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『アングリースクワッド』は最後までワクワクが途切れない傑作! 世界観をさらに楽しめるドラマ版も要チェック

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映画『アングリースクワッド』は最後までワクワクが途切れない傑作! 世界観をさらに楽しめるドラマ版も要チェック
映画『アングリースクワッド』は最後までワクワクが途切れない傑作! 世界観をさらに楽しめるドラマ版も要チェック (C)2024アングリースクワッド製作委員会

 映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』が11月22日から公開となる。監督は、『カメラを止めるな!』が2館の上映から始まって異例の大ヒットを記録した上田慎一郎。2023年には、短編『レンタル部下』が、TikTokと第76回カンヌ国際映画祭による第2回「#TikTokShortFilm コンペティション」にてグランプリを受賞している。今回の『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』の主人公は、至って真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)。気が弱く、事なかれ主義の二郎は、出世にも程遠い。しかし、同じ部で働く部下の望月さくら(川栄李奈)は血気盛んで、本店(と言われる国税庁)での勤務を望んでいる。彼女は、業績を上げようと、日本有数のコーポレーションを率いるカリスマ社長の橘大和(小澤征悦)の10億円とも言われる脱税に目を付け近づくが、その時に同行していた熊沢が橘に暴力をふるったと嘘をでっちあげられてしまう。一方、家族にせがまれ、個人取引のちらしを見て、車を買い替えようとする熊沢。しかし、まんまと詐欺にあってしまう。その詐欺を働いていたのが、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)であった。熊沢は、刑事の友人・八木晋平(皆川猿時)を頼って氷室を追っていたが、氷室の方から熊沢に会いに来た。捕まることを恐れ、金を返しに来たのだった。それどころか、被害届を取り下げるなら、橘が脱税している金を奪って納税に繋げようという取引を仕掛けてくるのだった。ここまでの展開もスピーディーで、これからどうなるのかワクワクするが、最後までそのワクワクが途切れないのがこの映画の見どころだ。

■実力派キャストが大集結!

キャラクターも魅力的だ。


 熊沢も展開とともに変化していく。彼は、いつもは税務署内で悪目立ちせず、穏健に仕事ができたらいいと考えているし、家庭内では風呂掃除をしたり洗濯物を畳んだりと家事を当たり前の日常とし、妻にも娘にも文句のひとつも言わない、良き夫であり父親である。

 しかし、彼の友人の八木の発言からは、以前は熊沢が高校時代に教師にくってかかったこともあったというアツい部分も持っていたことが分かる。その上、国税局で働く同期がこの橘の脱税に目を付けて取り立てる中、理不尽な目にあってしまった過去もあり、熊沢の心の中の正義感やアツい思いに再び火が着くのだった。熊沢の気持ちに変化が訪れる時の表情がいい。この映画のタイトルが『アングリー・スクワッド』なのも、彼の中にあった「怒り=アングリー」に火が着くというところから来ているのだと思うと、うまい解釈だと思える。

 そもそも、この映画は韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』が原作となっている。内野が演じている税務署員を演じるのは、日本でも『犯罪都市』シリーズが人気のマ・ドンソク。岡田が演じた天才詐欺師をドラマ『応答せよ1997』や映画『オオカミ狩り』のソ・イングクが演じている。

 なお、この韓国ドラマの原題は『38師機動隊』、英語タイトルが『Squad 38』である。38機動隊の38というのは、納税義務が韓国の憲法38条にあるためで、また英語タイトルの「Squad」は、もとは軍隊頭語で、少人数のチームを意味する。日本タイトルの「アングリー」というのは、日本のオリジナルなのかもしれないが、温厚で毎日を淡々と生きていればいいと思っていた熊沢が、「怒り」によって自分自身の心に火を着け、それ以降は、生き生きとした魅力を放つことになっている映画になっているから、うまい解釈になっている。


 スクワッド=チームの面々も魅力的だ。岡田演じる氷室は若くして天才的な詐欺師。彼はいつでも冷静沈着だが、ときに熊沢にだけは、本当の顔を見せたり、過去の出来事について吐露するシーンがあり、ぐっとくる。岡田は今年だけでも、朝ドラ『虎に翼』や、Prime Videoのドラマ『1122 いいふうふ』、大ヒット中の映画『ラストマイル』、中国の人気小説を映画化した『ゴールド・ボーイ』など、どんな作品に出ても“無双状態”で活躍し続けている。そんな彼の演じる天才詐欺師っぷりにも注目だ。


 氷室が信頼している女性詐欺師・白石美来に、ドラマ『放課後カルテ』が好調の森川葵。舞台の世界で活躍し、『全裸監督』で注目を集めた後藤剛範が「あたり屋」の村井竜也をコミカルに演じ、朝ドラ『虎に翼』でヒロインの寅子の兄を演じた上川周作は、機械いじりの天才・丸健太郎を演じた。また、俳優のみならずラジオの世界でも活躍している鈴木聖奈が、いつもハンマーを持った狂暴な役を、宝塚のトップを経て活躍し続けている真矢ミキが、そのボスを演じているのも見逃せない。


 また、熊沢の部下の望月さくらを演じるのは朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で、トリプルヒロインの一人に抜擢され、『青天を衝け』で徳川慶喜の正室・美賀君を演じた川栄李奈。


 このチームに立ちはだかる本作の悪役・橘大和を演じる小澤征悦のキャラクターも、一辺倒な悪役ではない。コミカルさを持ちながらも、最後まで熊沢たちチームと一歩もひかないやりとりを見せ、本作をスリリングな作品にしている。

■ドラマ版も要チェック

 本作は、映画だけを見ても楽しめるが、前日譚を描いたドラマ『アングリースクワッド EPISODE ZERO』も11月14日からLeminoで配信が始まっている。こちらは、『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』の3年前を舞台に、詐欺師たちの知られざる過去が明らかになるLeminoオリジナル作品。主演は岡田将生で、共演は森川葵・後藤剛範。三人の出会いから、詐欺師としてのパートナーになるまでを描いている。


 森川演じる白石美来は、元は俳優志望で、渡麗華(清水美砂)という悪徳芸能事務所の社長の主催する俳優養成所で夢を追っていた。しかし、そこで借金を作らされてしまったことがきっかけで、現在は村井竜也(後藤剛範)とともに、夜のクラブで金持ちの男を見つけては騙す日々。そんなとき、一人カウンターで飲んでいた氷室マコト(岡田将生)をターゲットに声をかけた白石。しかし、氷室はもちろんそんな仕掛けにはかからない。それどころか、悪徳社長の渡を騙し、2億円を奪う計画を実行するために、俳優志望であった白石に仲間になるよう声をかけるのだった。

 このドラマでも、スピーディーでハラハラドキドキのコンゲームが描かれる。前日譚だけを見ても十分に面白いが、このドラマを見て映画を見れば、より詐欺師たちチームの関係性を知った上で楽しめるようになっている。


映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は11月22日より全国公開。Leminoオリジナルドラマ『アングリースクワッド EPISODE ZERO』(全3話/第1話無料)はLeminoで配信中。

(C)2024アングリースクワッド製作委員会、(C)NTT DOCOMO, INC.

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』本予告

文:西森路代

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