腕にニキビができると「ノースリーブが着られない」「オフショルダーや肩出しニットは無理…!」と、好きな服が楽しめないことが多くなります。
また、腕にできたニキビは意外に目立ちやすいため、早めの対処が必要です。
今回は、腕ニキビを予防してすべすべの腕を手に入れるための内容をまとめました。
- 腕にニキビができる原因
- 腕ニキビの予防方法
- 腕ニキビの治療法
ニキビと思っていたけど、実はニキビではない別の皮膚病だったケースもあるため、間違ったお手入れをしないように最後までご覧くださいね。
最初に腕ニキビができる原因からチェックしていきましょう。
1.腕にニキビができる原因
腕は体の中でも比較的皮脂量が少ない部分ですが、腕ニキビに悩む人は少なくありません。腕は日常的に常に動かすことが多く、外的刺激を受けやすいことから肌トラブルにつながりやすいといえます。
ニキビができると考えられる主な原因を5つお伝えしますので、心あたりがないか確認してくださいね。
1-1.ボディソープのすすぎ残し
ボディソープのすすぎ残しやヘアケア製品の残留は、腕ニキビの原因となります。
ボディソープの種類によっては、シャワーで流すだけでは落ちにくいタイプもあります。手でやさしくお湯をなじませながら、泡のぬるつきがないことを確認しましょう。
ボディソープやヘアケア製品が腕に残留すると、毛穴詰まりを起こしニキビの原因菌が増殖しやすくなってしまいます。
シャンプーやトリートメントを流すときには、腕周りにヘアケア製品が付着しやすくなるため注意しましょう。シャンプー→トリートメント→ボディソープの順に洗うと、ヘアケア製品の付着や残留を予防できるので、シャンプーを先にすることをおすすめします。
1-2.服による摩擦
衣服の擦れや摩擦は、ニキビができる原因となります。真夏以外の腕はほぼ衣服に包まれていますが、腕は常に動かすため肌摩擦を生じやすい部分です。
季節によっては、汗による蒸れと摩擦の両方で、毛穴詰まりを起こしニキビができやすくなってしまいます。
通気性が悪い皮のジャケットや肌当たりが強いデニム素材などを着用するときは、室内では脱ぐなどし、風通しを良くすることも大切です。
1-3.乾燥
腕は乾燥しやすく、特に冬場は粉を吹くほどカサカサになる人もいます。
肌が乾燥して水分量が低下すると、皮脂分泌が活発になり、剥がれた角質と皮脂が混ざり合って毛穴詰まりを起こしニキビにつながりやすくなります。
1-4.肌着の素材による影響
吸湿発熱繊維の肌着やインナーウェアは、暖かくて冬場には非常に人気が高いですよね。しかし、吸湿発熱繊維は体内の水分を吸収して発熱、保温する働きがあるため、肌が乾燥しやすくなるのが難点です。
また、化学繊維のものが肌に合わない人もいます。特に冬場、腕ニキビが出やすい人は肌着の素材をチェックしてみましょう。
1-5.紫外線の影響
腕は紫外線が直撃しやすい場所で、過度に紫外線を浴びるとバリア機能が低下してしまい、ニキビが発生しやすくなります。
バリア機能は、肌を外的環境から守る働きや肌の水分蒸発を防ぐ働きを持ちます。紫外線を浴びバリア機能が低下すると、いつもは感じない肌刺激にも敏感になったり肌のバランスが崩れやすくなったりします。
ニキビだけでなくさまざまな肌トラブルの原因になるため、腕の日焼けは要注意です。
1-6.ホルモンバランスの乱れ
ニキビとホルモンバランスは密接な関係があり、体調の変化やストレスなどによりホルモンバランスが乱れやすくなります。
女性ホルモンには、生理前に増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)と生理後に増えるエストロゲン(卵胞ホルモン)が28日周期で増減をくり返しています。
生理前にはプロゲステロンが増加し、皮脂分泌が多くなることからニキビができやすい状態になります。
これは正常なサイクルでホルモンバランスの乱れではありません。しかし、体調不良やストレスによりホルモンバランスが乱れてしまうと、常に腕ニキビや肌荒れにつながりやすくなります。
2.腕ニキビの予防方法
腕ニキビは摩擦が多い場所であることから、一度ニキビができると長引いてしまう傾向があります。
ここからは、ニキビを作らせない予防方法についてくわしくお伝えしていきます。
2-1.ボディソープはしっかり洗い流す
ボディソープは、肌に残らないようにしっかりと洗い流すことが、腕ニキビの予防には大切です。
特に腕の後ろ側や内側には、ボディソープが残りやすいため注意して流してくださいね。
