デジタル臨時行政調査会(第6回) |デジタル庁 本文へ移動

デジタル臨時行政調査会(第6回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)12月21日(水)10時30分から11時10分
  • 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  • 議事次第
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル原則を踏まえた工程表の確定とデジタル規制改革推進のための一括法案について
      2. デジタル人材を含む民間人材の採用円滑化について
      3. 機動的で柔軟な政策形成・評価の在り方等について
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和4年(2022年)12月21日(水)10時30分から11時10分まで

場所

総理大臣官邸4階 大会議室

出席構成員

会長

  • 岸田文雄(内閣総理大臣)

副会長

  • 河野太郎(デジタル大臣)
  • 松野博一(内閣官房長官)

構成員

  • 松本剛明(総務大臣)
  • 鈴木俊一(財務大臣)
  • 西村康稔(経済産業大臣)
  • 岡田直樹(内閣府特命担当大臣(規制改革)行政改革担当大臣)
  • 大槻奈那(名古屋商科大学ビジネススクール 教授/ピクテ・ジャパン シニア・フェロー)
  • 金丸恭文(フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 髙島宗一郎(福岡市長)
  • 綱川明美(株式会社ビースポーク代表取締役社長)
  • 十倉雅和(日本経済団体連合会会長)
  • 南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長)
  • 村井純(慶應義塾大学 教授)

関係大臣等

  • 川本裕子(人事院総裁)

概要

大串デジタル副大臣: ただいまから、第6回「デジタル臨時行政調査会」を開催いたします。

本日はご多忙の中、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。

司会進行を務めますデジタル副大臣の大串です。よろしくお願いいたします。

本日、宍戸構成員、髙島構成員、十倉構成員にはオンラインでご参加をいただいております。

それでは、議事に入ります。「デジタル原則を踏まえた工程表の確定とデジタル規制改革推進のための一括法案について」、河野デジタル大臣よりご説明をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 資料1をご覧ください。

1ページ目、アナログ規制は前回から少し増えまして、9,669条項、約1万条項になりました。アナログ規制が我が国を覆っているという状況でございます。この9,669条項全てにつきまして、規制所管省庁との調整が終わりまして、具体的な見直しの工程表を確定させました。条項ごとに見直しの完了時期、法制面の検討、技術検証など、工程を記載した一覧表は全部で約300ページにもなりました。この9,669条項のアナログ規制を2年間で一掃していきたいと思っております。

3ページ目から、10ページ目までアナログ規制の見直し例をまとめています。これを見直すことで、人手不足、生産性の向上といったことができると思いますし、経済成長、あるいはスタートアップといった企業の後押し、もちろん行政の変革ということもできると思っております。

11ページ目、まず、来年の通常国会にデジタル規制改革のための一括法案を提出いたします。具体的には書面掲示規制とフロッピーディスク等の記録媒体の規制が対象となります。その他の規制類型については政省令の改正等で対応いたします。

また、新規立法するものにつきましては、デジタル法制審査を本年の臨時国会から実施していますが、引き続き、次期通常国会においても新規立法がデジタル原則に沿っているかどうか、きちんと見ていきたいと思っております。

14ページ目、今、官報は紙で発行されておりますが、経済界から行政手続にいちいち紙の写しを出すのは大変だというお話をいただいておりますので、まず、来年1月中を目途に「インターネット版官報」と官報の同一性を政府が保証するということをいたします。そうすると、紙の提出が必要なくなります。そして、内閣府でそれに続いて電子官報が正本であって、紙は副本だという正副を入替える法律をつくります。これは来年の臨時国会に出していきたいと思います。

15ページ目、地方公共団体にもアナログ規制の点検・見直しを進めていただかなければいけませんので、押印の廃止をしたときと同じように、国の取組をまとめた、地方公共団体向けマニュアルを公表しました。デジ田の交付金を活用して、今までアナログでやっていたものがデジタルでできるようにいたします。

