令和5年度9月定例月議会で伏見市長が所信を表明しました
- [公開日:2023年9月29日]
- [更新日:2024年10月4日]
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所信表明(要旨)
1 はじめに
本日、令和5年枚方市議会9月定例月議会におきまして、今後の市政運営に対する所信を表明する機会を与えていただき、ありがとうございます。
私は、これまで、20年、30年先の未来を見据えて、枚方を変えていくという固い決意を胸に、子育て支援や教育の充実をはじめ、地域資源を活用した経済の活性化に向けた取り組みなど、市民・事業者の皆様、市議会議員の皆様のご理解とご協力をいただきながら、市政運営に取り組んでまいりました。
そして、近年、若い世帯の転入が転出を上回るようになるなど、取り組みの成果が少しずつ形として表れ始めています。
今回の選挙では、「挑戦をやめない!枚方をさらに前へ!」と訴え、市民の皆様からの信託を受け、引き続き3期目の枚方市政を担わせていただくこととなりました。
私のめざすべきは、人口減少が進む中においても、市民や本市に関わる人、その一人ひとりが将来にわたって幸せを実感できるようにする持続可能な発展であり、このことを念頭に、市政運営に全力を尽くしていく決意です。
また、持続可能な発展のためには、国際的な開発目標であるSDGsにおいて提唱されている、社会・環境・経済の調和が重要であり、本市においても、経済面での豊かさを追い求めるだけではなく、人々が交流する社会面での豊かさ、人々を取り巻く環境面での豊かさを、共に追求していきます。
そのうえで、この4年間では、最重点施策として、枚方の輝かしい未来を拓くための子育て世帯をターゲットにした施策のより一層の充実と、枚方市駅周辺再整備事業の着実な推進に取り組みます。
これから述べます所信では、最重点施策の内容と、あらゆる世代や市域全体を捉えたさまざまな課題の解決に向けた取り組みの方向性についてお示しします。
2 枚方の未来を拓くために、今、成すべきこと
今成すべき最重点施策として、子育て世帯をターゲットにした施策のより一層の充実と、枚方市駅周辺再整備事業の着実な推進を強力に推し進め、枚方の未来を拓きます。
子育て支援や教育のさらなる充実は、市民満足度の向上が図られるだけでなく、選ばれるまちへとつながります。ターゲットを明確にし、より重点的に施策を展開することで、市域の活気と未来への支えとなり得る子育て世帯の定住と本市への転入超過の定着を図ります。
また、枚方市駅周辺の再整備による都市機能の充実は、駅周辺の賑わい創出や地域経済の活性化、本市に関わる人々の増加につながり、まち全体のポテンシャルを高めます。
私は、この2つの取り組みの成果が枚方の未来を拓き、枚方をさらに進化させるものと確信しています。
2つの取り組み内容について、ご説明いたします。
まず、子ども・子育てに係る施策については、子育て世帯にとって、安心して出産し、楽しく子育てができるまちの実現に向けて、取り組みを充実させます。
そのため、妊娠・出産から就学まで、切れ目のない支援・サービスのさらなる充実を図り、成長のステージに応じた子どもとその保護者に寄り添った施策を講じます。
切れ目のない支援に向けては、妊産婦や子ども、子育て世帯を対象とする母子保健と児童福祉の機能を合わせ持つ、こども家庭センターを設置し、一人ひとりに寄り添った支援を行うとともに、必要な支援のマネジメントを行うなど、さらなる支援の充実・強化を図ります。
併せて、今後の保育ニーズを見極めながら、引き続き待機児童の「通年のゼロ」をめざすとともに、保育園や幼稚園等就学前児童施設に通うすべての子どもたちが小学校へ円滑に就学できるよう、本市独自で策定するプログラムを推進していきます。また、就学前児童施設に子どもを通わせる保護者の経済的・時間的な負担の軽減を図るとともに、一人で悩みがちな、在宅での子育て世帯を対象としたサービスも充実させるなど、さまざまな保育・教育サービスを展開し、さらなる就学前の子育て世帯への支援の充実を図ります。
さらに、子どもがワクワクするような公園の整備など、身近な地域での子育て環境の充実を図るとともに、あらゆる分野の取り組みにおいて、子育て世帯をターゲットにした楽しみ、快適さといった要素を積極的に取り入れていきます。
