3月定例月議会で伏見市長が令和3年度市政運営方針を表明しました
- [公開日:2021年2月26日]
- [更新日:2022年3月20日]
- ページ番号:34067
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伏見市長は2月26日、令和3年3月定例月議会において、以下のとおり、令和3年度市政運営方針を表明しました。
令和3年度 市政運営方針(要旨)
1 はじめに
枚方市議会3月定例月議会の冒頭にあたり、令和3年度の市政運営方針を表明する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束が見えない状況が続いています。本市では現在までに1500人を超える方々が感染し、不幸にも50人の方がお亡くなりになりました。亡くなられた皆様には謹んで哀悼の意を表しますとともに、療養に専念されている皆様には一刻も早い回復を祈念いたします。また、このような厳しい感染状況の中、医療や福祉の現場をはじめとする、私たちの命と暮らしを支える仕事に向き合われている皆様に心より感謝申し上げます。
この間、医療体制のひっ迫という厳しい状況に直面し、感染拡大を防ぐため接触の機会を減らすといった感染症対策を最優先に取り組んできました。大阪府内では飲食店等への休業や時短要請といった我慢を強いる制限も行われる中、市議会をはじめ多くの市民の皆様にご理解とご協力をいただき、現時点で新規感染者数は減少傾向にあります。一方で、病床使用率は十分に下がっておらず、予断を許さない状況が続いていることから、新規感染者数を抑えるために、引き続き皆様のご協力をお願いいたします。
令和3年度は、ワクチン接種の機会をできる限り早期に希望する市民の皆様へ提供できるよう全力を尽くすとともに、安心して生活ができ安全に社会経済活動を営むことができるよう支援策を講じ、感染症対策を取りながら施策を着実に実行していきます。新型コロナウイルス感染症は市民生活に大きな不安をもたらしましたが、一方で、これまで十分に進められなかった行政手続きの簡素化や電子化など、市民サービスを大きく向上させるスマート自治体への取り組みを進めることのできる機運が高まりました。この機会を変革に向けた契機と捉え取り組みを一層加速させてまいります。
また、人口減少や少子高齢化、経済低成長という厳しい時代にあっても、10年先、20年先を見据えて、持続可能なまちの姿を描く責任があります。雇用創出や産業の活性化といった経済効果はもちろん内外からさまざまな人やモノが集い交流し、だれもがあらゆる可能性にチャレンジできる「人が主役のまち」へと飛躍を遂げるため、最重要課題の枚方市駅周辺再整備は何としてもやり遂げる決意です。
コロナ禍の中、多くの市民がこれまでの生活様式を維持することが困難となり不安を抱えています。一人ひとりの市民の思いをしっかりと受け止め、市役所自体が社会の変化を敏感に捉え、前例にとらわれず迅速に対応していかなければなりません。「ウィズコロナ」「アフターコロナ」という大きな時代のうねりの中にあっても市民の皆様が安心して生活できるよう変化に強い市役所へと進化を遂げてまいります。
2 必ず乗り越える。コロナの先へ
1月13日に大阪をはじめ7府県に2度目の緊急事態宣言が発出され、2月2日には医療体制がなおひっ迫していることなどを踏まえ、期間の延長が決定されました。
本市においても、感染者の対応にあたる医療機関や保健所など最前線の現場では大変厳しい状況が続いています。引き続き最優先課題である市民の命を守るため、これまでの取り組みを検証し、適切な検査・診療など医療提供体制の確保に向けて、大阪府や枚方市医師会・枚方市病院協会との連携を図っていきます。また、自宅療養をされる方など感染者が安心して療養できるよう感染者に寄り添った必要な支援を行います。
2月14日には新型コロナウイルス感染症のワクチンが国内で初めて承認され、医療従事者への先行接種が開始されるなどワクチン接種に向けての取り組みが現在、急速に進められています。本市においても対策の重要な柱として、ワクチンの円滑な接種に向け臨時組織を設置し、取り組みを進めています。また、特に感染による重症化リスクの高い高齢者施設や医療機関等でのクラスターの発生防止を目的として、引き続き積極的な行政検査に取り組んでいくとともに、感染防護具の提供など感染対策についての支援を重点的に実施します。
