令和6年度司法書士試験筆記試験の合格発表がありました | palette

令和6年度司法書士試験筆記試験の合格発表がありました

司法書士コラム

皆さんこんにちは。

本日、令和6年10月3日午後4時に令和6年度司法書士試験筆記試験の合格発表がありました。
合格された方は、誠におめでとうございます!

本日は、今年の司法書士試験筆記試験に合格された方に向けて、今後の流れについて、口述試験新人研修を中心に、ご参考となるような話をしていきたいと思います。

今年の合格者の方でなくても、司法書士試験の筆記試験の合格後の流れをお知りになりたい方にとっては有用な記事であると思いますので、是非学習のモチベーションアップのためにお読みください。

※既に情報が出ている令和6年度口述試験の日程等以外の、試験内容や試験当日の様子等については、筆者が受験した令和4年度口述試験の実施状況及び昨年の合格者の方から伺った令和5年度口述試験の実施状況について書いております。
 ですので、合格者の方は、令和6年度版の要綱を必ずご確認なさってください。

口述試験(概要)

まず、手っ取り早く口述試験の概要を知りたい方に、特に重要なことだけピックアップして、先に書かせていただきます。

実施日時:令和6年10月15日(火)(午前の組・午後の組に分かれる会場もある)
平日に実施されます。※※※※※遅刻厳禁※※※※※
試験時間:10分~15分程度
試験形式:面接官(登記官)2名による口頭での質問
試験範囲:不動産登記法、商業登記法、司法書士法(満遍なく計10問程度出題)
受験する順番:先着順
推奨する服装:スーツ
持ち物:受験票、筆記用具
   (必要な方は、時間つぶしのための口述対策資料、読書用の文庫本など)
受験会場:筆記試験会場に対応し、以下の通り。
・札幌会場で筆記試験合格の方⇒札幌会場
・仙台会場で筆記試験合格の方⇒仙台会場
・東京・横浜・さいたま・千葉・静岡会場で筆記試験合格の方⇒東京会場
・名古屋会場で筆記試験合格の方⇒名古屋会場
・大阪・京都・神戸会場で筆記試験合格の方⇒大阪会場
・広島会場で筆記試験合格の方⇒広島会場
・高松会場で筆記試験合格の方⇒高松会場
・福岡・那覇会場で筆記試験合格の方⇒福岡会場
試験対策:口述試験の過去問題集を数回転し、可能な限り口述模試を受験する。

口述試験(詳細)

続いて、詳細について書いていきます。

司法書士試験の筆記試験に合格された方にとって、次の関門は口述試験です。
令和6年度は、筆記試験の合格発表が例年より1週間早まったのもあり、筆記試験合格発表から2週間足らずで実施されることとなり、合格発表当日まで合否がどちらになるかわからなかったような方は、非常に慌ただしく対策を始めることになると思います

口述試験は、会場によっては午前と午後の組に分かれて臨むことになりますが、受験票が届くまでどちらに割り振られるかはわかりません。
口述試験会場から遠いところにお住まいの方は午後の組に割り振られる傾向にあるようですが、人数の調整次第だと思いますので、断言はできません。

「口述」試験の名の通り、登記官である面接官2名による面接形式にて、「不動産登記法」「商業登記法」「司法書士法」を出題範囲とした、口頭による質問が実施されます。
試験時間は10分~15分程度で、3科目合わせて約10問程度質問されます。
人によってはもっと早く終わることもあるようです。
受験する順番は、事実上の受付順で決まります(面接部屋ごとに細かい組に割り振られ、その組の中での番号順により実施されます)。
遅くに受付した方は待ち時間が3時間を超えることもあるため、口述試験の対策資料時間つぶし用の文庫本等を持って行く方が良いかと思います。

令和4年度当時の筆者の経験談となりますが、東京会場では、口述試験が実施される面接部屋に呼ばれるまで、その回の全受験生が大部屋で待機になりました。
もちろん私語は慎まなければなりませんが、思っていたよりも緊張感は強くなかったように記憶しています。
各司法書士会の資料等が机上に置いてあり、持ち帰らせていただきました。

口述試験対策としては、クレアールがお配りしている
「司法書士 口述試験過去問題集<不登法・商登法・司法書士法>」(※)
3周程度して、口述模試を受験すれば十分かと考えます。
(※)受験番号調査にご協力いただいている合格者の方に、順次お送りさせていただきます。

油断をしてはいけませんが、口述試験は落とす試験ではなく、本人確認を主眼として、司法書士の職責である「品位の保持」を期待できる人間性であるかを見る試験です。
ですので、もちろん遅刻厳禁ですし、一言も話さなかったりした場合には不合格になるという噂はありますが、社会人として適切かつ臨機応変な態度で臨めば、不合格になることは無いと思われます。

ただ、今までの紙面上での筆記試験とは異なり耳で聞いて口で答える試験なので、なかなか慣れない独特の難しさはあると思います。
どうしてもわからないことは正直に「わかりません」「失念しました」と答えましょう。
なお、「わかりません」「失念しました」と即答したり、多くの質問にそのように回答すると注意されることもあるようですので、しっかりと考えた上で、誠実に回答(解答)するようにしてください。

新人研修

時期尚早ではありますが、新人研修についても書かせていただきます。
令和6年度本試験の手応えがどうであったかを含め、様々な状況で合格された方がいらっしゃると思うので、司法書士試験最終合格に向けて必ずしも万全の心構えの方のみではないと思っております。
少しでも新人研修に対するイメージが湧きますと幸いです。
※口述試験で頭がいっぱいの方は、口述試験が終わってから読まれることを推奨します。

