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    3月定例月議会で伏見市長が令和6年度市政運営方針を表明しました

    • [公開日:2024年2月26日]
    • [更新日:2024年2月26日]
    • ページ番号:49641

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    伏見市長は2月26日、令和6年3月定例月議会において、以下のとおり、令和6年度市政運営方針を表明しました。

    令和6年度 市政運営方針(要旨)

    1 はじめに

     枚方市議会3月定例月議会の冒頭にあたり、令和6年度の市政運営方針を表明する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
     表明に先立ち、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に対しましては心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を願うとともに、被災地や被災された方々のニーズ把握に努めながら、継続的な支援に取り組んでまいります。
     6年前に大阪北部地震を経験した本市としましても、近い将来、高い確率で発生するとされている南海トラフ巨大地震をはじめ、あらゆる災害に対応できるよう防災力のさらなる向上を図り、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
     さて、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口によりますと、本市は2050年には2020年と比較して人口が約9万人、22.5%減少するとされています。このまま推計通りに進むと、税収が減り、これに伴う住民サービスの縮小が市民満足度の低下を招き、人口減少をさらに加速させてしまうという悪循環が生まれかねません。
     こうした負の連鎖を防ぐためにも、より危機感を持って少子化・人口減少に立ち向かうべく、令和6年度の市政をスタートさせる覚悟です。昨年9月に所信で述べた「新たな取り組みに挑戦し、若い世代、子育て世代からさらに選ばれるまちへと進化させる」という決意のもと、最重点施策である子育て・教育施策の充実と枚方市駅周辺再整備を強力に推し進め、まちの活気や経済の活性化につなげることで、将来にわたって市民が幸せを実感できる持続可能な発展の実現をめざしてまいります。
     特に子育て施策においては、安心して楽しく子育てできる環境整備を進めるとともに、本市の課題に即したこれまでにない施策を展開することで「選ばれるまち」として子育て世帯の定住と転入超過の定着による好循環を生み出したいと考えています。
     この2つの最重点施策の推進を基軸に、開催まで1年余りに迫った大阪・関西万博を、本市の魅力を国内外に広く発信する絶好の機会と捉え、ひらかた万博の取り組みをさらに加速させることで、地域経済の活性化、賑わいの創出を図ってまいります。
     今は、予測困難な時代と呼ばれ、新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミック、相次ぐ紛争など国際情勢を背景とした物価高騰、地球温暖化の影響とされる自然災害の激甚化や頻発化、そしてDXの推進や生成AIの技術革新など、あらゆる物事が想像をはるかに超えるスピードで変化しています。これまでの常識が通用しないとされる今こそ「市民が主役」という本市まちづくりの根源に立ち返り、所信で述べた「あらゆる施策は人へとつながる」ことを常に念頭に置きながら、多様性を尊重し、他者の立場に立って考える、誰一人取り残すことのない市政運営に取り組んでまいります。

