小笠原諸島は、海洋プレート同士がぶつかり合い、島が誕生し成長してきた過程を観察できる貴重な場所です。
小笠原諸島の形成
約4,800万年前、プレートのすぐ下で発生した火山活動により、父島・聟島列島ができました
約4,400万年前には、より深い場所で発生した火山活動により母島列島ができました。
プレートの沈み込みはさらに進行し、現在も活動している火山列島が生まれました。
ボニナイトを含む枕状溶岩
南島周辺の沈水カルスト
小笠原では過去の海底火山活動で発生したマグマが冷え固まってできた「枕状溶岩」や小笠原の洋名ボニンアイランズから命名された溶岩である「ボニナイト」をはじめ、ボニナイトに含まれる固い鉱物でできた「うぐいす砂」や、石灰岩が浸食や風化を受けてできたカルスト地形が海に沈んだ「沈水カルスト」など、世界的にも珍しい地形・地質を見ることができます。
乾性低木林(兄島)
景観と生態系
父島や兄島では、「乾性低木林」と呼ばれる背の低い林がたくさん広がっています。乾性低木林は、父島や兄島の乾燥した気候に合わせて、葉の形を変えるなどの進化をした固有の植物たちが生育しています。
湿性高木林で見られる木性シダ(石門)
一方、母島では「湿性高木林」と呼ばれる、湿度が高く雨の多い環境を好む背の高い森林が広がっています。
小笠原のような「海洋島」は、生きものが陸を通って移り住むことができないため、空や海を越えることのできた限られた生きものだけが島にたどり着きました。そして、島の環境に合ったものが生き残り、さらに適したものへと独自に進化してきました。
こうして独自の進化を遂げた結果、小さな島の中に世界でもここにしかいない固有の生きものが数多く生息・生育しています。在来種に占める固有種の割合は、植物(維管束植物)で36%、昆虫類で28%、陸産貝類では94%にもなります。