予測困難な時代と言われる中、子どもたちが夢と希望に満ちあふれ、さまざまな可能性に挑戦し、社会で力強く生き抜く力を身に付けられるよう、言語能力や情報活用能力の育成、さらに課題解決型学習(PBL:Project Based Learning)を充実させ、問題発見・解決能力等を育成するとともに、これまで進めてきた小中一貫の英語教育や読書活動を推進していきます。これらの学びの過程において、思考力・応用力・表現力の向上、知識の習得を図るとともに、情報が溢れる中、必要な情報を正しく探し出す力を身に付けられるよう取り組みます。また、子どもたちの体験の幅を広げるため、市内企業等との連携による実社会を経験する機会をつくります。
こうした取り組みをはじめ、全ての子どもたちに個別最適で協働的な学びを実現するとともに、さらなるデジタル技術の活用や学校教員の働き方改革を進め、より効果的で質の高い教育の実現をめざします。
加えて、保護者の負担軽減を目的とした小学校給食の無償化や健やかな成長を支えるための中学校での全員給食の実施に向けた取り組み、誰もが安心して通えるよう学校施設のさらなるバリアフリー化やZEB化など環境整備を進めます。
さらに、誰一人取り残されない社会の実現をめざし、小・中学校における支援教育の一層の充実、いじめ問題への早期対応と未然防止の取り組みの強化、学校に登校できない、あるいは登校しにくい子どもたちへの多様な学びの機会の拡大、ヤングケアラーや経済的困難を抱える家庭への支援を充実します。また、虐待はもとより、子どもやその保護者への緊急かつより専門的な対応を本市で一貫して行えるよう、児童相談所の設置に向けた準備を進めます。
こうした子ども・子育てに係る施策の充実にあたっては、子ども自身をはじめ、さまざまな立場、観点からの幅広いご意見をいただき、現状の課題をより的確に把握したうえで、本市の実態に即した効果的な取り組みや対策を講じていきます。
次に、枚方市駅周辺再整備事業では、枚方市駅周辺エリアに、豊かな緑の空間と、住むだけでなく、働く場、学ぶ場、楽しめる場など、さまざまな都市機能を集積させ、ゆとりと利便性を併せ持つこれからの時代に即した環境整備を図ります。
整備にあたっては、利便性と安全性の向上を図るスマートシティの実現をめざし、このエリアにおいてデジタル技術を積極的に活用していきます。また、地域の魅力を再発見・再発信するためには、淀川や天野川を含む広いエリアを面で捉え、京街道や川原町などの地域資源を活用した、人が中心のウォーカブルなまちづくりとすることが重要であり、枚方市駅周辺再整備基本計画において設定した街区ごとの整備を一体的に捉え、着実に進めていきます。
そのため、令和3年8月にオープンした総合文化芸術センターを皮切りに、現在進んでいる枚方市駅の北口及び東側(3街区)の整備を、次の街区整備へとスムーズに展開することが必要であり、早期に新庁舎の位置を確定させ、民間施設の誘導を図りながら、連鎖型のまちづくりに取り組みます。
令和6年度には、枚方市駅東側の市街地再開発事業により、ホテル、オフィス、商業、集合住宅などから構成される複合施設がオープンとなり、いよいよ3街区はまち開きを迎えます。
この複合施設においては、市役所の市民窓口、生涯学習交流センター、図書館をはじめとする行政機能の集約化による駅直結の便利な公共スペースを設け、市民サービスの向上をめざすとともに、新たな都市機能の集積のために誘致したバンケット付きホテルの創業に係る支援策の具体化を図ります。
また、新庁舎については、災害時においても、行政機能を最大限に発揮する高度な防災拠点施設とするとともに、多様化する市民ニーズへ個別丁寧に対応するため、対面とオンラインのそれぞれの強みを活かした充実を図るなど、安全・安心と利便性を実感できる市役所をめざします。そのため、新庁舎整備基本構想を踏まえた具体的な検討を行い、備える機能や施設の規模、付帯施設等の具体的な内容をとりまとめ、整備へとつなげていきます。
新庁舎機能の集約において、市役所本庁舎と市民に身近な場所に位置する支所の役割を整理します。併せて、支所については、地域共生社会の実現を見据え、地域において一人ひとりに最適で包括的な支援へとつなげることができるよう、新しい地域拠点の構築に向けた取り組みを進めます。
現市役所、旧市民会館周辺(4街区)には、ニッペパーク(岡東中央公園)を活かした公園・広場を拡大配置し、思わず足を止め、くつろぎたくなる緑の空間を創造するとともに、民間の提案を募り、笑顔があふれ、賑わいを生む空間活用を図ります。
これら整備事業の成果により、大阪・京都間の副都心として、居住を含む多様な都市機能を高め、中心市街地の機能を強化することで、まち全体の活性化へとつなげていきます。
そして、市外から本市へ多くの人が訪れ、市内での交流が進むことで、新たなビジネスが生まれ、さらに多くの人が訪れるという人々の流れをつくり、地域経済の好循環を創出していきます。
