かつてあったOSたちはどんなもの?OSやOSを開発した企業の歴史について

Windows OSやMacOSは、多くの人が知っている人気OSです。実は現在までにさまざまなOSとの競争に打ち勝ってきた歴史があります。
この記事では、過去にはどのようなOSがあったのか?過去に存在したBeOSやNeXT、BTRONといったOSやOS開発企業の歴史をご紹介します。

かつてあったOSたちの歴史

かつてあったOSたちの歴史

オペレーティングシステム(OS)とは、パソコンを動かす上でベースとなる、非常に重要なシステムの一つです。
現代ではWindows OSやmacOS、そしてLinuxといったさまざまなOSが存在しており、それぞれのOSは独自の機能を開発や発展させつつ、激しい争いを続けて来ました。

その争いの後ろでは、さまざまなOSが作り出され、そして世間にほぼ知られることなく、密かに開発やサポートが終了していったという事実もあります。
開発やサポートが終了したOSとはどういったものだったのか?「かつてあったOSたち」についていくつかを紹介します。

BTRON

パソコンのOSといえばWindowsやmacOS、そしてLinuxやUnixを思い浮かべる方も多いでしょう。
これらはいずれもアメリカ産のOSであるため、OSといえば外国のものであると思ってしまうかもしれません。
過去には日本で開発された国産OSが存在しました。それが「BTRON」です

BTRONはTRONプロジェクトの一環で開発されたPC用のOSで、1980年代にビジネス・学校教育向けとして開発されていたものです。
無料で提供されるということもあり、当時は日本政府や国内外の多くの企業で正式に採用する流れがありました。
ですが、当時日本とアメリカで貿易摩擦による争いがあり、当時の米国通商代表部により、「BTRON」が名指しで貿易制裁の候補になってしまったのです。
「スーパー301条」とも呼ばれる候補からは後に外されたものの、「BTRON搭載のパソコンは制裁を受ける」という影響は大きいものでした。
その結果、日本政府や多くの企業がBTRONの導入から撤退してしまったのです。
その後BTRONを導入した一般向けコンピュータも発売されましたが、あまり普及することなく、2006年の最終バージョンでシリーズは終了しています。

その後もTRONプロジェクト自体は続けられ、現在では「ITRON」という組み込みOS(ゲーム機や家電、自動車に使われるOS)の仕様が広く普及しており、国内の組み込みOSの5割以上がITRON準拠のものとしています。 

Firefox OS

Firefox OSとはスマートフォン向けOSの一つで、Webブラウザ「Firefox」の開発元であるMozillaが2011年に発表し、以降2016年まで開発していたOSです。
Webブラウザ開発で得られた技術を使って、新しいOSとして開発されていました。
そんなFirefox OSには、通常はWebブラウザを通して動作させるアプリケーションをOS上で動かせるという特長がありました。

Webブラウザ向け言語のアプリケーションを動かせることから、「Webエンジニアがアプリケーションを開発しやすい」「ブラウザ向けのアプリケーションを少しの修正でFirefox OS用に転用できる」といった開発者フレンドリーな仕様を持っていたことが特長です。
また、スペックが低い端末でも快適に動作するという面から、iOSやAndroidに続くスマートフォン向けOSとして注目を浴びていました。
国内では2014年にKDDI(au)と提携しFirefox OSを搭載したスマートフォンも発売していましたが、結局iPhoneやAndroidスマートフォンのシェアに届くことありませんでした。

一定の盛り上がりは見せたものの、結果としてFirefox OSはスマートフォン向けOSから撤退し、開発も終了しています。

Symbian OS

世界初のスマートフォンとされている携帯電話は複数あります。
その中の一つにNOKIAが開発したNokia 9000 Communicatorというものがあります。
そのNOKIAが開発したOSが「Symbian OS」であり、iPhoneやAndroidスマートフォンが普及する以前にはNo.1のシェアを誇っていました。

Symbian OSの歴史は古く、1990年代のPDA(携帯情報端末)のOSである「EPOC32」をスマートフォン向けに転用したものです。
NOKIA製の端末のほか2002年にはソニー・エリクソンからSymbian OSを採用したP800というスマートフォンが出るなど、1990年代後期から2000年代中期頃まで広く活躍しました。
ですが、iPhoneの登場を皮切りにそれまでは半数以上だったシェアが落ち始めます。
2010年にオープンソース化されユーザーの自由な開発ができるようにはなったものの、2011年にはAndroidにシェア率が抜かれ、翌年にはiOSにも抜かれてしまいます。
その後もSymbian OSが盛り返すことはありませんでした。
2012年に発売されたNOKIA製のスマートフォンを最後にSymbian OSが搭載された機器は登場せず、以降のNOKIA製のスマートフォンにはAndoridが採用されています。

