こんにちは! 編集者の藤本智士です。みなさんは、自分なりの旅のスタイルってありますか?
僕の旅のスタイルは、決めすぎない旅。事前に調べてここに行こう! というより、行って歩いて、開拓していく感じが好きなんです。
……のはずが、行き当たりばったりな旅を最近していないことに気がつきまして。仕事柄、出張などで地方に行く機会は多いのですが、仕事だとどうしても計画的に行動せざるをえません。
2024年は決めすぎない旅を再開するぞ!
そう思い、行き先に選んだのは沖縄の石垣島でした。
理由は二つ。
一つは単純に、年末の航空券格安セールの「片道7,000円」に惹かれたこと。
もう一つは、『島唄』を歌う宮沢和史さんのインタビュー本『沖縄のことを聞かせてください』を読み返していたタイミングだった、ということです。
この本には石垣島で生まれた具志堅用高さんを始めとする沖縄にまつわるインタビューや語りが収められていて、沖縄のこと、石垣島のことをもっと知りたいという思いが強まっていました。
こうして一月某日、石垣島へと旅立つことに。
これまで沖縄県には何度か行ったことがありましたが、石垣島を訪れるのは初めて。移動にはタクシーを使わず、毎日一万歩以上歩いて食べ続けました。
これから僕の主観が詰まった旅の記録を、話していきます。ぜひ旅の参考にしてみてください。
(しゃべった人:藤本智士/まとめた人:冨田ユウリ)
目次
●やっぱり暑い石垣島。まずは沖縄スイーツで体を涼める。
●涼んだ後は、とにかく歩く!
●地の食べ物・飲み物を堪能できる居酒屋
●島人(しまんちゅ)に愛される、ソウルフードのそば
●モーニングに読書に、旅先で落ち着けるカフェ
●沖縄ならではの、郷土本が揃う書店
●もっとも心を掴まれたのは、なんとメキシコ料理
●ついに最終日。念願の“あの人”とツーショット。
☆記事に出てくるスポットは、最後にまとめてマップで紹介しています!
やっぱり暑い石垣島。まずは沖縄スイーツで体を涼める。
石垣島に向かう直前まで滞在していた東北は、ものすごい吹雪。石垣島へは関西国際空港から飛んだんですが、関西も寒かったんです。石垣島はどうだろう、と思いながら、厚着をして向かいました。
でもさすが南の島。空港に着いた途端、やっぱり暑くて。着てたもの全部脱ぎ捨てたかった。あまりの暑さに「あれが食べたい!」と探し、真っ先にありついたのがこちら。
ただの氷ではありません。「氷ぜんざい」。沖縄のぜんざいといえば、これ。冷たい氷と煮豆を組み合わせた、おやつ。
訪れた「石垣島冷菓」の氷ぜんざいは、トッピングの種類が豊富。
ですが僕は、煮豆の甘さだけでいただくシンプルな「ぜんざい(トッピング無)」を注文しました。この「なんてことなさ」が魅力なんです。氷の下には、炊いた豆がぎっしり。
冷たくて甘くて美味しかった〜。お店の小さなイートインスペースで氷ぜんざいを食べ、涼むところから旅がスタートしました。
他にも石垣島の冷菓はたくさんありますが、まるで寿司屋のような店構えが気になる、ジェラート屋さん「寿五八(じゅうごや)」へ。
せっかくなら島素材のフレーバーを選ぼうと、「紅芋」と「ミルク」をチョイス。さらにお店の方が「味見をどうぞ」と、一口サイズの「黒糖ミルク」をおまけでトッピングしてくれました。
おまけでつけてくれた黒糖ミルクが一番好みだったのはさておき、地元の人にも人気のようで、 学校帰りの学生たちが立ち寄る姿もまた、いい風景でした。
涼んだ後は、とにかく歩く!
