- 平成13年度環境省請負業務報告書 -
(平成14年3月)
ヒートアイランド対策手法調査検討委員会
社団法人環境情報科学センター
■はじめに 本調査は、平成12年度に実施した「ヒートアイランド現象の実態解析と対策のあり方について」に続くものとして、対策を策定するための方法論と手法について検討したものである。 平成12年度では、ヒートアイランド現象を「熱大気汚染」と位置づけ、アメダスなどの実測データをもとに都市におけるヒートアイランド現象の実態とその影響を東京、仙台、名古屋の各都市を例に解析した。また、数値シミュレーションを利用してその原因といわれる地表面被覆の人工化(緑地や開水面の減少を含む)や冷暖房・自動車排ガス等による人工排熱の増加とヒートアイランド現象の関連性について解析を行った。 本年度は、ヒートアイランド現象が発生、または発生の可能性がある都市において、各地方行政が対策を立案・実践していくために必要な方法論とその手法について検討を加えた。具体的には、第1 章として、「ヒートアイランド現象」の原因について東京23 区を例に検討すると、その第一の要因は地表面被覆のアスファルト化等による人工化、第二は電力やガス、石油等のエネルギー供給による空調機器や自動車の利用に起因する人工排熱の増加で、それぞれ約50%の影響を持つことが推計された。この対策には地表面の緑化や省エネ対策によって、都市全体の熱収支バランスを管理することが必要である。 第2章では都市化の度合(都市環境の変化)によって、その土地が自然のままであった状態に比べて、気温や風の流れが変化する。ドイツではクリマアトラス(気候地図)が作られ都市計画に活用されていることに習って、東京の「都市環境気候図」の作成を試みた。東京23区の8月日最高気温分布を0.5℃等高で、日最低気温分布を0.25℃等高で描くと、ヒートアイランド現象がどの地域で起こっているかその実態が明らかになった。又、港区のケーススタディでは、ヒートアイランド対策に寄与する海風の流れについても試作することに成功した。 第3章では東京23区を区別に分けて、ヒートアイランドの原因となる日平均顕熱・潜熱の排出量を土地被覆、建物、自動車別に算出した結果、千代田区、中央区さらには汐留や六本木の再開発地区での都市排熱量が算定できた。 第4,5章では、地方自治体やデベロッパーがヒートアイランド現象への寄与を容易に算定できる簡易計算法やそのための資料をでき得る限り収集・整理した。 以上、方法論、手法ともに未熟な段階ではあるが、対策の策定手順とそれに必要な手法の全体像を示すことができたと考えているが、今後は、緊急対策としての方法論や都市排熱処理に当たっての自然の山林、河川、海を含めた広域の現象をも考慮したした上で、さらにケーススタディとデータの蓄積を重ね、より完成度の高いものにしていく必要があると考えている。 ヒートアイランド対策手法調査検討委員会委員長 尾島俊雄 |
◎表紙 [PDF(9KB)] | |||
◎はじめに [PDF(12KB)] | |||
◎ヒートアイランド対策手法調査総括委員会委員名簿 [PDF(11KB)] | |||
◎目次 [PDF(9KB)] | |||
■第1章ガイドライン策定に向けた考え方の整理 |
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1-1.対策の基本的な考え方[PDF(33KB)] | P1 | ||
1-2.ヒートアイランド対策の策定の流れ[PDF(84KB)] | P5 | ||
■第2章 都市環境気候図の作成 | |||
2-1.都市環境気候図の作成目的 | P9 | ||
2-2.都市環境気候図の定義 | P9 | ||
・・・ 2-1/2-2[PDF(50KB)] | |||
2-3.都市環境気候図の作成手法の検討[PDF(78KB)] | P12 | ||
2-4.都市環境気候図作成のケーススタディ | P24 | ||
P24~39[PDF(357KB)]/P40~54[PDF(367KB)]/P55~64[PDF(204KB)] P65~76[PDF(441KB)]/P77~78[PDF(478KB)] | |||
2-5.まとめと今後の課題[PDF(13KB)] | P79 | ||
■第3章 数値シミュレーションの適用 | |||
3-1.数値シミュレーションの改良[PDF(68KB)] | P81 | ||
3-2.東京23区への適用 | P83 | ||
P83~92[PDF(422KB)]/
P93~95[PDF(381KB)]/P96~103[PDF(254KB)] P104~106[PDF(381KB)]/P107~111[PDF(214KB)] | |||
3-3.港区への適用[PDF(407KB)] | P112 | ||
3-4.今後の課題[PDF(69KB)] | P125 | ||
■第4章 簡易計算法による予測システムの開発 | |||
4-1.簡易計算法の適用[PDF(36KB)] | P127 | ||
4-2.簡易計算法を利用した予測システム[PDF(98KB)] | P131 | ||
■第5章 対策技術導入効果の評価手法の検討 | |||
5-1.対策技術導入効果の評価手法の検討方針[PDF(158KB)] | P135 | ||
5-2.対策技術の導入効果の評価指標[PDF(191KB)] | P137 | ||
5-3.各対策技術の導入効果評価方法[PDF(260KB)] | P143 | ||
5-4.対策技術の導入評価および対策データ整備における今後の課題 [PDF(155KB)] | P184 |