環境省_瀬戸内海国立公園_公園の特長
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瀬戸内海国立公園の写真

公園の特長

輝き続ける島と海―自然と暮らしが調和する内海多島海景観―
指定:昭和9年3月16日
面積(陸域のみ):66,934ha
大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県
瀬戸内海国立公園は、昭和9(1934)年に雲仙、霧島とともに日本で最初に国立公園に指定されました。
備讃瀬戸を中心に紀淡・鳴門・関門・豊予の4つの海峡に囲まれた地域のうち、広い海域とそこに点在する島々、それを望む陸地の展望地が公園区域として指定されています。その範囲は1府10県にまたがり、海域を含めると90万haを超え、国内で最も広い国立公園です。
特長は、大小数々の島で構成された内海の多島海景観です。沿岸の陸域にはそれらを眺められる展望地が多数存在します。また、瀬戸内海一帯は早くから文化が栄え、人と自然とが共存してきた地域であり、島々の段々畑や潮待ちの港町など、自然と暮らしが一体となった親しみやすい景観であることも大きな特長の一つになっています。

地形・景観

地形・地質
瀬戸内海を大きくわけると、東から淡路島とその周辺地域、備讃瀬戸とその周辺地域、芸予諸島とその周辺地域、周防灘とその周辺地域の4つの地域に分けられます。
灘や湾と呼ばれる比較的広い海域と、瀬戸や海峡と呼ばれる狭い水路で繋がった複雑な構造をしており、外洋から隔たった内海は、潮の干満差が大きく、潮流が速いことでも知られています。
蓬莱峡のバッドランド(兵庫県西宮市)の写真

蓬莱峡のバッドランド(兵庫県西宮市)

古生代から新生代まで多様な地質が分布していますが、多くは花崗岩です。六甲山麓にある蓬莱峡には風化・浸食されやすい花崗岩が形成する「バッドランド」という特異な地形が見られます。
屋島(香川県高松市)の写真

屋島(香川県高松市)

また、瀬戸内火山岩類と呼ばれる火山噴出岩の地域では、卓状台地で知られる屋島、集塊岩の奇岩や奇峯が見られる小豆島の寒霞渓などの景勝地があり、姫島では溶岩ドームや火口跡、貴重な白乳色の黒曜石などが見られます。
寒霞渓(香川県小豆島町)の写真

寒霞渓(香川県小豆島町)

竜王山から望む芸予諸島(広島県三原市)の写真

竜王山から望む芸予諸島(広島県三原市)

多島海景観
穏やかな海に点在する島々は、海岸からの眺め、航行する船から次々に現れる島々の眺め、または沿岸にある展望地からの眺めなど、角度や位置の違いによって様々な多島海景観として眺望できます。また、四季や朝焼け・夕焼けなど時間の変化によっても様々な表情が観られます。
竜王山から望む芸予諸島(広島県三原市)の写真

鳴門の渦潮(徳島県鳴門市)

穏やかな瀬戸内海にも、海峡や複雑な海底地形、潮の干満差によって潮流の速い海域があります。特に鳴門海峡や船折瀬戸、音戸の瀬戸は有名です。鳴門海峡や船折瀬戸では潮流体験船が出航します。
鹿島の集落と段々畑(広島県呉市)の写真

鹿島の集落と段々畑(広島県呉市)

人文景観
古くから海上交通の要衝として栄え、穏やかな気候もあり、多くの人が暮らしてきました。このため、古い港町や神社仏閣、斜面を利用した段々畑など、人の営みが自然に調和した風景が特徴的です。
弓削島の法王ヶ原の白砂青松(愛媛県上島町)の写真

弓削島の法王ヶ原の白砂青松(愛媛県上島町)

慶野松原、渋川海岸、津田の松原、桂浜、唐子浜など花崗岩が風化されてできた白砂と主に防風、防砂のために植えられたマツ林が美しい「白砂青松」の海岸も人文景観の一つです。

植物

沿岸地域の植生は、アカマツ、コナラ、ツツジ類などからなる二次林が大部分を占めています。
コバノミツバツツジの写真

コバノミツバツツジ

しかし、海岸沿いの崖地のウバメガシ林、シイ・カシ類が優占する社叢林、弥山の針広混交林など、貴重な自然植生も各地に残っています。
また、砂浜の海岸では、耐塩性のハマゴウやスナビキソウ、ハマボウなどの海浜植物がみられ、塩性湿地にはチャボイなど希少な植物もみられます。
ウバメガシの純林の写真

ウバメガシの純林

動物

瀬戸内海には、干潟や藻場、磯や潮汐湿地など、海域を中心とする多様な生態系が存在し、希少な生き物が生息しています。なかでも温暖な浅海域に生息するスナメリや「生きた化石」といわれ波の穏やかな内湾の干潟に生息するカブトガニ、国内では宮島のみに生息するミヤジマトンボなど希少な生き物が生息しています。
スナメリの写真

スナメリ

また、ミヤジマトンボが生息する湧水と海水が入り交じる潮汐湿地を含む宮島南西部一帯が平成24(2012)年、「国際的に重要な湿地」としてラムサール条約に登録されたほか、屋代島沖には国内最大規模のニホンアワサンゴの群生地が確認され、藻場とともに平成25(2013)年瀬戸内海で初めての海域公園地区に指定されました。

文化

鞆の浦の古い町並み(広島県福山市)の写真

鞆の浦の古い町並み(広島県福山市)

交易の栄えた瀬戸内航路と今も残る港町
瀬戸内海は古来より国内外を結ぶ海上交通の大動脈でした。江戸時代には瀬戸内海航路が整備され、北前船や朝鮮通信使などが国内外から来航し、潮待ち・風待ちの港町が繁栄しました。今でも牛窓・下津井・鞆の浦・尾道・御手洗・室積などの歴史情緒ある町並みが各地で見られます。
能島と潮流体験船(愛媛県今治市)の写真

能島と潮流体験船(愛媛県今治市)

また、瀬戸内海は複雑な潮流と地形であるため、操船に長けた塩飽水夫や村上水軍が活躍し、その拠点には数多くの遺構が残されています。
宮島の嚴島神社(広島県廿日市市)の写真

宮島の嚴島神社(広島県廿日市市)

人と自然が創出する文化
早くから繁栄していた瀬戸内海地域では、古くは万葉集や古事記、太平記などの随所に名所が記されています。
また、源平合戦や寺社参拝などを背景とした数多くの建造物や史跡があり、島嶼部では伝統的な祭事や風習が今もなお残っています。