地域貢献・コミュニティ
少子化・高齢化による人口構造の変化は日本固有の社会課題であり、DBJが取り組むべきテーマの一つと認識しております。この課題は、今後特に地域で先鋭化すると考えております。DBJは、地域金融機関等との連携のもと、ファイナンスとナレッジを組み合わせ、多面的なソリューション提供により、地域の課題解決に向けて貢献してまいります。
地域金融機関等との連携・協働
地域金融機関と連携した事業性評価
DBJは、地域金融機関と連携し、地域金融機関のお取引先に対し、経営課題解決型のソリューション提案を行う事業性評価のサポートを行っています。マクロ分析と個社分析からお取引先の経営課題を顕在化させるファクトファインディング、それをわかりやすく伝えるプレゼンテーション、課題解決に向けた様々な金融ソリューションを通じて、お取引先の成長戦略と取引の活性化をサポートしています。地域金融機関からの出向者には、自行のお取引先に対する事業性評価をOJTを通じて学んでいただくと共に、勉強会等を催し、地域金融機関に事業性評価を浸透させていくためのサポートを行っています。
地方自治体、地域金融機関等との連携によるPPP/PFI、公有資産マネジメントの取り組み
地方自治体が保有する資産を、経営的観点を踏まえ見直す手法は「公有資産マネジメント」と呼ばれ、DBJは、グループシンクタンクと共に計画策定支援、個別プロジェクト形成支援等を通じて多数の地方自治体を支援しています。
また、DBJは、2013年6月に「PPP/PFI推進センター」を創設し、「PPP/PFI大学校」、国との協働による地域プラットフォーム整備等の企画・開催・運営を行うなど、PPP/PFIの活用拡大やそのための推進態勢整備支援等に力を入れています。なかでも「PPP/PFI大学校」は、DBJの全拠点をTV会議システムで結び、双方向型で先進事例共有やディスカッションを行う企画として、第9期までに全国で延べ約7千名の方にご参加いただくなど高い評価をいただいています。
地域企業のM&Aや海外情報提供で連携
地域企業が直面している事業の再編や承継、海外展開を含む事業領域の拡大をはじめとする様々な経営課題に対して、地域金融機関と連携した地域創生への取り組みの一環として、地銀M&Aネットワーク(2019年3月末時点加盟機関数:74機関)を通じた地域企業に対するM&A機会の創出等を実施しています。
地域課題に関するナレッジの提供
グリーンインフラの社会実装に向けた取り組み
2018年度の取り組みとして、『DBJ都市の骨格を創りかえるグリーンインフラ研究会報告書-グリーンインフラを核にした持続的な都市創成のための提言-』と題した調査レポートを発行しました。
都市に緑地を増やすことで、従来型のインフラが担ってきた防災や環境の機能の一部を代替する「グリーンインフラ」が、近年注目を集めており、都市の魅力やサステナビリティを高めると共に、インフラ更新に伴う財政負担の軽減に繫がることが期待されています。
DBJでは、座長に福岡孝則東京農業大学准教授を、顧問に大西隆豊橋技術科学大学学長、涌井史郎東京都市大学特別教授ら有識者を招き「DBJ都市の骨格を創りかえるグリーンインフラ研究会」を立ち上げ、グリーンインフラの社会実装に向け、複数のテーマについて議論を重ねてきました。本報告書は、研究会における議論の概要を示しながら、議論から得られたグリーンインフラの社会実装に向けた示唆等について整理を行ったものです。
スマート・ベニューとスポーツ産業の経済規模推計
スマート・ベニュー研究会(委員長:早稲田大学スポーツ科学学術院教授 間野義之氏)と共同し、『スポーツを核とした街づくりを担う「スマート・ベニュー®」~地域の交流空間としての多機能複合型施設~』と題した調査レポートを発行しました。これを機に、全国各地のスタジアム・アリーナ整備を検討している自治体や事業主体からの相談対応等に注力しており、2018年10月には(一社)セレッソ大阪スポーツクラブとの間で、DBJで初めて地域のプロスポーツ企業の事業モデルに着目した取引を開始しました。
また、2018年3月に公表した同志社大学との共同調査「わが国スポーツ産業の経済規模推計」では、当該産業の経済規模は2011年時点で6.6兆円と試算しています。当該スポーツ産業の経済規模推計を受け、「未来投資戦略2018」では、「(株)日本政策投資銀行の協力を得て、スポーツ市場規模を継続的かつ国際比較可能な形で推計する手法を検討する」と明記されました。
古民家の活用による地域活性化
古民家の経済的な価値の創出や、古民家の活用を地域活性化に繫げることを目的とした情報発信やアドバイスを行っています。近年の調査レポートとして修繕・リフォーム等の潜在的な市場規模や、外国人旅行者の古民家への宿泊がもたらす経済効果について考察した『古民家の活用に伴う経済的価値創出がもたらす地域活性化』、古民家活用時の事業スキーム例や事業収支を組み立てる際の参考指標等を紹介した『古民家活用事業のポイント』等を発行しています。
伝統ものづくり産業の活性化調査
『地域伝統ものづくり産業の活性化調査』と題した調査レポートを発行しました。
AI等による工業化社会の究極的な発展やグローバリズムの成熟に伴い、物事が合理的・効率的に均質化するなかで、国・地域がそれぞれに持つ文化や歴史、自然、地理的背景に根ざした固有の特性は今後ますます重要な差別化要因として発展していくことが期待されています。DBJは2014年に始まった地方創生のなかで、地域資源を活かした産業活性化を目指すと共に、2018年に発行した本レポートでは、伝統的に地域で活動する製造業「伝統ものづくり産業」の事例調査を通じ、その課題や発展可能性についての示唆をまとめています。