プロテインで熱中症を予防しろ! | DESIRE TO EVOLUTION「DNS」

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プロテインで熱中症を予防しろ!

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新型コロナウイルスの影響でマスク生活をやむなくされ、熱中症の危険も高まっている。だが、ウォリアーは熱中症になりにくいことを知っているだろうか?

熱中症は水分や電解質の不足によって起こる。また水分や電解質が体内で上手く分配されなくなっても起こる。つまり熱中症を予防するためには水分や電解質を体内に蓄え、それらをスムーズに循環させていくことが重要となる。
それを行ってくれるのが「筋肉」だ。筋肉の約80%が水分であり、脂肪に含まれる水分はたった20%。また筋肉はポンプ作用によって水分や電解質を体内で循環させる働きを持っている。そして筋肉には毛細血管も多く存在するため、ウォリアーは血液量も多い、ということになる。

◆プロテインで筋肉を増やせ!

ウォリアーならば、すでにプロテインは飲んでいるはずだ。だがチビチビ飲んでは効果がない。
厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準 2020年度版」において、身体活動レベルの高い15~17歳の男性は、1日102~158gのたんぱく質を摂取することが推奨されている。18~49歳の男性は99~153gだ。
一般的な食事で摂れるたんぱく質は1日60~70g程度だから、150gを目標にする場合は追加で80g以上をプロテインで摂る必要がある。
この場合、1回30gを目安として、トレーニング前後や寝る前などのタイミングで1日3回飲むといいだろう。1日トータルで90g。これなら十分にたんぱく質を補給することができる。
もちろんこれは普通の体重・筋肉量の場合だ。身体が大きくて体重も筋肉量も多いウォリアーは、さらに量を増やす必要がある。

◆プロテインは多めの水で飲め!

前述の通り筋肉が多いほど、体内に水や電解質が多く蓄えられ、それらの運搬もスムーズにいくため、ウォリアーは熱中症になりにくい。
しかし、注意が必要だ。ウォリアーは食事やプロテインによって高たんぱくの食生活となっている。では、このたんぱく質は体内でどのように代謝されるのだろうか。
もちろんたんぱく質は消化吸収されて筋肉や臓器、皮膚や骨など身体の構成物質や、酵素や神経伝達物質、ホルモンなどになる。それらにならなかったたんぱく質は、主に次の三つの道をたどっていく。

1.アンモニア→尿素となって排出
たんぱく質には窒素が含まれており、体内でアンモニアに変わる。アンモニアは身体にとって有毒なため、「尿素」に変換され、尿として排泄される。

2.脂肪に変換
たんぱく質(アミノ酸)は糖質やアセチルCoAに変換されたりする。これらは最終的に脂肪になり、体脂肪として蓄積される。つまりたんぱく質も、摂り過ぎると体脂肪を増やしてしまう可能性がある。とはいえ大量にたんぱく質を摂取した研究において、被験者の体脂肪率は増えていない(※1)ので、実際はこの心配は不要だろう。

3.他のアミノ酸に変換
食事で摂取したアミノ酸が余ると、アミノ酸から「アミノ基」が取り出され、他のアミノ酸(特にグルタミンやアラニン)になる。

問題は1だ。高たんぱく食だと尿量が増え、脱水の可能性が起こるのである。これは研究でも証明されている(※2)。脱水を避けるためには普段から多めに水を飲む他、プロテインを溶かす時に多めに水を飲むといい。

◆水を飲めば筋肉も増える?

体内における化学反応の多くは加水分解反応であり、水がないとどうしようもない。もちろん筋肉が合成される時にも、水は大いに必要だ。
逆に不足するとどうなるのか。一般的に体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり、喉の渇きを感じるのは2%が失われた時点である。そして3%が失われると、パフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。つまり喉が渇いたと感じる時点で、すでに脱水はギリギリまで進行しているのである。
また脱水によりACTHやコルチゾルなどの分泌が亢進したり、酸化ストレスが増加したりもする。逆に体内が水分で満たされていると、たんぱく質の分解が抑えられ、体脂肪の分解が進んだという報告もある(※3)。喉が渇く前に、早め早めの水分補給を心がけたい。

◆電解質を忘れるな!