僕はカメラを片手に歩くのが好き。そんな食べ歩きにおすすめなのが地元で人気の「さしみ屋 十二銭」の天ぷら。石垣島では鮮魚店ではなく、「さしみ屋」をよく見かけます。
ちょっと暖簾で隠れていますが、「さしみ てんぷら」と書かれています
「さしみ屋 十二銭」の天ぷらは、地元では有名なようで、小さなお店に次から次へとお客さんがやってきます。白身魚、イカ、野菜、3種の天ぷらを、紙袋に入れて渡してくれます。揚げたてでサクッとしてて、とにかく美味しいの。
初めてだったし、油物をそんなにたくさん食べられないよなと、少量でよいと頼んだら、「じゃあ200円分にしとこうか」と。適当に詰めてくれました。めちゃくちゃ安い。そして、めちゃくちゃ美味しい。一人で食べ切れるか不安だったけど、つまみながら歩こうと思ったら100mももちませんでした。一瞬。
そして石垣島を歩いているとよく目にするのが、この模様。
五つの四角と、四つの四角で構成された図柄。これ、道路標識などではなくて「ミンサー柄」っていうんです。
ミンサーとは「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」という意味。五つの四角と四つの四角は、「五つ(いつつ)」と「四つ(よっつ)」で、「いつの世(よ)」までも末長く睦まじく、という願いが込められているんだそうです。その想いが街中に込められているのかな。
街中で見かけるといえば、こんな文字が刻まれた石もあちこちに立っています。
これは「石敢當(いしがんとう)」と呼ばれるもの。沖縄には至る所にあって、魔除けとされています。僕はこの石敢當が好きで、事務所にも飾ってるくらい。だから石敢當を見つけるたびに写真を撮ってました。
沖縄を歩く際には、ぜひ意識してみてください。きっとたくさん見つかりますよ。
地の食べ物・飲み物を堪能できる居酒屋
実は居酒屋でも石敢當を見つけました。それが「ひとし 石敢當店」です。
一般的な店舗名って、最寄駅の名前とか、地名がほとんどですよね。それが「石敢當店」ってどういうことなのか。実際に行ってみたら、大きな石敢當がありました。
お店の前に、石敢當が二つ
このお店では、ハーフサイズの料理も用意してくれているから、一人で行っても色々頼めるのが嬉しいところ。
特にこの、「うにソーメン」がめっちゃ美味しかった。
人気店なので、予約しておくのがおすすめです。
居酒屋でいうと、もう一件紹介したいのが「島料理 やふぁやふぁ」。今回の旅で唯一会った島在住の友人が、初日に案内してくれました。
旅先では、その土地の物を食べて、その土地の酒を飲みたいですよね。沖縄といえば、もちろん泡盛。度数が高めのものが多いから得意じゃない人もいると思いますが、シンプルなソーダ割りだと飲みやすくていいと思います。
ここは泡盛の種類が豊富。この「海波」ってやつも、めっちゃ美味しかった。
で、僕は大の茶碗蒸し好きなんですけど、この店の茶碗蒸しはなんと、八重山そばが入ってるんです。
茶碗蒸し好きの僕にとっても初めての組み合わせに、驚きました。沖縄らしい創作料理がたくさんあって楽しいので、ぜひ行ってみてほしいお店です。
島人(しまんちゅ)に愛される、ソウルフードのそば
先ほどのように茶碗蒸しに入っているのは珍しいですが、八重山そばは、石垣島の名物料理の一つ。島民食ともいえるほど、島人に愛されています。
沖縄本島でよく見られる沖縄そばは、平たい縮れ麺が一般的。対して八重山そばの麺は、細く丸味があり、ストレートなのが特徴です。
そんな八重山そばが気になって、自力で探してたどり着いたのが「キミ食堂」です。
この八重山そば、めちゃめちゃ美味しかった〜! 上に乗ってるのは「フーチバー」というヨモギの一種。ストレートにくる苦味が、大人な味わいでよかったです。
八重山そばのお店は島の至る所にあるんですが、「ヤシノイエ ソウヤ」もおすすめ。
店名どおり、ヤシの木だらけのところに店があります。
ランチの時間には、ちょっとしたおかずもついてきます。ここの八重山そばに使用するお肉は骨付きで、コラーゲンたっぷり! という感じ。なんだか健康的な気がして、たくさん食べても罪悪感がないんですよね。
食べた後は、骨だらけ。ちょっと中心地からは離れるんですが、おすすめのそば屋さんです。
あと、島を歩き回って感じたのが、石垣島では「牛そば」が愛されているということ。お店に置いてある地元の情報紙や街の看板とか、牛そばの文字をたくさん目にしました。
牛そばは石垣島グルメの一つで、牛肉や牛モツを野菜と長時間煮込んだ牛汁に、八重山そばを合わせたものです。石垣島では古くから、農耕用としての役割を終えた牛に対する感謝の意を込めて、牛汁を食べる文化があって、お正月には「年越しそば」ならぬ「年越し牛汁」を食べ、新たな年の訪れを祝う習慣もあるらしいです。
どこかで牛そばを食べたいなと思っていたときに、たまたま見つけたのが「まーつん家(ち)」。これが大当たりでした。
とにかく肉がトロトロで、めっちゃ美味しい! 卓上のフーチバーを自分で好きな量入れられるスタイルなのも最高でした。
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この記事を書いたライター
有限会社りす代表。1974年生まれ。兵庫県在住。編集者。雑誌『Re:S』、フリーマガジン『のんびり』編集長を経て、WEBマガジン『なんも大学』でようやくネットメディア編集長デビュー。けどネットリテラシーなさすぎて、新人の顔でジモコロ潜入中。