腕が乾燥しているのにニキビができる人は、洗浄力が強すぎるボディソープを使用しているかもしれません。マイルドな洗浄成分のボディソープを使用し、しっかり流すことで予防が可能です。
腕は体の中でも皮脂が少ない部分のため、洗浄力が高いものでなくても大丈夫です。マイルドなアミノ酸系洗浄成分のボディソープでも十分に汚れが落とせます。
2-2.保湿を怠らない
腕は乾燥しやすく摩擦の刺激を受けやすいため、保湿ケアをおこなうことが腕ニキビの予防につながります。
ボディケア商品は、ローションタイプ、ミルクタイプ、クリームタイプのなどがあり、肌質や季節に合わせてチョイスしてみてください。
保湿を怠らずにおこなうと、バリア機能が整いやすく、摩擦や乾燥から肌を守ります。注意点としてオイルでの保湿は、毛穴詰まりの原因になりやすいため避けましょう。
腕ニキビにおすすめの保湿ケア成分
腕ニキビの予防には、保湿ケアは欠かせません。ニキビを刺激しにくい成分や高保湿な成分を紹介しますので、ボディケア商品選びの参考にしてみてください。
1.セラミド
セラミドは人の肌に存在する成分で、乾燥肌や敏感肌にはセラミドが不足していることが多いです。セラミドは、肌のバリア機能を整えたりうるおいを保持したりする働きがあります。
小さいお子さんがいるママや忙しくてボディケアができないという人は、セラミド配合の入浴料がおすすめです。
セラミドを溶かしたお風呂に浸かることで、お手入れいらずでセラミドを肌に補給できます。
2.ヘパリン類似物質配合
ヘパリン類似物質は、肌の水分保持能を改善することが認められた医薬部外品の有効成分です。高保湿でうるおいを維持してくれるため、冬場のお手入れや乾燥肌におすすめの成分になります。
3.アミノ酸類
角質層内にある天然保湿因子の約40%は、アミノ酸が含まれています。アミノ酸は約20種類あり、皮膚の土台を作る重要な成分です。
アラニン、アルギニン、セリン、グリシン、ロイシンなど複数のアミノ酸が配合されているボディケア商品も販売されています。
4.グリチルリチン酸ジカリウム・アラントイン
グリチルリチン酸ジカリウムやアラントインは、肌荒れを予防する医薬部外品の有効成分です。かゆみを伴う敏感肌や赤みのある腕ニキビの炎症を抑える働きがあります。
2-3.肌着の素材に気をつける
素肌に触れる肌着やインナーは、なるべく刺激の少ないコットンタイプがおすすめです。
シルクも肌にやさしいのですが、価格が高いことや流通が少ないことから入手しにくいのが難点です。コットン100%でなくても、レーヨン混合素材も吸湿性が高く蒸れにくいという特徴があります。
肌着は意外に盲点なので、長袖インナーを着る時期にニキビが出る人はぜひ見直しましょう。
2-4.紫外線対策をする
海やプールなどのレジャーに出かけると、腕は非常に日焼けしやすいですよね。
紫外線はバリア機能を低下させ、腕ニキビができやすい肌に傾きやすくなります。薄着になる季節の外出には、必ず日焼け止めを腕の付け根までしっかり塗り、紫外線から肌を守りましょう。
腕は特に日焼けしやすいため、SPF50・PA++++の最高数値の日焼け止めをおすすめします。2〜3時間おきの塗り直しも忘れずにおこなってください。
2-5.生活習慣を整える
腕ニキビだけでなくニキビ全般にいえるのですが、生活習慣が乱れるとニキビができやすくなります。
偏った食生活や睡眠不足は特にニキビを誘発する原因となります。
バランスの良い食生活を心がけ、肌を作るたんぱく質や皮脂分泌をコントロールするビタミンB群を積極的に摂取しましょう。
睡眠時に分泌される成長ホルモンは、ターオーバーを促進したり肌の修復を促したりする働きがあります。成長ホルモンが分泌されるように、良質な睡眠時間を確保することも大切です。
3.ニキビではない可能性も
「ニキビ予防のお手入れをしても良くならない」という人は、ニキビではない可能性があります。
ニキビとよく似た症状の、毛包炎や毛孔性苔癬という皮膚病があるため、腕ニキビに悩む人はこちらもぜひチェックしてみてください。
3-1.毛包炎(もうほうえん)
毛包炎は、マラセチア菌というカビや黄色ブドウ球菌などが毛包内で繁殖して起こる皮膚病です。マラセチア菌が繁殖した毛包炎は「マラセチア毛包炎」といわれています。
軽度であれば自然に治ることも多いですが、ひどくなると皮膚科で切開して膿を出すケースもあります。皮膚科では、抗菌剤の外用薬や内服薬で治療ができます。