16ページ目、アナログ規制を見直してデジタル化します。そうすると、実際にデジタルでこういうことができるという技術のカタログ、テクノロジーマップを整備する必要があります。技術検証が必要な規制の見直しは、来年の4月から順次進めてまいります。

17ページ目、今後、工程表に沿ってアナログ規制、法令約1万条項を一掃いたします。また、通知、通達等、既に2,878条項をリストアップしております。通知の中にはカラーフィルムで出せというものもありましたので、そういうものは早急に変えていきたいと思っております。

行政手続をデジタル化できるようにという経済界からの強い要望がございますので、e-Govの改修などを速やかに行うとともにベースレジストリの整備や、行政手続のデジタル完結の取組を加速してまいりたいと思っております。
私からは以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
次に、「デジタル人材を含む民間人材の採用円滑化について」、本日ご出席いただいております川本人事院総裁よりご発言をいただきたいと存じます。川本総裁、お願いいたします。

川本人事院総裁: 人事院の川本裕子でございます。本日は前回に引き続きまして、デジタル時代にふさわしい霞が関への転換に向けた、各府省の民間人材の採用円滑化のサポートに関する取組の進捗状況について報告いたします。資料2としてお配りしています。

まずは、前回の会合以後に実施した取組を3点ご説明いたします。

第1に、柔軟な給与決定に資するため、特定任期付職員の手当の支給手続を見直すとともに、優秀な若手、中堅職員の抜てきを行う場合の枠組みを整備いたしました。

第2に、官民人事交流のさらなる活用に向けて交流基準を見直すとともに、各府省の負担を軽減するため、審査事務を合理化いたしました。

第3に、民間人材採用サポートデスクの設置や人事院ホームページのリニューアルを通じ、制度のより一層の周知を図っております。

さらに、本年度中には、より柔軟な働き方が可能となるようにフレックスタイム制を見直します。

人事院としては、今後も河野大臣をはじめ、各府省の皆様と連携・協力を図りながら、民間人材の採用円滑化に引き続き取り組んでまいります。

各府省におかれましても、採用方法やバックグラウンドにかかわらず、職員一人一人が活躍でき、その働きぶりがフェアに評価される環境づくりを推進していただけるようにお願いしたいと考えております。
以上でございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、河野国家公務員制度担当大臣及びデジタル大臣、お願いいたします。

河野デジタル大臣: 国家公務員の働き方改革、職場環境のデジタル化が大変有効だと思います。職員の勤務時間の見える化を進め、テレワーク、フレックスタイムの利用をさらに進めていきたいと思っております。そのためにも、勤務時間管理のシステム化が必要になってまいります。関連予算をこの秋の経済対策に盛り込んでいただきました。デジタル庁と連携をして、しっかり各府省に展開してまいりたいと思っております。

続いて、デジタル大臣として申し上げます。資料3でございます。

総理から、デジタル庁が各府省の改革をしっかり先導するようにというご指示が前回の臨調でございました。デジタル庁では、現在、800人の職員のうち、民間出身者が300人おります。民間人材の採用につきまして、なるべく細かくジョブ・ディスクリプションを明示することによって採用時の最適な人材をマッチングしていきたいと思っております。

また、職員の専門性などをベースとして、マトリックス型の組織運営、あるいは報酬単価の決定といったこれまでにない工夫を行っております。人事院が措置していただいた採用の円滑化を先行的に活用して特定任期付職員を迅速に採用することができておりまして、総裁に感謝申し上げたいと思っております。デジタル庁がモデルとなって各府省を引っ張れるように、引き続き取組を進め、その取組の広報をやっていきたいと思っております。

今後は、超高度人材の方々のスペック、処遇などの条件、それからDXを前提としたマネジメントを担える行政官を確保するための処遇の在り方、リモートワークに適した手当の在り方といったデジタル人材を確保するためのさらなる課題も検討し、人事院、内閣人事局とよく相談をして進めてまいりたいと思っております。

