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「人への投資」の提案募集の結果と対応方針について

令和4年3月30日

1.結果概要

 令和3年12月27日から令和4年1月26日までの1ヶ月間、国民の皆様から、「人への投資」の「能力開発」「労働移動」に関する支援策・内容について、ご提案を募集しました。
 その結果、742件※(従業員:342件、経営者:188件、人材サービス事業者:226件、その他(教員、社団職員等):158件)のご提案をいただきました。
 (※申請の提案件数ベース(同一の個人が複数提案の場合、複数の提案とカウント))
 多くのご提案をいただき、大変ありがとうございました。

2.主な提案の概要と対応方針

 下記のとおり、提案の概要ごとに、令和4年度の実施等に向けた対応方針を整理しました。(下記に掲げた提案は代表的な例です。)

【企業が従業員に対して実施する研修(Off-JT)について様々な分野をオンラインで効率的に学びたいという課題に対する提案】

  • オンライン研修の活用による中小企業の効率的な人材開発、教育投資を促進すべき。e-Learningを活用した学習やメニュー拡充の企業が増加しており、集合型と比べ、定額制オンライン研修・e-Learningは費用をおさえ、移動時間も少ないため導入ハードルが低い。オンライン研修の活用による中小企業の効率的な人材開発、教育投資を促進すべき。定額制オンライン研修・e-Learningは、階層毎に学んでおきたい内容や職業・職種に合わせた多様なテーマのコンテンツがそろっている、育成ノウハウがないという課題を抱える中小企業でも、体系立った育成を行うことができる、どれだけ講座を受けても同一料金、必須研修だけではなく、興味関心の幅を広げるきっかけを与えることができる 。【従業員(民間シンクタンク・男性)】
  • 教育訓練ができるよう、終業後の夜間時間帯で自宅から参加ができるオンラインによる教育訓練コースが理想的である。【従業員(人材サービス事業者・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度について、今年4月から、以下の通り、改正する。

  1. 現行、「対面」の訓練が原則としていたが、全ての訓練において、オンライン研修(eラーニング)も対象とする。
  2. 現行、あらかじめ訓練内容が設定された訓練のみを助成対象としているが、オンラインの定額受け放題研修サービス(サブスク)や追加料金の発生するコースを含むオンライン研修も対象化する。


【会社から求められるスキルだけでなく、労働者自らが必要と思うスキルを伸ばしたいという課題に対する提案】

  • off-jtの重要性が叫ばれる昨今だが、企業では能力開発は個人任せであったり、企業が用意したセミナーの集団参加で満足しているように見受けられ、全体の底上げ感に繋がっている実感がない。私の職場でも通信教育は導入されているが横のつながりもなく 自分の能力を客観視もできず、自己満足になりつつある。興味のあるセミナーをよく見かけるが個人で負担するには高額であったり、平日開催が多いので参加費の補助、能力開発休暇などの導入を提案したい。【従業員(医療機器商社・女性)】
  • 今後、我が国においても、高度な英語能力を前提として、AIなどの多様なスキルを持つ人材が標準的なレベルの人材となることが望ましい。このようなスキル取得を目指し、個人が自己の将来にわたるキャリアパス形成を主体的に考え、現在雇用されている企業として、業務上必要かどうかと無関係に(語学やAIなどの)スキルを習得できる制度としていくことが重要である。【その他(一般社団法人代表・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度(講座の制限なし)について、現行、事業主の業務命令による訓練のみを助成対象としているが、労働者が自発的に受講した教育訓練費用を事業主が一部負担する場合に、業務命令でなくても、事業主に対して助成する事業を今年4月から創設する。


【学び直しのための時間がとれないという課題に対する提案】

  • 企業のDXを推進するキーパーソンを社会人大学院等を活用して育成するために、企業に対し、大学院通学に伴う休業補償を一部負担するような制度を設けるべき。【従業員】
  • 企業に在籍しながら、「学び直す」ことで従業員の自己成長を促すことが必要。企業に在籍する身分を保証しながら、経済的負担を低減できる支援として、学び直しのための休職制度の企業への制度導入を早急に促進すべき。【従業員(製造業・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業に在籍しながら、学び直しを促進するため、従業員が特別休暇を取得する場合の賃金及び就業規則整備費用を企業に対して助成する制度について、今年4月から、以下の通り、改正する。

  1. 現行、新たに「休暇制度」を導入した企業のみが対象となっているが、既に休暇制度導入済の企業も助成を受けることを可能にする。なお、「休暇制度」を導入しない場合でも、「短時間勤務制度」や「時間外労働の免除制度」を新たに導入する企業についても就業規則整備費用を助成対象にする。
  2. 休暇中の労働者の賃金助成について、現在「1企業最大2名」となっている人数制限を撤廃する。
    (※)賃金助成であるため、特定の事業者が偏って多額の賃金助成を受けることがないよう、人数制限を撤廃する代わりに、1企業当たりの助成上限を年間1500万円と設定する。