3-2.毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
二の腕に小さなブツブツができている、ザラザラした手触りを感じるときは、毛孔性苔癬の可能性があります。
毛孔性苔癬は「毛孔性角化症(もうこうかくかしょう)」といわれており、遺伝性の皮膚疾患になります。毛孔性苔癬は、ニキビや毛包炎と違い菌が原因ではないため、ニキビ治療薬を使っても効果がありません。
毛孔性苔癬の治療は、腕の皮膚をやわらかくするサリチル酸や尿素を使用したクリームが処方されます。
4.治らない場合は皮膚科で治療
腕のニキビが治らない場合や次々にできてしまう場合は、皮膚科での治療をおすすめします。
腕ニキビは、一般皮膚科と美容皮膚科の両方で治療が可能です。大きな違いは、一般皮膚科は保険診療で受けられること、美容皮膚科は自由診療になることです。
腕ニキビを治すだけなら一般皮膚科、腕をきれいに治療するなら美容皮膚科と分けて考えるといいでしょう。
4-1.一般皮膚科での治療方法
保険診療が可能な一般皮膚科では「ニキビ治療のガイドライン」に基づいて治療されます。
コメドの段階から赤く炎症を起こしたニキビまで対応でき、現在では保険診療でも多くの治療薬を使用できるようになりました。
受診の流れ
主な受診の流れは以下の通りです。
- 問診:いつから、症状、アレルギーの有無など
- 診察:現在の症状を確認
- 検査(必要に応じて)
- 治療、薬の説明:薬の使い方や使用回数の説明
- 処方
検査をおこなう場合は、ニキビに見えるがマラセチア毛包炎や他の皮膚病がないかなど、必要に応じておこないます。
腕や背中、胸などは、アクネ菌ではなくマラセチア菌によるものも多いため、腕ニキビや背中ニキビで受診するときは、検査を受けることも想定しておくといいでしょう。
皮膚科で処方されるニキビ治療薬
皮膚科では、軽症であれば主に塗り薬を処方、中〜重度の場合は、外用薬+内服薬が処方されることがあります。
3種類の外用薬と漢方を含む内服薬の一例をご紹介します。
1.抗生剤:抗菌作用、ニキビの炎症や赤みを抑える効果があります。
- ダラシン
- アクアチム
- ゼビアックス
2.過酸化ベンゾイル:毛穴詰まりを解消するピーリング効果があります。
- ペピオ
- デュアック
- エピデュオ
3.アダパレン:毛穴詰まりを解消し、抗炎症作用があります。
- ディフェリン
- エピデュオ
4.内服薬:皮膚科で処方される内服薬には、抗生剤や漢方薬があります。
- ミノマイシン
- ヒブラマイシン
- ルリッド
- フォロム
- 漢方薬:十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
- 漢方薬:柴苓湯(サイレイトウ)
4-2.美容皮膚科での治療方法
一般皮膚科ではニキビを治すための治療をおこないますが、腕のニキビ跡や毛孔性苔癬には、美容皮膚科での治療が必要になるケースも少なくありません。
腕のニキビに効果的な美容皮膚科での治療法も合わせてお伝えします。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を腕に塗布し、古い角質を取り除く施術です。ニキビと同時にニキビ跡やブツブツした毛穴の改善におすすめの治療になります。
毛孔性苔癬の治療にもケミカルピーリングの施術がおこなわれます。
肌のターンオーバーを促し、新しい細胞が下から押し上げられることで美しいなめらかな肌を目指せます。
フラクショナルレーザー
ニキビ跡の赤みや凹凸、毛穴目立ちを改善させるのに効果的なのがフラクショナルレーザーです。
フラクショナルレーザーは、肌に微細なレーザーを点上照射し、真皮の弾力繊維に働きかける治療法です。
5.まとめ
腕ニキビで大切なのは、原因を特定して予防をすることです。普段の生活習慣やうるおい不足が原因になっているケースは、そのまま対処法へシフトして腕ニキビを作らせないようにしましょう。
今出ているニキビを早く治したい場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
保険診療では、ニキビ跡の治療はできないため、きれいに治すには美容皮膚科も視野に入れると悩み解消につながります。
肌質に合わせた保湿ケアや生活習慣を整えながら、美しい二の腕を手に入れておしゃれを楽しんでくださいね。
- 肌トラブル大全/小林智子著/P83、P87/WAVE出版