種の保存法とは
譲渡し等の規制及び手続きについて
国内希少野生動植物種と国際希少野生動植物種に指定されている種については、取引と取引につながる販売・頒布目的の陳列・広告は原則として禁止されています。
この規制は、本来、野生動植物種は野生の状態で保存されるべきものですが、学術研究等の目的でやむを得ず捕獲等が認められた個体等や、種の保存法の規制対象前に捕獲等や輸入によって取得された個体等についての移動状況を把握し、譲り受ける者が適切に管理できるかどうか確認する目的があります。また商業的な流通を禁止することで、違法な捕獲等や輸入の要因を減らし、違法捕獲等の個体等が市場で流通することを抑制することも目的としています。
取引規制の概要
種の保存法の取引規制には以下の2つのポイントがあります。
希少種の取引を原則禁止しています。
取引とは、譲渡し等(あげる、売る、貸す、もらう、買う、借りる)を指します。また、取引につながる販売・頒布目的の陳列・広告も規制対象です。
また、「希少種」とは、種の保存法で定める種(希少野生動植物種)で、これらの種は、主に国内に生息する「国内希少野生動植物種」(タガメ、ハヤブサなど。以下国内種と記載)と、主に国外に生息する「国際希少種野生動植物種」(トラ、ライオンなど。以下国際種と記載)の二つに分類されます。
希少種は、生きている個体のほか、死体やその加工品(剥製など)も規制対象となります。植物であれば種、鳥類や爬虫類などであれば卵も含まれます。
また、一部の種については、器官(個体の一部。毛、皮、爪、牙など)やその加工品(毛皮のコートや、牙を使ったアクセサリーなど)についても規制の対象となります。
取引規制には、いくつかの例外があります。
種の保存に資する目的の場合、国内種・国際種問わず全ての希少種について、「環境大臣の許可」を取得することで、上記の譲渡し等が可能になります。これは、例えば学術研究や動物園における繁殖目的の譲渡し等などを目的とする譲渡し等について、特別に許可をするものです。
また、一部の国際種については、「登録」をしていただくことにより、上述の取引等が可能になる場合があります。この登録制度により、一部の国際種については、ペットやアクセサリーなどの形で、私的・商業的な譲渡し等が可能になります。
その他、大学等の譲渡し等の届出や事業者等の届出制度や登録制度などがあります。
希少種の区分や個体等、規制対象の詳細
詳細については以下をご参照ください。
希少野生動植物種について
希少種野生動植物種は、国内種、国際種および緊急指定種があります。種の保存法施行令別表で定められており、国内種は別表第一、国際種は別表第二に掲げられています。さらにそれぞれ表一、表二に分かれます。また、国内種には、特定第一種国内希少種野生動植物種(別表第三)と特定第二種国内希少種野生動植物種(別表第四)に指定されているものがあります。緊急指定種は国内種及び国際種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときに、個別に指定され、その期間は最長3年です。
個体等について
希少野生動植物種の状態の総称を「個体等」と定義しています。個体等には、個体(卵及び種子を含みます。生死は問いません)、器官、そしてこれらの加工品に区分されます(つまり加工品は、個体の加工品、器官の加工品に分かれます)。
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個体(卵及び種子は除く。生死は問わない)及びその加工品(=剥製、標本)。
すべての国内種・国際種が対象 -
卵及び種子(生死は問わない)及びその加工品
卵:国内種の鳥綱、爬虫綱、両生綱及び昆虫綱(一部除く)の卵、国際種の鳥綱の卵
種子:国内種および国際種のうち植物界(一部除く)に属するものの種子
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器官及びその加工品
どのような種について、どのような器官やその加工品が対象となるか、それぞれ政令(種の保存法施行令 別表第五)で定めています。加工品は、さらに環境省令(種の保存法施行規則)で詳細を定めているものがあります。器官 毛、皮、つめ、羽毛など、政令で定めるもの。
対象種は、概ね科単位で指定。
(例えば、うし科は毛、皮、角が指定されている。)器官の加工品 毛皮製品、羽毛製品など、政令及び環境省令で定めるもの。
対象種は、概ね科単位で指定。
(例えば、うし科は毛皮製品、皮革製品、角製品が指定されている)
個体は法6条第2項第4号に規定され、すべての国内種および国際種が対象 自然の状態においてその種が通常備えている外形的、生理的構造を有する有機体の全体(生死は問わない)を指す。卵及び種子を含む。卵は、国内種の鳥綱、爬虫綱、両生綱及び昆虫綱(一部除く)の卵と、国際種の鳥綱の卵が規制対象。種子は、国内種および国際種のうち植物界に属するものの種子が規制対象。
器官は法6条第2項第4号、施行令第6条より別表第五に規定され、一部の国内種および国際種が対象。個体の部分及び派生物。毛皮、牙、羽毛など、政令で定めるもの。
加工品は法6条第2項第4号、施行令第4条より別表第五に規定され、法20条第2項第3号による個体の加工品は、個体を主たる原材料とする製品で、はく製や標本。器官の加工品は器官を主たる原材料とする製品及び作成過程の加工品を含み、毛皮製品、牙を材料とした印章など、政令で定めるもの。
規制対象一覧
種の保存法における規制対象(対象となる種、個体等の区分等)について、種の保存法施行令別表第一~第七を一元化した一覧表を作成しています。こちらのページの「規制対象種一覧・譲渡し等手引き」の欄にあるExcelファイルをご覧ください。
希少野生動植物種と規制の関係