    2 2つの最重点施策

     枚方の未来を拓くために今、成すべき2つの最重点施策について、令和6年度に取り組む具体策を述べさせていただきます。


    1 子育て世帯をターゲットにした施策のさらなる拡充

    (1)安心して楽しく過ごせる、子育てできる環境の充実

     ひらかたの子どもが笑顔で健やかに成長できるまち、子育て世帯が安心して出産し、楽しく子育てができるまちの実現に向けて、子どもや若者をはじめ、さまざまな立場からのご意見をいただきながら、子育て施策の充実を図ります。
     最重点事項として、子育て世帯の経済的負担について、さらなる軽減を図るため、小学校の全ての学年における給食費の無償化を令和6年度2学期から開始します。
     子育て世帯の保育ニーズに応えるため、就学前の子どもの一時預かり施設の拡充など、在宅での子育て支援の充実を図ります。また、就学前の保育施設においては、今後の保育サービスの需要を見極めながら、待機児童の「通年のゼロ」をめざすとともに、送り迎えの負担となっている、午睡用寝具の持ち帰りの解消に向けた取り組みを進めます。
     5歳児から小学校1年生までの就学前後の子どもの成長に着目し、2年間の学びのつながりを示す「架け橋コンパス」を全小学校区で作成し、幼児期の遊びを、小学校の学びへと円滑につなげます。
     子どもの遊び場を充実させるため、公園に、子どもがワクワクするような遊具や休憩施設等を設置し、子育て世帯が楽しく、安全に過ごせる空間づくりを進めます。
     全小中学校に導入したSNS相談「ぽーち」について、対象を市内の18歳まで拡大し、全ての子どもが日常で気軽に相談できる環境をつくります。
     地域における子どもの居場所については、子ども食堂において、より多くの食事提供に対応できるよう、補助制度を拡充するとともに、ラポールひらかたには、常設の居場所として、学習のサポートや食事を継続的に提供できる児童育成支援拠点を設置します。
     また、学校においては、登校できない、あるいは登校しにくい子どもを含む全ての子どもに学びの機会を提供するため、不登校支援協力員を増員し、「校内ルポ」を設置する小学校を拡充するとともに、メタバースを活用した子どもの居場所づくり、公民連携による居場所づくりを進めます。
     さらに、留守家庭児童会室の長期休業期の昼食サービスや放課後オープンスクエアの実施時間の延長などに向けた取り組みを進めます。
     ヤングケアラーなど、子どもの抱えるさまざまな課題に対しては、スクールソーシャルワーカーの増員を図った上で、引き続き包括的な支援を行います。
     次世代を担う子どもたちが経済的な理由で学びたい、習いたいという想いを諦めることがないようにするため、効果的な支援策を検討します。
     子どもを中心に据え、子育て世帯をまるごと支援する取り組みを充実させるため、母子保健と児童福祉の機能を合わせ持つ、まるっとこどもセンターを開設するとともに、サポートプランの作成を通じて一人ひとりに寄り添い、さらなる相談・支援の充実・強化を図ります。
     また、身近な地域で気軽に相談ができる環境を整えるため、公立4ヵ所の地域子育て支援拠点施設に地域子育て相談機関の機能を備え、支援が必要な妊産婦やこども等を早期に把握し、まるっとこどもセンターと連携した支援を届けます。
     児童虐待をはじめ、子どもやその家庭が抱える諸問題が、年々より複雑化、複合化している社会状況に対応するため、本市において緊急かつ一貫した支援を行うことができるよう児童相談所の設置に向けてロードマップ等を作成します。
     子どもを希望する夫婦への支援として、ペアで早期に不妊症の検査を受け、適切な治療を始められるよう、検査費用を助成します。
     これら子ども・子育て施策を一体的に取り組むことのできるよう、本市の子ども・若者等に関する計画を内包する「(仮称)こども計画」を策定します。
     また、子育て等に係るサービスや支援メニューについては、年齢、利用シーン別に紹介するなど、利用者目線でわかりやすく案内していきます。

    (2)子どもたちの未来への可能性を最大限に伸ばす教育の充実

     近年の社会情勢などを踏まえ、本年3月に改訂する教育大綱に基づき、さらなる教育行政の充実を図ります。
     予測困難な時代にあっても、子どもたちが夢と希望に満ちあふれ、さまざまな可能性に挑戦し、社会で力強く生き抜く力を身に付けられるよう、全ての子どもに個別最適で協働的な学びを実現します。
     主体的に学ぶことの意味と自分の人生や社会のあり方を結び付け、多様な人との対話を通じて自らの考えを整理し、伝える力を育むため、答えが一つではない実践的な課題に対して、主体的に解決策を提案し実現する課題解決型学習(PBL:Project Based Learning)について、他校のモデルとなる研究校を指定し、全ての小中学校で実施できるよう取り組みます。
     あわせて、教師主体の一斉授業から、子どもが主役の学習活動へと転換するための授業改善に向けて取り組むとともに、1人1台端末の更新に向けた準備を進めます。
     誰一人取り残されない教育を実現するため、支援教育充実審議会の意見を踏まえながら、「ともに学び、ともに育つ」教育、支援教育の実施体制や教育内容の改善につながる取り組みを進めるとともに、いじめ問題への未然防止と早期対応の取り組みを強化します。
     グローバル人材の育成のため、英語によるコミュニケーション能力の向上に向けた関西外国語大学との連携をさらに強化し、留学生との交流などを促進させ、子どもたちが異文化体験を通じて学ぶ機会を充実させます。
     子どもたちが義務教育9年間を通じて読書を楽しみ、学習に活かせることができるよう、学校司書の小中学校各校1人配置に向けて人材確保を図ります。
     少子化が進む中、子どもたちが将来にわたりさまざまなスポーツや文化芸術に継続して親しみ、多様な体験ができるよう、中学校部活動について、地域移行の形態を含めた多様な運営体制の構築に向けて取り組みます。
     子どもたちの夢や将来の可能性を広げるため、学校教育活動とは別に、“もっと知りたい”“もっとやってみたい”につながる体験・参加型のプログラムを提供します。
     中学校給食については、全ての生徒が望ましい栄養量を摂取できる環境を整備するとともに、生徒の健全な成長を支えていくための取り組みを着実に進めていきます。
     誰もが安心して通える学校づくりを進めるため、計画的にエレベーターを整備し、バリアフリー化を図るなど、学校環境の充実に向け、施設整備を進めるとともに、禁野小学校の新校舎の整備工事に着手し、令和8年度内の開校をめざします。
     また、児童生徒の熱中症対策や災害時における避難所としての環境を改善するため、小中学校体育館への空調設備について、令和6年度末までの整備完了をめざすとともに、省エネルギー化を推進するため、更新期となる教室の空調設備をCO₂削減効果の高い機器へと入れ替え、照明器具をLED化するなど、学校施設のZEB化に取り組みます。
     教職員がやりがいを持って健康でいきいきと勤務できる学校づくりを進めるため、全ての小中学校において、業務のDXに取り組むとともに、学校自らの働き方改革を人的にサポートする体制づくりと労働安全衛生の充実を図ります。
     これら教育施策を着実に推進し、教育大綱に掲げる教育理念の具体化を図るため、教育振興基本計画を改訂します。

