いつも「ガラス工房長七屋」をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
以前より長七屋のオリジナルホタルガラス「七海シリーズ」に似せた模倣品、類似品が多く販売されており、お客様には誤解とご迷惑をおかけしております。こういった残念な状況に弊社としても心を痛めるとともに、それら販売者に対し順次調査を行い必要に応じて厳正に対処しております。
つきましては、日頃ご愛顧いただいているお客様、また今後、沖縄でホタルガラスのお買い求めを考えておられる方々に加え、販売業者への注意を呼びかけるとともに、沖縄のホタルガラスの歴史や現状を知って頂く事で、被害にあわれる方を少しでも減らし、安心してお買い物できる材料になれば幸いでございます。
沖縄でホタルガラスが販売されるようになったのは1990年代初め頃と言われており、ホタルガラス(ホタル玉)の発祥の地、大阪で生産されたものを沖縄の会社が仕入れてアクセサリーに仕立て販売したのが最初だと言われています。
その後、ホタルガラスは沖縄で人気商品となり、大阪以外でも生産するところが徐々に増え、特に中国で大量生産された安価なホタルガラスが多く出回るようになりました。それに伴い、沖縄で販売されているホタルガラスの大半が中国産となりました。
沖縄の観光スポットでは必ずと言っていいほどホタルガラスが販売されており、その人気ぶりがすぐに分かります。ただその多くが中国産にも関わらず「琉球ホタルガラス」や「沖縄ホタルガラス」という名称を表記し販売しています。更に悪質なところだと、沖縄で作られたホタルガラスだと店員が嘘をついて販売しているところも少なくはありません。また、このような産地偽装が違法行為に触れる恐れがあるという認識も販売者側にあまりないように思われます。このような背景から、残念ではありますが、結果、県産品だとだまされて購入してしまう旅行者や消費者があとを絶たないのが現状です。
2008年からガラス工芸家として沖縄で活動していた長七屋の代表である坂本長七に2012年、沖縄県恩納村にあるANAインターコンチネンタル万座リゾートホテルのショップスタッフから沖縄県産品ホタルガラスの製造依頼があり、それがホタルガラスを作るきっかけとなりました。ホテルスタッフの依頼の理由は、既存の取り扱う商品以外にホタルガラスを追加し販売したいが、お客様に沖縄県外で作られたホタルガラスを沖縄県産品と偽って販売するわけにはいかないと言うものでした。この時初めて沖縄のホタルガラスの現状を知った坂本が高品質でしかも今までにない沖縄らしい県内初の県産ホタルガラスの制作に取り組むことになりました。
今では多くの方が「七海シリーズ」を評価してくださり、また共感して頂きお褒めの言葉もいただけるまでになりましたが、販売当初は、沖縄の海はつながっているのだから、どこも一緒の海色だと笑われることが多々ありました。言われてみれば確かにそうなのですが、実は開発当初からこの点において社
内でも議論がありました。私たちが開発を始めた頃は「ケラマブルー」という言葉すらほとんど使われてなく、雑誌など一部でたまに見かける程度で、「ミヤコブルー」だとほぼ見かけることはありませんでした。そんな調子ですから、地域の海を再現するといっても、本当にできるのか疑問が残りました。その疑問に答えを出す為に私たちは何度もその場所に足を運んでは検証し、確認した結果やはり地域によって色合いが違うことに気づくことができました。ただ、それと同時に多くの人が納得のいく海色にするには相当な再現度の高さが必要だと痛感させられたのも事実です。悩んだ結果、私たちは繊細な色合いを表現する為に高いハードルを自ら設けることにしました。ただ、これは技術的にも労力的にも相当苦労を重ねることになりました。具体的には、それまで既にあったホタルガラスの制作方法とはまったく違う製法で作るという答えに行きつくまで半年を要し、また更に熟練の職人たちが繊細な海色を表現する為に1年ほどかかりました。