展示会と見本市の違い - 月刊イベントマーケティング 展示会・イベント・MICEの総合サイト
見本市と展示会の違い

見本市展示会の違い

東京ビッグサイトやインテックス大阪など、大きな会場にさまざまな企業がブースを構えて、そこに新商品やサービスを置いて、商品説明をしたり、カタログを渡したり、商談をしたりするイベントのことをなんと呼んでいますか?

「〇〇の展示会」と言うことが多いと思いますが、ときどき「見本市」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。

この展示会と見本市は、なにがどう違うのでしょうか?

 

見せるのが展示会、売るのが見本市

言葉の意味から違いを考えてみましょう。
展示会という言葉のそれぞれの意味を見てみると、

展示会の意味
“展” 広げる、並べること
“示” わかるように見せること
“会” 出会うこと集まること

ということで。“人が集まる場所で、多くのものをわかりやすく並べて見せる”という意味になります。

見本市の意味
“見本” 商品全体の質を見るために、1つ取り出してみること
“市” 大勢が集まって売買すること

このままですと、サンプルを売買する感じになってしまいますが、見本を見て品質を判断し、大量ロットの注文をする場。と解釈できると思います。

言葉の意味からいうと、展示会は販促や認知向上が主眼で、見本市は商談が目的ということになりそうです。
では、海外ではどうなのか、英語で見本市展示会はどう呼ぶのでしょうか。

見本市を英語でいうとトレードショー(Trade Show)となり、Trade(商取引)という言葉がつくように、ビジネスの場という印象をうけます。

展示会エグジビションExhibition)となります。練習試合をお客さんの前でやることをエキシビジョンマッチともいうように、見せるという意味あいが強いようです。Exhibitの語源も、持っているものを出すという意味のようです。

英語でもTrade show=見本市は、商談の場。Exhibition=展示会

ちなみに、展示会見本市)大国のドイツ語では見本市をメッセ(Messe)展示会をオウスステロング(Ausstellung)というそうです。幕張メッセなど、日本の展示会場でメッセがつく会場は多いですよね。

ちなみにISO(国際標準化機構)のISO 25639-1 Exhibitions, shows, fairs and conventionsの用語版に展示会の定義が載っています。
原典を参照したいかたはこちらで12,584円(税込)で日本語訳のものも購入できます。英語版もほぼ同額です。
経済産業省さんの資料だと「商品・サービス・情報などを展示、宣伝するためのイベント(ただし、フリーマーケットや路上販売は含まない) 」と定義づけられています。

 

海外は見本市、日本は展示会

冒頭に展示会ということが多く、見本市ということもある。と表現しました、

言葉の意味から考えると日本の大規模会場で行われているビジネスイベントは、販売促進プロモーションの展示会より、商談を行う見本市の方が実態に近い気がします。少なくても、イベントの名前を決める主催者の視点で考えると、「販売促進とか知名度向上」よりも、「売れます」の方が、顧客である出展社をたくさん集められるのではと思ってしまいます。

しかし展示会という名称の方が多いのはなぜでしょうか?

展示会という呼び方をしている会社と見本市と呼んでいる会社をみてみると

海外の展示会企業は見本市と呼び、日本の会社は展示会という言葉を使うことが多いようです。例えばフランス見本市協会は、名前に見本市と入っていますし、ドイツ系のメッセフランクフルトジャパンは自社ウェブサイトで、国際見本市主催会社としています。日本法人ですと日本能率協会や日経新聞社など展示会という名称が多くなっています。(日本企業のビジネスガイド社は双方を使用しているようですが)。JETROでは部署名は展示事業部ですが、海外見本市と国内外で使いわけているようです。

 

見本市は古く、展示会は新しい?

なぜ、日本企業は展示会と呼び、海外企業は見本市と呼ぶことが多いのでしょうか?

実は明確な答えがあるのではないのですが、月刊イベントマーケティングでは3つの仮説をたてています。

  • 日本の展示会は博覧会発祥でBtoCが多かった
  • 業界団体主催の展示会が多かったから
  • 見本市という言葉より展示会の方が新しく感じる

1つずつ見ていきましょう。

1)日本の展示会は博覧会発祥でBtoCが多かった


1877年に第1回内国勧業博覧会が開催され、東京や大阪などの自治体主催や、新聞・鉄道会社も博覧会を実施していたそうです。1954年に大阪、翌年に東京で国際見本市が開催されたのですが、一般的には大阪万博の開催や1980年代からの地方博ブームなどBtoCである博覧会の方が認知度が高かったようです。博覧会も展示会も英語でいえばExhibitionですし、商品を発表すること、見てもらって体験する展示会という役割が中心だったと考えられます。

2)業界団体主催の展示会が多かったから

1949年にビジネスショーが事務機械の展示会として初開催され、その後オーディオ、自動車、冷凍空調、金物、工作機械と、次々に業種ごとの見本市展示会が開催されるようになりました。

業界の企業を多く加盟する業界団体が展示会の主催者になることが多かったのですが、業界団体の大手企業どうしが並んでいるところで、具体的な商談をするのが好まれなかったり、展示会後に営業マンが顧客を訪問して商談を進めるという日本の商慣習もあり、会場では新製品の発表やプレゼンテーションを行う展示会のスタイルが適していたということがあげられます。(マーケティング的にいうと、リードジェネレーションだけ展示会で行う方法)

しかし、景気停滞期になると、業界のお祭りで費用対効果が合わないという声や、広報・広告費ではなく、営業経費として出展費用を投資と考えた方がよい、という意見もあり、近年は業界団体の多くの展示会が商談につながるビジネス機会創出の企画づくりを推進しています。

 

3見本市という言葉より展示会の方が新しく感じる

これは、あまり根拠のない話ですが、もしかしたら深層心理にあるかもしれません。

東京ビッグサイトの前の大規模会場は、1959年に開業した東京国際見本市会場(通称:晴海)と呼ばれていました。また会場運営とイベントを主催する会社は東京国際見本市協会という名称でした。

ガラクタ市とか古本市というように、市という言葉が小規模で少し古いスタイルのイベントというような語感を帯びてきたのかもしれません。1996年に開業した東京ビッグサイトの正式名称は東京国際展示会場です。

一般の人が見本市ではなく、展示会という言葉を使うのは、会場で商談をしないぞ、という決意というより、展示会の方がスマートだというのが理由なのかもしれません。

 

結局、展示会なのか見本市なのか

多くの展示会出展社は、会場で製品のプロモーションやプレゼンテーションを行いますし、商談できる段階の来場者が来れば、その場で商談しています。商談がダメな展示会はないですし、プレゼンテーション禁止の見本市もありません。そのため展示会見本市というコンセプトを厳密にわける必要はないと思います。展示商談会という名称を使い、ビジネスの場であることを強調する場合もあります。

ただし、現在新型コロナウイルス等の影響でオンライン化、ハイブリッド化が進んでいます。この場合オンラインでできること(商品情報の提供)と、リアルでないとできないこと(実機体験や対面での商談)がありますので、プロモーション重視か商談重視なのか、出展の目標を明確にして、リアルの場でなにをするかをきちんと設計して参加イベントを選び、出展準備をすることが必要になるでしょう。

展示会ですと、美術品の展示会とかファッションブランドのプライベートショーとかも該当するので、
複数の企業が集まって、製品・サービスの展示商談を行う2~4日くらいのイベントを定義する言葉だと便利かなと個人的には思います。

まったく余談ですが、公開試合はエキシビションで展示会はエグジビションと、同じExhibitionの単語の日本語表記が異なるのはなぜでしょうね?

 

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