私からは以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。

次に、「機動的で柔軟な政策形成・評価の在り方等について」、岡田規制改革担当大臣及び行政改革担当大臣よりご発言をお願いいたします。

岡田内閣府特命担当大臣: 私らは、本年5月の行政改革推進会議のアジャイルワーキンググループからの提言を踏まえた対応状況をご報告いたします。

資料4をご覧ください。まず、行政事業レビューの見直しについては、先ほど開催されました行政改革推進会議においてその方向性をご了承いただきました。具体的には、財務省や総務省をはじめ、各府省と連携し、政策立案・政策改善や予算編成プロセスでの活用を前提に横断的に見直す。また、各府省と行革事務局の明確な役割分担の下、事業の多様性を踏まえつつ、計画的に取り組む。また、シートの見直しやシステム化によって職員の作業負担を軽減し、政策立案・改善等の実質的な議論に集中できる環境を整えるといった3つの基本的方向性に沿って、行政事業レビューのプロセス全体を抜本的に見直すこととしたいと存じます。

また、EBPMの実践に向けて、EBPM補佐官派遣制度、伴走型支援ネットワーク、政策設計ラボなど、各府省を支援する仕組みの運用を開始するとともに、EBPMガイドブックなども作成し、公表いたしました。

社会環境の変化に応じた機動的かつ柔軟な政策形成を霞が関に根づかせていくために、引き続き取組をしっかりと進めてまいります。

次に、規制改革について申し上げます。社会全体のデジタル化が進む中においては、規制改革においてもデジタルの視点が不可欠という考えの下、本年10月以降、河野大臣とともに「2+1大臣会合」を開催し、協力して改革に取り組んでおります。引き続きデジタル臨時行政調査会ともしっかり連携をさせていただきたく存じます。

また、先ほど河野大臣からご発言がございましたが、地方公共団体におけるアナログ規制の見直しを踏まえたデジタルの活用による地域の課題解決等を図る取組については、デジタル田園都市国家構想交付金による後押しを進めてまいります。

私からは以上であります。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、松本総務大臣よりご発言をお願いいたします。

松本総務大臣: 総務省におきましては、総理のご指示を受け、機動的かつ柔軟な政策形成・評価の実現に向け、政策評価制度の見直しに取り組んでおります。我が国は歴史上前例がなく、世界にも類例がない諸課題に直面しております。前例のない課題に果敢に挑戦する上では、社会経済情勢の変化に対応できる行政を実現することが肝要であり、そのためには、政策の効果と現状を的確に把握し、柔軟に軌道修正していくことが必要であると考えております。

資料5の1ページ目をご覧ください。政策評価は、政策目的を達成するための経路と現在地を確認する、言わば「ナビゲーション・システム」のような機能を持つものであり、その制度、運用は極めて重要でございます。船の絵にありますように、政策が目的達成に向けて想定どおりまっすぐに進むことは簡単ではありません。

しかしながら、左右のベクトルのずれをもってマルかバツをつけて、バツだからといって船を港に戻すことをしていては、船は前に進むことができないかと思います。縦方向への進捗のベクトルも積極的に評価をし、現在地を正確に確認した上でその地点から軌道修正を図っていくという発想が重要になると考えております。

このような認識の下、資料1ページ下段にありますように、分析手法やノウハウの蓄積と提供、各府省のデータ利活用や人材育成の支援、各府省の政策特性に応じた効果検証を可能とする評価枠組みを導入するなど、本日取りまとめられた政策評価審議会答申に沿って取組を進めてまいります。

その際、政策の是と非、マルとバツを論ずるのではなく、現在地を正確に確認して、そこまでの効果、言わば前進を測定しつつ、その地点からの必要な軌道修正を図ろうとする取組を支援してまいりたいと考えております。正しい状況認識に立てばこそ、変化への批判を恐れずに軌道修正を行うことができ、政策評価はそのために活用されるものです。行政事業レビューと連携を取りつつ、各府省の取組を後押ししてまいります。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
ここから、ご出席の皆様にご意見等をいただきたいと思います。