昨年4月に発出された緊急事態宣言下における外出自粛要請により生活、学習、仕事などあらゆる場面で、人と人との接触を最低限に抑えることや、新しい生活様式の中でICTを活用した社会への変化に柔軟に対応することが求められました。今では、オンラインによる人と人との交流が身近になるなど、ICTは生活のあらゆる面で浸透しつつあり、さらなる市民生活の質の向上をめざすためにスマートシティ化の取り組みを進めます。
また、本市ではこの間、社会からの孤立、生活不安、学びの保障や経済活動の継続などさまざまな課題を解決するため、個人や事業者に対し国や府の支援が届かないところを中心に支援や対策を講じてきました。今後も、必要な支援策を講じるなど常に万全の体制を整え、市民に寄り添った対応を行い、安心して市民が生活できるように取り組みを進めます。
3 重点的に取り組む8つの分野
コロナ禍でも市民の命と生活を守り、新しい生活様式やICTなどの活用による市民生活の向上、またSDGsに掲げられる「誰一人取り残さない」持続可能なまちづくりをめざすべき方向性として打ち立て、必要な施策を推進するとともに既存事務事業を今の社会情勢に即したものへと再構築していきます。限りある財源や人材を最大限に活用するために選択と集中の強化に取り組むとともに、地域住民との取り組みや外部人材の活用を含めた公民連携など、協働の取り組みのさらなる推進を図りながら、教育や子育て、高齢者施策、市駅周辺再整備など本市の持続的な発展に向けた重点的な施策を進めていきます。
このような考えのもと令和3年度に取り組む8つの分野の重点施策をお示しします。
(1)子育て環境の充実
貧困、いじめ、虐待、引きこもり、不登校など、子どもをめぐる問題は深刻さを増しています。一人ひとりに寄り添った支援を「社会総がかり」で届けるため、保護者・地域・学校園・事業者など、さまざまな主体と連携し、地域社会全体で子どもを守る取り組みをさらに強化します。
それぞれの子どもの状況に応じた支援を、「総合的・継続的・重層的」にしっかりと届けるため、「子ども見守りシステム」を構築するとともに、子どもを守る仕組みづくりを一層推進します。
仕事と子育ての両立を支援するため、私立保育所(園)12園において就労応援型預かり保育を実施し、待機児童の受け入れを行います。また、年度途中の転入や育児休業明けの保育ニーズに対応するため、蹉跎西幼稚園跡施設を活用した「待機児童用保育室」を本年秋に開設し、通年での待機児童ゼロをめざします。
ICTを活用したビデオ通話による保育利用相談窓口を開設し、妊娠中の方や市外から転入予定の方など来庁が難しい世帯に対する相談体制の充実を図るとともに、必要な保育を必要な時に受けられるよう、保育の利用手続き等の見直しを進めます。
枚方版子ども園における小規模保育施設から幼稚園への切れ目のない移行を促すため、公立幼稚園2園において幼稚園給食をモデル的に実施します。
私立保育所(園)等において、園児の睡眠中の事故防止に有効な機器を導入し、さらなる園児の安全対策と保育士の負担軽減を図ります。
放課後の安全な居場所づくりに向けて、4月から総合型放課後事業「放課後キッズクラブ」を、土曜日及び三季休業期での実施で4か所の小学校に先行導入するとともに、平日を含む本格導入に向けた検討を進めます。
ひとり親家庭等を取り巻く環境が、経済的にも社会的にもさらに厳しい状況にあることを踏まえ、「子どもの育ち見守りセンター(となとな)」に、「ひとり親家庭相談支援センター」を開設するとともに、新たに養育費確保に向けた総合的な相談支援体制を整備するなど、一人ひとりに寄り添う伴走型支援を強化します。
4月から3歳6か月児健康診査において、スポットビジョンスクリーナーを用いた眼科検査を導入し、弱視などを早期に発見し、適切な医療につなげていきます。
多胎妊娠している方が安全・安心に出産できるよう、妊婦健康診査受診券を追加して配付し、経済的負担を軽減します。