しかし「水だけ」を大量に飲むのも問題だ。汗をかく時は同時に電解質も流出する。その状態で水を大量に飲むと、体内の電解質濃度が低下する。つまり体液が薄まるわけだ。
そこで尿や汗などから水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出される悪循環に陥ってしまう。
つまり水だけではなく、電解質も補給する必要がある。特に摂取すべきなのがナトリウムだ。

日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されている。つまり1000mlの水を飲むときは、1000~2000mgの食塩を同時に摂取すればいいわけだ。ざっと「1リットルあたり、1~2gの食塩」と覚えておくといいだろう。
鉄鋼労働者を対象に、酷暑下で8時間労働を行って汗からの排出を調べた研究では、30~35度でビタミンCが10.7mg、ビタミンB1は183.5mcg、ナトリウムは2971mgが喪われている。(※4)なおカルシウムやマグネシウムもかなり失われている。
酷暑の環境では驚くほど急速に水分と電解質が奪われていく。それを避けるためには電解質を含んだドリンクをトレーニング中に飲んだり、食事では味つけを濃い目にしたり、味噌汁を多めに飲んだりするといいだろう。

【参考文献】

  • 1: The effects of consuming a high protein diet (4.4 g/kg/d) on body composition in resistance-trained individuals. J Int Soc Sports Nutr. 2014 May 12;11:19. doi: 10.1186/1550-2783-11-19. eCollection 2014.
  • 2: Effects of Dietary Protein Intake on Indexes of Hydration.J Am Diet Assoc. 2006 Apr;106(4):587-9.
  • 3: Effects of changes in hydration on protein, glucose and lipid metabolism in man: impact on health. European Journal of Clinical Nutrition (2003) 57, Suppl 2, S69-S74.
  • 4: Relationships between micronutrient losses in sweat and blood pressure among heat-exposed steelworkers. Ind Health. 2016 Jun 10;54(3):215-23. doi: 10.2486/indhealth.2014-0225. Epub 2016 Apr 16.
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新型コロナウイルスの影響でマスク生活をやむなくされ、熱中症の危険も高まっている。だが、ウォリアーは熱中症になりにくいことを知っているだろうか?

熱中症は水分や電解質の不足によって起こる。また水分や電解質が体内で上手く分配されなくなっても起こる。つまり熱中症を予防するためには水分や電解質を体内に蓄え、それらをスムーズに循環させていくことが重要となる。
それを行ってくれるのが「筋肉」だ。筋肉の約80%が水分であり、脂肪に含まれる水分はたった20%。また筋肉はポンプ作用によって水分や電解質を体内で循環させる働きを持っている。そして筋肉には毛細血管も多く存在するため、ウォリアーは血液量も多い、ということになる。

◆プロテインで筋肉を増やせ!

ウォリアーならば、すでにプロテインは飲んでいるはずだ。だがチビチビ飲んでは効果がない。
厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準 2020年度版」において、身体活動レベルの高い15~17歳の男性は、1日102~158gのたんぱく質を摂取することが推奨されている。18~49歳の男性は99~153gだ。
一般的な食事で摂れるたんぱく質は1日60~70g程度だから、150gを目標にする場合は追加で80g以上をプロテインで摂る必要がある。
この場合、1回30gを目安として、トレーニング前後や寝る前などのタイミングで1日3回飲むといいだろう。1日トータルで90g。これなら十分にたんぱく質を補給することができる。
もちろんこれは普通の体重・筋肉量の場合だ。身体が大きくて体重も筋肉量も多いウォリアーは、さらに量を増やす必要がある。

◆プロテインは多めの水で飲め!