なお、宍戸構成員におかれましては、ご発言に代えて事前に資料をご提出いただいております。まずは西村経済産業大臣からご発言をお願いいたします。

西村経済産業大臣: 我が国がデジタル化での遅れを挽回するには、日本の社会、産業をデジタル化を前提につくり直す大改革が必要です。経済産業省としてこうした強い問題意識の下、デジタル規制改革をリードする気持ちで取り組んでまいりました。

今回、見直し方針や工程表を確定したアナログ規制、約1万条項のうち、経済産業省は産業保安に関する法令を中心に政府で最多の約2,300条項を担当しております。また、今般のアナログ規制一括見直しに先立ち、高圧ガス保安法などの保安等の一部を改正いたしました。これにより、電力や都市ガス、高圧ガスなどの産業保安分野において、事業者が人手だけに頼らず、ドローンやIoT等のテクノロジーを活用した高度な対応をできるようになるなど、技術の導入による規制改革の先行事例形成にも貢献をしております。これらの改革に向けた取組を前へ進めるため、汗をかいた現場の職員の皆さんの努力も高く評価をしたいと思います。

デジタル規制改革はこれで終わりません。経済産業省が提唱し、デジタル原則にも取り入れられたアジャイルガバナンスのコンセプトも踏まえ、今後もデジタル庁等の関係省庁と連携し、国内のデジタル規制改革を着実に推進してまいります。また、来年のG7などの機会を捉え、ぜひ国際社会におけるデジタル規制改革の動きをリードしていくことができればと考えております。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
そのほかのご発言のある方は挙手をお願いいたします。なお、時間の都合上、ご発言は簡潔にお願いいたします。それでは、綱川構成員、お願いいたします。

綱川構成員: 本日は、私から2点提案がございます。
1つ目は、行政におけるアナログ対応の解消に関してです。関係者のご尽力で行政手続のデジタル化は急速に進んでおり、改めて感謝申し上げます。ただ、その流れに追いついていないケースも現場では残念ながら散見されております。例えば霞が関の発注案件では、指定の期間内に役所に出向いて書類の閲覧をしないと、事実上応募できないようなケースがあったり、地方自治体の案件では、急遽提出が必要となった書類が紙以外は受け付けてもらえず、便利屋さんに依頼をして頼まなければいけないケースというのもありました。

また、CD-ROMでの提出を求められたときは、今どきのパソコンでは書き込みができなくて困りました。リモートワークで社員がオフィスにいなかったので、最終的には私自身が漫画喫茶に行って対応をしました。女子高生ぶりに足を踏み入れました。いずれも私の会社で今年実際に起きたことになっております。デジタル化に向けた大きな流れを現場にしっかり浸透させていくためには、こうした行政のアナログ対応を一つ一つ丁寧に解消していくことが必要だと思います。

そこでご提案です。河野大臣が行政改革で取り組まれていたような行政アナログ目安箱、あるいは行政アナログ110番を設置して、現場のデジタル環境の整備を進めていただけると大変心強いです。

2つ目は、国の主導による自治体の住民向けサービスの統一化・効率化です。例えば出生届や戸籍謄本などといった住民サービスでは、窓口対応を前提としないデジタル社会では、自治体ごとに独自の仕組みで対応することは非効率ですし、ユーザー視点でも自治体間で使い勝手が異なるので、使いにくいです。

自治体ごとに使い勝手が異なるのは、アナログ時代に窓口の現場を持つ地方自治体に行政事務の委任や分権を進めたためだと思いますが、デジタルの時代ではむしろ逆の対応が必要となります。

具体的には、行き過ぎた事務の地方委任自体を見直して、様々な行政サービス用の仕組みを国が直接デジタルを活用して一つのシステムに統合していくのが理想と考えています。これにより、自治体は難しいシステムの設計や発注から解放されて、スタッフ等の貴重な資源をデジタルに不慣れな住民へのコンシェルジュ機能の充実に集中させていくこともできます。