(2)教育環境の充実
学校園では、新型コロナウイルス感染症対策を講じた上で、学びをとめない教育活動により、子どもたちの未来の可能性を最大限に伸ばす取り組みを進めます。
全児童・生徒に配備したタブレット端末の活用など、ICTを活用した学校教育を実践するため、「枚方版ICT教育モデル」に基づき、保護者や市民をはじめ多くの人に「枚方の教育は良くなった」と実感してもらえるよう、取り組みを着実に実施するとともに、幅広い情報発信を行います。また、ICTを活用した取り組みの推進を図るとともに、全小中学校との情報共有・有効活用を進め、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善や家庭学習の充実を効果的に進めます。また、試行実施しているブログでの情報発信については効果を検証し、保護者や市民により分かりやすく、より迅速に情報発信・伝達する仕組みを構築します。
英語に関する授業力向上を図り、児童・生徒が英語を体験的に学ぶ機会を拡充するため、市独自の専科教員、日本人英語教育指導助手、外国人英語教育指導助手の配置を継続するとともに、関西外国語大学と連携し、英語によるコミュニケーション能力を育成します。併せて、35人学級編制の実施に伴う法改正の動向を見極めながら、小学校における教科担任制の推進について、国・府の加配等を活用し、順次、小学校での専科指導を拡充します。また、教職員の多忙化対策については、教職員の働き方改革を推進することで子どもたちと向き合う時間を確保します。
児童・生徒の読書習慣の確立や情報活用力の育成をめざし、小学校への学校司書配置の拡大を進めます。また、小学校では民間施設を活用した水泳授業をモデル実施し、専門スタッフの活用による効果も検証しながら、児童の泳力向上とプールの維持管理や改修・改築費用の縮減を図ります。
未来を担う子どもたちがSDGsをはじめとした国際社会のめざすべき方向性や本市の社会課題に向き合い、その解決に向けて具体的なまちづくりの取り組みをこども夢基金も活用しながら公民連携等で実現する仕組みを構築します。
今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大だけでなく、有事の際など、緊急的・臨時的な給食提供が必要な場合に備え、提供体制の確保に取り組みます。また、中学校の全員給食については、財源確保の検討など、実現に向けた対応を進めます。
いじめや不登校等の未然防止、早期発見・早期解決に向け、現在、試行中のICTを活用した取り組みの検証を踏まえ、子どもが発するサインを見逃さない体制づくりを、学校現場だけでなく関係機関の連携のもとで進めます。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等とともに、児童虐待、子どもの貧困など、支援を必要とする事象に対し、関係部局・機関、地域と連携して総合的な取り組みを推進します。
学校トイレの整備では、洋式化、個室化、ドライ化、ユニバーサル化について、令和5年度までの整備完了に向けて取り組みます。また、教室の空調設備を更新・維持管理する実施手法と学校体育館への空調設備の導入について可能性調査を行います。
新しい生活様式にも対応した図書館サービスとして、電子書籍の貸し出しを令和3年度中に開始し、利便性の向上を図ります。併せて、学校教育において授業や家庭学習などで電子書籍の活用を進めます。
良好な教育環境の維持・向上を図るため、組織体制を整備し高陵小学校と中宮北小学校の統合など、新たな学校づくりに向けた具体的な取り組みを推進します。
(3)魅力ある都市基盤の整備
枚方市駅周辺再整備については、市全体の活性化や交流人口の増加、賑わいの創出につながり、人口減少社会の中でも持続可能な枚方のまちづくりを実現するために必要不可欠な事業です。コロナ禍のもと厳しい社会情勢ではありますが、将来を見据えより大きな経済波及効果がもたらされるよう、賑わいの創出や回遊性の向上など、魅力あふれる本市の広域中心拠点の形成に向けて、より具体的な取り組みを進めます。
