九州南部の平年の天候

九州南部の平年の天候

九州南部

図1 九州南部の地勢図

鹿児島の気象要素の季節変動

図2 鹿児島の気象要素の月別の変化

凡例

宮崎の気象要素の季節変動

図3 宮崎の気象要素の月別の変化

 気温は、盛夏となる7月から8月が1年のうちで最も高くなり、平均気温は28~29℃になります。一方、1月の平均気温は年間で最も低くなり8~9℃となります。

 降水量は、3月から9月が多いです。特に梅雨の時期となる6月から7月にかけてが顕著に多く、年降水量の約3割がこの期間に降ります。冬の降水量は極端に少なくなり、夏の1/5程度の雨量となります。また、宮崎の8月から9月は太平洋からの湿った東風により梅雨の時期に次いで降水量が多いです。

 日照時間は、鹿児島では、太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多い7月から8月が最も多くなります。一方、梅雨の時期(6月)と、冬の寒気(1月から2月)の影響により最も少なくなります。宮崎では、梅雨の時期(6月)が最も少なくなります。

春の天候(3月~5月)

2012年5月15日の天気図

図4 2021年4月17日09時地上天気図

低気圧や前線が日本海と本州南岸を通過し、全国的に曇りや雨となりました。

 春になると高気圧と低気圧が交互に通過するため、天気は数日の周期で変わります。4月も半ばになると太平洋高気圧が次第に強まり、周期的に通過していた高気圧も北に偏り、九州南岸に前線が停滞し、天気がぐずつくことがあります。梅雨を思わせるようなうっとうしい時期のことを「梅雨のはしり」とよびます。このような現象は年によって違い、明瞭な現象がないまま梅雨になる年もあります。

夏の天候(6月~8月)

2012年7月31日の天気図

図5 2020年7月4日09時地上天気図

活発な梅雨前線の影響で、九州南部は記録的大雨となり、鹿児島県には大雨特別警報が発表された。

 6月から7月上旬が梅雨の時期です。この時期が一年の中で最も雨が降りやすく、梅雨末期の集中豪雨など雨による災害が起きやすくなる時期でもあります。

 7月も中旬に入ると太平洋高気圧が安定して張り出すようになり、梅雨が明けて盛夏へと移行します。太平洋高気圧圏内では、高温多湿となるため蒸し暑い日々が続きます。また、梅雨期間は広範囲に降っていた雨も、局地的な降り方へと変わり降水量も少なくなります。

 九州南部は台風の常襲地帯です。台風の接近数(上陸、通過も含む)は九州南部・奄美地方とも9月が最も多く、6月から10月にかけて集中しています。

秋の天候(9~11月)

2012年10月20日の天気図

図6 2020年9月17日09時地上天気図

前線の影響で西日本は、広範囲で雨となり、九州南部でも非常に激しい雨の降った所がありました。

 9月中旬になると太平洋高気圧の勢力も次第に弱まり、大陸からの移動性高気圧と低気圧が交互に日本付近を通るようになり、天気は数日の周期で変わるようになります。また、移動性高気圧と太平洋高気圧との境に前線が形成され「秋雨前線」と呼ばれます。秋雨前線は東日本ほど明瞭で、九州南部や奄美地方でははっきりしない場合が多いです。

 九州南部の最高気温は立秋を境に下降をはじめますが、残暑は太平洋高気圧の弱まる9月中旬頃まで続きます。

冬の天候(12月~2月)

2010年12月31日の天気図

図7 2020年12月31日09時地上天気図

強い冬型の気圧配置となり、九州南部でも雪の降った所があった。

 この時期は、シベリア付近には寒気を伴った優勢な高気圧が停滞します。一方、アリューシャン近海付近では低気圧が発達するため、西高東低の冬型の気圧配置となり、大陸から寒冷な季節風が吹きやすくなります。

 冬型の気圧配置が強くなり、季節風による寒気が入るようになると、東シナ海側では曇雨天の日が多くなり、太平洋側では晴天の日が多くなります。これは、東シナ海側では大陸から東シナ海を渡ってくる冷たい季節風が、暖かい海面から水蒸気の供給を受けて出来る筋状の雲が次々に流れ込むことにより生じ、太平洋側では九州山地や霧島山等の東側には乾いた空気が吹き下ろすことにより、大隅地方や宮崎県では晴天が多くなります。