国主導の標準システムの導入をデジタル田園都市交付金等を使い積極的に進めるとともに、その内容によっては事務自体を国が巻き取ることも積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続きまして、十倉構成員、よろしくお願いいたします。

十倉構成員: ありがとうございます。経団連会長の十倉でございます。

このたび、法改正も含む2年間の見直し工程表を確定し、デジタル改革、行政改革を大いに前進させた岸田総理、河野大臣の強力なリーダーシップに厚くお礼申し上げます。

また、川本総裁をはじめ、人事院によるデジタル人材を含む民間人材の採用円滑化に向けた取組にも心より敬意を表する次第であります。産業界としてもこの流れを人手不足の対応や生産性の向上、新技術の活用へとつなげてまいりたいと思います。

その観点から、2点申し上げます。

1点目は、改革効果の定量的アピールであります。今後も改革を断行していく上で改革の効果の定量的なアピールが必要かと考えます。定量的なアピールは、社会における改革の機運を高めることで行政の皆様のモチベーションを向上させ、結果、さらなる改革につながるものと考えます。

2点目は、データの利活用の推進についてであります。このデジタル臨調で繰り返し申し上げているとおり、データの利活用についても取り組んでいただきたいと思います。まずはその基盤となるベースレジストリの整備やデジタル完結の徹底といった今後の課題となっている経済界要望について、引き続きデジタル臨調においてしっかり取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

また、今後の見直しに当たりましては、ぜひデータの利活用を進め、国民の利便性を向上させるということを基本に、単なるデジタル化にとどまらない規制改革の推進など、デジタル時代にふさわしい制度に関する本質的な議論をデジタル臨調で深めていただきたいと存じます。

私からは以上になります。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続きまして、髙島構成員、よろしくお願いいたします。

高島構成員: 髙島でございます。

引っ越しに伴う住所変更手続の簡素化について、来年末までに見直すと方針決定していただきました。また、自治体向けマニュアルでは、福岡市のアナログ規制見直しの取組を紹介していただきまして、ありがとうございます。他の自治体からも問合せが来ていて、取組の広がりを感じている次第でございます。

今回も自治体の現場からご報告いたします。これまで、迅速な給付のために公金受取口座の原則義務化、受領の意思確認の不要化を提案してきたのですが、ほかにも時間とコストを発生させていることがございます。令和3年度に給付した住民税非課税世帯を対象とした給付金の例で言いますと、福岡市では、対象と思われます非課税世帯およそ23万世帯分の確認書というものを送付しました。これはちなみに印刷をし始めてから受理まで1か月程度かかるのですね。

なぜこういうアナログで時間とコストのかかることをするかというと、例えば福岡市で一人暮らしをしている学生の方が、実家が市外にあり、親御さんに扶養されている場合は給付金の対象外となるのですが、親が市外にいて、扶養されているかどうかという情報は福岡市では持っていないわけです。だから、23万世帯の対象と思われる方全員に確認書を印刷して送るみたいな時間とコストのかかるようなことをやっているわけなのですね。

こういう自治体をまたぐ情報が必要な給付事務というのは、本来であれば自治事務で自治体がするのではなくて、国がダイレクトにするのが適しているのではないかと思うのですが、きめ細やかな対応ができる自治体に給付事務を求めるということであれば、対象の市民を煩わせずに、迅速に必要なデータを把握できるように国におけるルールの整備をぜひお願いしたいと思っております。

私からは以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続きまして、金丸構成員、よろしくお願いいたします。

金丸構成員: ありがとうございます。
デジタル庁の役割と人材採用に関して、2点提案させていただきます。

今後、規制改革をさらに推進するため、デジタル技術の活用可能な規制については、デジタル庁で獲得した専門家集団が技術的観点から助言や見解を積極的に示すことで、各府省における会議体の議論をサポートでき、DXによる社会変革や社会実装の推進により貢献できると思います。また、そうすれば、スタートアップが活躍できる新市場拡大にもつながります。最新のデジタル技術の知見に基づいて見解や判断を示しながら、デジタル庁が中立的・横断的に各府省を支援する役割をぜひ検討していただきたいと思います。

