ISO/TC159の活動と組織 | JES 一般社団法人 日本人間工学会 -Japan Ergonomics Society-
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人間工学規格

ISO/TC159の活動と組織

ISO/TC159およびJENCの組織構成

国際標準化機構 (ISO:International organization for standardization)は、電気分野を除く様々な重要技術分野において国際的な標準化や規格策定を推進するために1947年に設立された機関です。この機構の中の人間工学を扱う専門委員会(TC:Technical committee)がTC159です。

ISO/TC159は1974年に設置され、日本は1986年から議決権・投票権を持つPメンバーとなりました。それにともない、日本人間工学会は日本工業標準調査会 (JISC: Japanese Industrial Standards Committee)からTC159の国内審議団体としての委託を受けました。TC159国内対策委員会 (JENC:Japan Ergonomics National Committee)は、この規格審議活動をより円滑に推進するために学会の中に設置された組織です。

現在のISO/TC159およびJENCの構成は図1 に示したとおりです。TC159傘下には4つの技術分科会(SC:Sub -committee)、高齢者・障害者対応の作業グループ(WG2)、ならびにアクセシブルデザインに関する諮問グループ(AGAD)が設置されています。これらのうちSC3(人体寸法と生体力学)、WG2、AGADについては日本が幹事国や議長を担当しています。一方、JENC傘下にはこれらTC159の組織に対応する委員会(mirror committee)に加えてJIS分科会も設置し、国際規格にもとづいた国内規格(JIS規格)の策定やJIS規格の国際規格提案等を検討しています。

図1 ISO/TC159とJENCの組織構成
[図1 ISO/TC159とJENCの組織構成]

ISO/TC159国内対策委員会規程について
ISO/TC159国内対策委員会規程については、「学会組織:ASR・情報公開」内、「4.支部・委員会・研究部会・人間工学認定機構規約」-「ISO/TC159国内対策委員会規程類」をご覧ください。

ISO/TC159およびJENCの活動

図2はISO/TC159で扱う領域やその相互の関係を示したものです。TC159で扱う規格の範囲は人間工学的設計の原理・原則等の最も基本的な領域(SC1)、人体寸法や姿勢・動作に関する領域(SC3)、機器操作時の情報の提示や入力に関する領域(SC4)、温熱、照明、騒音等の物理環境の領域(SC5)など、非常に多岐に渡っています。最近では、これらを横断的に貫く規格として、高齢者、障害者配慮を重視したものも検討されています(WG2)。さらに、アクセシブルデザインへ配慮が今後の規格策定に重要であるとの認識から、2007年にはTC159内部にAGADが設置され、規格策定における高齢者、障害者やアクセシブルデザインへの配慮を普及・啓発しています。これらのうち、高齢者、障害者やアクセシブルデザインへの配慮については、日本が世界を先導しております。TC159で扱う規格は生活の中で用いる機器や環境の設計に不可欠であるため、TC159はISOの中の建築、自動車、福祉機器、機械安全等を扱う他のTCとも積極的に情報交換を行っています。

このようなTC159の活動に対応して、JENCにおいても様々な活動を行っています。JENCやその分科会では、TC159関連の国際委員会で提案された規格内容を人間工学の知見や我が国の状況を加味しながら審議するとともに、国際会議に出席して内容の加筆・修正を行う活動に加わっております。また、日本からも積極的に国際規格を提案しています。特に高齢者、障害者やアクセシビリティーに配慮した規格の提案に関しては、経済産業省 の強力な支援を受け、(財)共用品推進機構 とも連携しながら進めております。

一方、JIS分科会では、策定された国際標準のうちの我が国にとって有益なものについて、JIS規格として策定する活動も積極的に行っています。このようなJIS化活動のこれまでの成果は日本規格協会 から発刊されているJISハンドブック の「労働安全・衛生」、「人間工学」、「高齢者・障害者等」等に結集されています。

[図2 ISO/TC159において扱う領域と相互関係]
[図2 ISO/TC159において扱う領域と相互関係]

活動の歴史

【JENC 関連組織設立の歴史】
1947 ISO(国際標準化機構)が設立される。
1974 ISO/TC159(人間工学専門委員会)が設置される。
1986 日本がTC159 のP メンバー(投票権を持つ国)となる。
日本人間工学会が、TC159 国内審議団体として通商産業省工業技術院より委託を受ける。
日本人間工学会内にTC159 国内対策委員会(JENC)を設置する。
2001 日本人間工学会内に人間工学JIS 検討委員会を設置する。
2007 JIS 検討委員会をJENC 委員会分科会として再編成する。

 


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