    2 枚方市駅周辺再整備事業の一層の推進

     枚方市駅周辺再整備のリーディングプロジェクトとなる3街区の市街地再開発事業については、令和6年度に、枚方市駅と直結する複合施設が順次オープンを迎え、同施設に設置する枚方市駅市民窓口センター、生涯学習交流センター、市駅前図書館、まるっとこどもセンター等からなる、行政サービスフロアについては、9月中の開設に向けて、引き続き取り組みを進めます。
     枚方市駅市民窓口センターでは、デジタル技術の活用により、窓口で「書かない」「待たない」、窓口を「回らない」をコンセプトに、窓口業務支援システムを導入し、手続きにかかる市民負担を軽減します。
     市駅前図書館には、ICタグシステムを導入し、「待たない」貸出手続きを実現するとともに、立地を活かした魅力ある蔵書の構築や、ビジネスパーソン向けのレファレンスサービスなど、充実した図書館サービスを提供します。また、「いつでも借りられる」をコンセプトにした24時間利用可能な予約図書受取ロッカーを枚方市駅に設置します。
     枚方市駅の北口駅前広場については、ロータリーを拡大し、公共交通であるバス・タクシーと一般車の乗降スペースを分離することにより、車両の流れを改善するとともに、歩道の拡幅や、雨・日差しを防ぐ連続したバスシェルター(上屋)を設置することで、より安全で歩きやすい空間とします。また、再開発事業において整備される民間施設と調和したデザインとすることなどにより、市内外の多くの人を迎え入れる玄関口にふさわしい、快適な空間となるよう、令和7年度の完成に向けて取り組みを進めます。
     天野川沿いについては、将来的にウォーカブルなルートとしていくことを見据え、まずは、3街区の複合施設に接する範囲について、大阪府や再開発組合のほか、地域団体の方々の協力のもとで、生い茂った樹木の撤去や桜の植樹を行うなど、魅力ある景観整備に取り組みます。
     連鎖型のまちづくりに向け、3街区に引き続き、次の街区の整備へとスムーズに展開するために、新庁舎を整備する位置を早期に確定させるとともに、みどりの大空間を中心とした4,5街区の活用イメージやそのために必要な施設・サービスの導入に関して具体的な検討を進めます。また、並行して土地区画整理事業の実現に向けて、地権者等との意見交換を重ね、合意形成を図ります。
     新庁舎整備については、庁舎に備える機能等を庁内横断的なワーキングチームで検討を進めるとともに、市民の意見等も踏まえながら新庁舎整備基本計画の策定に向けて取り組みます。なお、庁舎に関する検討内容や将来像については、SNSなども活用しながら、広く市民に対してわかりやすく発信します。
     スマートシティに向けた取り組みでは、段階的な市域全体への波及を見据えつつ、まずは枚方市駅周辺再整備に合わせて、利便性や安全性など、市民生活の向上と地域課題の解決につながるAIやIoTなどを活用したスマートサービスの導入について検討していきます。

