環境省_三陸復興国立公園_公園の特長
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三陸復興国立公園の写真

公園の特長

自然の恵みと脅威、人と自然との共生により育まれてきた暮らしと文化が感じられる国立公園
指定:昭和30年5月2日(陸中海岸国立公園として指定)/ 平成25年5月24日(区域を拡張し、三陸復興国立公園として指定)
面積(陸域のみ):28,539ha
青森県、岩手県、宮城県
三陸復興国立公園は、東日本大震災により被災した三陸地域の復興に貢献するために、平成25年5月に創設された国立公園です。
南北の延長は約250km、北部は「海のアルプス」とも称される豪壮な大断崖、南部は入り組んだ地形が優美なリアス海岸が続きます。海岸にはウミネコやオオミズナギドリなどの海鳥の繁殖地があります。また、海岸の独特の環境に適応した多様な海岸植物が生育しており、野生生物を間近に観察することもできます。浅海域にはアマモ場や海藻藻場が形成され、海洋の生物多様性を支える場にもなっています。
八戸・宮古・釜石・大船渡・気仙沼など日本有数の水揚げを誇る漁港を有しており、新鮮な海の幸を味わうことができるのも魅力です。災害からの復興を目的のひとつとした、国内では前例のない国立公園であり、防災教育の学習を目的とした人々も全国から訪れています。

地形・景観

葦毛崎展望台から見た種差海岸の写真

葦毛崎展望台から見た種差海岸

大須賀海岸の写真

大須賀海岸

種差・階上海岸、階上岳の地形
奇岩が散在する岩礁海岸と広い砂浜が入り混じり、海成段丘の段丘面が海岸に迫っている場所では海食崖が形成されています。階上岳では花崗閃緑岩の露頭が見られます。
鵜の巣断崖の写真

鵜の巣断崖

侍浜の写真

侍浜

陸中海岸北部の地形
主に海食崖と段丘面の海成段丘からなり、海食崖は高さ50~200mにも達します。海食崖、海食洞、海食棚、岩礁など地形変化に富み、海鳥の繁殖地にもなっています。
栃内浜の礫浜、海浜植生と海食海岸の写真

栃内浜の礫浜、海浜植生と海食海岸

岩井崎の石灰岩と潮吹穴の写真

岩井崎の石灰岩と潮吹穴

陸中海岸南部の地形
湾頭部の突端などに海食崖を伴う典型的なリアス海岸となっています。複雑に入り組んだ海岸線の中に内湾が形成され、岩礁海岸の他、小さな砂(礫)浜も見られます。
羅賀海岸の地層(明戸層・平井賀層の露頭)の写真

羅賀海岸の地層(明戸層・平井賀層の露頭)

地質
地質は主として北上山地の骨格を形成する秩父古生層と、これに貫入した火成岩が中心で、部分的に白亜紀層や第三紀層も分布しています。これら多種類の岩石が海食作用に異なる反応をみせ、海岸線は多様な地形を呈しています。北部の白亜紀層の地層からは多数の化石が見つかっており、特に羅賀海岸は日本の代表的白亜紀化石を産する海岸として学術的にも貴重です。茂師地区では恐竜(モシリュウ)の化石も見つかっています。久慈市周辺では琥珀を産し、装飾品や香料として利用されてきました。

植物

種差・階上海岸、階上岳(八戸市~階上町) の沿岸部に発達する海岸植物群落が主体となっており、草原やお花畑が特徴的な地域です。崖地、砂丘、シバ地、塩生湿地など変化に富む海岸線に応じて多様な植物が生育しています。種差海岸のお花畑にはニッコウキスゲなどの野草の花が咲き乱れ、海岸沿いの塩生湿地には耐塩性の高い特異な植物が生育しています。 階上岳は落葉広葉樹林・スギ植林地が主体で、高標高部にはシバ草原やヤマツツジの群生が見られます。
陸中海岸(久慈市~気仙沼市) は、海岸に生育するアカマツが主体となっており、海岸線に応じて崖地植生や砂丘植生が発達しています。北山崎のシロバナシャクナゲ群落や船越大島のタブ原生林など、局所的に貴重な植生が見られます。
種差海岸のお花畑の写真

種差海岸のお花畑

海岸沿いの塩生湿地の写真

海岸沿いの塩生湿地

海域は、ホンダワラ、アオサをはじめとした海藻類が優先する藻場やアマモ類からなるアマモ場が形成され、海洋生物の生息場となっています。
岩場に咲くスカシユリの写真

岩場に咲くスカシユリ

海藻が生い茂る岩礁海岸の写真

海藻が生い茂る岩礁海岸

動物

特に海鳥の繁殖地として重要な地域であり、日出島・三貫島はクロコシジロウミツバメの国内唯一の繁殖地で、海鳥以外にもハヤブサ、ミサゴなどの猛禽類が生息しています。
海域にはアイナメ、ソイやウニ、アワビなど、水産資源としても重要な生物が生息しています。
ウミネコの写真

ウミネコ

文化

ワカメの収穫風景(気仙沼大島)の写真
産業景観
沿岸には漁港が多数あり、展望地から望む海上には定置網が設置され、漁船の往来が目に入ります。特にリアス海岸となっている公園南部の湾内には、カキ、ホタテなどの養殖筏やワカメなどの養殖ブイが多数浮かべられ、典型的な漁業地域の風景を呈しています。
種差芝生地の写真
また、種差海岸には、馬の放牧などの人為的影響によって維持されてきた広大なシバ草原が広がっています。
行事・風習
新造船に魂を入れる造船儀礼の儀式、大漁祈願のお守り「山オコゼ」、海上で山の見え方から現在地を知る「山アテ」といった、海や山に関連する風習の記録があります。また、秋田のなまはげに似た「スネカ」や民俗芸能の「黒森神楽」などの伝統行事もあります。