北区民まちづくり会議「高齢化部会」開催結果
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2020年2月7日
北区民まちづくり会議「高齢化部会」開催結果
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1 日時
令和元年8月28日(水曜日)午後6時30分~午後8時40分
2 場所
北区役所3階 大会議室
3 参加者等
(1)部会長
大谷大学社会学部長 志藤修史 氏
(2)出席者
地域代表者 6人
北区民まちづくり会議委員 6人
地域代表者推薦の地域の担い手(比較的若手の方) 3人
各種地域団体 4人
北区民まちづくり提案支援事業活用経験者 3人
大学生 15人
その他,高齢者との関わりが深い団体 等 8人
(例:北区民生児童委員,京都市老人福祉委員,
地域包括支援センター,北区社会福祉協議会)
合計 69人(行政職員を含む)
4 概要
ワールドカフェ方式(※)のワークショップを開催し,キーワード「いつまでも健康でいきいきと暮らせるまち」「地域で繋がり合い,互いに支え合えるまち」に対して,対象者(勤労世代,シルバー世代,大学生,後期高齢者など)にとっての「理想のまち」や,実現していくための取組アイデアについて議論した。
※ ワールドカフェ方式とは
「カフェ」のようなリラックスした雰囲気の中,少人数のテーブルで自由な対話を行う手法。他のテーブルに移動することにより,多様な意見に触れ,多くの取組アイデアを共有することが期待できる。
主な意見
(1)Aグループ
テーマ:いつまでも健康でいきいきと暮らせるまち
対象者:勤労世代(40~60歳代で,健康を意識し始める世代)
【理想のまち】
・地域の人と趣味やスポーツで世代を超えてつながり,老後一人ぼっちにならない。それによって体だけでなく心の健康も保つことができる。
・日常生活の中で気軽に運動ができるような施設があれば,いつまでも健康でいられる。
・児童公園に大人も利用できる器具があり,世代間の交流ができたらよい。
・自分の健康だけでなく,まちもきれいであれば健やかに暮らせそう。
【取組アイデア】
・地域で趣味が合う人をみつけることが大切。地域のイベントが出会いの場になるので,積極的な参加を促していく。
・地域イベントに参加してもらうためには,面白い仕掛けであったり,働き盛り世代に配慮して子どもと一緒に参加できるようにするなどの工夫が必要。
・(次世代の担い手を育てる観点から)地域行事の企画は若い人に任せて,何かあれば主催者で責任を取ってあげることが大切。また,できる限り緩やかに関われる雰囲気づくりをすることが多様な人材の参加につながる。
・地域の役をきっかけにつながりができることは事実なので,面倒でも役をやることが大切。会社組織とは違い,役職のしがらみがないので楽しむこともできる。
・児童公園に子どもだけでなく,大人も利用できる器具を置き,世代間の交流を促す。
・女性に比べて男性はつながりづくりが苦手な傾向にある。例えば,ママ友を利用して,男性同士のつながりができるような工夫をすることが必要ではないか。
(2)Bグループ
テーマ:いつまでも健康でいきいきと暮らせるまち
対象者:シルバー世代(60~70歳代で,健康を意識する世代)
【理想のまち】
・定年を迎えても社会から離れることがないように,歩いて出かけられ,楽しくおしゃべりできる場所があるまち。
・出かけたくなるまち,出かけるきっかけになるような新しいモノやコトがあるまち。
・高齢者が生活の不自由を感じることがないよう,食料など日々の必需品を購入するための店や,医療機関は必要だ。
【取組アイデア】
・公園や銭湯,集会所,図書館,カフェ,学校,神社仏閣等の気軽に人が集える場所を活用し,そこを中心にまちづくりを行う。
・大学生が集まる場があれば,連携もしやすい。楽只市営住宅の跡地にラウンドワンのような遊戯施設や映画館など,若い人が集まる場所があればよい。
・公園に集まるだけではなく,活性化する仕掛けが必要。例えば集う場所に畑を作り,そこで野菜を育て,売るなどしてはどうか。
・街中に出かけるきっかけづくりとなるような取組を行う(ハッピーアワー(安くお酒が飲めるなど),朝市,グラウンドゴルフ,歩こう会などの趣味を生かしたイベントなど)。
・男性は目的がないと孤立しやすい。また,奥さんに連れられてでないと動かない人もいる。祭りで神輿を担ぐために自治会へ加入するなど,地域に関わるきっかけを提供する,地域の商店街等とコラボし,ペア割(2人で120才オーバーの場合,○円引きなどの特典があるなど)を始めるなど。