    3 5つの基本目標を具体化する取り組み

     2つの最重点施策を着実に推進するとともに、あらゆる世代や市域全体を捉えた課題解決に取り組み、枚方をさらに前へと進めていくための令和6年度の主な事業について、第5次枚方市総合計画における5つの基本目標ごとに述べさせていただきます。


    1 安全で、利便性の高いまち

     自然災害への備えに意識が高まる今、市民の生命と財産を守る取り組みを最優先課題と捉え、必要な対策を講じるとともに、市民生活の基盤となる安全安心なまちづくりを進めます。
     住宅・建築物の倒壊による被害の軽減に向けては、旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震化の必要性と耐震改修補助制度の活用を市民に直接働きかけるなど、周知啓発の強化を図ることで、さらなる耐震化の促進に取り組みます。また、住宅内での被害を軽減するため、家具固定器具の設置を支援する仕組みを構築します。
     災害時の備えである備蓄品については、平時の管理業務の効率化を図るとともに、発災時の在庫や配送状況の見える化など、スムーズな支援につなげられるよう災害備蓄品管理システムを導入します。
     災害時の盛土等による崖崩れや土砂の流出を未然に防止するため、宅地造成及び特定盛土等規制法に基づき、危険な盛土等に対する規制を強化します。
     ため池については、老朽化などにより、堤体の決壊による新たな災害リスクが想定されることから、現行のハザードマップを改定するとともに、ため池に関する避難行動基準の作成に向けて、大阪府との連携を図ります。 
     大雨による浸水被害の軽減に向けては、家屋の浸水や道路冠水の解消に向けて、雨水管整備事業を進めます。
     また、雨水排水の根幹的な施設である雨水ポンプ場については、優先順位を見極め、効果的に耐震化を図ります。
     将来にわたり良質な水道水の安定供給と、災害に備えた安全重視の水道を構築するために、老朽化した水道管路の更新や耐震化を順次進めるとともに、中宮浄水場の移転建て替えや、妙見山配水池の更新・耐震化に向けた基本設計に取り組みます。
     急増する特殊詐欺の被害防止に向けては、特殊詐欺対策機器の貸与や簡易型録音機の配布を行うとともに、警察等との連携による犯罪の発生抑止など取り組みを進めます。
     若者世代空き家活用補助制度の活用を推進し、さらなる子育て・若者世帯の定住や転入に加え、空き家の解消をめざします。あわせて、地域ニーズに即した取り組みを進め、空き家の流通・活用を促進し、快適で暮らしやすいまちづくりをめざします。
     安全で快適な交通環境の確保を図るため、国土強靭化に資する道路ネットワークの強化に向け、引き続き、都市計画道路である長尾杉線、牧野長尾線の整備を計画的に進めるとともに、通学路や防災拠点へのアクセス向上に向け御殿山小倉線の次期区間の設計に着手します。
     淀川を渡河する都市計画道路牧野高槻線、府道京都守口線及び府道枚方高槻線については、大阪府と連携し早期完成に向けた取り組みを進めます。
     道路舗装については、持続的に安全安心な道路通行空間を確保するため、予防保全型補修により、さらなる事故予防と長期的な維持管理コストの縮減に取り組みます。
     人や自転車にとっても安全で快適な通行空間の整備として、引き続き自転車通行空間の整備や道路のバリアフリー化に取り組みます。あわせて、通学路の安全対策のための中振新香里線の詳細設計や地域の回遊性を高めるための高田11号線の拡幅整備に着手します。
     人口減少や多様な働き方の定着などにより、公共交通利用者が減少する中、持続可能な公共交通を維持・確保するとともに、多様な移動手段の活用も視野に入れ、総合交通計画の改訂に向けて取り組みます。
     京阪本線連続立体交差事業については、全事業用地の取得を進め、文化財調査、付替道路の設計等を実施するなど、大阪府等と連携した取り組みを進めます。
     光善寺駅西地区市街地再開発事業については、 引き続き国庫補助金等を活用しながら、環境面に配慮したゼロエネルギーマンションの整備などを支援し、良好な駅前環境の整備と地域の活性化を図ります。
     村野駅西地区及び茄子作地区については、鉄道駅周辺や第二京阪道路沿道の交通利便性を生かし、周辺環境と調和した居住環境や、産業立地にふさわしい市街地の創出を図るため、土地区画整理事業等の都市計画手続きを進めます。
     長尾駅周辺については、地権者が主体となって進める土地区画整理事業の実現に向けた取り組みを支援し、第二京阪道路へのアクセスルート整備や新名神高速道路の開通による活性化を見据え、交通ネットワークのポテンシャルを生かした中東部地域の広域拠点にふさわしい、利便性の高い魅力あるまちづくりをめざします。