枚方市駅北口駅前広場などを含む(3)街区の市街地再開発事業については、駅と一体となる商業、オフィス、ホテル、住宅、行政等の機能を備えた複合施設の令和5年度オープンをめざし、解体・建築工事に係る支援や新しい行政サービスの再編に向けた内装設計を実施します。
さらに、市駅周辺から天野川方面にかけてウォーカブルなまちなかを形成するとともに魅力ある都市機能を確保するため、(4)街区に魅力的な大空間を創出するなど新しいまちづくりをめざします。
本庁舎などの行政機能については(5)街区への集約を検討し、国・府と連携・協力しながら既存施設の再配置・有効活用に向け取り組みます。
京阪本線連続立体交差事業については、令和4年度の鉄道高架化の工事着手を目途に取り組みます。光善寺駅西地区市街地再開発事業については、引き続き、権利変換手続きなどの支援を行い、良好な駅前環境の整備と地域の活性化を図ります。
鉄道駅周辺や第二京阪道路などの幹線道路沿道では、地域のポテンシャルを生かした公民連携によるまちづくりに継続して取り組むこととし、都市基盤整備が進む長尾駅周辺においても、多様な主体と共有しながらめざすべき将来像の具体化に向けた検討を進めます。
都市計画道路では、市内の渋滞緩和や物流の円滑化、大規模災害時における市域の機能維持、早期の機能回復など国土強靭化に資する道路交通ネットワークを構築するため、牧野長尾線、長尾杉線、御殿山小倉線及び中振交野線の整備を計画的に進めます。また、樟葉駅前広場ロータリーの混雑解消や安全性の向上を図るため整備工事を実施します。
東西ネットワークの国土軸として交通容量の拡大や交通機能の安定性に寄与する新名神高速道路、そのアクセス道路となる都市計画道路内里高野道線の早期完成を関係機関や大阪府に働きかけるとともに、関連する市道北山通線の整備工事に着手します。また、淀川を渡河する都市計画道路牧野高槻線等の早期完成と周辺道路の安全対策については、大阪府と連携して事業を促進します。
王仁公園の再生については、運営方法を含め魅力あふれる公園となるよう公民連携で取り組みを進め、基本方針を策定します。
健康増進や生活利便性の向上につながる移動支援策として、ボランティアでの移送などの地域支援・自主運行型コミュニティ交通システムのモデル事業に地域との協働で取り組みます。
(4)産業・観光の活性化
総合文化芸術センターについては、オープニングイヤー企画として、連携協定を締結している大阪フィルハーモニー交響楽団の杮落とし公演をはじめ、文化芸術アドバイザー企画事業など、一年を通して魅力的で多彩なラインナップの事業に取り組みます。また、合唱や吹奏楽、演劇や絵画などの市民発表の場となる市民総合文化祭や公募選抜美術工芸展に取り組みます。加えて、同センターを中心に関係機関と連携した賑わいの創出に取り組むことで本市への来街者を増やし、枚方市駅周辺地域をはじめ本市全体の活性化につなげます。
観光の活性化においては、これまで「七夕」「舟運」など地域産業資源の磨き上げに取り組んできました。令和7年に開催される大阪・関西万博の効果を見込み、観光施策を戦略的に進めるため、観光の方針を明確にしながら取り組みます。併せて枚方宿地区内の幼児療育園跡地を観光交流施設として活用するための検討を進めます。
国の特別史跡である百済寺跡について、憩いと親しみにあふれ、古代寺院の景観を体感できる史跡公園とする取り組みを進めるとともに、国史跡の楠葉台場跡と合わせて活用の促進に向けて使用のルールを定めるなど、貴重な史跡を身近に感じることができる取り組みを進めます。
産学公の連携による地域産業の活性化を図るため、市内の事業者や大学、金融機関等との連携を深め、民間人材の活用も含めて、事業者間のマッチングや新たなイノベーションの創出支援に取り組み、企業の新分野への進出を具体的に支援することで、まちの持続的な発展につなげます。
創業支援の強化を図るため、地域活性化支援センターにおいて、民間人材を活用するとともに、起業家の発掘・育成など、創業に至るステージにおいて、関係団体や事業者と連携した総合的な支援策を展開します。