※以下、【必須】とありますが、これは「司法書士登録をするに当たり受講が必須」という意味であり、向こう1年以内に司法書士登録の予定がない方は必ずしも受講する必要はありませんので、ご自身が司法書士に登録しようと思い立ったタイミングで受講すれば問題ありません。

※11月5日(火)の最終合格発表後、すぐにでも司法書士登録して働き始めたいという方は、12月からスタートする【必須】の研修を受け終わらなくとも、「必ず次回の新人研修を受講する旨」の誓約書を提出することによって、司法書士登録自体は受け付けてもらえる(最短で12月登録が可能である)ことが多いようです(※各司法書士会によります)。

★中央新人研修【必須】

日本司法書士会連合会が実施する研修で、
司法書士制度の歴史
現在の司法書士のメイン業務の概要
司法書士業務を行うにあたっての姿勢
司法書士としての倫理や職責

等を学びます。
後述のブロック新人研修と比べ、司法書士業務全体を広く見渡すような内容や、学問的な内容を多く含んでおります。
web形式のみで完結する研修となります。
令和5年度は、下記の通り2つのグループに分けて実施されました。

第1グループ(関東ブロック以外の7ブロック):
令和5年12月11日(月)0時00分~12月28日(木)23時59分

第2グループ(関東ブロック):
令和6年1月5日(金)0時00分~1月22日(月)23時59分

約37時間の講義の受講の他、効果確認問題の解答と修了レポート(500文字×5問)の提出が求められ、費用は44,000円です。

★ブロック新人研修【必須】

全国を8つに分けたブロック会でそれぞれ実施され、かなり細かい司法書士業務の項目ごとに、実務に直結する知識を学びます。開業予定地での受講が推奨されています。
ブロックごとに実施の形式が「集合形式」と「集合形式とweb形式の併用」に分かれますので、ご自分が所属するブロックの研修要綱をしっかり確認しましょう。費用は33,000円です。
下記は、令和5年度の実施状況となります。

・北海道ブロック→集合形式、1月中旬~下旬の連続する7日間
・東北ブロック→集合形式、1月中旬~下旬の連続する9日間(内1日休み)
・関東ブロック(※関東地方1都6県+静岡県、山梨県、長野県、新潟県)
 →集合形式とweb形式の併用、12月中旬~1月中旬の4週間で約35時間のweb講義を受講し、1月中旬の2日間(実質1.5日)で集合研修(相談ゼミナール・立会ゼミナール)を受講。
・中部ブロック(※静岡県を除く東海地方+新潟県を除く北陸地方)
 →集合形式、1月上旬~中旬の連続する7日間
・近畿ブロック→集合形式、年末年始を除く12月中旬~1月末の毎週末の13日間(原則土日)
・中国ブロック→集合形式、1月上旬~中旬の連続する7日間
・四国ブロック→集合形式、1月上旬の連続する7日間
・九州ブロック(※沖縄県を含む)→集合形式、1月中旬~下旬の連続する8日間

★司法書士会研修(配属研修)【原則:任意】

各都道府県の司法書士会ごとに実施され、一定期間実際に司法書士事務所に配属されて、OJT形式で実務を学びます。
原則として、即独立を考えている人を対象者として実施される研修ですが、受講したからといって必ずしも即独立しなければならないわけではありません。
補助者経験のない合格者の方が、事務所勤務を開始する前に受講するということも多々あるようです。
地域によって実施期間や費用がかなり異なるので、即独立希望の方や、補助者経験がなく本格的に勤務する前に司法書士の実務を経験されたいという方は、開業予定地のエリアの配属研修について是非お調べになってください。
※【必須】とされている司法書士会もあるのでご注意ください。

ちなみに、東京司法書士会の新人研修は、上述の配属研修とはかなり毛色が異なります。
(まだ令和6年度の要綱が出ていないようですので、筆者が受講した令和4年度の実施状況についてお話しします。)
令和4年度は、定員400名として、12月初旬~1月末の期間で完全web形式で実施され、全国の合格者が参加しました。※web形式なので、東京以外の合格者も参加可能です。
開会式・閉会式、法務局見学、裁判傍聴、実務家講師と合格者のZOOMによる顔合わせ会等、先着順で様々なイベントも実施され、非常に充実していました。
時間の都合がつく方は、①②の研修と併せて是非参加されてみてください。講義が36時間(3時間×12コマ)で、費用が33,000円でした。

なお、新人研修が終わった後、特別研修が実施されます(令和5年度は5月下旬~7月初旬に実施されました)が、こちらの受講も任意です。
認定司法書士となるための認定考査の受験資格として、特別研修修了が必須となりますので、認定司法書士を目指す方は受講してください。

如何でしたでしょうか?
筆記試験合格者の方は、しっかりと口述試験対策をして、是非有終の美を飾ってください。
個人的には、ギリギリで合格した方筆記試験に悔いが残る方ほど、口述試験の対策をしっかり行い、心残りを少しでも少なくしていただきたいと考えております。
また、新人研修については、口述試験が終わったタイミングからでよいので、乗り遅れないように情報収集し、1年以内に登録予定の方は忘れずに申込みをしてください
※令和4年度・令和5年度共に、最終合格発表前に中央・ブロック新人研修の申込受付が開始していました。

受験生の方は、是非とも来年口述試験新人研修を受けられるように、気持ち新たに学習ノルマをこなしていきましょう。

執筆:R.N(司法書士有資格者)

クレアールの初学者向け司法書士講座を受講し、令和4年度司法書士試験に一発合格。
大学在学中は司法試験を目指していたが、挫折してしまい法科大学院に進学しなかった経験あり。法律難関資格への想いを断つことができず、司法書士試験を目指すことに。
現在は、クレアールの司法書士教務担当として受講生のサポートなどを行う。他に行政書士、宅建士、日商簿記2級、漢検準1級等を保有。

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