ手が与えるプレッシャーに体力を削り取られたメイは、空腹のガブに「自分を食べて」とお願いをし……。