摂南大学農学部や農業従事者、企業等と連携しながら、農業者の所得向上をめざし農業特産物の創出や農産物を生かした商品開発、販路拡大に努めるなど、「農」を生かした産業の活性化に取り組みます。また、教育や福祉等の多様な分野との連携を強化し、農業の担い手づくりにつなげるなど、「農」のさらなる活用を図ります。
また、東部地域や市駅周辺再整備に係る地域活性化策について体制を整備し、取り組みを強化していきます。
イノシシなどによる農作物被害の抑制や地域住民の安全確保を図るため、健全な森林環境の維持に向けた取り組みを、地域住民と連携して進めるとともに、防護柵の設置支援などに取り組みます。
枚方市をホームタウンとするパナソニックパンサーズやFCティアモ枚方など、地元スポーツチームとの連携を強化し、「見るスポーツ」の充実とスポーツツーリズムの確立を図ります。また、地元スポーツチームへの愛着を深め、スポーツによる地域の活性化につなげる取り組みを行います。
夏の東京オリンピック・パラリンピック大会や4月に本市で開催される聖火リレーを契機に、スポーツの持つ魅力を再発信するとともに、スポーツイベントの開催に関する施設の利用基準の見直しを検討します。さらに、障害者スポーツに係るイベント開催を通じて、市民の障害への理解を深め、障害者の社会参加を推進し、より良い共生社会の実現に向けて取り組みます。
(5)安全・安心のまちづくり
総合的な防災対策を強化するため、「自助」「共助」「公助」のそれぞれの側面から取り組みを推進します。
「自助」を推進する取り組みとして、スマートフォン等によりデジタル技術を活用した情報共有・伝達などの手法の検討を進めます。その過渡期の対応として浸水想定区域内や土砂災害警戒区域内といった災害リスクの高い地域に居住し、緊急情報を得にくい世帯を対象に、自宅の固定電話に一斉に架電する自動音声配信電話システムを新たに導入します。
「共助」を推進する取り組みとして、地区防災計画の全校区での早期策定に向けて取り組み、地域が作成した地区防災計画を本市の防災体制に反映させる手続きを進めるとともに、災害時の避難空間等を確保するための防災協力農地の登録制度を開始します。
「公助」の取り組みとして、避難所における新型コロナウイルス感染症対策を進めるため簡易ベッドやパーティションの追加備蓄を行うとともに、豪雨や地震等により懸念される、ため池の決壊から市民の安全を守るため、大阪府と連携してテレメータの設置を進めます。また、地域における安全・安心のまちづくり活動の重要な拠点である自治会館について、新築・建替えの助成額増額や長寿命化を目的とした建物全般の改修に対応できるよう、自治会館建設等助成制度の充実を図るとともに、有事における避難所としての活用についても自治会に求めていきます。
大地震時に倒壊の危険性がある旧耐震基準の住宅・建築物については、補助制度により引き続き改修を促していくとともに、空き家が長期間放置されることで生じる周辺環境や都市インフラへの悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の発生を抑制するための仕組みを検討します。
子どもの交通安全に資するため、通学路に加え、未就学児の移動経路を含めた安全確保を図ることを目的に「(仮称)枚方市子どもの交通安全プログラム」を策定し、関係機関と連携して安全対策に取り組むとともに、信号交差点における歩道への車両乗り上げ防止対策としてガードパイプや車止めの設置に引き続き取り組みます。
安全で快適な交通環境の確保を図るため、緊急交通路も含む主要道路のリフレッシュ工事を計画的に進めます。また、歩行空間の整備として、自転車通行空間や道路のバリアフリー化、歩道拡幅の整備に取り組みます。併せて、府道における歩行空間の整備については、本市の協力体制を整え大阪府と連携し、事業化に向けた取り組みを進めます。
水道施設の耐震化・長寿命化について、中宮浄水場更新事業については民間活力を活用したDBO方式を採用し、令和3年度の契約締結に向け事業を進めるとともに津田低区配水場耐震化事業に取り組みます。併せて、老朽化した管路の更新により耐震化を進め、将来にわたり良質な水道水の安定供給と危機管理による安全重視の水道を構築します。