2つの最重点施策を強く推し進めることにより、多くの人から選ばれるまちとなり、本市に暮らす人、働く人、関わる人が幸せを実感できるようにしていくことで、持続的に発展するまちをめざしていきます。
3 枚方をさらに前へ
本市は、令和9年に市制施行80周年を迎えます。
高度経済成長期の大幅な人口増に対応しながら、市民の暮らしや事業者の営みを支え、枚方の風土とそこに住む人、関わる人が築き、発展してきた80年の歴史は、枚方の誇りです。
80周年を迎えるとき、豊かで誇りある枚方で暮らす幸せをより多くの人に実感していただき、90年、100年への歩みに向けた確かな道筋が示されるよう、枚方をさらに前へと進めていくことが私の責務であると考えています。
先ほど述べました2つの最重点施策を着実に推進するとともに、あらゆる世代や市域全体を捉えた課題解決に取り組み、枚方をさらに前へと進めていきます。
社会面では、誰一人取り残されない社会であり、環境面では、自然や生活環境の保全と都市機能の充足が両立し、経済面では、地域経済が活性化している。
こういう状態であると言えます。
これらいずれも欠けることなく実現させていくため、取り組みの方向性をこの三側面から述べさせていただきます。
社会面について
誰一人取り残されない社会であるために、市民の安全・安心な暮らしを守ることを第一に考えます。
そのため、南海トラフ地震、近年の大雨による浸水被害など、自然の脅威への備えをはじめ、犯罪や交通事故の防止、救命救急への体制強化など、かけがえのない命を守れるよう取り組みます。
また、市民が健康で生きがいを持って暮らせるよう、健康寿命の延伸に向けた取り組みを推進するとともに、団塊の世代が後期高齢者に達する2025年を目前に控え、高齢者がいきいきと過ごせるやさしいまちの実現に向けて取り組みます。
そのため、人生100年時代を見据え、ライフステージをつなげたライフコースを意識した健康づくりの支援や、生活習慣病の予防促進、認知症になっても安心して暮らせる取り組みの強化を図ります。また、誰もが居場所と役割のあるコミュニティづくりの推進や健康増進など多角的な視点を踏まえ、高齢者の外出支援の充実に取り組みます。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大を教訓にした新興感染症への対策をはじめとする地域保健体制や医療連携の強化の他、障害者の自立支援と社会参加の促進や、孤独・孤立に悩む人への社会や人とのつながりの構築に向けた支援など、さまざまな面から市民の安全・安心な暮らしを支えるとともに、犬や猫をはじめとする動物の命を尊び、殺処分ゼロを継続していくための取り組みを充実します。
併せて、生涯にわたり活躍できる機会の創出や、質の高い文化芸術、スポーツに親しむことができる環境の充実を図ります。また、eスポーツについては、コミュニケーションツールとして社会課題の解決に活用していくとともに、地域活性化や産業振興といった経済面での効果も見極めながら施策展開を図っていきます。
誰一人取り残さないまちづくりにおいて、男女共同参画を推進し、性の多様性が尊重される社会の実現をめざすとともに、多文化への理解促進や外国籍の市民等への支援の充実を図るなど、多文化共生社会の実現に向けた取り組みを推進します。
また、ロシアによるウクライナへの侵攻により、突然にして平和が失われる状況を目の当たりにし、幸せに暮らしたいと願う人々の心に暗い影を落としています。戦争は人の命を奪う最大の人権侵害です。こうした状況に目を背けず、非核平和宣言都市として、この枚方から平和の尊さや意義を強く訴えていきます。
すべての施策は人へとつながるため、あらゆる取り組みの礎に人権の尊重を置くことで、お互いの違いを認め合い、他者の立場に立って考え、行動することを推進し、まち全体の人権意識の向上を図ります。
環境面について
世界各地で地球温暖化による気候変動が深刻な事態を引き起こしています。わが国では今年6月~8月の平均気温が観測史上最も高く、本市でも観測史上1位となる39.8度を記録しました。地球環境を守ることは喫緊の課題であり、2050年のゼロカーボンシティの実現に向け、地域脱炭素の取り組みを進め、2030年度までの温室効果ガス排出量の削減目標の達成をめざすとともに、循環型社会を推進していきます。
併せて、生駒山系に連なる東部の里山や淀川の水辺空間など豊かな緑と恵まれた自然環境を守り、育んでいきます。
都市基盤づくりでは、市民の暮らしや産業に欠かせない水道水を安定供給するための中宮浄水場の移転建て替えや、京田辺市と共同で可燃ごみ広域処理施設の整備を進めます。
