子どもの頃から日曜日といえば、最もワクワクが約束された日だ。スポーツを愛するものにとってそれはなおさらである。
自らプレーする者にとっては日頃の練習の成果を発揮する日。アスリートを応援する者にとってはお気に入りの選手、チームの勝利を願う日。
1週間に一度やってくるこの日に世界の各地で生まれるヒーロー、ヒロインをみんなが心待ちにしていた。
2020年、51回目を迎えたデサントレディース東海クラシックは、本トーナメント史上初の無観客という形で開催されることとなった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、選手やファンにとっては望んでいるような、望んでいないような複雑な気持ちになったことだろう。
ここ数年このトーナメントに足を運んでいるが、観客がいないためここまで静かでコース内の移動がスムーズにできた大会はなかった。
昨年は、8打差を逆転するというドラマティックな展開となったため、移動するのも一苦労だったことが思い出される。
だが今年は、シャッター音の数秒後にやってくる歓声を待ってから動き出していたカメラマンたちの足取りも心なしか重い。選手だけでなく、我々メディアにとっても観客の存在の大きさを再認識させられる大会となった。
声援がティーショットの飛距離を伸ばし、歓声がシャッターの枚数を増やす。当たり前だったことが当たり前でなくなった今、自分たちがこれから先どうあるべきか改めて考えさせられた。
大会前日の恒例だったデサント契約のプロたちが一堂に会するというイベントはできなくなった。
契約プロの多さは他社と比べても圧倒的なのだが、個人競技なのに団体競技を思わせるあの一体感を味わうことはかなわなかった。
人と人が接することをなくすというニューノーマルは、いろいろなものを奪っていく。代わりに、ファンから届いた応援メッセージを契約プロに贈り、大会にかける想いをカメラの前で語ってもらう企画が用意された。
カメラを回しながら選手の声に耳を傾ける。すると、どの選手からもプレーできる喜びとともに契約先に対する感謝の気持ちが次々に語られた。
自らのパフォーマンスでファンを喜ばせる彼女たちにとって、現在の状況は自身の存在価値をも奪っていく。そんな状況にありながらも真っ先に感謝の気持ちを表したデサント契約のプロゴルファーたち。
華やかなゴルフウェアを着られること。それを着てトーナメントに参加できること。そして何よりも青空の下でドライバーを振れること。感謝しかない。
日曜日21時に現れた金融界のヒーローはかく言う。これまでの出会いとできごとに感謝をし、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば明るい未来が開ける、と。
光に満ちた未来にするため、彼女たちはもうすでに動き出している。
<ライター&写真 プロフィール>
フォトグラファー|今井 暖(いまい だん)
2006年からフリーランスのフォトグラファーとして活動を始める。自身がゴルフを始めたことがきっかけで、現在は国内外のゴルフコースやトーナメントなど世界中のゴルフシーンを中心にWEB・雑誌・広告・カタログなど多岐にわたって撮影。ダイナミックな自然を相手にするゴルフというスポーツの魅力を写真はもとより、映像の分野でも発信し続けている。