【自社が求めるスキルに特化して専門家にカリキュラムを作成してほしいという課題に対する提案】

  • 企業のデジタル化には、自社の文化・サービス・システムを熟知しておく必要がある。そこで、自社人材をリスキリングするための学習ロードマップと専用カリキュラムの作成が必要になる。これにより、自社で培ってきたノウハウを基に、自社に本当に必要なデジタル技術を社内に実装できるようになる。その際重要になるのが、企業の目的や状況(業界別・職種別・役職別)に合わせて専用の学習カリキュラムを作成すること。現場にシステムを実装できる知識、AIなどを企画できる知識など企業や人材によって必要とされる知識は異なる。【従業員(AIサービス業・男性)】
  • SDGs、脱炭素、DX、ITスキル等の分野の研修ニーズに対して、人材サービス事業者の研修コンサルタントが、集合研修とeラーニングのブレンド型研修を実施したいなど、各社の要望に応じたカスタマイズ研修を立案し、各社が抱える人材育成の課題を解決するサービスを提供しており、活用いただきたい。【人材サービス事業者(男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度について、現行、事業主が外部に訓練の実施を委託した場合、個別の訓練カリキュラムの開発費用が対象となっていないが、今年4月から助成対象とする


【デジタルなど成長分野で即戦力の者を採用したいという課題に対する提案】

  • これまでIT業務を行ったことがない者に対して、既存の労働者に新たにIT業務に就かせる場合もしくは、新たにIT業務に就かせる労働者を雇った場合に、その賃金を助成すべき。【人材サービス事業者】
  • 何かと高額になりがちな資格試験の受験費用に対する補助金制度の設置を求める。情報処理分野の教育拡充の為、情報処理技術者試験の受験料補助や学習講座の受講料補助の制度・仕組みを強化していただきたい。【従業員(学校法人・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度について、現行、Off-JTとOJTを組み合わせた長期間の訓練の研修費用の経費助成率は45%であるが、IT未経験者を雇用して、IT技術者としてトレーニングする場合は、経費助成率を60%に、今年4月から引き上げる。
○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度について、労働者にデジタル関係の訓練等を実施し、その訓練内容に対応した資格試験を受験させる際に要した資格試験受験料も、今年4月から新たに対象に追加する。


【成長分野への労働移動を促進していくべきという課題への提案】

  • 少子高齢化により労働力不足が進んでいくため、今後は、高齢者、女性、外国人なども成長分野へ労働移動させていく必要があると思う。これらの属性の方は、各種研修などの能力開発が必要であることはもちろんだが、それだけでは成長分野の企業へ採用されにくいと考えられる。そこで、これらの者を採用した場合、採用後一定期間職場に定着した場合のそれぞれに給付金を支給したりしてはどうか。【従業員】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 高齢者・シングルマザーなど就職困難者を雇用する事業主に対して助成する制度について、デジタル・グリーンなどの成長分野での雇用の場合、現行60万円(高齢者が1年定着した場合)を1.5倍に引き上げるなどの新たな制度を今年4月から創設する。


【学び直しのための費用を支援してほしいという課題への提案1】

  • (DX人材として)コンサルティングが可能な人材の育成が必要である。高度IT技術等のスキルを有している人材、または、業務改善等に造詣が深い人材を、コンサルティング要員としてDX人材に育成する場を拡大すべき。【従業員】
  • 弊社では、海外研修制度で毎年社員を海外拠点に派遣する研修教育を行っており、また、海外大学院への留学派遣制度の導入を検討している。これらの制度を更に拡大する為にはかかる費用負担が大きいため、教育目的での海外派遣に対する補助など支援策を要望したい。【従業員(物流会社・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度について、今年4月から、高度なデジタル人材等を育成する場合に、助成率を30%引き上げる(45%→75%)とともに、海外を含む大学院への入学については1人当たりの助成上限額を50万円から大幅に引き上げる。


【学び直しのための費用を支援してほしいという課題への提案2】

  • 個人を対象とする専門実践教育訓練講座制度(教育訓練給付のうちの7割補助のもの)が、国内の講座のみしか対象になっていない。海外の主要な大学・大学院のAIなどの専門実践教育(オンライン講座も含む)についても対象とすべき。【その他(一般社団法人代表・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 海外の主要な大学・大学院のAIなどの専門実践教育(オンライン講座も含む)は、申請内容を確認した上で、対象に追加することを令和5年度以降、検討する。


【非正規雇用労働者の教育訓練を行い、正社員化してほしいという課題への提案】

  • 団塊ジュニア世代の女性は、結婚出産で退職する女性が多い時代だった。その世代は子育てがひと段落し、仕事を始めたいと思っても20年前後のブランクに再就職を躊躇してしまい、パートや派遣等の非正規雇用での働き方にとどまっている人が多い。この世代が再度教育や就労機会を得ることで活躍できる余地が大きい。【従業員(製薬会社・女性)】
  • プログラミング技術者の不足と併せて、非正規社員に対する企業の教育投資は正規社員に比べて少なく、学びの場が少ない現状。非正規社員の中には正規社員としての契約を希望する者もいるが、難しいことも課題。これらの課題を同時に解決する手段として、非正規社員にプログラミング教育を実施し、希望者が正規社員として勤務できるようになることを支援することを提案する。【従業員(人材コンサル・男性)】

ご提案を踏まえ、以下の通り取組を進める予定です。

○ 企業が従業員に対して実施する訓練経費の助成を行う制度については、非正規雇用労働者に対する訓練でも助成対象となっている。
○ このため、非正規雇用労働者を正社員化した事業主に助成する制度について、デジタル分野、グリーン分野等の民間のニーズの高い分野について、助成額を母子家庭、父子家庭の方と同等の助成額(66.5万円)に今年4月から引き上げる。

3.参考

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