    2 健やかに、生きがいを持って暮らせるまち

     誰一人取り残されない社会の実現に向けて、あらゆる人がいきいきと暮らせるまちづくりを推進します。
     健康寿命の延伸に向けて、令和6年度を始期とする高齢者福祉・健康増進施策に係る計画に基づき、高齢者保健福祉と健康づくりに効果的に取り組むとともに、胎児期から高齢期に至るまで、生涯を経時的に捉えた健康づくり(ライフコースアプローチ)を進めます。
     とりわけ、歯科口腔保健の推進については、かかりつけ歯科医の重要性等について、さらなる啓発に取り組むとともに、生涯にわたる切れ目のない歯科検診体制の構築に向けて、歯周病検診の対象を若い世代に拡充します。
     市民の健康増進活動を後押しするひらかたポイント事業については、ひらポアプリに歩数計測の機能を備え、ウォーキングの促進を図るとともに、ポイント利用の利便性向上に取り組みます。
     高齢者がいきいきと活動でき、無理なく健康づくりに取り組めるよう、新たな介護予防拠点として、街かど健康ステーションを設置し、自主グループの活動を支援するとともに、個人への学びや体験の支援、交流の機会を提供します。
     認知症の患者とその家族の暮らしを社会全体で支えていけるよう、大人だけではなく、子どもの頃から認知症に関する理解促進に取り組むとともに、日常的な高齢者の見守り体制の構築を推進します。
     重度障害者の自立した生活を支援するため、旧くすの木園跡地での民営のグループホーム設置に向けて取り組むとともに、地域生活支援拠点等の体制整備として、親元からの自立などを見据え、グループホームでの生活を体験する場を提供します。
     また、市内短期入所事業所の協力を得て、「緊急時の受け入れ・対応」の機能を整備することで、障害者の地域生活を支えるとともに、障害者の入院時における意思疎通を円滑にするため、重度障害者入院時コミュニケーション事業の利用要件を緩和します。
     障害者手帳の対象とならない軽度難聴者に対する補聴器の購入費用助成については、高等教育等での学びへの支援の観点から対象年齢を22歳まで拡大します。
     孤独・孤立対策については、多様な主体が当事者や家族等にアプローチし、包括的な支援を推進することができるよう、庁内外の支援機関の役割や連携のあり方について検討するとともに、具体的な仕組みづくりを進めます。
     動物愛護の取り組みとして、適正飼養の啓発を進めるとともに、収容した犬猫の譲渡促進を図り、引き続き、殺処分ゼロをめざします。また、不秩序な繁殖を抑制するため、猫の不妊手術費に対する補助を拡充し、動物と共存できるまちづくりに取り組みます。
     人権尊重への関心が高まる中、市全体の人権意識を醸成することによって多様性を認め合い、お互いを思いやる心豊かで住みよいまち、男女が共同して参画できるまちを築くため、一人ひとりを大切にする施策展開を図ります。
     女性活躍の推進に向けては、市内企業の労働環境の実態やニーズを把握し、働きやすい職場づくりに向けた普及・啓発に取り組みます。
     多文化共生社会の実現をめざし、外国人市民等への支援については、ニーズを把握した上で、生活支援等必要な施策を推進していきます。
     性的指向や性自認が少数派にあたる、性的マイノリティ当事者の方が、より利用しやすい相談窓口をめざし、これまでの電話相談に加えて、若年層にニーズが高いLINE相談窓口を新たに設置し、自身の性について悩みを抱える相談者が健やかに自分らしく生活できるよう、引き続き取り組みを進めます。
     ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、パレスチナ・ガザ地区をめぐる紛争など、世界の平和が脅かされる状況が続いています。禁野火薬庫の爆発という大惨事を忘れることなく、平和への思いを次世代に伝え、若い世代に戦争の悲惨さと平和の尊さを考えてもらう機会を創出します。

