1. 概要
家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
- 二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
- 18歳以上であること
- 現に婚姻をしていないこと
- 現に未成年の子がいないこと
- 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
※ 性同一性障害者とは,法により「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず,心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち,かつ,自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者」とされています。
※ 令和5年10月25日付け最高裁判所大法廷決定において,5の要件は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示されています。
2. 申立人
性別の取扱いの変更を求める本人
3. 申立先
申立人の住所地の家庭裁判所
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4. 申立てに必要な費用
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
5. 申立てに必要な書類
(1) 申立書(6の書式及び記載例をご利用ください。)
(2) 標準的な申立添付書類
- 申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
- 所定の事項の記載のある2人以上の医師による診断書
※ 診断書の記載要領と参考様式は,家庭裁判所の受付窓口に用意してあります。また,厚生労働省のホームページでもご覧頂けます。
※ 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。
6. 申立書の書式及び記載例
7. 手続の内容に関する説明
- 1. 申立て後の手続は,どのように進行するのですか。
- 申立書や診断書等の記載の内容にもよりますが,必要に応じて,家庭裁判所調査官による調査を行ったり,裁判官が直接事情を聴いたりします。裁判官はこうして得られた結果をもとに,性別の取扱いを変更するかどうかの判断をします。
- 2. 変更審判がされた後,戸籍の記載はどのようになるのですか。
- 変更審判を受けた場合には,申立人を筆頭者とする新戸籍が編製され(戸籍が申立人単独のものである場合は新戸籍は編製されません。),父母との続柄欄が更正されます。なお,従前の戸籍における他の兄弟等の父母との続柄欄は訂正されません。詳しくは,市区町村役場でお尋ねください。
- 3. 名前も変更したいのですが,どうすればよいのですか。
- 名前を変更するには家庭裁判所の許可が必要になりますので,この手続以外に「名の変更許可」の申立てをしてください。