2点目です。民間人材採用におけるリボルビングドアについてですが、官民はもちろんのこと、一度官僚を辞めて民間で経験を積んだ元官僚の方々の再雇用にも取り組んでいただきたいと思います。法制度にも詳しい知識や経験をベースに民間のキャリアが加わったハイブリッド人材として活躍が大いに期待できるのではないかと思います。御検討のほど、よろしくお願いいたします。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。
続きまして、南場構成員、よろしくお願いいたします。

南場構成員: ありがとうございます。
アナログ規制の見直しも、デジタル法制審査も、どちらも非常に膨大で緻密な作業で、これだけのスピードで進んだのは正直驚いています。これはぜひ広く知らせてほしいなと思います。

国民に広く知らせるという観点で言いますと、マスメディアでも国際デジタル競争力ランキングなるものがよく紹介されていて、日本の順位は非常に低いです。気になるのは、こういった作業が進んだ結果、日本のデジタル競争力ランキングは上昇するのか、仕上がりとして社会はどうなるのか、非常に気になります。そこも意識して進めていただきたいと思います。

もう一点が、テクノロジーマップ、技術カタログなのですけれども、こちらの整備に関しては、先行実施した講習試験のデジタル化の経験を生かしてPDCAを高速に回していくべきと考えます。技術を持つ企業の公募については、特に地方部、スタートアップも含めてより隅々に情報が伝わるようにしていただきたいと思います。

先般、経団連で四国を訪問しましたが、例えば赤外線によってガスを可視化し、ガス漏えいの検査を効率化するという高松のスタートアップの話を聞いたのですけれども、地方の大学をはじめ、様々なところから新しくて面白いテクノロジーが生まれています。地方のスタートアップにとってはまだ東京の動きというか、政府の動きに関する情報はアクセスしづらい部分があると感じています。今後ベンチャーキャピタルや全国の大学などと連携して、能動的に隅々まで情報を届ける工夫をしていただきたいと思います。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続きまして、大槻構成員、お願いいたします。

大槻構成員: ありがとうございます。規制改革推進会議議長の大槻と申します。

我々もデジタル分野をはじめ、例えば外国人などが起業する場合のビザや銀行口座の開設に関する取組等に取り組んでおりますが、詳細につきましては、明日にも取りまとめ予定の中間答申にてまたご説明させていただきたいと思います。

私も日頃、世界の金融経済の分析に携わっておるのですけれども、現在の日本のように総理自らの指揮の下にこれだけ多面的・包括的なデジタル等の改革を行っている国というのは先進国でもまれであると思います。西村大臣から遅れている面もあると触れていただきましたが、ある意味現在の動きは歴史的な一歩であると思っています。

十倉構成員からもご発言がありましたけれども、今後、これらの成果をより定量化、見える化をすることができれば、日本の進化を国内外にアピールする絶好の機会になると思っております。

我々規制改革推進会議も、岡田大臣の下、デジタル臨時行政調査会と連携しまして、社会や技術の変化に即した規制改革に尽力しつつ、その発信にも努めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、村井構成員、よろしくお願いいたします。

村井構成員: 官民のデータ利活用について、特に官のベースレジストリやオープンデータなどが随分進んできたと思います。

一方で、民間のデータの公共利用についても、COVID-19時の人流のデータ等のように、民間からのデータが利用されたケースもあります。ヨーロッパではDataGovernanceActの中でインターミディエイトサービスを定義し、これもドイツテレコムのデータを使うのですけれども、民間のデータが公共のために使われるための取引市場であるとか、中間の基盤というものをきちんと整備しようという話があります。日本でもずっと取引市場や情報銀行への取組をやっているのです。