下水道施設の耐震化・長寿命化について、北部ポンプ場の耐震設計や蹉跎ポンプ場の機械設備の改築等に取り組むとともに、道路陥没の未然防止や雨天時浸入水の削減に向けて、汚水管渠の老朽化対策として引き続き改築等を進めます。また、汚水整備済み区域内に点在する未承諾地区や整備困難地区の解消を進めます。
楠葉排水区では下水道浸水被害軽減総合計画に基づく雨水貯留施設等の整備を進めるとともに、点在する浸水地区を面的に捉えた効率的・効果的な浸水対策に取り組みます。
(6)健康・福祉のまちづくり
生活のあらゆる場面でICTの活用による利便性の向上が進む中、新しい技術や手法を取り入れながら健康寿命の延伸をめざしたフレイル予防、生活習慣病予防のほか、認知症対策、権利擁護や障害者施策の充実などの健康福祉施策の充実に取り組んでいきます。
ICT機器やインターネット環境が進む中、高齢者が新しい生活様式を実践できるよう、通信事業者と連携して、スマートフォンの保有・利用の促進に取り組みます。
高齢者が住み慣れた地域で自由に集い、交流することを通じて閉じこもり等を防ぐため、高齢者居場所など通いの場での活動がより活発となるように、介護予防ツールを活用した支援などの取り組みを進めるほか、民間事業者との連携による新たな手法を検討します。また、コロナ禍のもとで外出を控えることにより懸念される健康への影響を防ぐ観点から、オンラインを活用した介護予防教室の拡充について検討します。
国保データベースシステム(KDBシステム)等のデータを分析し、把握した地域の健康課題をもとに、医療専門職による健康教育、健康相談等を実施し、健康活動の活性化を図ります。併せてさまざまなツールを活用したデータ取得方法等を検討し、健康づくりなどの分野において、より効率的・効果的な施策の展開や、成果連動型民間委託方式(PFS)などの取り組みを検討します。
枚方休日急病診療所、北河内夜間救急センター、枚方休日歯科急病診療所の初期救急医療機関を新医師会館内に整備・移設することで、初期救急医療機関の拠点として再構築します。
ひらかたポイント制度では、4月から、二次元コードを用いたスマホアプリの運用を開始し、プッシュ通知を活用した情報提供など、さらなる利便性の向上を図ります。令和3年度からは健康分野について重点的にポイントを付与し、施策の効果的な実現を図ります。加えて、新たに妊産婦支援として母子健康手帳交付時にポイント付与を行い、妊娠・出産から育児に至るさまざまな場面において実施している寄り添い型支援の早期開始を、より確実なものにします。さらに、がん検診受診支援を充実し、疾患の早期発見を促進するなど、新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクの高い基礎疾患の予防強化にもポイント制度を活用し、市民の健康増進を促進します。
企業が従業員の健康に配慮することで、経営面においても大きな効果が期待できるとされる「健康経営」については、NPO法人健康経営研究会などと連携し普及に取り組むとともに、働く世代の健康に関する意識の向上を図り、疾病の重症化予防、健康寿命の延伸につなげます。
地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の一つである成年後見制度について、地域連携ネットワークを構築するとともに、その中核となる「(仮称)枚方市権利擁護(成年後見)支援センター」を設置し、支援の充実を図ります。また、申し立て費用の助成と後見人等への報酬助成対象の拡大を行います。
障害者施策では、全ての市民が安心して共に生きる住みよいまちの実現に向け、「(仮称)手話でつむぐ住みよいまち枚方市手話言語条例」を制定し手話によるコミュニケーション支援を充実するとともに、窓口手話通訳、手話通訳者派遣事業について、ICTの活用により端末を用いた非接触での遠隔手話通訳を実施します。また、高度難聴児の福祉の向上のため、人工内耳装置等の買い替えに係る費用を助成します。併せて、障害児通所支援事業所における医療的ケア児等の受け入れ体制の拡充や障害者・児の移動支援、グループホームの安定運営など、地域で生活するため必要な支援を受けることができるよう、障害福祉サービス従事者の人材確保、育成に取り組みます。また、創作的活動、生産活動の機会の提供、社会との交流の促進及び相談支援の充実を図るため、地域活動支援センター3型の増設を行います。