概要 | 陳列・広告 | 譲渡し等 | 指定種の例 | 備考 | ||
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国内希少野生動植物種(別表第一)(注1) | 渡り鳥等保護条約に基づく種の保存法の制定以前における我が国からの通報種(表一) | 禁止 | 原則禁止(注3) | トキ、タンチョウ等 | ||
日本国内の絶滅のおそれのある野生動植物種(表二) | 禁止 | 原則禁止(注3) | イリオモテヤマネコ、クロツラヘラサギ等 | |||
表二のうち | 特定第一種国内希少野生動植物種(別表第三) | 事業届出が必要 | キタダケソウ、アマミデンダ、ハナシノブ等 | 特定国内種事業 | ||
表二のうち | 特定第二種国内希少野生動植物種(別表第四) | 販売・頒布目的で行うものは原則禁止 | タガメ、カワバタモロコ、トウキョウサンショウウオ等 | |||
国際希少野生動植物種(別表第二)(注2) | 渡り鳥等保護条約に基づく通報種(表一) | 禁止 | 原則禁止(注3) | マナヅル、コアジサシ、アカビタイボウシインコ等 | ||
ワシントン条約附属書I掲載種(表二) | 禁止 | 原則禁止(注3) | ジャイアントパンダ、コンゴウインコ、マダガスカルホシガメ、アジアアロワナ等 | |||
表二のうち | 登録を受けた種の個体等 | 登録し、登録票とともに行うことにより可能 | ジャイアントパンダ等同上 | 個体等登録 (本邦内で繁殖させたもの、規制適用日前に取得したもの、条約適用後に適法輸入されたもの、登録対象個体群であるもの等) |
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表二のうち | うみがめ科の甲 | 事業届出が必要 | アオウミガメ、タイマイ等 | 特定国際種事業 | ||
表二のうち | ぞう科の牙及びその加工品(象牙) | 事業登録が必要 | アフリカゾウ、アジアゾウ | 特別国際種事業 |
※注1 施行令別表第一は表一と表二に分かれており、表一は、種の保存法制定以前における渡り鳥等保護条約に基づく我が国からの通報種等が掲載されており、表二は、それ以外の国内希少野生動植物種が掲載されている。
※注2 施行令別表第二は表一と表二に分かれており、表一においては渡り鳥等保護条約等に基づく通報種が掲載されており、表二においてはそれ以外の国際希少野生動植物種(ワシントン条約附属書Ⅰ掲載種のうち、我が国が留保している種を除く)が掲載されている。
※注3 原則禁止となっている行為については、学術研究、繁殖、教育、当該種の生息状況調査その他種の保存に資すると認められる目的で行われる場合、環境大臣の許可を受けて可能となる場合があります。
譲渡し等に係る手続きの要否や種類(許可、届出、個体等登録)の確認に下図をご活用ください。事業者制度については、次項のリンクから詳細をご確認ください。
※ 博物館法に基づく登録博物館、指定施設(旧博物館相当施設)については個別にご確認ください。
※ 希少野生動植物種は一部適用除外があるため一覧をご参照ください。
自然環境研究センターへ登録申請する(A) |
一般財団法人自然環境研究センター 国際希少種管理事業部 直通電話:03-6659-6018 (土日祝日を除く平日10時~17時) ※昼(12時30分~13時30分) 直通FAX:03-6659-6320 |
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譲渡し等不可(B) |
環境省 自然環境局 野生生物課 電話:03-5521-8283 |
譲渡し等をする前に 環境大臣に協議しなければならない(C) |
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譲渡し等をする前に 環境大臣の許可を受けなければならない(D) |
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譲渡し等から30日以内に 環境大臣へ提出する(E) |
譲り渡したい対象物が希少野生動植物でない場合は手続き不要です。
対象物が希少野生動植物で、譲渡し等の目的が公益的な学術研究・繁殖・教育以外の場合、国際希少野生動植物でかつ個体等の登録が可能であれば、自然環境研究センターに登録申請を行います。登録ができない場合は譲渡し等不可となります。詳しくは野生生物課条約法令係までお問い合わせください(電話番号03-5521-8283)。
譲渡し等の目的が学術研究・繁殖(非商業)・教育の場合で、対象物が生きている個体、全身が残っている死体又は全身の剥製の場合、かつ受け取る側が大学で目的が教育又は学術研究の場合は、譲受け又は引取りから30日以内に環境大臣に届出を提出してください。その他の目的の場合は事前に環境大臣に国の機関又は地方公共団体の場合は協議をし、それ以外は許可を得なければなりません。
受け取る側が博物館又は指定施設の場合、死んだ個体等を展示目的で渡す場合は30日以内の届出が必要です。生きている個体については事前に環境大臣に協議又は許可を受ける必要があります。
受け取る側が大学、登録博物館又は指定施設以外の場合、事前に環境大臣に協議又は許可を受ける必要があります。
対象物が生きている個体又は全身が残っている死体か全身の剥製ではない場合、器官に指定されていなければ手続きは不要です。器官が指定されている場合は、対象物が生きている個体又は全身が残っている死体か全身の剥製の場合と同様手続きが必要です。
事業者制度について
各種手続きの詳細や事業者制度について
手続きの種類毎に連絡先や必要書類等が異なります。詳細は下記よりご確認ください。