Symbian OSは2013年に開発終了が発表され 、MicrosoftがNOKIAの携帯電話事業を買収することに合意しました。その後、2014年にはアプリの提供も完全に終了しています。

NeXTSTEP

現在Appleのパソコンで採用されているmacOS、そのベースになったOSともいえるのが「NeXTSTEP」です。

開発に大きく関わるのは、Appleの創業者として世界的に有名なスティーブ・ジョブズです。Appleと言えばジョブズですが、ジョブズも過去にはAppleから離れていた時期がありました。
Appleから離れたジョブズは1985年に「NeXT(後にNeXT Computer)」を設立しました。
NeXTで開発されたビジネス向けのワークステーション(業務用のパソコン)、NeXTcubeに搭載されていたOSが「NeXTSTEP」です。
当初NeXT Computerはワークステーションの開発・販売を主軸していましたが、商業的にはあまり成功せず、NeXTSTEP OSが搭載されたNeXTcubeの売上は累計5万台程度にとどまりました。

「NeXTSTEP OS」自体は高い評価を得て、1993年には「NeXT Computer」は「NeXT Software」へ社名を変え、OSの開発に専念するようになります。
その後、AppleがmacOSの後継OS開発に失敗したという背景のもと、NeXTSTEPのAppleへの売り込みが行われました。
結果として1996年にはAppleがNeXTを買収、翌年にスティーブ・ジョブズはAppleのCEOとして復帰を遂げます。

こうしてNeXTSTEPはAppleの新たなOS「MacOS X」の源流となり、現在のmacOSシリーズへと続いていきます。

BeOS

NeXTSTEPの成功の陰に消えた悲劇のOSともいえるのが「BeOS」です。

BeOSは、Apple本社の開発責任者を務めたジャン=ルイ・ガセーが1990年にAppleを退社し設立した会社「Be」によって開発されたOSです。
BeはBeOSが搭載された「BeBox」と言うコンピュータを開発・販売していましたが、OSの評価は高い一方で販売は振るわず、NeXT同様BeOSの開発に専念するようになります
1996年にAppleの次期OSへの採用でNeXT社と競合したものの、Appleとの買収額の折り合いがつかなかったという背景もあり、結局NeXTとの競合には負けてしまいました。

その後Be社は解散してしまい、BeOSの開発も終了します。 

OS/2

1980年代には「MS-DOS」というOSが広く普及していました。

MS-DOSとはMicrosoftが開発・販売していたOSで、1980年代に広く普及していました。
始まりはIBMのPC用に作られたOSで「PC DOS」と言い、後に「MS-DOS」という名前で単体での販売が開始されOSの市場で圧倒的なシェアを築くこととなります。

そのIBMとMicrosoftがMS-DOSの後継として共同開発し、1987年に販売したのが「OS/2」です。
OS/2はバージョン1を共同開発し、その後バージョン2をIBMが開発、バージョン3をMicrosoftが開発するという体制がとられました。

MS-DOSがCUI(キャラクタユーザインターフェース)と文字入力で操作するのに対し、OS/2は1.1からGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を採用し、さらにマルチタスクに対応するなど先進的なOSでした。

その一方で、OS/2は当時のPCでは動作が重いという欠点を抱えており、バージョン2の開発も難航してしまいます。

そこに追い打ちをかけるように、MicrosoftがOS/2とは別のOS「Windows 3.0」を1990年に発売、シェアをとられてしまう結果になりました。
その上でMicrosoftは、開発していたバージョン3をOS/2ではなく「Windows NT」として発売すると発表します。
こうして、IBMとMicrosoftは関係が悪くなり、別の道を進むことになったのです。

IBMはその後もOS/2の開発を続け、1995年にはバージョン3であるOS/2 Wrap V3をリリースしましたが、「Windows 95」のヒットもあり、以降も普及することなくOS/2 Wrap4を最後に2002年で開発が終了しています。

まとめ

今でこそWindows OSやmacOSは当たり前のように身近に存在しています。
これは、かつて存在したOSたちとの争いに勝ち残ってきた結果なのです。
私たちが快適にパソコンを使えるのも、こういった企業競争による技術の進歩が背景にあると言えるでしょう。

そして、OSが使われているのは一般ユーザー向けパソコンだけではありません。注目されないところでも、他にもさまざまな機械技術にOSが用いられています。興味があればぜひそちらもチェックしてみてください。

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