その内容を説明すると、通常のホタルガラスでは球体にした黒いガラスの上に銀箔を張るのが常識でしたが、七海シリーズでは球体ではなく、うちわ状に黒ガラスを引き伸ばし、その上から銀箔を1面に張り付けるようにしました。こうすることで繊細な海色を表現することに成功しましたが、一方で欠点もありました。それは側面からホタルガラスを見るとどうしても、黒のガラスラインが出てしまい見栄えが悪くなる点でした。新たな制作方法をすることで繊細な海色ができると同時に側面から見える黒のラインをいかに目立たないようにするのかが課題としてつきまといました。ただ、最終的には2年の歳月をかけてようやく納得のいくレベルまで仕上げることができました。
長七屋は物づくりを生業とする会社ですし、代表の坂本もガラス工芸作家として「ものづくりへのこだわり」を強くもっていましたが、それだけにある程度似たものが販売されるだろうとは考えていましたが、まさか他人が全く同じ見た目、まったく同じ商品名のコピー商品を販売することは予想していませんでした。ましてや、コピー商品を販売している会社A社が、長七屋のオリジナルホタルガラス「ケラマブルー」という商品名の商標を取得しようとするなんて夢にも思いませんでした。というのも、代表の坂本は商品の完成近くの2014年後半に弁理士から商標を取るようにアドバイスを受けていたのですが、作家でもある坂本は「作り手が感じて作る、色々なケラマブルーのアクセサリーやジュエリーがあった方が世の中的にはいい」ということで、取ることを拒んだ経緯があったからでした。このような経緯から長七屋はコピー商品への対抗手段として、また自社オリジナル商品のブランドを守る為に商標登録申請を行うことになりました。幸いにも特許庁はA社の商標登録を認めず、結果、長七屋が正式に商標登録するに至ることができました。
因みにA社はその後、弊社の警告文に従い「ケラマブルー」を使用しなくなりましたが、商品名を変更し同商品の販売を続けています。またB社も警告文に従い「ミヤコブルー」を使用しなくなりましたが、同じく商品名を変え同商品の販売を続けています。
ケラマブルー登録第6328969号 / ナキジンブルー登録第6396547号 / モトブブルー登録第6396548号
ミヤコブルー登録第6396549号 / ヨミタンブルー登録第6396550号 / オンナブルー登録第6396551号
ヤエヤマブルー登録第6396552号
ケラマブルー登録第6328969号
ナキジンブルー登録第6396547号
モトブブルー登録第6396548号
ミヤコブルー登録第6396549号
ヨミタンブルー登録第6396550号
オンナブルー登録第6396551号
ヤエヤマブルー登録第6396552号
長七屋が初めて県産ホタルガラスを作るようになってから、数はまだまだ少ないですが、嬉しいことに県内でホタルガラスを作る人が出てきました。また石垣島や宮古島などでも作る人が出てきて、その作品はどれも個性的で魅力的です。沖縄には、「かりゆしウェア」という今では多くの県民が愛用し知らない人がいないであろう県産品がありますが、もともとは沖縄でよく売れていたアロハシャッツに代わる沖縄独自の品物をつくることを目的にしてつくられたと言われています。県産ホタルガラスも同じように、いずれ沖縄の方々やお客様が自慢できるような工芸品になってほしいと思っています。その一環として長七屋では企業活動以外にも沖縄の抱える問題のひとつとして挙げられる離島の過疎化問題にも取り組んでいます。過疎化のすすむ小さな離島の観光を盛り上げるため、これまでに得たホタルガラスを作る技術と機材の無償提供を行うことを決定し、問題解決になるよう取り組んでいます。また、その他の離島でも学生や企業と共同で、その離島でしか手に入らないオリジナル商品をつくるなどして、島を盛り上げる活動をすすめています。このような活動を続けていき、小さな種を増やすことで、沖縄県産ホタルガラスを盛り上げながら、それと同時に沖縄の発展に少しでも寄与したいと考えています。
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