前述の通り筋肉が多いほど、体内に水や電解質が多く蓄えられ、それらの運搬もスムーズにいくため、ウォリアーは熱中症になりにくい。
しかし、注意が必要だ。ウォリアーは食事やプロテインによって高たんぱくの食生活となっている。では、このたんぱく質は体内でどのように代謝されるのだろうか。
もちろんたんぱく質は消化吸収されて筋肉や臓器、皮膚や骨など身体の構成物質や、酵素や神経伝達物質、ホルモンなどになる。それらにならなかったたんぱく質は、主に次の三つの道をたどっていく。

1.アンモニア→尿素となって排出
たんぱく質には窒素が含まれており、体内でアンモニアに変わる。アンモニアは身体にとって有毒なため、「尿素」に変換され、尿として排泄される。

2.脂肪に変換
たんぱく質(アミノ酸)は糖質やアセチルCoAに変換されたりする。これらは最終的に脂肪になり、体脂肪として蓄積される。つまりたんぱく質も、摂り過ぎると体脂肪を増やしてしまう可能性がある。とはいえ大量にたんぱく質を摂取した研究において、被験者の体脂肪率は増えていない(※1)ので、実際はこの心配は不要だろう。

3.他のアミノ酸に変換
食事で摂取したアミノ酸が余ると、アミノ酸から「アミノ基」が取り出され、他のアミノ酸(特にグルタミンやアラニン)になる。

問題は1だ。高たんぱく食だと尿量が増え、脱水の可能性が起こるのである。これは研究でも証明されている(※2)。脱水を避けるためには普段から多めに水を飲む他、プロテインを溶かす時に多めに水を飲むといい。

◆水を飲めば筋肉も増える?

体内における化学反応の多くは加水分解反応であり、水がないとどうしようもない。もちろん筋肉が合成される時にも、水は大いに必要だ。
逆に不足するとどうなるのか。一般的に体重の1%の水が失われるとパフォーマンスの低下が起こり、喉の渇きを感じるのは2%が失われた時点である。そして3%が失われると、パフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。つまり喉が渇いたと感じる時点で、すでに脱水はギリギリまで進行しているのである。
また脱水によりACTHやコルチゾルなどの分泌が亢進したり、酸化ストレスが増加したりもする。逆に体内が水分で満たされていると、たんぱく質の分解が抑えられ、体脂肪の分解が進んだという報告もある(※3)。喉が渇く前に、早め早めの水分補給を心がけたい。

◆電解質を忘れるな!

しかし「水だけ」を大量に飲むのも問題だ。汗をかく時は同時に電解質も流出する。その状態で水を大量に飲むと、体内の電解質濃度が低下する。つまり体液が薄まるわけだ。
そこで尿や汗などから水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出される悪循環に陥ってしまう。
つまり水だけではなく、電解質も補給する必要がある。特に摂取すべきなのがナトリウムだ。

日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されている。つまり1000mlの水を飲むときは、1000~2000mgの食塩を同時に摂取すればいいわけだ。ざっと「1リットルあたり、1~2gの食塩」と覚えておくといいだろう。
鉄鋼労働者を対象に、酷暑下で8時間労働を行って汗からの排出を調べた研究では、30~35度でビタミンCが10.7mg、ビタミンB1は183.5mcg、ナトリウムは2971mgが喪われている。(※4)なおカルシウムやマグネシウムもかなり失われている。
酷暑の環境では驚くほど急速に水分と電解質が奪われていく。それを避けるためには電解質を含んだドリンクをトレーニング中に飲んだり、食事では味つけを濃い目にしたり、味噌汁を多めに飲んだりするといいだろう。

【参考文献】

  • 1: The effects of consuming a high protein diet (4.4 g/kg/d) on body composition in resistance-trained individuals. J Int Soc Sports Nutr. 2014 May 12;11:19. doi: 10.1186/1550-2783-11-19. eCollection 2014.
  • 2: Effects of Dietary Protein Intake on Indexes of Hydration.J Am Diet Assoc. 2006 Apr;106(4):587-9.
  • 3: Effects of changes in hydration on protein, glucose and lipid metabolism in man: impact on health. European Journal of Clinical Nutrition (2003) 57, Suppl 2, S69-S74.
  • 4: Relationships between micronutrient losses in sweat and blood pressure among heat-exposed steelworkers. Ind Health. 2016 Jun 10;54(3):215-23. doi: 10.2486/indhealth.2014-0225. Epub 2016 Apr 16.