(7)多様な生活・社会の課題解決に取り組むまちづくり
「誰一人取り残さない」持続的な発展をめざすというSDGsの理念は、本市のあらゆる施策に通じる考え方であり、健康・福祉、教育、ジェンダー平等、環境、平和などの目標の達成に向けて、本市も国際社会の一員として取り組みを進めます。SDGsの達成には市民や事業者をはじめとした主体がさまざまな社会課題を「ジブンゴト」として捉え、行動していくことが大切であり、多くの関係者との協働により社会課題の解決に向けて取り組んでいきます。
一人ひとりの個性や価値観、多様な文化を認め合うとともに、多様化する人権課題を身近に感じ考える機会として人権教育・啓発に取り組みます。また、さまざまな人権課題に対応する施策をより効果的に推進するため、「(仮称)人権施策基本計画」を令和4年度に策定できるよう取り組みます。
新型コロナウイルス感染者やその家族などが偏見・差別や誹謗中傷を受けることがないよう、感染症に関する知識や行動について市民啓発や学校教育での取り組みを進めます。
ジェンダー平等の実現に関して、性別を理由とする差別や不平等、暴力等をなくすため、啓発事業をはじめ、LGBT等の性的マイノリティの方々が自分らしく生活するためのさまざまな取り組み、また、配偶者からの暴力に関する相談支援や子どもたちをDV等の暴力の被害者にも加害者にもさせないための予防教育などを実施します。
悲惨な戦争の経験を風化させることのないよう、戦争の恐ろしさや平和の尊さを若い世代に伝えるため、さまざまな啓発事業を展開します。また、日本非核宣言自治体協議会や平和首長会議の取り組みに参加する中で核兵器の廃絶を求め続けます。
健康・福祉・子育て・介護・障害・生活困窮などの複合する課題にワンストップで対応する「健康福祉総合相談担当」においてICTを活用したリモート相談の実用化を進めるとともに、「健康福祉相談センター」においても健康・福祉など市民生活に関するあらゆる相談にICTの活用も含めたより効果的な体制を検証します。
森林環境譲与税の活用については、市民の安全を守り、健全な森林環境を維持するため、優先順位の高いエリアから森林整備事業等を進めていくとともに、木材利用促進に活用する場合の基本的な方向性についても検討します。
緑化推進については、市民の意識の醸成と持続的な緑化活動の担い手を育成するため、引き続き高齢者とともに「花いっぱい健康づくりプロジェクト」を実施し、子どもたちと連携した取り組みにもつなげます。
海洋プラスチックごみ問題の解決・改善に向けて「ひらかたプラごみダイエット行動宣言」への参加を呼びかけ、使い捨てプラスチックごみの削減やポイ捨てゼロに向けて取り組みます。
「脱炭素」社会の実現に向けて、第3次環境基本計画において方向性を示した「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」の達成をめざし、施策を具体化するため、令和4年度末に向けて、次期地球温暖化対策実行計画の策定に取り組みます。
東部清掃工場では、環境負荷の低減と長期財政負担の軽減を目的として、令和3年度から5年間の予定で、東部清掃工場焼却施設長寿命化総合計画に基づき灰溶融炉停止を含む焼却設備の基幹的設備改良工事を実施します。
若者世代空き家活用補助制度の活用を促進し、空き家を活用した若者世代の転入・定住につなげるとともに、第2次空家等対策計画を策定し、より効率的・効果的な対策を展開するための、情報発信の強化や不動産流通の促進、空き家を活用した起業支援などに取り組みます。
(8)行財政改革
