国鉄から続く伝統ある制度がまた一つなくなりつつあります。酒を吞みながらお別れしようではありませんか。
制度の全体像は過去の記事を読んでいただくとして、移行期間の特急券について考えてみます。
まずは規定のおさらいから。
営業規則の乗り継ぎ割引制度を確認します。
(乗継急行券の発売)
第57条の2
旅客が、急行列車相互間に乗継ぎをする場合で、次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は、第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし、設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については、割引の取扱いをしない。
(1)次に掲げる急行列車相互間について、それぞれに定める乗継駅において直接乗継ぎをする場合(同一の急行列車を先乗列車及び後乗列車として直接乗継ぎをする場合を含む。)
急行列車 乗継駅 新幹線の特別急行列車
○その他の各線区の急行列車
ただし、次に掲げる急行列車を除く。
イ 奥羽本線を経由する急行列車(新青森・青森間のみを乗車する場合に限る。)
ロ 特別急行列車踊り子号
ハ 特別急行列車サフィール踊り子号
ニ 特別急行列車湘南号
ホ 特別急行列車WEST EXPRESS銀河号東海道本線(新幹線)中新横浜・新大阪間各駅、山陽本線(新幹線)中新神戸・相生間各駅、新青森駅、長岡駅、新潟駅、長野駅、金沢駅、新函館北斗駅、大阪駅(新大阪駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る。)、直江津駅(上越妙高駅に直通して運転する急行列車に乗車し、上越妙高駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る。)又は津幡駅(金沢駅に直通して運転する急行列車に乗車し、金沢駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る。)
柱書を見ると、1~3号の各号に該当するときとあります。本当は誤読防止のため「次の各号のすべてに該当するとき」とするのが望ましいですが、まあいいでしょう。
まず1号です。
ここからは、①新幹線と新幹線以外の急行列車の乗り継ぎ(イからホの例外はある)と、②乗継駅が指定されているという二つの要件が出てきます。
次に2号です。
(2)乗継ぎをする後乗列車の乗車日が先乗列車の乗車日の当日又は翌日である場合。ただし、前号の場合で、新幹線の特別急行列車を先乗列車とするときは、後乗列車の乗車日が先乗列車の乗車日の当日である場合に限る。
ここからは、新幹線が後なら当日か翌日、新幹線が先なら当日に限ることがわかります。
最後に3号です。
(3)当該乗車に必要な乗車券及び急行券を同時に購入し、又は当該乗車に必要な乗車券を呈示して、先乗列車及び後乗列車の急行券を同時に購入し、これに相当の証明を受けた場合。
これはだいぶ崩れていますが、本来はこれが条件であり、むかしは乗車券にも「乗継」のハンコが押されていました。いまでは京都丹後鉄道かJR四国の券売機ぐらいしか見ることができません。
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ところで、3/15に在来線特急列車に乗り、翌日の3/16に新幹線に乗り継ぐ場合が気になりませんか。
その答えはここからは出てきません。
JRの改正に係る告知を確認します。
旅客営業規則の一部を次のように改正し、2024 年3月 16 日乗車となるものから施行します。ただし、第 130 条第1項⑵イ及びハ、並びに第 280 条に係る改正規定は、2024 年3月 16 日から施行します。なお、第 57 条の2第1号の現行規定は、○印の急行列車が 2024 年3月 16 日乗車となる場合これを適用しません。
(中略)
現行 57条の2
改正 削除
ポイントは次の文言です。
「2024 年3月 16 日乗車となるものから施行します」
但し書きは別の規定に関してなので、3/16日に乗車するものは乗り継ぎ割引にならないことがわかります。
この乗車とは在来線の列車を指すのか、新幹線まで含めるのかが争点ですね。57条の2の柱書をよく読んでみましょう。「○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する」とありますので、この規定は、割引される方の急行券や特急券に関する規定であって、割引根拠となる新幹線の特急券に関するものではないのです。
だから、3/15乗車の在来線特急と3/16乗車の新幹線を乗り継ぐ場合は適用されます。
実際に発売もされています。
(2024/3/13補足)2月ぐらいは、新幹線の未開業区間を割引根拠とする乗継割引は適用不可であるような解釈がなされていましたが、現在はJR各社とも公式に適用できるという見解をとっていますので、窓口で断られたら、本社や支社に確認をとるように促してみてください。すでに割引不適用の特急券を購入してしまった方は、2枚そろえて提出すれば、再発券をして返金してもらえると思います。
では、なお書きの方はどういう意味でしょうか。
「第 57 条の2第1号の現行規定は、○印の急行列車が 2024 年3月 16 日乗車となる場合これを適用しません」
これは、0を過ぎる「しらさぎ65」を意図しているのかもしれません。あの列車は芦原温泉から3/16になるので、金沢で乗り継ぎする方向けの説明なのでしょう。
この点については営業規則の21条が想起されます。
(乗車券類の発売日)
第21条
乗車券類は、発売当日から有効となるものを発売する。ただし、次の各号に掲げる乗車券類は、当該各号に定めるところによって発売する。(1)~(4) 略
(4)指定券
当該列車(未指定特急券にあっては、指定した乗車日の列車群のうち、始発駅を最も早く出発する列車)が始発駅を出発する日の1箇月前の日の10時から発売する。ただし、立席特急券については、別に定める日から発売する。
サンライズとかは、始発駅基準にしてもらわないと公平ではないですからね。この規定との混乱を避けるための説明といえます。
だから、しらさぎ65号に限っては逆転現象がおきるので、芦原温泉で乗るとしても、福井からのきっぷを購入した方がいいわけです。
●福井→金沢
自由席特急券 600円 乗車券990円 計1590円
●芦原温泉→金沢
自由席特急券 1200円 乗車券1340円 計2540円
※厳密には新幹線の特急券や乗車券も同時購入の必要があるので総額での金額差は上記の差額とはずれます。
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本当に最後の乗継割引特急券は何か。
もうお分かりですよね。3/15 しらさぎ65号 福井23:52→金沢0:40です。3/16金沢→福井の特急券とセットで買ったら面白いでしょう。
ちなみにサンライズ出雲・瀬戸で乗り継ぎ割引特急券にしようとした場合、熱海発 23:23、姫路発23:33となりますので、しらさぎの方が後ですね。