・「スマホの使い方講座」の開催,60才代以上の人も楽しめるスマホマップの作成などにより,集える場所の情報共有をする。
(3)Cグループ
テーマ:いつまでも健康でいきいきと暮らせるまち
対象者:北山三学区(山間地で暮らす高齢者)
【理想のまち】
・車の運転が出来なくなったり,足が不自由になっても自由に移動ができ,みんなが集まれるまち。
・山間地から市街地に出かけられ,外からも人が来るまち。そのためには特産品を扱う店があり,そこで高齢者が働くことができたり,若い人が移住して事業を始めるような環境が必要。
・孤立せず,日常的な交流があり,集って一緒に食事ができるようなまち。
・地域に小学校があって子どもが多く,高齢者と交流できるまち。
・バスが増便され,市街地へ出かけやすいまち。化粧やおしゃれをしてのお出かけや趣味など,気持ちの張りがあることは大切。
【取組アイデア】
・交通の便を良くする(雲ケ畑もくもく号の増便。専門医のいる病院を誘致し,病院の送迎バスに地元の人も乗れるようにする。山間三学区で共有の自動車を持ち,ローテーションで利用する。地域の人同士が「乗り合える」「乗せ合える」ソフト面の取組など)。
・市街化調整区域や上下水道などの問題はあるが,キャンプ場やバーベキュー場など,外から人が来るような施設を建設し,地域の人も利用しやすいようにする。
・休校中の学校を活用し,フリースクールを誘致する。職員寮を設置して地域になじんでもらい,移住につなげる。また土日や夏休み期間中に開放し,野草を食べるなどサバイバル教室を開催して,親子に山間部ならではの良さを理解してもらう。
・住むためには産業,働く場所が必要。地域ならではの手づくりの品を活かすことができないだろうか。
・女性に自治会の役員を積極的に務めて活躍してもらい,女性が住みやすいまちにすることで女性が増えれば,地域が活性化するのではないか。
(4)Dグループ
テーマ:地域で繋がり合い,互いに支え合えるまち
対象者:大学生(健康や福祉について大学で学び,社会に還元できる人)
【理想のまち】
・大学生が大学・家・アルバイト先を直線的に行き来するのではなく,「4番目の場所」として地域とつながっているまち。
・地域の人とごく自然に挨拶したり話せるまち。
・年齢や属性,障害のあるなしに関わらず,誰もがまちの構成員であり,多様な人を認めあうことのできるまち。
【取組アイデア】
・インスタ映えするメニューのあるカフェ,スポーツや趣味の場など,学生がわざわざ寄り道したくなるような場所があれば,地域と接点を持つきっかけをつくることにつながるのではないか。
・大学から地域に向けて発信するための掲示板があれば,「地域のイベントで演奏します」などを周知でき,地域とのつながりも生まれるかもしれない。
・大学生が,知らない人に声を掛けやすくする仕掛けを考えてはどうか。例えばコミュニケーションカードを作って「何か困っていることはないですか」と声を掛ければ,何人かに一人は困りごとを抱えている人が反応するのではないか。
・一人ではできないことでも,人が集まればできる。学生だけでは難しくても,地域と連携すればできる。そのためには地域の窓口を明確にするなどの仕組みづくりが必要ではないか。地域と大学で「双方向」「出入り自由」な関係・場があればよい。
(5)Eグループ
テーマ:地域で繋がり合い,互いに支え合えるまち
対象者:介護世代(40~60歳台で,親の介護をしている又はこれからする世代)
【理想のまち】
・隣近所の人に,気兼ねなく相談やお願いができるまち。
・子ども(若者)が高齢者をお手伝いする仕組みがあるまち。
→そのためには,40~60歳代に心の余裕が必要ではないか。
【取組アイデア】
・子どもだけではなく,多世代が集い食事しながら交流できる「みんな食堂」の開催。
・各種団体の世代交代が進んでいない。世代交代しやすい仕組みづくりが必要。
・70歳代になって初めて地域活動をしても,分からないことが多く,動けない。忙しくても40歳代で一度は経験を積んでおくべきだ。
・介護サービスなどが充実していても,活用したがらない高齢者もいる。実際に施設でサービスを経験してもらうことで心地良さに気づいてもらうなど,専門職がサービスを受ける方の立場に立って,きめ細かな配慮をすることも必要。
・近所の人との気持ちの共有を図るために,いろいろな世代が気軽に集まることのできる空き家を活用した場,盆踊りなど既存の自治会イベントを活用した場を提供する。
