人間と妖の戦いと愛を描く本作の主人公、狐族の当主である塗山紅紅は、寡黙で無表情だがカリスマ的存在の美女。演じるのは『宮 パレス』から『斛珠〈コクジュ〉夫人～真珠の涙～』までトップ女優街道をひた走るヤン・ミー姉さん（と呼ばせて！）。何千年も生きる狐族のアンチエイジングなヒロイン役に、奇跡のアラフォー、ヤン・ミーはぴったり。そしてもう一人の主人公が、人間の青年・東方月初。かつて多くの狐族をたおした東方家の末裔で、誰もが欲しがる“霊血”の持ち主。そんな彼が少年時代、両親を殺され、紅紅が治める塗山に逃げ込んだのが物語の始まり。紅紅に保護され、成長した月初を演じるのが「山河令」のゴン・ジュン。飼い主を追う大型犬のようなキラキラした目で紅紅を慕い、ツレなくされてもめげない。敵を討つために純質陽炎という技を磨きながら、その炎で鶏を焼いて妖仙姉さん（紅紅）に貢ぐというけなげさ（笑）。紅紅のためなら自分の命も犠牲にしかねない彼と、塗山と妖を守ることを使命とするストイックな生き方をしながら、月初だけには感情がゆれて少女のような顔を見せてしまう紅紅。そんな二人のままならない関係にやきもき！

主演の二人以外も人気スターがクセのあるキャラを演じているのが見どころ。まずは紅紅の妹、塗山三姉妹の次女・雅雅。紅紅に次ぐパワーの持ち主で、お酒大好きな豪快キャラだ。おだてに弱く若干考えなしだが、姉の紅紅を敬慕している。三女の容容は雅雅とは真逆の頭脳派で、お金大好き。塗山の経理担当でさまざまな請求額を一瞬にしてはじき出す。紅紅にも信頼される聡明さがあり、紅紅と月初の思いにも早くから気づいている。雅雅を「蒼蘭訣～エターナル・ラブ～」のグオ・シャオティン、容容を「唐人街探偵－DETECTIVE CHINATOWN－」のフー・リエンシンが演じている。このほか、雅雅とラブコメチックな最悪な出会いをし、恋に落ちる南国の皇子・傲来三少を「大理寺日誌（だいりじにっし）～謎解く少卿（しょうけい）には秘密がある～」のウェイ・ジャーミン、紅紅が縁を結ぶ人と妖の役で、「探偵麗女～恋するシャーロック姫～」のジャン・リンホーやチェン・ヤオ、「清越坊の女たち～当家主母～」のマオ・ズージュンなどが出演している。

紅紅たちの住む塗山は狐族の住む美しい山で、そこにはこの世を安定させる力をもつ苦情樹という霊樹がある。塗山の当主の役割はこの樹と一体化し、妖の縁結びをすることによってその愛で樹と自身のパワーを増強させ、世を安定させるというもの。しかし謎の暗黒の力に浸食されて苦情樹は力を失い始め、樹とつながる紅紅にも影響が出ていた。その裏にはかつて人と妖の間に戦いを起こし、紅紅にたおされた狐族の石姫の影が……。石姫と組んだのは人間界の神火山荘の荘主・金人鳳。東方月初の両親を殺した金人鳳は、月初の霊血も狙っていた。目的のためには手段を選ばず、妖や人を平気で犠牲にする極悪っぷりがそっくりな石姫と金人鳳。互いのことも信用していないこの二人が、妖と人の平和的な共存を目指す紅紅と月初の前に立ちふさがる。

本作の原作は2012年から中国で連載中の人気漫画「狐妖小紅娘（原題）」。15年にアニメ化され、17年には「縁結びの妖狐ちゃん」のタイトルで日本でも放送された。実写ドラマ化が発表されたのは2020年。22年にこの「恋狐妖伝～ファースト・ラブ～」の主演二人の名前とタイトル「狐妖小紅娘‐月紅篇（原題）」が発表される。当初は「月紅篇」「王権篇」の2部作と報じられたが、のちに「竹業篇」も含めた3部作となった。「竹業篇」はリウ・シーシーとワン・ユンロン、「王権篇」はチョン・イーとリー・イートンが主演、2作とも中国で配信が待たれている状態だ。日本でも放送が決まれば、本作を皮切りにシリーズ作品として長く楽しめそう！