市民の命と生活を守るため、ICTなどを活用した新たな視点で行政サービスを展開していくには、困難に立ち向かう職員の高い意識とチャレンジ精神が不可欠です。令和2年度末に改定する人材育成基本方針に基づき、未来を創造して形にする仕事や時代の変化に柔軟に対応できる人材の育成に取り組むとともに、職員のモチベーションアップ、チャレンジ機会の創出などにより、さらなる組織の活性化を図ります。また、職員のテレワークについては、平時においても実施していきます。このような働き方の変化に対応し、さらなる効率的・効果的な組織体制となるよう、令和2年度末に改定する職員定数基本方針に基づき、市民に寄り添うという自治体の役割を踏まえつつ、積極的なデジタル化の推進による事務の効率化などにより、社会の変化に即した職員数の最適化と人件費の抑制を進めます。
新しい生活様式が求められる中で、今までの考え方や取り組みにとらわれない事務事業の検証、見直しによる選択と集中の徹底やPFSなどの取り組みの推進、市有財産の有効活用、新たな財源の確保などにより、持続可能な行財政運営とまちづくりに取り組んでいきます。
市民の利便性の向上と新型コロナウイルス感染症対策として来庁機会を減らすため、申請・届出等のオンライン化を進めるなど、電子申請サービスの拡充を図ります。また、LINE公式アカウントについては、希望する人に必要な情報を迅速に届ける配信機能を搭載するなどの機能強化を行うなど、利便性の向上を図ります。
事務処理におけるミスを未然に予防・発見する仕組みとして内部統制制度の運用を開始し、より信頼される市政運営の確保に努めるとともに、ファイリングシステムやフリーアドレスを導入したオフィスレイアウトに変更し、庁舎スペースをより有効に活用します。
公立保育所民営化については、令和3年4月に渚保育所を民営化するとともに、令和4年4月を予定している渚西保育所の民営化・統合に向けた取り組みを進めます。また、阪保育所及び桜丘北保育所についても、令和5年4月の民営化に向け、運営法人の公募・選定などの取り組みを進めます。今後の民営化については、「就学前の教育・保育施設に係るひらかたプラン」のプラン後期を見据えて改定等を行い、公立幼稚園を含めた整理・集約に取り組みます。
市税や国民健康保険料など各種料金の納付については、さらに利便性を向上させるとともに、国民健康保険料の支払いについて口座振替の利用促進を図るための勧奨キャンペーンを実施します。
将来にわたって持続可能な水道・下水道事業をめざし、新たなビジョンを策定するとともに、社会情勢に応じて変化する水需要に適切に対応するため、上下水道事業における迅速な経営判断と、より円滑な事業運営ができる体制を構築します。
市立ひらかた病院については、新型コロナウイルス感染症の今後の拡大状況が不透明な中にあって収益減少などの影響が懸念されますが、令和3年度には地域医療支援病院の承認が見込まれており、一層の地域の医療機関との連携強化を図るなど、経営改善の取り組みを進めます。また、病院のブランドイメージを高め、選ばれる病院となるため、民間の専門家によるノウハウを活用し、ホームページや刊行物などを統一的に刷新する新たな情報発信を展開していきます。さらに、診療までの3密の回避と待ち時間の有効活用を図るため、順番情報をスマートフォン等により確認することができるサービスを開始します。
4 終わりに
以上、令和3年度の市政を運営していく上で、基本的な考えと主要な施策の概要について述べさせていただきました。その他の施策につきましても、総合計画に基づき取り組みを進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症との闘いは続きますが、これまで進めてきた枚方市の未来への歩みをとめることはできません。新しい生活様式をはじめ新たな流れを変革への機会と捉え、未来輝く枚方の実現に取り組んでいきます。特に、枚方市駅周辺再整備は本市の将来を担う最重要課題であることから全庁一丸となり進めます。
市民や市議会の皆様のご意見をしっかりとお聴きし、引き続き丁寧な説明と議論を重ね、本市のさらなる発展に向け、大きく踏みだせる一年にしてまいりたいと考えています。
市議会をはじめ市民の皆様におかれましては、なお一層のご支援とご協力をいただきますようお願い申し上げまして、令和3年度市政運営方針とさせていただきます。
お問い合わせ
枚方市役所 市長公室 秘書課
電話: 072-841-1255
ファックス: 072-845-0485
電話番号のかけ間違いにご注意ください!