報道発表資料
環境省外来生物対策室では、アメリカザリガニの対策のために「アメリカザリガニ対策の手引き」、学校教育用教材、普及啓発用動画を作成しました。
今国会に本種を規制対象とするための外来生物法改正案が提出されています。それと並行して、今回公表した資料を活用して、地方公共団体や民間団体、学校などによる各地での本来の水辺の生態系の保全・再生、教育や普及啓発を促進していきます。
背景と資料作成の経緯
アメリカザリガニはとても身近な生き物ですが、近年は水辺の生態系に対して非常に大きな影響を与えていることが明らかになっています。現時点において、外来生物法の特定外来生物には指定されていませんが、対策が急がれています。
アメリカザリガニは生態系被害の影響の大きさから、2015 年3月に環境省及び農林水産省が作成した「生態系被害防止外来種リスト」において、「緊急対策外来種」に位置づけられました。環境省では令和元年より、アメリカザリガニについて、文献情報の整理や聞き取り調査、専門家を交えたアメリカザリガニ対策検討ワーキンググループ(※)の開催などを行っています。また、今国会に本種を外来生物法規制対象とするための外来生物法改正案が提出されています。
このたび、これらの取組の中で得られた最新の科学的知見や専門家等へのヒアリング結果を集約し、アメリカザリガニの対策のために「アメリカザリガニ対策の手引き」、学校教育用教材、普及啓発用動画を作成しました。
※アメリカザリガニ対策検討ワーキンググループ委員(令和3年度時点)
片岡友美 認定 NPO 法人生態工房理事
苅部治紀 神奈川県立生命の星・地球博物館主任学芸員
砂川光朗 日本甲殻類学会会員
高橋清孝 NPO法人シナイモツゴ郷の会理事長
中井克樹 滋賀県立琵琶湖博物館研究部専門学芸員
中田和義 岡山大学学術研究院環境生命科学学域応用生態学分野教授
西川潮 金沢大学環日本海域環境研究センター准教授
藤本泰文 公益財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団主任研究員
侵入前2003年 |
侵入後2009年 |
石川県石川県金沢市のシャープゲンゴロウモドキの生息していた池
植生は消失し、茶色く濁っている。シャープゲンゴロウモドキは絶滅し、他の水生生物もほとんど確認されなくなった。写真提供:西原昇吾氏(中央大学)
作成の狙い
1. アメリカザリガニ対策の手引き
地方公共団体や民間団体などによる各地での本来の水辺の生態系の保全・再生を促進させていくことを目的に作成しました。
2. 学校教育用教材
アメリカザリガニが学校教育の場で使われる場面があること、アメリカザリガニを飼育する方で最も多いのが小学生であることから、学校教育でアメリカザリガニについて学んでもらうための教材を作成しました。
3. 普及啓発用動画
多くの方はアメリカザリガニを身近な生き物という認識であると考えられ、アメリカザリガニが我が国本来の水辺の生態系に非常に大きな影響を与えていることを広く認識いただく必要があることから、一般向けと児童向けの普及啓発用動画を作成しました。
アメリカザリガニ対策関係資料(手引き、教材、動画)の概要
1. アメリカザリガニ対策の手引き
第1章 アメリカザリガニ対策の考え方
アメリカザリガニによる生態系や農業への影響、アメリカザリガニを飼育する場合の基本的な考え方など、防除対策に取り組む前に背景として理解しておきたい基礎情報を整理しています。
第2章 防除実施計画策定の考え方
防除を進めて行くための計画作りにあたっての基本的な考え方、検討すべき事項やその参考となる情報を整理しています。
第3章 効率的な防除の実施
具体的な防除の手法や、捕獲したアメリカザリガニの記録や分析方法について解説しています。
2. 学校教育用教材
- 外来生物問題と親和性の高い教科及び学年と学習・指導のポイント一覧
外来生物問題を取り扱う際に親和性の高い学年・教科を学習指導要領からピックアップし、学校教員が外来生物問題を授業で取り扱う際の指導のポイントや、授業の副教材を作成する際のポイントを整理しています。
- 学校教育教材サンプル(1・2年生用、3・4年生用)
アメリカザリガニを飼育する機会の多い小学校低学年、中学年に対して、教員自身がオリジナルの副教材を作成する際の参考例として、作成しました。そのまま授業や自主学習等で活用いただくことも可能です。
- 教員用ガイド
「学校教育教材サンプル」を用いた授業を行う際の授業の進め方の例などをまとめています。
3. 普及啓発用動画
アメリカザリガニに関する現状と課題、ご協力をお願いしたいことについて、一般向けと児童向けにそれぞれ動画を作成しました。
アメリカザリガニ対策関係資料(手引き、教材、動画)の入手方法
関係資料は以下から入手できますので、自由に御活用ください。
1. 手引き
また、環境省HP「日本の外来種対策」にて公表します。下記のサイト内「減らすことできるの?」の項目を御覧ください。
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/amezari.html
2. 学校教育用教材
環境省HP「日本の外来種対策」の以下のページにて公表します。
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/tool.html
3. 普及啓発用動画
入れない!捨てない!拡げない! STOP!アメリカザリガニ(一般向け)
入れない!捨てない!拡げない! STOP!アメリカザリガニ(児童向け)
また、環境省HP「日本の外来種対策」の以下のページにて公表します。
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/tool.html
連絡先
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室
- 代表03-3581-3351
- 直通03-5521-8344
- 室長大林 圭司(内線 6680)
- 室長補佐水﨑 進介(内線 6681)