また、居住空間と経済活動、周辺環境が調和するまちなみを創出するとともに、都市計画道路をはじめ、人や自転車にとって安全で快適な通行空間の整備を着実に推進します。加えて、光善寺駅西地区再開発事業へ継続的な支援を進めるとともに、京阪本線連続立体交差事業や新名神高速道路インターチェンジへのアクセス道については、大阪府等と連携した取り組みを進めます。
さらに、大阪駅うめきたエリアを結ぶJR学研都市線沿線については、将来、北陸新幹線の開通による活性化も見据え、本市を含む関係機関で構成する協議会において、沿線一体のまちづくりビジョンを策定します。このビジョンを踏まえ、市域沿線におけるソフトとハードの両面からまちづくり方策の実施へとつなげていきます。
経済面について
2025年の大阪・関西万博を契機に、本市の地域資源を活かしたブランドの開発や地域ビジネスを創出するなど、「ひらかた万博」の取り組みを推進し、市民のまちへの愛着を高め、地域経済の活性化を実現します。また、大阪・関西万博を見据えた外国人観光客の誘導も視野に入れ、枚方宿など、本市の歴史文化遺産などを活用するとともに、淀川河川敷では、子どもから大人まで楽しめるアクティビティの充実を図ります。加えて、東部地域では、地域資源を活かした活性化を図るとともに、市域における観光ツーリズムの展開をめざします。
また、創業や起業を支援し、市内での活発なビジネスの創出を図るとともに、ものづくり企業の積極的な魅力発信や女性がいきいきと活躍できる環境づくり、若者の市内企業への就職を促進するなど、地域産業の活性化を図ります。
さらに、農を守り産業化を推進していくため、就農から経営までを支援するとともに、東部地域の里山や農の営みを次世代へと継承するしくみづくりに取り組みます。
以上、社会・環境・経済の三側面の調和を図り、本市の持続可能な発展のため、取り組んでまいります。
これらの取り組みを進めていくにあたっては、あらゆる世代の職員がいきいきと活躍できる職場風土の醸成が必要であるため、引き続き、健康経営を推進するとともに、職員のモチベーションの向上を図ります。
併せて、デジタル技術やAI技術といった最先端の技術を積極的に活用するとともに、公民連携の一層の推進、市民の利便性向上を図るための業務の効率化など、あらゆる場面で積極的に改革を進め、より良い行政サービスの提供をめざします。
また、施策の構築にあたっては、既存の枠組みや分野の壁にとらわれず、対象となる人の立場から組織横断的に考え、浮き彫りになった課題への対応だけでなく、その課題の背景、本質を捉えた根本からの解決が図られるよう取り組みます。そして市民の皆様の心に響く支援やサービスを届けていくことで、住み続けたい、選ばれるまちをめざしていきます。
4 終わりに
平成27年に市長へ就任して以来、この8年間でさまざまな施策を講じてきましたが、市民の皆様にとって、「本当に子育てが安心して楽しくできるようになったのか」「生活が豊かになったのか」、また、「どれほどの人が幸せを実感できたのか」、これらのことがどこまで到達できているかを考えると、まだ成すべきことが多くあります。
市民一人ひとりが自分らしく暮らし、自分の進みたい人生を歩むことができるよう、多様性を認め合える社会の構築や多彩な都市機能を備えるまちづくりを進め、誰もが幸せになれる機会や居場所をつくっていきたいと考えています。
そのためにも、組織一丸となり、新たな取り組みに挑戦し、若い世代、子育て世代からさらに選ばれるまちへと進化させる。そして、あらゆる世代に笑顔があふれる枚方市の輝かしい未来を、市民の皆様と一緒に創っていきたい。こうした強い思いを、市長3期目のスタートに当たり、私の新たな決意として申し上げました。
ただ今、述べました所信をもとに、本市の確かな進化を市民の皆様に実感していただけるよう、全ての分野を対象に必要な施策を整え、その具体的な取り組みは、毎年度の市政運営方針や予算においてお示しさせていただきます。
今後とも、市民の皆様の置かれている状況に目を向け、市政に対するさまざまな声にしっかりと耳を傾けながら、それぞれの立場に寄り添い行動していく姿勢を常に大切にするとともに、市議会からのご意見をお聴きしながら、私をはじめ、職員一人ひとりがあらゆる挑戦をいとわず、市政運営に邁進してまいりますので、市民・事業者の皆様、市議会議員の皆様のご理解とご協力をいただきますよう、心からお願いを申し上げ、私の所信とさせていただきます。
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