ですから、本当は日本が先行するはずではないかと思っているのですけれども、そういう意味ではデータ利用の戦略について、やりかけていたようなところをきちんとやって、データが実際に使えるようになることが今最も重要だと思います。これが一点目です。

もう一点は、先ほどの人材の話をお伺いしていると、民間の優秀な人材を利用するということでかなり話は進んでいるかと思います。これはいいことだと私は思うのですけれども、誰一人取り残されないデジタル社会をつくろうという目標があり、つまりターゲットは1億2000万の国民なのです。これが人材としては一番重要な母数で、それを支えるのが地方公務員280万人、国家公務員58万人。この人たちはどういうデジタル力をつければいいのでしょう。230万人はDXのコア人材ですよね。

そういう意味では、民間採用も大事ですけれども、公務員がどういう力を持つべきなのかという基準を決めて、人数も決めて、その目標に向けて取組を進めるべきではないでしょうか。

公務員の採用のやり方も、これからは多様なDX人材が重要であり、大学の入試にも情報の科目を入れることになりましたので、同じように公務員の採用から変えてみていただくのはいかがでしょうか。

以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
それでは、これまでの議論を踏まえまして、河野デジタル大臣からご発言をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 構成員の皆様の積極的なご発言、ありがとうございました。頂戴したご意見をしっかり受け止めて、引き続きデジタル改革を推進してまいりたいと思います。

アナログ規制約1万に関する見直し工程表を確定することができましたので、これ自体は非常に大きな成果だと思っておりますけれども、これはまだスタートラインで、この工程表に沿って確実にやっていくということが重要だと思っております。

一括法案の提出、あるいは官報の電子化といったものの作業もしっかりと進めながら、経済界からいただいているご要望を着実に受け止めて進めていきたいと思っております。アナログ規制の一掃をしっかり推進していきたいと思いますので、今後も皆様のお力添えをお願いしたいと思います。

また、人事院総裁には、前回に引き続きご出席をいただきましてありがとうございました。霞が関に優秀な人材を確保していくためにも、引き続き緊密に連携をしてやってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
最後に、岸田総理から締めくくりのご発言をいただきたいと思います。総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣: 構成員の皆様に活発にご議論をいただき、本日、アナログ規制約1万条項に関する見直し工程表を決定することができました。今後、この工程表に沿って、2024年6月までの2年間でアナログ規制を一掃いたします。そのため、次期通常国会において一括法案を提出すべく、準備を進めてまいります。

今回、新たに官報の電子化についても方針が決定をいたしました。明治16年以来、紙で発行されてきた官報を電子化し、国民の方々がより迅速に法令等の情報にアクセスできるようになる、我が国のデジタル化にとって象徴的な取組です。

まず、来年1月にも行政手続における紙の官報の提出を不要にします。その上で、将来的に紙の官報を廃止することを念頭に論点整理を行い、できるだけ早期に電子官報の制度を確立するための法案を国会に提出するなどの取組を進めていきます。

また、デジタルに対応した制度の拡充・確立に向け、デジタル法制局の体制強化を進めていきます。経済界の要望についても、今後、ベースレジストリの整備、行政手続のデジタル完結等の改革を加速してまいります。民間人材の円滑な採用やデジタル時代にふさわしい働きやすい環境づくりに向け、デジタル庁、人事院、内閣人事局の連携により改革を進めるとともに、デジタル庁を先頭に霞が関全体で民間人材の積極的な活用を図ってまいります。週2日は民間企業、週3日はデジタル庁勤務のような新しい時代の働き方が霞が関改革の先導事例となるよう進めていきます。

以上、河野大臣には引き続きデジタル改革を強力に進めてもらうとともに、岡田大臣、松本大臣を中心に、デジタル時代に対応したEBPMを後押しし、各府省における機動的で柔軟な政策形成・評価の定着を進めてまいります。

大串デジタル副大臣: 以上をもちまして、本日の「デジタル臨時行政調査会」を終了いたします。本日はご多忙の中、ご参加いただき誠にありがとうございました。

以上