・アメリカでは,親のボランティア活動の実践度が,子どもの進学で評価される仕組みがある。そうした点に注目して,制度を作ることも考えられるのではないか。
・地域の役員同士が連携する仕組みが大切だが,忙しい人が多く,顔を合わせる機会を持つことが難しい。スマホ等をはじめとしたICT技術で解決できるのではないか。
(6)Fグループ
テーマ:地域で繋がり合い,互いに支え合えるまち
対象者:後期高齢者(75歳以上で,要介護認定を受けている世代)
【理想のまち】
・それぞれの人の力が活かされる。
・気軽に外出できて,外で人とつながることにより元気をもらえる。
・まちの中で困っていても周りの人とつながりあえる。
・鴨川で花見をしたり,行きたいと思える場所があり,皆で楽しめる。
【取組アイデア】
・様々な高齢者等が集えるカフェを設置。参加している人は,参加できない高齢者を訪問し,話を聞く機会をつくる。
・大人も楽しめるような地蔵盆を開催する。
・まちが支えるためには,顔の見える関係を作る必要がある。昔は当たり前だったことをどう復活させるかが大切。
・大学生が交流する「飲み会」のような場が地域でもあれば,学生も参加しやすい。
・大学の学食に高齢者を招待する,地域の人を大学に呼んで「地域コーナー」を設置するなど,大学と地域の高齢者との接点を作る。
・楽只市営住宅の跡地のにぎわい施設に地域と学生が交流できるような実習室を作る。
(7)Gグループ
テーマ:地域で繋がり合い,互いに支え合えるまち
対象者: その他(地域との繋がりを持つことが期待される人 例:外国人,障害のある人など)
【理想のまち】
・外国人も障害のある人も,みんなで美味しいものを持ち寄って交流できるような,自然に距離を近づけられるようなまち。
・外国人に日本の文化を,外国人からは自国の文化を紹介してもらい,文化交流が盛んなまち。
・昔は子どもが外で友達と遊んでいたが,最近は子どもを見掛けない。通りで子どもが花火をしているなど,子どもの声が聞こえるまち。
・介護保険制度など,以前より制度が整っているがために,地域が要支援者を気にする必要が薄れてしまった。自然なかたちで地域とつながりを持ち続けられるまち。
・一人で要支援者を抱えている人など,社会で孤立しやすい人が地域とつながりを持ちやすいまち。
【取組アイデア】
・様々な地域団体の持つ情報を共有し,つなぐ仕組みを作る。個人情報の壁はあるが,緩やかな情報の共有により,心配な人,見守る人を地域とつなぐことができたらいい。
・町内会で役をやっていると負担が重い。大学生が地蔵盆で子どもとゲーム大会をするなどすれば,町内会活動の負担軽減にもつながるのではないか。町内会に入らない人に対しては,無形の利益,安心感が町内会に入るメリットであるということを理解してほしい。
・人が集まる場をわざわざ新しく作るのではなく,小学校,大学,銭湯など既存の場所に,地域の様々な人が集えるよう工夫する。
・高齢者は,若い人と話をすると刺激を受ける。最近みた映画や昔の思い出,自分の得意なことの話になり,若返る。実際に高齢者の話であきらめかけた夢を再び追い始めた若者がいて,その高齢者が大変に喜んだという事例もある。
・高齢者がボランティアをしてもらうばかりではなく,演奏を披露するなどボランティアをする側になってもよい。
・例えば「北区民文化フェスティバル」で課題曲を1つ決めて,高齢者,若い人,障害者など様々な人が集うチームをつくりチーム対抗歌合戦をするなど,多世代が交流できる場があってもよい。
5 部会長のまとめ
本日は,皆が参加できる仕掛けをどれだけ作れるのかが大切という意見が出た。
来年は東京オリンピックが開催される。オリンピックの理念として,「not to win, but to take part(勝つためではなく参加する(ことに意義がある))」という言葉がよく知られているが,同じようなことが市民参加でも言えるのではないか。改めて「take part(参加する)」ということについて,各々で考えていくことが大切である。
次に,北区は文化と学びの地域であるという意見も出た。例えば,小学校も活用しながら,北区18学区それぞれの持ち味を生かした体験・交流と学びの機会があるのも面白いのではないか。
私が行った調査でも,日常的に近隣と交流したり,身近に相談できる人がいるということが,心身の健康につながるとの結果が出ている。皆が参加できる取組がまちのそこかしこに見られる。そうしたことが,ひいては「健康」にもつながっていくのではないか。
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