津波フラッグ
「津波フラッグ」は大津波警報、津波警報、津波注意報(以下、「津波警報等」という)が発表されたことをお知らせする旗です。
津波警報等は、テレビやラジオ、携帯電話、サイレン、鐘等、様々な手段で伝達されますが、令和2年6月から海水浴場等で「津波フラッグ」による視覚的伝達が行われています。「津波フラッグ」を用いることで、聴覚に障害をお持ちの方や、波音や風で音が聞き取りにくい遊泳中の方などにも津波警報等の発表をお知らせできます。海水浴場や海岸付近で津波フラッグを見かけたら、速やかに避難を開始してください。
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津波フラッグとは
津波フラッグは、長方形を四分割した、赤と白の格子模様のデザインです。縦横の長さや比率に決まりはありませんが、遠くからの視認性を考慮して、短辺100cm以上が推奨されます。
津波フラッグ |
気象庁/知識・解説YouTubeチャンネル-「津波フラッグ」は避難の合図- |
海岸で津波フラッグを振っているイメージ |
気象庁/知識・解説YouTubeチャンネル-「津波フラッグ」をおぼえよう!!- ※実際の警報音が含まれるため、再生時の音量にご注意ください。 マンガ小冊子も合わせてご覧ください。 |
海水浴場における津波フラッグ掲出のデモンストレーション(約1分)※無音 |
津波フラッグは、主に船舶間の通信に用いられ、「貴船の進路に危険あり」を意味する国際信号旗である「U旗」と同様のデザインとしています。U旗は、海外では海からの緊急避難を知らせる旗として多く用いられています。ただし、U旗は、他の国際信号旗と組み合わせることによって、別の意味になることがあります。
津波フラッグ導入市町村数
全国合計(導入率):284市町村(71%)
(令和6年6月30日、気象庁調べ。海水浴場を有すると回答した402市町村(調査年度により変動)のうち)
津波フラッグ導入市町村数(都道府県別)(令和6年6月30日、気象庁調べ)
※ 海水浴場を有する全ての市町村で津波フラッグを導入していない都道府県、または、海水浴場を有する市町村が無い都道府県については、数値を記載していない。津波フラッグ活用事例
令和6年4月3日の台湾付近の地震に伴い、沖縄本島地方及び宮古島・八重山地方に津波警報を発表しました。
津波警報の発表に伴い、沖縄県内で津波フラッグを活用した伝達が実施されました。
津波警報発表時に、ビーチで実際に津波フラッグを掲示してライフガードの方々が遊泳者に退水を呼びかけ避難誘導するなどの活用事例がありました。
避難誘導後も継続してビーチに掲げられた津波フラッグ(糸満市の美々ビーチいとまん提供)
「津波フラッグ」による津波警報等の伝達に関するガイドライン
自治体をはじめ関係機関・団体において、津波フラッグを用いて津波警報等の伝達を行う上での留意点や参考となる事項等をまとめたガイドラインです。
小冊子
津波フラッグや津波からの避難について、マンガでわかりやすく説明した小冊子です。
(作成:公益財団法人日本ライフセービング協会・気象庁 作成:令和4年7月)
リーフレット
津波警報等が発表された際の防災対応と津波フラッグについて説明したリーフレットです。
(作成:内閣府・消防庁・気象庁 作成:令和3年5月)
(作成:公益財団法人日本ライフセービング協会・気象庁 作成:令和4年3月)
ポスター
海水浴場等で津波警報等の発表を「津波フラッグ」によりお知らせすることを広報するポスターです。
(作成:公益財団法人 日本ライフセービング協会・気象庁 作成:令和2年6月) |
(作成:公益財団法人 日本ライフセービング協会・気象庁 作成:令和4年3月) |
津波警報等の視覚による伝達のあり方の検討について
気象庁が津波警報等を発表すると、テレビ、ラジオ、緊急速報メール、防災無線、サイレン等、様々な手段で対象地域にいる人々に伝達されます。一方で、海水浴場などにおいては、聴覚による伝達手段と比較して視覚による伝達手段が少ないことから、津波警報等の視覚による伝達手段について検討が行われました(令和元年10月から令和2年2月にかけて「津波警報等の視覚による伝達のあり方検討会」 を開催)。
検討の背景として、平成23年の東日本大震災では、岩手県、宮城県及び福島県における聴覚障害者の死亡率が、聴覚障害のない者の2倍にのぼったとのデータがあり1、東日本大震災における聴覚障害者への情報伝達の問題点として、①防災行政無線、サイレン、広報車による呼びかけが聞こえなかった、②停電によりテレビ(字幕)や携帯メール等が使えなかった、といった点も挙げられています2。
海水浴場等では、津波警報等が発表されたら直ちに避難する必要があります。しかし、このような場所では携帯電話を所持していないことも多く、防災行政無線やサイレンでは、聴覚に障害をお持ちの方に情報を伝達することができません。また、聴覚に障害がなくても、海に入っている場合など、波や風でこれらの音が聞こえない場合も考えられます。このような際に、津波警報等を伝達する手段として、旗による視覚的な伝達が提案されました。
次に、どのようなデザインの旗が適しているかについて、検討を行いました。実際に海水浴場において、当時先進的な自治体で用いられていたオレンジ色の旗や赤色の旗なども含めた複数のデザインの旗の視認性を検証した結果、赤白の格子模様のデザインとすることが提案されました。
1 「ノーマライゼーション障害者の福祉」2011年11月号より引用。
2 今村彩子「架け橋-きこえなかった3.11-(2013年)」、松崎丈(2013)「東日本大震災で被災した聴覚障害者における問題状況―情報アクセスの視点から―」及び日本聴力障害新聞(2011年5月1日)より引用。
津波警報等の視覚による伝達のあり方検討会の様子
海水浴場で実施した旗の視認性の検証の様子