1日に何歩歩くのが理想的?
健康維持のために推奨される歩数・移動距離を解説
体力に自信のない方は、まずはウォーキング時間を増やすことで体への負担を減らして運動量を増やすことが推奨されます。
生活習慣病を防ぎ、健康を維持するには1日あたり8,000歩~1万歩程度歩くのがよいとされています。自分の生活習慣や体力に合った目標を立てて、徐々に運動量を増やしましょう。
- 【目次】
- 1.1日の推奨歩数・移動距離
- 1日1万歩が理想的
- 1万歩歩くのに必要な移動距離と時間
- 目標は1日8,000歩から
- 65歳以上は1日6,000歩推奨
- 2.健康に効果的なウォーキングのポイント
- 歩く前に軽くストレッチ
- まっすぐ前を向いて歩く
- かかとから地面につける
- 歩幅を広めにとる
- 自分に合ったシューズを選ぶ
- 3.【すぐできる】歩数を増やす以外で健康を維持する方法
- 通勤などの移動を自転車メインにする
- ながら運動・ストレッチを心がける
- 週に何回か筋トレを行う
1.1日の推奨歩数・移動距離
厚生労働省が発表した運動ガイド 2023によれば、健康維持には1日8,000歩もしくは1万歩を目標とするのがよいとされています。
1日1万歩が理想的
厚生労働省によれば、身体活動量と死亡率等の関連についての研究結果から18歳~64歳の成人は「1日1万歩」歩くことが理想とされています。
しかし2019年に行われた厚生労働省の調査では、1日あたりの平均歩数が男性6,793歩、女性5,832歩という結果でした。男女ともに基礎的な運動量がかなり不足していることが分かります。
1万歩歩くのに必要な移動距離と時間
厚生労働省によれば、1,000歩の歩行距離は600~700mに相当します。つまり、1万歩には6km~7km程度の歩行が必要になるでしょう。
歩行時間については1,000歩で約10分かかるため、1万歩歩くには100分=1時間40分歩く必要があります。
1日1万歩を目指す方は、まず1日1時間半~2時間程度は歩行時間を設けるよう意識してみましょう。
目標は1日8,000歩から
生活環境や体力の問題で1万歩は難しいという場合は1日8,000歩を目指してみるとよいでしょう。
厚生労働省の運動ガイド2023では、「1日60分以上の身体活動」「1日8,000歩以上」を推奨しています。8,000歩は約5km、1時間20分の歩行にあたるため、通勤時に30分ずつ・休憩時間や帰宅後などに20分ウォーキングすれば達成できる基準です。
1万歩が絶対な目標ではなくあくまで一つの目安ですので、1万歩歩けないから意味がないというわけではありません。たとえ基準となる歩数を超えなかったとしても、今より少し歩数を増やすだけで健康リスク減少につながります。
65歳以上は1日6,000歩推奨
運動ガイド2023では、65歳以上の高齢者に対して1日あたり6,000歩分以上に相当する運動を推奨しています。
身体機能の低下がみられる場合はケガをしないよう安全に行える範囲で構いません。また、体力がある方は成人と同程度の運動量を目指すとよいでしょう。日常的に体を動かすことで死亡リスクを減らせるほか、ウォーキングをはじめとする有酸素運動には認知機能低下を予防する可能性があることが研究によって明らかになっています。「あまり外に出て動いていない」という方は、意識的に歩く時間を増やすことをおすすめします。
2.健康に効果的なウォーキングのポイント
せっかくウォーキングを積極的に取り入れるのであれば、できるだけ短時間で効果を出したいですよね。「正しく歩くためのポイント」をいくつか実践するだけでも、ケガを減らして効率的な運動ができるようになります。
今までのウォーキングで出来ていなかったことがあれば、ぜひ取り入れてみてください。
歩く前に軽くストレッチ
ウォーキングは比較的負荷の低い運動ですが、特に運動習慣のない方は急に動き始めると関節や筋肉を傷めてしまう可能性があります。そのため、ウォーキング前はできるだけ軽いストレッチを行うことをおすすめします。
ふくらはぎや太もも、肩の周りの筋肉を伸ばすことでケガしづらくなりますし、毎日続ければ体の柔軟性が上がって肩こりや腰痛改善にもつながるでしょう。