    3 一人ひとりの成長を支え、豊かな心を育むまち

     あらゆる世代の人が文化芸術やスポーツなどに親しみ、生きがいを持って学び続けることができる環境づくりを進めます。
     文化芸術振興計画改訂版に基づき、身近に文化芸術に触れ、親しむ機会を創出するとともに、総合文化芸術センターにおいては、国内外の著名なアーティストの招聘やデジタル技術を活用した事業のさらなる推進を図ります。
     生涯学習市民センターや中央図書館、市役所本庁舎など、市民が来館する公共施設においては、新たにフリーWi‐Fiなどのデジタル環境を整えることで、通信料を気にせずに、デジタルデバイスの活用が可能となります。また、Wi‐Fi接続時のトップ画面として、新たに構築するポータルサイトでは、電子図書館への容易なアクセスにより、読書活動を推進するとともに、歴史や文化、イベントなどの情報発信による生涯学習活動の広がりにつなげていきます。
     府内初の特別史跡である百済寺跡については、奈良時代の創建当時の工法で復元した築地塀を広くPRすることで、古代の建築技術に触れる機会や、ARを使った再現により、当時の格式高い古代寺院の姿を楽しむ機会を提供していきます。また、百済寺跡公園の園路や駐車場の整備などを進め、悠久の歴史を感じる観光スポットとして、令和6年度末の完成に向けて取り組みます。
     スポーツ推進計画改訂版に基づき、生涯にわたってスポーツに親しみ、健康を増進し、人と人との交流を深めることができる環境づくりを進めていくとともに、スポーツに取り組む市民の増加をめざします。
     また、より質の高いスポーツに親しむことができるよう、本市を拠点とするチームをはじめ、本市と関わりのあるトップスポーツチームなどとの連携を強化するとともに、スポーツ施設の充実に向けた検討を進めるなど、観るスポーツ、するスポーツの推進に取り組みます。
     年齢や性別、障害の有無に関わらず、誰もが参加できるeスポーツについては、関係団体や民間企業と連携しながら、健康、福祉、教育などの分野において活用を進めるとともに、スポーツ体験イベントにも積極的に導入していきます。

    4 地域資源を生かし、人々が集い活力がみなぎるまち

     本市の有する豊かな歴史や文化などの地域資源を生かしながら、市民が愛着を持てる、多くの人が訪れたいと思えるまちづくりを進めます。また、地域産業・農業の活性化を図ります。
     ひらかた万博の取り組みとして、2025年の大阪・関西万博に訪れる観光客をはじめ、国内外からの誘客に向け、地域資源を活かした魅力的な観光コンテンツや新たな特産品を開発するとともに、多様な手法で効果的にPRすることで、多くの来訪者の獲得を図ります。また、民間事業者などへの対話を通じたひらかた万博の新たな価値の創造に向けた共創への働きかけや支援を行うことで、新しいビジネスの創出につなげます。さらに、市域一円にひらかた万博のパビリオン事業を展開することで、本市を訪れる観光客が地域のイベントなど市民の日常を体験できる空間を提供していきます。
     魅力的な自然、歴史・文化、体験などの観光コンテンツをつなぎ合わせる「くらわんかツーリズム」を創出し、インバウンドを含めた観光客の増加をめざします。枚方市駅高架下1階にオープンする観光案内所「Syuku56」は、現代版の枚方宿として、幅広い世代に気軽に立ち寄っていただけるよう、キッズスペースを備えるとともに、デジタル技術も活用しながら、ひらかたの楽しいに触れ、1日の観光プランを発見できる場として整備します。
     また、枚方宿エリアにおいては、幼児療育園跡地を活用する新たな賑わい創出拠点施設の設置に向けて、既存施設の撤去工事や施設設置事業者の選定を進めるとともに、観光案内板等の多言語化を図ります。あわせて、淀川河川エリアについては、国などとの連携により、さらなる活用等に取り組みます。
     樟葉駅前広場においては、賑わいとゆとりある空間の形成に向け、道路法の規制緩和手法である歩行者利便増進道路制度、いわゆる「ほこみち制度」を活用し、民間の創意工夫による樟葉駅周辺の持続可能な賑わい創出と維持管理費用の確保を図ります。
     東部地域においては、古民家を活用した宿泊施設やレストランの開設に向け、地域や事業者と連携を図りながら取り組みを進めるとともに、野外活動センターについては、利便性の向上につなげるため、利用者や民間事業者のご意見を聞きながら、今後のリニューアルの内容や手法などの具体化に向けて検討します。
     本市民俗文化財や鋳物の歴史を伝える体験型の取り組みとして、収穫した農作物をかまどを使って料理することで、農業と民俗文化財に触れ合う機会を提供します。
     地元農産物の商品化については、引き続き、摂南大学農学部と連携した取り組みを進め、価値ある農産物の栽培による枚方ブランドの創出に向けて、農家や関係機関等と連携した取り組みを進めます。
     本市の貴重な地域資源である農を、将来に渡って持続的に営むことのできる体制を構築するため、農業研修施設との連携や就農前から就農後までのサポートを充実させ、新たな農業の担い手の確保と育成につなげます。
     令和6年度にリニューアルする地域活性化支援センター「ひらっく」においては、市内でさまざまなビジネスが創出されるよう、多くの知見を活用できるコミュニティ型の創業支援施設とするとともに、市内企業の抱える課題解決に向け、民間企業でのノウハウや経験を持つプロフェッショナル人材とのマッチングを図ります。
     地域のものづくり企業の魅力を広く発信する機会として、ひらかた地域産業クラスター研究会と連携し、オープンファクトリー事業の拡充に取り組みます。
     企業の市外移転を抑制するため、工場の建て替え等に関する意向や課題、ニーズなどの現状把握を行い、効果的な施策を検討します。