まっすぐ前を向いて歩く
猫背が気になる、腰や肩の傷みがあるという方は姿勢改善を意識しながら歩くとよいでしょう。
常にあごを軽く引いた姿勢でまっすぐ前を向いた状態を心がけると、自然と姿勢がよくなります。
かかとから地面につける
膝を伸ばしてかかとから着地するのがポイント。かかとから地面につけたら親指の付け根に重心を移動させてつま先で地面を蹴るイメージです。
歩幅を広めにとる
歩幅を広めにとって少し大股歩きにすることで、歩行時の消費エネルギーが増加します。特に運動量が足りていない方は歩幅を今より広めにとることを意識するとよいでしょう。
ただし、姿勢が悪い状態で早歩きすると腰やひざに負担がかかってしまうため、前を向いて正しい姿勢を保つよう心がけてください。
自分に合ったシューズを選ぶ
自分の足に合わないシューズを履いて長時間歩行すると、靴擦れを起こしたりケガを負ったりするリスクが高まります。特に着地時の衝撃が直に伝わるかかと部分がしっかりフィットしているかをチェックするとよいでしょう。
3.【すぐできる】歩数を増やす以外で健康を維持する方法
推奨される歩数分歩く時間を確保できないときは、歩行以外の運動を生活に取り入れてみるとよいでしょう。
通勤などの移動を自転車メインにする
国立健康・栄養研究所が定めた身体活動の強度(メッツ)を基準にすると、時速20kmで行うサイクリングは歩行の約2.7倍の運動強度があります。そのため、短時間で歩行以上の運動効果を得たいという方はまず自転車移動を増やすとよいでしょう。
最近は自転車を時間貸しで利用できるレンタサイクルも普及してきたため、以前より自転車移動が使いやすくなっています。日常生活で自転車を利用しづらい場合は、バイクマシン(自転車エルゴメーター)での運動でも構いません。
ながら運動・ストレッチを心がける
テレビを見ている時間、家事をしている時間などに筋トレやストレッチを行うのも立派な運動の一つです。
エレベーターではなく階段を使う、いつもより遠いトイレまで歩くなど、少し日常での動作を増やすだけで1日の総運動量が変わってきます。
週に何回か筋トレを行う
運動ガイド2023では、歩行より強度の高い運動を週に60分以上取り入れることが推奨されています。
「歩行より強度が高い」というのは具体的に「息が少しはずむ」程度であればよいとされています。もちろん好きなスポーツを取り入れるのもおすすめですし、自宅で簡単にできる運動の方が続きそうであれば筋トレがおすすめです。
4.まとめ
ウォーキングを通じて運動習慣をつけたい方は運動ガイド2023で推奨されている1日8,000歩を目指すのがおすすめです。1万歩であれば移動距離は約6km~7km、8,000歩であれば約5kmです。自分の生活に合った目標を設定し、少しずつ運動量を増やすことで健康的な身体を目指しましょう。
【参考サイト】
令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
身体活動・運動(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html
健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
歩く時のポイント(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/03-d-27.pdf
アクティブガイドパンフレット(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/topics/dl/tp130412-1e.pdf
- 錦 惠那 先生
- 【保有資格】
- 内科専門医、産業医
- 【プロフィール】
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関西圏の医学部卒業。現在は内科医として市中病院で診療を行っている。
腎臓病、透析医療を専門分野とし、産業医としても活動している。病気の予防は治療と同等に重要であり、予防医学の理解を深めてもらうため、病気やヘルスケア情報の発信にも取り組んでいる。
私生活では1児の母でもあり、日々育児にも奮闘している。