    5 自然と共生し、美しい環境を守り育てるまち

     地球温暖化対策を推進するとともに、淀川や東部地域の里山など、本市の貴重な自然環境を大切にし、多くのみどりを育み、人々がみどりとふれあうまちづくりを進めます。
     2050年のゼロカーボンシティの実現に向け、市内のため池に設置するフロート型ソーラーシステムからの電気を地域資源の一つであるひらかたパークや市内産業部門の事業所へ供給し、再生可能エネルギーによる脱炭素と地域課題の同時解決へつなげます。
     また、地域脱炭素について、市民や事業者が家庭や事業所において実践できるよう、再生可能エネルギーの普及や省エネルギーの促進、電気自動車の購入等に対する助成を行い、市域全体に脱炭素の取り組みを広げていきます。
     枚方市役所CO₂削減プランに基づき、公共施設においては、各施設の電力購入契約の一本化と再生可能エネルギーの導入などの取り組みを一体的に進めるとともに、照明のLED化や、公用車の電動化を図ります。
     総合福祉会館の熱源システムについては、設計・工事・維持管理を一括で性能発注し契約する「ESCO事業」により、民間ノウハウを最大限活用した省エネルギー改修に取り組みます。
     令和8年度を始期とする次期一般廃棄物処理基本計画策定に向け、ごみの発生抑制につながる4Rの強化やDX等によるごみ収集処理の最適化、高齢者のごみの搬出における負担への対応等、循環型社会を推進する具体的な施策を検討します。
     枚方京田辺環境施設組合による可燃ごみ広域処理施設の整備を進め、令和7年度の稼働をめざします。
     希釈放流センターについては、より適切かつ効率的な処理をめざし、交野市等との広域連携による共同処理について検討します。

    4 施策を推進するための基盤となる取り組み

     少子高齢化による人口減少へ対応し、市民が住み続けたい、市外の人にとっては、住みたいまちとなるよう、2つの最重点施策と、5つの基本目標ごとの取り組みを推進することにより、まちの魅力を高めるとともに、プロモーションの充実を図ります。また、積極的な財源確保に取り組むとともに、さらなる公民連携による地域課題の解決と、効率的かつ効果的な行財政運営を推進していきます。
     若者世代の転入超過や定住促進に向け、転入・転出に係る調査・分析を行い、効果的な施策展開やPRを行います。
     市の戦略的なプロモーションとしては、職員一人ひとりが情報発信の意識を高め、枚方ならではの魅力を庁内横断的な連携のもと、明確なテーマを掲げ、市内外に広くアピールする取り組みを展開します。
     また、市公式YouTubeチャンネルにおいて、魅力的な動画を活用した情報発信を積極的に行うとともに、視聴回数の増加による動画広告収益のさらなる向上をめざします。
     行政手続きのオンライン化については、国民健康保険や福祉に関する業務など、手続き件数の多いものから重点的に進めます。
     また、全国共通の住民記録、地方税など主要20業務について、令和7年度末までに国の定める標準仕様に準拠するシステムへと移行できるよう、取り組みを進めるとともに、簡易的なシステムを職員自らが構築することができるノーコード・ローコードツールの活用に向けての検討を行うなど、DXの推進により、さらなる市民サービスの向上と業務の効率化を図ります。
     ふるさと納税制度については、WEB広告等を活用したプロモーション強化を図ります。また、新たな返礼品の開拓とさらなる寄附金の獲得、市内産業の活性化に向け、ふるさと納税制度を活用した、新商品の生産等に対する支援の仕組みを検討します。
     企業版ふるさと納税制度の活用に向けては、本市に縁のある事業者への直接的なアプローチや魅力ある事業の効果的なPRなど、より一層積極的な働きかけを行います。
     また、引き続き、国民健康保険料など市税以外の債権の徴収強化に取り組むとともに、私債権等のより適正な管理・回収を行うための体制強化を図ります。
     令和8年度に新校舎へ移転後の禁野小学校跡地の活用については、多角的な視点で検討していきます。
     さらに、公共施設の適正配置のあり方について、20年、30年先のまちの姿を見据えながら、将来ビジョンの策定に向けた取り組みを進めます。
     市役所組織においては、安心して働き続けたいと思う職場環境の整備に向けて、ワーク・ライフ・バランスの推進はもとより、育児に係る意識改革を図ることで、男性職員の2週間以上の育児休業について、令和8年度に国の目標を上回る取得率100%達成をめざします。
     市立ひらかた病院は北河内唯一の公立の総合病院であることから、新興感染症への対応をはじめ、救急や小児医療などの政策医療を提供していく責務と役割があります。そのため、コロナ禍後の医療需要の変化や令和6年度に実施される診療報酬改定などの状況を踏まえ、経営強化プラン(第3次中期経営計画)の見直しを含めた経営改善の取り組みを進めます。
     水道事業・下水道事業については、それぞれの経営戦略を見直し、中長期的な視点から経営の健全化と経営基盤の強化に向けたさらなる取り組みを進め、枚方の水道・下水道を未来につないでいきます。
     SDGsの達成に向けては、国が進めるSDGs未来都市へとモデル事業を提案し、地域課題の解決を図るとともに、先進的な取り組みへとつなげていきます。

    5 終わりに

     以上、令和6年度の市政を運営していく上で、基本的な考えと主要な施策の概要について述べさせていただきました。令和6年度は、所信表明におきまして市民の皆様にお約束した3期目公約施策を本格的にスタートさせる重要な年となります。あわせまして、本定例月議会において提案する予算案は、公約施策を着実に実現させていくための第一歩となります。
     将来世代に負担を先送りすることの無いよう、さらなる行財政改革を推進し、財政の健全性を維持しながらも、枚方市の輝かしい未来のために、しっかりと投資を行い、子育て世代の定住を進め、次世代への繁栄につなげてまいります。
     これら主要施策を推進し、成果を挙げていくためには、職員一人ひとりが、市民から信頼される組織の一員として、全体の奉仕者であることを、さらに強く意識した上で、「今よりももっと良くしていく」「枚方を最高のまちにしていく」という思いを組織全体で共有し、一丸となって前進していかなくてはなりません。あわせて、多様化、複雑化する行政課題へ対応していくためには、知識・技術の継承はもとより、それぞれの行政課題や時代の変化に即したスキルアップが不可欠となります。
     これまで以上に職員との対話を重視し、組織の目的や目標、達成に向けた取り組みやその課題解決について、私の思いを職員に直接伝え、意見を交わし、ともに理解を深めながら、力強く施策を推進できる組織を構築していきます。
     引き続き市政運営にあたりましては、市民や市議会の皆様のご意見をしっかりとお聴きし、丁寧な説明と議論を重ねながら、ともに枚方市の輝かしい未来を拓いてまいりたいと考えています。
     今後とも市政運営に対する格段のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、令和6年度市政運営方針とさせていただきます。